木村仁の発言 (本会議)
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○木村仁君 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる海賊対処法案について、麻生総理大臣及び関係大臣に質問をいたします。
日本は海洋国家、貿易国家であり、貿易に係る物流の九九%を海上輸送に依存しています。したがって、海上輸送の安全を確保することは最重要の国家的関心事であります。そのような日本にとって、現在、ソマリア沖・アデン湾で頻発する海賊行為が新たな脅威となっています。
そこで、政府は、緊急の措置として、自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動を発令し、海上自衛隊の護衛艦二隻を現地に派遣をいたしました。幸い、派遣された海上自衛隊員及び海上保安官は、よく精励し、既に二十回を超える護衛を実施。三月三十日の活動開始以後、今日まで、二か月にわたって日本関係船舶の航海の安全を保持してまいりました。その間、五回にわたり不審船接近の情報を受け出動いたしましたが、武器等の使用に及ばず、指向性大音響発生装置等を使って不審船を遁走させたと報じられています。
そこでまず、総理大臣にお尋ねいたしますが、総理はこれまでの警備活動をどう評価されているでありましょうか。
なお、防衛大臣は、P3C哨戒機二機及び海自、陸自の要員百五十名を派遣し、六月から活動させることと決定されましたが、その必要性及び期待される効果について説明をお願いいたします。
ところで、海上警備行動は武器の使用に関して厳しい制約があります。また、護衛の対象が日本関係船舶に限定されているという制約もあり、国際的な海域で海賊行為に対処する行動としては不十分ではないかと考えられます。
そこで、政府としては、取りあえず海上警備行動を下命するとともに、一方では、海賊対処法案を国会に提出して、海賊への対処の法制度を整備することと考えられたと存じます。それだけに本法律の成立が急がれますが、政府としては、新法施行後は直ちに海上警備行動を海賊対処行動に切り替え、引き続き海上自衛隊の活動を展開されるものと存じますが、総理の御方針を伺います。
海賊対処法案は、海賊行為を定義し、海賊の罪を定め、海賊行為への対処は海上保安庁が行うことを原則としつつ、自衛隊の海賊対処行動の制度を導入しました。停船射撃、護衛対象船舶の拡大等について規定しています。
まず、武器使用と停船射撃について伺います。
現行の海上警備行動において、武器の使用の結果として人に危害を及ぼすことが許容されるのは正当防衛と緊急避難のみでありますが、本法では新たに停船射撃が認められることになっています。停船射撃は、海賊が民間船に著しく接近し制止に従わない場合に、最終的な手段として海賊への武器使用を認めるものであります。
ソマリアの海賊がロケットランチャーやマシンガンなどの近代兵器で攻撃してくることを思えば、任務を完遂する上でも、自衛隊員自身の安全を守る上でも必要な制度であると理解をいたします。しかし、武器使用の拡大を憂慮する向きも多いと存じますので、国民に分かりやすく停船射撃の定義を説明いただくとともに、どのような部隊行動基準、ROEを定められるのか、御方針を示していただきたいと存じます。
次に、護衛の対象となる船舶の範囲の拡大について伺います。
海上警備行動では、警護の対象となるのはいわゆる日本関係船舶のみでありました。つまり、日本籍の船、若しくは日本人が乗っている外国の船、又は日本の海運業者が運航しているか、我が国の積荷を運んでいる外国籍船で、重要な船舶に限定されていたのであります。
これでは、国連海洋法条約や累次の国連決議が求める海賊抑止の国際協力ができないだけでなく、日本関係船舶の警護にも悪影響が及びかねません。例えば、これまでに護衛艦が遭遇した不審船に関する対処事例は、すべてが護衛対象外の船舶に小型船舶や不審な船舶が近づいてきたという情報に基づくものでありました。その場合、海上自衛隊は、対処の是非及び対処の方法等について難しい判断を強いられたのであります。
法成立後は、積極的な国際貢献ができることになります。ただ心配なのは、日本の護衛艦が警護すべき船が多くなり過ぎて日本関係船舶への効果的な護衛ができなくなるなど、困難な事態が予想されます。対応ぶりについて伺いたいと存じます。
衆議院におきましては、ソマリア沖に派遣されるのは海上保安庁であるべきではないか、本立法は元々海上自衛隊派遣ありきの法案ではないかとの指摘がありました。
本法案においても、海賊に対処するのは一義的には海上保安庁であります。その上で、海賊行為に対処するための特別の必要がある場合に限って自衛隊に海賊対処行動が下命されることとされています。この関係は、現行自衛隊法の海上警備行動でも全く同じであります。そこで、ソマリアの海賊に対処するために海上自衛隊を派遣しなければならない特別の必要とは何かということについて、具体的にお示しいただきたいと思います。
海上保安庁の現在の体制では十分な海賊対応ができないことは理解をいたしますが、海賊に対応するのは第一義的には海上保安庁であるという制度を取る以上は、将来にわたっては海上保安庁の装備、人員、予算、訓練等を格段に強化し、対処能力を高めておく必要があると存じますが、政府の方針をお尋ねいたします。
国連海洋法条約は、すべての国が海賊行為の抑止のために協力すべきものと規定しています。また、累次の国連決議でも海賊撲滅のための国際協力が求められております。
かつてマラッカ海峡で海賊がばっこしたときには、日本政府がリーダーシップを取ってアジア海賊対策地域協力協定、ReCAAPをつくり、海上取締り能力の向上に関する支援等を展開した実績があります。
ソマリアについても、国際海事機関、IMOが主催したソマリア周辺海域海賊対策地域会合、いわゆるジブチ会合に日本代表がオブザーバーとして参加し、その後、ソマリアに対する治安・人道支援及びIMOへの拠出金として総額三十六億円を拠出することを約束いたしました。
今後、日本として、ソマリア沖の海賊問題について、治安・人道支援を含め、いかなる国際貢献をする方針であるのか、お聞かせいただきたいと思います。
ちなみに、IMOで海賊問題をリードするのは日本人の海上安全部長であり、今後の活躍が期待される方でありますが、日本との連携について特別の期待を寄せておられると承知しております。
海賊退治はイタチごっこのようなものだと言う人がいます。しかしながら、いつまでもイタチごっこを続けていたのでは、日本の生命線である海上輸送の安全を確立することができません。日本は強い決意で国際的努力に参加し、海賊撲滅を果たすべきであると考えますが、総理の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕