猪口邦子の発言 (外務委員会)

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○猪口委員 外務委員会においてこのように質問しておりますので、どうぞ事務方の方もよろしくお願いいたします。
 ここで、委員長、私は、領土問題解決に向けて、若干の自分なりのコメントを申し述べたいと思っております。
 領土問題を議論し、交渉する際に想起していただきたいことがあります。それは、そもそも日ソ共同宣言には、日本としてはシベリア抑留者の人命重視の考え方があったということです。
 当時の鳩山総理は、事態打開のために以下の文言の書簡を用意しました。すなわち、領土問題に関する交渉は後日継続して行うことを条件とし、戦争状態の終了、大使館の相互設置、抑留者の即時送還、漁業条約の発効、日本の国連加盟に対するソ連邦の支持の五点の同意を得た上で、国交正常化交渉に入る用意がある、この旨の書簡でございまして、これは一九五六年九月十一日付の書簡として、ブルガーニン・ソ連邦閣僚会議議長に送られ、同意の返書を得ているのです。
 これに基づき、その年の十月二日の閣議で鳩山総理は訪ソを決定し、七日に日本を立ち、鳩山首相を首席とする日本全権団、ここには河野一郎大臣も参加されておりました。この全権団はソ連側と国交正常化交渉を行いまして、十九日に日ソ共同宣言が発出されたのでございます。この共同宣言は十二月十二日に東京で批准書を交換して発効となり、これにより、ソ連で拘束されていたすべての日本人は釈放され、いわゆる総ざらい引き揚げが実現したのでございます。
 私が申し上げたいのは、ここに戦後日本の人道重視の極めて大きな外交があり、まず、ロシアには、そのような新たな思想で再生しようとした戦後の日本の姿勢を受けとめていたということを想起してもらいたいのです。そして、人道を優先した我が国に、後日継続すべきとした領土交渉において不利益のない決着を容認することでこそ、ロシアとしての人道主義的な深い対応となることを理解してもらいたいと思うのであります。
 そう述べた上で、日本としても、半世紀余り前の我が国政府の人道主義を想起し、帰属交渉においても人道配慮は重要であると考えております。北方領土に在住する例えばロシア人島民が追い出されたりせず、安住できる場所について人道的配慮を示すという観点があれば、おのずと解決方法も見えてくるのではないかと思います。
 いずれにしても、日本は、国家としての究極の人道主義を実践したことを起点とした長い外交の、今、着地点を見きわめようとしているということでありまして、交渉において何らかの対ロ配慮の観点があるとすれば、それは人道という立論でこそ整理されるべきであり、そうしてこそ、この長期にわたる苦労は理論的にも整合性を獲得し、また、この西太平洋地域の未来について強い発信となると思いますので、私の考え方として伝えておきます。
 では次に、北朝鮮問題と日中関係についてでございます。
 北朝鮮の核問題を解決するためには、幾つかの点をとりわけ重視しなければならないと考えます。第一に、多大な外交努力で培ってきた六者協議の枠を重視すること。第二に、そのかなめとなってきた中国との協調を重視すること。第三に、日朝平壌宣言の立場を重視すること。そこでは、言うまでもなく、双方が国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことや、朝鮮半島の核問題の包括的解決のために、関連するすべての国際的合意を遵守することが合意されているわけでございます。また、拉致問題は、人道問題として、誠実で解決力のある対応が必要であると考えます。
 さて、六者協議でございますけれども、二〇〇三年の八月に始まりまして、二〇〇五年九月に採択されました六者協議の共同声明には、北朝鮮によるすべての核兵器及び既存の核計画の放棄の実現への努力が明記されておりまして、米朝国交正常化を最終目的の一つに設定しています。しかし、二〇〇六年には北朝鮮は核実験実施を発表し、翌年には初期段階の措置や第二段階の措置などの議論や合意がありましたが、昨年十二月からは会合は開催されず、また、北朝鮮の軍事的エスカレーションが見られる現在、この状況を打開するために建設的な対応が必要である、そう考えます。
 その建設的対応のために、参加国それぞれが従来より柔軟性を発揮する決意が必要であります。例えば、米国には、米朝二者協議を排除しない姿勢が必要であるかもしれず、また、例えば中国に、それを仲介してもらいたいという要請があれば、その役割を演じてもらいたいと思っております。我が国も、そのような文脈においては、拉致問題を人道問題として重視しつつも、核拡散や核問題の解決に全力を挙げようとする関係国の機運と連動し、協働していく必要がある、そのように考えます。
 他方で、柔軟な発想で打開を目指すとしても、六者協議の傘下、アンブレラのもとにおいて各種の協議が行われるべきであり、日本外交としてこの点を確実に確保する必要があると考えます。
 日中外相電話会談等もとり行われたと伺っておりますけれども、このような点も含めてどうであったか、お伺いいたしたく思います。

発言情報

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発言者: 猪口邦子

speaker_id: 4512

日付: 2009-06-05

院: 衆議院

会議名: 外務委員会