笠井亮の発言 (議院運営委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○笠井議員 日本共産党の笠井亮です。
私は、二〇〇五年の総選挙後に設置された憲法調査特別委員会の委員、理事会メンバーとして一年半余り、改憲手続法の審議に加わってきました。その経過を改めて振り返りながら、憲法審査会規程をつくるべきでないということを強く意見表明したいと思います。
それは、第一に、改憲手続を整備するねらいが、九条改憲の条件づくりにほかならないからであります。
当時の法案提出者は、改憲手続法は公正中立なルールづくりであり、改憲の動きとは無関係だとオウム返しに言ってきました。しかし、二〇〇五年秋、特別委員会の審議が始まるのを待っていたかのように、手続法をつくろうとする政党が、相次いで九条を中心とする改憲案や改憲構想を発表いたしました。その中で、自民党は、九条二項を削除し、自衛軍の保持と集団的自衛権の行使を含む、海外での武力行使を可能とする規定を公然と盛り込んだ改憲案を発表したのであります。
その後、安倍総理が、自分の任期中の改憲を目指す、参議院選挙の争点にもする、そのための手続法だと言明し、時代にそぐわない条文の典型は九条とまで述べ、みずからの改憲スケジュールに沿って改憲手続法を強行成立させたのであります。こうした経過から、何のため、だれのための手続法であるかは明瞭です。
その安倍政権が、二〇〇七年の参議院選挙で改憲ノーの国民の審判を受け、政権投げ出し、退陣を余儀なくされたのは周知のとおりです。今日に至るまで、改憲勢力が主眼とする九条改憲を求めるような国民の声は、どの世論調査でも一貫して少数であり、多数になったことは一度もないのであります。
第二に、改憲手続法が、内容上も、不公正で反民主的なものとなっていることです。
国の最高法規である憲法の改正は、主権者である国民の意思が最大限に酌み尽くされることが必要不可欠です。ところが、手続法は、投票率のいかんにかかわりなく国民投票が成立することになっています。有権者の二割台、一割台の賛成でも改憲案が通る仕組みなのであります。少数の国民の意思しか示されない国民投票で、最高法規たる憲法を変えていいのか。私は、この最も根本的な問題を繰り返し、審議の中でもただしましたが、法案提出者からは、まともな答弁は返ってきませんでした。
そのほかにも、公務員、教育者の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限していること、改憲案の広報や広告が改憲推進勢力に有利な仕組みになっているなど、この法律の持つ多岐にわたる重大な問題が浮き彫りになったことを御記憶のことと思います。
だからこそ、中央、地方公聴会や参考人質疑においても、世論調査や新聞の社説でも、また日本弁護士連合会や憲法学界などからも、拙速を避け徹底審議を求める声が、法案への賛否を超えて圧倒的多数だったのであります。にもかかわらず、審議も不十分なまま強行成立させたことは、憲政史上に重大な汚点を残す結果となったのであります。改憲手続法は、二重三重に非民主的な欠陥法だと言わなければなりません。
国会における改憲の動きは、一九九七年の憲法調査委員会設置推進議員連盟の設立以来、憲法調査会、憲法調査特別委員会と十二年に及び、改憲勢力の周到な準備のもとに進められてきたかに見えます。しかし、いかに国会で改憲の機運を盛り上げようとねらっても、国民はそれをきっぱりと拒否してきた、これが、この間の憲法論議にかかわってきた私の実感であります。
憲法に改正規定がありながら手続法がないのは立法不作為だと言って改憲手続法を強行し、今度は、手続法が成立したのに憲法審査会規程をつくらないのは違法だと言いますが、今国民が望んでいることは憲法改正ではありません。そうである以上、憲法審査会規程などつくる必要はないのであります。衆議院として憲法審査会を始動させるのではなく、その根拠法である改憲手続法を廃止することこそ国民の要求であることを強調し、私の発言とします。
以上です。