森英介の発言 (法務委員会)

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○国務大臣(森英介君) 委員長を始め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営について格別の御理解と御尽力を賜り、厚くお礼を申し上げます。
 現在、我が国は改革の時代の真っただ中にあり、社会経済情勢も決して楽観を許しません。このような時代、情勢の下、国民の皆様にとっては負担や不安を感ずる場面も少なくないのではないかと思います。しかし、私たちは、これまで、誠実にして公正、豊かな想像力を持って努力を重ね、幾多の難局を乗り越えてきました。私は、日本の、そして日本人の底力を信じています。
 明治維新によって我が国はアジアにおける近代国家の先駆けとなり、国家機能は大変革を遂げました。司法制度もらち外ではあり得なかったわけですが、当時の太政官における検討を見ますと、既に「法律ハ人情ニ悖ラズ、平易ニシテ人民ノ便宜如何ト見ルニ在リ」などと論じ、司法は常に国民の視点に立って、その常識とともになければならないとされています。このような先人の教えは今なお色あせることはありません。私も、国家国民のため努力を惜しむことなく、法務大臣として、日本の将来を見据えながら、様々な御意見に謙虚に耳を傾け、常識の通用する法務行政を着実に行っていく覚悟でありますので、皆様方には一層の御理解と御支援を賜りたいと存じます。
 それでは、所信の一端について申し述べさせていただきます。
 第一は、司法制度改革の推進についてです。
 司法制度改革の大きな柱の一つ、裁判員制度がいよいよ本年五月二十一日から始まります。これは、広く国民が裁判の過程に参加することにより、司法を国民により身近なものとするという大きな意義を有する制度です。だれも経験したことのない新たな制度ですから、法律の知識がないのに判断できるのだろうかなどといった不安をお持ちの方も少なくないと思います。しかし、裁判員となられた方に、これまで日常生活の中で培ってきた様々な経験や良識に基づいて意見を述べ、裁判官とともに十分協議していただくことが裁判員制度の趣旨にかなうものであると考えております。
 法務省としても、最高裁判所や関係機関等と連携し、裁判員制度の下で、迅速で分かりやすく適正な裁判が実現されるよう、一層の取組を進めてまいります。また、より多くの国民の方々に裁判員制度の意義を十分御理解いただき、不安なく裁判員として参加していただくことができるよう、広報啓発活動を積極的に行うなど、引き続き全力を尽くしてまいります。
 司法制度改革のもう一つの大きな柱として、司法を支える人的基盤の拡充があります。これからの司法を支える質、量共に充実した法曹を確保するため、新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころに司法試験合格者数を三千人程度とすることを目指しております。引き続き、関係機関と協力して法曹養成のプロセス全体の改善に努めてまいります。また、法曹有資格者は社会の様々な分野で活躍することが期待されておりますので、その活動領域の拡大に必要な方策についても鋭意検討を重ねてまいります。
 日本司法支援センターについては、裁判員制度の開始や国選弁護制度の拡充等に備え、更なる業務体制の充実強化を図るとともに、業務内容の一層の周知を図り、国民にとってより身近で信頼されるセンターとなるよう努めます。
 司法制度改革については、そのほかにも、裁判外紛争解決手続の認証制度の適正な実施運営や法教育の普及、法令外国語訳の推進など、様々な課題がございますが、国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けその歩みを着実に進め、改革の成果が国民一人一人にしっかりと伝わるよう努力を積み重ねてまいります。
 さらに、司法の中核を成す裁判所の体制については、今後ともその充実強化を図る必要があり、判事等の一層の増員を図るための裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を提出させていただいておりますので、速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。
 第二は、治安回復に向けた取組についてです。
 日本そして日本人が底力を発揮するには、治安の回復を図ることが不可欠です。昨年末に策定された犯罪に強い社会の実現のための行動計画二〇〇八に基づき、治安関係部門の体制の充実強化を図るとともに、過剰収容の状態にある刑事施設の業務負担を緩和するため、要員の確保等に努め、治安回復に向けた様々な取組を強力に推進してまいります。
 治安回復を図る上で再犯の防止は特に重要です。関係機関・団体とも連携を図りながら、施設内外における処遇の充実強化、刑務所出所者等に対する総合的な就労支援、福祉サービスにつながる体制の構築と更生保護施設への受入れ促進など、社会復帰のためのきめ細かな支援を積極的に進めてまいります。また、自立更生促進センター構想については、センターの着実な設置、運営に努め、その効果を検証し、更なる推進について検討してまいります。さらに、犯罪者を円滑に社会復帰させ、再犯防止の効果を上げるためには、官による努力はもちろん、地域社会による取組も欠かせません。そのため、犯罪者の更生について、国民や地域社会から御理解、御協力をいただけるよう努めることが肝要と考えております。国民に理解され、支えられる刑務所を目指し、PFI手法を活用して官民協働で運営する刑務所も、その先駆けとなった美祢社会復帰促進センターの運営開始から間もなく二年がたとうとしています。昨年十月に開所した島根あさひ社会復帰促進センターでは、官が培ってきた経験と、民間の創意工夫、そして地域の熱意と力とが一体となった、共につくる刑務所を基本理念として施設運営に取り組んでおります。これらの取組に代表されるように、引き続き、地域社会や民間の方々とも強く連携を図った上で、より効果的な再犯防止策を講じてまいります。
 真に安全で安心な社会を実現する上で、犯罪の被害に遭われた方々への十分な配慮も忘れてはなりません。昨年十二月に被害者参加制度が施行され、犯罪被害者の方々が、直接、刑事裁判手続に関与することができるようになりました。引き続き、犯罪被害者の方々の保護、支援を図るため、犯罪被害者等基本法及び犯罪被害者等基本計画に基づく施策や取組を着実に進めてまいります。
 テロの未然防止に万全を期するため国際テロに関する調査の充実強化を図るとともに、北朝鮮に係る拉致問題等の重大な問題の解決に向け、関係機関との連携協力の下、関連情報の収集、分析等を通じて積極的に貢献してまいります。
 オウム真理教については、団体規制法に基づく観察処分の三回目の期間更新がなされました。引き続き、観察処分を厳正に実施し、公共の安全の確保と国民の不安解消に万全を期してまいります。
 現在継続審議となっている犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案については、委員の皆様及び国民の皆様に御理解をいただき、できる限り速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。
 第三は、世界に開かれた安全な日本にふさわしい出入国管理行政の推進についてです。
 昨年、我が国に来日した外国人は約九百十五万人に上りました。二〇一〇年までに訪日外国人旅行者の一千万人突破を目標とした観光立国実現に向け、更なる審査の効率化、迅速化に努めます。
 一方、不法滞在者半減計画については、昨年までの五年間、徹底した不法滞在者の摘発及び個人識別情報を活用した厳格な入国審査の実施等により、不法残留者を本年一月までにおおむね当初の半数である約十一万三千人にまで削減できました。引き続き不法滞在者の更なる削減に努めるとともに、今後は正規滞在者を装って本邦に不法に滞在する者の根絶に向けた取組を強力に推進してまいります。
 さらに、我が国に在留する外国人も引き続き増加傾向にあり、外国人の在留状況を正確に把握することの重要性がこれまで以上に増しております。今国会に提出した出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案は、外国人の公正な在留管理を行うため、法務大臣が必要な情報を継続的に把握する制度を構築するとともに、適法に在留する外国人の利便性を向上させるための措置を講ずるほか、外国人研修制度の見直し等を行うものです。委員の皆様の御理解、御協力をいただき、速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。
 第四は、民事法務行政における施策についてです。
 今国会においては、政府として締結を予定している国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約を踏まえ、外国を当事者とする民事裁判手続に関する我が国の裁判権の範囲等について定める外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案を提出させていただいておりますので、速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。
 さきの臨時国会で成立した国籍法の一部を改正する法律は、本年一月一日から施行されていますが、国会で御議論いただいた点を尊重して、適切な運用に努めます。
 全国の都市部における登記所備付地図の整備事業を推進するほか、民事基本法についても社会経済情勢の変化に応じた見直しに向け積極的に取り組んでまいります。
 第五は、人権擁護行政の推進についてです。
 人一人一人が尊ばれる豊かな社会の実現に向け、人権啓発に関する施策を推進するとともに、人権侵犯事件の調査・救済活動の更なる充実強化に努めます。
 人権侵害による被害者の実効的救済を図ることなどを目的とする人権擁護法案については、人権擁護推進審議会の答申と人権擁護施策推進法の附帯決議を踏まえ、かかる目的を実現すべき法案の国会への提出を目指すべきものと考えておりますが、さらに、各般の御意見を承りながら、引き続き真摯に検討を進めてまいります。
 以上のような諸課題に対して、委員長を始め委員の皆様の一層の御理解と御指導を賜りながら、法務大臣として、佐藤副大臣及び早川大臣政務官とともに、引き続き全力を尽くして取り組んでまいる所存です。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 森英介

speaker_id: 32894

日付: 2009-03-12

院: 参議院

会議名: 法務委員会