風間直樹の発言 (本会議)

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○風間直樹君 民主党・新緑風会・国民新・日本の風間直樹です。会派を代表し、議題となりました海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案に関し、質問を行います。
 まず、本題に入る前に、二十五日に行われた北朝鮮の核実験に関しお尋ねをいたします。
 今回の実験は許されざるものであり、我が国は北朝鮮の核開発を断固阻止せねばなりません。
 報道によると、核実験に際し、初めて米軍からの情報提供がなく、また、アメリカ国務省は日本に事前連絡をしたとのことですが、中曽根外相はこれを否定、その後、外務省報道官が外相発言を北朝鮮からの通知を念頭に置いていたと更に否定。一体何が事実なのでしょうか。日米間で情報の伝達と共有ができているのか危惧せざるを得ません。日米同盟の運用実態が危ぶまれます。
 総理、米国からの事前連絡の有無を責任を持ってお答えください。
 また、韓国は数日前から実験の兆候をつかんでいたと伝えられていますが、韓国から何らかの連絡はあったのでしょうか。
 日本、米国、韓国の連携が進まず、安保理新決議の作成と制裁実施に向け日米韓三か国に北の核保有阻止についての判断の相違が生じれば、制裁の実効性を損ないます。三か国連携の実態と核保有に対する米韓の認識について、外務大臣にお尋ねします。
 また、報道によれば、日本政府は昨日、新決議案の作成を終えたとされ、高須幸雄国連大使は、決議違反に効果的な対応を取らなければ安保理の威信を傷つける、近く決議案を提出すると述べています。政府はいかなる制裁内容とするお考えか、お尋ねします。
 ところで、実験当日、外務大臣はASEM外相会合出席のためベトナムに滞在しておられました。会合出席を続けるか、あるいは帰国し対応の陣頭指揮に当たるかの選択に際し、会合出席を選ばれた理由をお答えください。
 また、安保理で採択される決議には、二〇〇六年採択の一七一八号同様、北朝鮮関係船舶の臨検が盛り込まれる可能性がありますが、日本の現行法制では周辺事態に認定しなければ臨検ができないため、根拠法を制定するべきだという考え方もあります。総理の御所見をお尋ねいたします。
 では、本題に入ります。
 私は、海賊行為に対処する法律は極めて重要だと考えております。現在、日本の海運会社はアデン湾の海賊行為のために多くの経費を強いられておりますが、貿易立国である我が国にあって海上交易ルートの安全を図ることは不可欠であります。
 本法案は、海賊行為という犯罪を取り締まる司法警察活動を行うため、海上自衛隊艦船を遠洋に派遣する内容です。この法案の下、海賊対処を命じられる海上自衛隊は、警告射撃を許すこともあり、武器の使用を伴う可能性が高くなります。しかし、自衛隊が海外で武器を使用した例はこれまでにありません。
 民主党は、海賊対処にはまず海上保安庁が主体的に対応し、それが困難な場合には、総理が本部長を務める対処本部を設け、自衛隊派遣を行うべきと考えています。そして、自衛隊が海賊対処に携わる場合、我々国会議員は次の三点を十分に考慮すべきと考えます。第一に、武器を所持する自衛隊組織の本質を十分に見極めているか。第二に、自衛隊の活動を国民の意思に沿ったものとする制度上の担保が備わっているか。そして第三に、現場で遭遇する様々な局面に隊員が合法的に対処することができるか。
 私はこうした認識に立ち、衆議院審議において明らかになった問題点に関し、以下お尋ねいたします。
 まず、我々民主党が政府案に懸念を抱く最大の理由は、自衛隊派遣にかかわる国会関与の問題です。法案第七条三項では、海上自衛隊に海賊対処行動が発令された場合、政府は国会に対して事前承認を求める必要はなく、単に報告を行うのみとされています。総理、これはいかがなものでしょうか。
 総理は、衆議院審議において国会報告にとどめた理由を問われ、次のように答弁されています。海賊に対しては軍艦がそこに存在するだけで抑止力になり得るのではないか、よって基本的には海上警備行動というもので対応できると考えている、ただ、日本国籍以外の船舶から救助を求められた場合のために本法案を提出したと。つまり、総理は、海上自衛隊が海賊に対し武器を使用する可能性を極めて楽観的に認識されているようです。
 そもそも、政府がこの法案を提出されたのはなぜか。突き詰めれば、海上警備行動に基づく警職法に準じた自衛隊の武器使用基準では、自衛隊が重武装の海賊に対しその任務を全うできる保証はないと考えたからではないのでしょうか。ソマリア沖における海賊重武装の現実を受けて取りまとめられた法案内容、一方で武器使用の可能性はほとんどないという総理の楽天的な御認識、この両者の矛盾は深く大きく、そして危ういと言わざるを得ません。総理、防衛大臣、武器使用の可能性についての明快な御見解を求めます。
 さて、我が国会は、武器を所持し、他者に意志を強制し得るという自衛隊の本質にかんがみ、これまでその活動に様々な制約を課してまいりました。それらを一覧すれば、自衛隊が武器を使用する可能性とその活動が国民の権利を制約する可能性に応じて国会関与の程度が決められていることが分かります。以下、順を追って指摘いたします。
 まず、自衛隊の防衛出動の場合。これは武器使用の可能性が高く、国民の権利を制約する可能性も高いため、事前の国会承認が定められています。次に、治安出動の場合。武器使用の可能性は高くありませんが、国民の権利を制約する可能性は高いので、国会の事後承認となっています。さらに、PKOの場合。国民の権利を制約する可能性はありませんが、武器使用の可能性は若干あるため、国会への報告のみ。次に、二〇〇二年に凍結解除されたPKFの場合は、部隊が休戦直後の現場にも立つことから武器使用の可能性が高くなるので、国会の事前承認。そして、武力攻撃事態と周辺事態の場合。いずれも武器使用、国民の権利を制約する可能性共に高いため、厳格な国会事前承認の手続が規定されています。
 さて、このように見た場合、海賊対処行動の場合には国会関与の程度をどう考えるべきなのでしょうか。武器使用の可能性が極めて高い今回のケースは、PKFの事例に準ずるべきと思われますが、果たして報告と事前承認のどちらがふさわしいのでしょうか。
 軍の活動に対する議会関与は、民主主義国においてはいずれも真摯な議論の対象となっています。例えば韓国では、憲法で国軍の外国派遣に対する国会の同意権を定め、今回のソマリア沖派遣でも、派遣部隊の規模、所要費用、期間を始め、海賊の奇襲攻撃を想定した交戦規則の整備に至るまで広範囲に及ぶ議論が国会で交わされています。その結果、同意案は賛成多数で可決されました。
 同僚議員の皆様に訴えます。
 恒久法の下、海上自衛隊による海賊対処行動が長期にわたって行われれば、将来、日本人船員が海賊に拉致されるなどの事件が発生し、自衛隊が予想外の危機に遭遇するおそれは否定できません。それでは隊員の合法的活動基盤は脆弱になります。よって、国会は、派遣の都度海賊対処行動の内容を精査し、不測の事態発生に備えなければなりません。したがって、私は、本法案を修正し、国会事前承認を規定する必要性を強く呼びかけたいと思います。
 さきに挙げた各法律で国会の事前承認が政府原案の段階から規定されていたものは、武力攻撃事態法とイラク特措法のみでした。その他の国会承認はすべて法案修正により国会の意思を反映させたものであります。本院で協議し、意思形成し、修正を図ろうではありませんか。総理大臣並びに防衛大臣にも御見解をお尋ねします。
 さて、現在、参議院議員のうち、昭和二十年以前に生まれた方は七十二名、二十一年以降に生まれた方は百七十名です。この本会議場でも戦後生まれの国会議員が多数となりました。ちなみに、最年長は昭和三年生まれの草川昭三議員、続いて昭和八年の亀井郁夫議員。一方、最年少は川田龍平、外山斎、吉川沙織の各議員でいらっしゃいます。私の計算に間違いがなければ、草川議員は終戦当時十七歳、亀井議員は十一歳でいらっしゃいました。シビリアンコントロールと国会関与、いずれの制約もなかった戦前の軍の暴走を知る方が少なくなられたということは、留意されていい事実かと思います。
 ところで、海賊対処においては、商船保護の目的に照らし、海自、海保の艦船行動の効率性も重視しなければなりません。私は、国会事前承認の必要性を訴えると同時に、議員として迅速な海賊対処を可能にすることにも十分留意し、法の制定と運用を行わなければならないと確信いたします。
 さて、海上において常に海賊船の見分けが付くとは限りません。そこで、海賊行為認定前の武器使用の可能性についてお尋ねします。
 本法案成立後、商船に付きまとう船に艦船隊員が乗り込み、検査を行って単なる漁船だと分かった場合、事前に行った警告射撃や船体射撃はさかのぼって違法と判断されるのでしょうか。明確な御答弁を防衛大臣にお願いします。
 続いて、艦船等が航行中に海賊行為に出会う、いわゆる遭遇型海賊への対処について取り上げます。
 本法案では、七条二項ただし書により、海上自衛隊が遭遇した際は、防衛大臣は必要となる行動の概要を総理に通知すれば足りるとされています。この報告は対処前に行われるのでしょうか、それとも対処後に行われるのでしょうか。総理にお尋ねいたします。
 最後に申し上げます。
 民主党案と政府案の最大の相違は、国会関与規定にほかなりません。海賊対処上、自衛隊でなければできない任務があるならば、国会で議論し、承認の是非を決定すべきです。議論を通して国民に包み隠さず根拠を示すことが国会の責務であります。その過程において、自衛隊の任務、規模、費用や派遣期間などがより明らかになるでしょう。さらに、それは危険を顧みず現地に赴く隊員の活動を国民が見守る契機ともなります。衆議院では加えられなかった国会事前承認規定を本院で特に検討し、法案を改善しようではありませんか。そこに国会二院制の意義が発揮されると信じます。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。
 なお、政府の答弁が不十分である場合は、再質問をさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 風間直樹

speaker_id: 23335

日付: 2009-05-27

院: 参議院

会議名: 本会議