郡司彰の発言 (本会議)
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○郡司彰君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して、ただいま議題となりました平成二十年度二次補正予算三案に関し、委員長報告のとおり、一般会計補正予算及び特別会計補正予算を修正議決することに賛成し、政府関係機関予算については原案に反対する立場から討論を行うものであります。
原案は、衆院でわずか十四時間の審議の末、委員会、本会議でそれぞれ採決を強行し、本院に送付されました。予算案原案には、私たちの考えるものとは大きく異なる子育て応援特別手当や高速道路料金の定額化などの政策が含まれていますが、景気悪化の現状を思えば、たとえ効果や手法に違いはあっても、唯一定額給付金を除けば与党との合意を目指すことは可能であったと今でも考えております。
百年に一度と言われる世界規模の金融経済危機の影響を受け、我が国経済は外需、内需共に停滞し、極めて厳しい状況に陥っております。中小企業の資金繰りの悪化に加え、これまで景気回復を牽引してきた大企業でさえも相次いで大幅な減産を行うなど、我が国経済は景気後退の度合いをますます強めております。また、企業活動の減産による生産調整が雇用調整を招き、非正規雇用の解雇、派遣契約の更新拒否、新規学卒者の採用内定取消しの増加等は深刻な社会問題に発展しております。
原油価格の高騰が一段落したのもつかの間、所得が伸びない中でやりくりに苦しむ家計に追い打ちを掛けるように、失業不安が社会を覆い、国民生活は厳しさを増すばかりであります。政府・与党は、かかる現下の厳しい状況に対応するとして相次いで経済政策を策定したものの、その内容はどれもこれも掛け声倒れのものばかりで、厳しい国民生活の改善につながる有効な対策とはなっておりません。国民の間には、将来に対する不安と麻生内閣に対する深い失望感が満ちており、かかる事実は麻生内閣に対する支持率急落という最近の相次ぐ世論調査の結果に如実に表れております。
そもそも、今回の危機と政治への不信はどのように醸成されたのでしょうか。
一つは、行き過ぎた経済至上主義による強者の論理を優先させたことであり、国内的には小泉内閣による劇場型政治に目をくらまされた結果、国民の痛みが余りにも大きく派生したことに加え、一年ごとの政権たらい回しを見せ付けられ、あきれ果てたためではないでしょうか。
小泉改革がもたらしたものは、社会の構成にはぬきんでる者とそうでない者とが共に存在するのを当たり前とする考え方であり、そのことを裏打ちする国内法整備を進めました。以降の内閣もその流れを踏襲しています。
オバマ大統領は就任演説で、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄は長続きしないと語りましたが、この間我が国は、個人間、地域間、企業間、産業間での格差が拡大し、それは固定化しつつあります。一昨年の参院選の結果はそうした事態に違和感を抱いた人々の民意の表れと言えます。
さらに、企業内ではこれまでの日本的特質が強者の論理の風潮の中で軽視され、蔑視さえされてきました。労働力は入社時からの即戦力分を対価とされ、上昇するには個人の自己研さんが求められ、また同期のみか先輩も後輩も競争相手とのみ認識するのが当然のごとくとされています。多くの企業で、従業員の死亡事由の上位に自殺や精神疾病が並ぶのは悲しい現実です。
あわせて、地域の共同体や家庭内におけるきずなの緩みが指摘をされていますが、昨年から始まった後期高齢者医療制度はその事実を冷徹に再認識させました。田舎出の私は、大都会の喧騒の中にいると景気の悪化をふと忘れそうになるときがありますが、現実には、都会の中で独り思い悩む若者やふるさとに戻れない孤独な老人が、心の中で困ったときは帰ってこいよとの声を聞き、また事実、物心両面での援助を受けて生活をしているものと思われます。
今回の景気悪化の影響を受けての犯罪も報じられますが、それらがわずかである背景には、まだ残る細いきずなが下支えとなっています。しかし、この間の変化を放置すれば、早晩変貌することは避けられない見通しとなります。
政府は、定額給付金は内需を刺激し、景気回復につながることを目的の一つに挙げています。二兆円の効果は大きな要因たり得るはずですが、世間がそうした評価を示さない要因は何だとお考えですか。
総理は師走に行われた竜王第七局の記事はお読みになりましたか。三連敗後の四連勝で初の永世竜王が誕生した勝負は歴史に残る大一番と称されました。多くの人が感銘を受け感動したのは、それが制限時間の下で一手一手を考え抜いて打ち合う緊張感と責任感、つまり待ったなしだからであり、後手を許さないからではないでしょうか。
総理のこの間の言動が、綸言汗のごとしと他から批評をされました。綸とは太い糸の意だそうであります。つまり、綸言とは、天下を治める人の言はそのもとは糸のように細いが、これを下に達するときは綸のように太くなる意と解説をされています。まさに、一度口にした言葉は汗と同じく戻すことはできないのです。現代の指導者に寡黙を求めることは無理にせよ、優勝力士に軽口を放つより、武士に二言なしくらいの気概を持ちたいものです。
また、受け取った給付金を貯金に回すとの予測が指摘をされています。それは、国民の多数が自らの将来像を描いたときに、教育、年金、医療、介護などを考え合わせ、希望ではなく不安を投影するからではないのですか。ある金融機関の方に伺うと、昨年の高齢者の預貯金は大幅な伸びを示しているとのことです。
私たちが示したように、二兆円の財源があるならば、むしろ雇用対策や社会保障、そして子供たちの命を守る学校施設の耐震化等に充てた方がよほど生活防衛や安心実現につながると確信をするものであります。
私たちは、民意とのキャッチボールをしながら政策の決定をするはずであります。定額給付金の目的をそんたくすれば、両者はつまり、息が合う、あうんの呼吸でなされることが効果的です。しかし、今回の世論はそうはなっていません。昨年の八月に構想が表されて以来、それが選挙目当てのばらまきとの下心が透かして見えているからではないのですか。
最後に、定額給付金の財源は埋蔵金、つまり特別会計の余剰金を充てるとされています。
国と地方の借金を合わせて一千兆円もあるから二兆円くらいはよいとする考え方に私たちは立ちません。重ねて言います。今からでも定額給付金を撤回する協議を始めませんか。今回の二次補正予算を契機に、真摯にこの国の在り方を考えようではないですか。
考えた後、実行に移すにはエネルギーが要ります。政権交代が当たり前でなかったこの国は活力を低下させたのではないでしょうか。もちろん、国民にも政党にも言えることであります。
私たちは情熱を持ってこの国の仕組みを根本的につくり変えていきます。国民の国民による国民のための政治を実現をするために。人間の人間による人間のための経済を実現するために。一日も早く国民の新しい生活を築くために。このことを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)