植松恵美子の発言 (本会議)

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○植松恵美子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の植松恵美子でございます。
 会派を代表して、ただいま提案のありました特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案について、関係大臣に質問させていただきます。
 二〇〇二年に改正道路運送法が施行され、タクシー行政は大きく変わりました。需給調整規制が廃止されるなど規制緩和が行われた結果、待ち時間の短縮、多様なサービスの導入などにおいて一定の効果が現れたとの指摘も一部に存在しております。
 しかし、その実態は、最近の景気の急速な悪化や地方都市の衰退等の影響もあり、多くの地域ではタクシー車両が絶対的かつ相対的に増加し、タクシー会社の経営及びタクシー運行の環境が大変厳しい状況に置かれるなど、むしろマイナスの作用ばかりが目立ち、重大な社会問題を引き起こしていると言わざるを得ません。
 長期的なタクシーの需要減少傾向の中、タクシー車両の急増と相まって過当競争はますます激化しておりますが、その影響により、タクシー運転者の労働条件の劣悪化は目を覆うばかりの状況に陥っています。
 その賃金水準が全産業男性労働者と比較して六割程度の状況にあることから、運転時間の長期化を余儀なくされるなど労働条件の著しい悪化が生じており、その結果として、客を奪い合う競争や余裕のない運転により交通事故の増加を招き、タクシー利用者の安全性や利便性が大きく損なわれています。
 民主党は、衆議院での修正前の政府提出原案に対しても一定の評価はしていましたが、タクシー事業者や労働者だけでなく、利用者もタクシー行政の規制緩和によって負の連鎖に巻き込まれているということを率直に認識すべきであります。これは市場の失敗と言って済まされるものではありません。まさに国の政策の重大な失敗であったと改めて総括し、これまでの反省に立った上で今後のタクシー行政に当たるべきであると考えますが、この点について国土交通大臣の答弁を求めます。
 また、タクシー問題はセーフティーネットの構築なき無原則な規制緩和による格差拡大、雇用崩壊の象徴でもありますが、厚生労働大臣は、規制緩和によるタクシー運転手の賃金水準の悪化の状況や、社会保険未加入の問題、最低賃金法の違反率が急増している問題、通達で禁止されながら野放しにされている累進歩合等に基づく給与制度の問題等について現状をどのように認識しているか、またその上でどのような対策を講じていくつもりなのか、厚生労働大臣の答弁を求めます。
 民主党は、国土交通部門の中にタクシー関連法案等検討小委員会を設置し、関係者からのヒアリングを含め精力的に議論を積み重ね、今年の一月にはタクシー改革ビジョンを取りまとめました。その中で、基本的な考え方を以下の四点に集約しました。第一に、タクシーは公共交通機関であること、第二に、タクシー行政の地方分権を行うこと、第三に、利用促進と需要拡大に向け、業界と関係行政に努力を求め、悪徳事業者排除及び供給調整のための実効ある仕組みを構築すること、第四に、安全に配慮した適正な運賃を原則とすることです。
 民主党が目指す改革は、供給過剰を是正し、需要拡大を図り、健全なタクシー市場を確立する展望に基づいています。利用者、事業者、運転者共に利益を得られるよう、これまでの負の連鎖を断ち切り、プラスのサイクルをつくり出していきたいと考えています。
 この視点に立って、民主党を含む四会派共同で、衆議院に道路運送法の一部を改正する法律案、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案を提出いたしました。
 まず、前者の道路運送法の一部を改正する法律案は、タクシー事業の公正な競争を確保するため、事業参入時の許可基準や運賃、料金の認可基準等を改正するものであり、二つ目の法案は、特定地域におけるタクシー事業の適正化及び活性化を推進するため、政府提出案について修正を加えるものです。
 衆議院段階では、野党案を全面的に取り入れる形で大幅な修正が実現しました。ここまで政府・与党が野党案を取り入れて修正を行うことは希有であり、我が党が掲げる友愛精神をまさに体現した与野党協議のたまものであり、修正協議に当たられたすべての御関係者の皆様に心より敬意と感謝を表するものであります。
 その上で、より実効性のあるタクシー政策の実現に向け、不十分な点やあいまいになっている点について幾つかお尋ねしてまいります。
 当初の政府提出案は、特定地域だけでの需給調整等に資するものにすぎず、それだけで抜本的な解決になり得るかどうか疑問が残っておりました。昨今のタクシー問題の根源は二〇〇二年の改正道路運送法施行による供給過剰にあり、民主党は、同法改正なしに日本全国に共通するタクシー問題の解決はできないと考えてきました。我々の問題意識を明らかにするために、ここで野党四会派で衆議院において提出した道路運送法改正案についての民主党の考え方を述べながら、質問させていただきます。
 まず、目的にタクシー事業の公正な競争を確保すべきことを追加し、需給状況に応じて新規参入や増車計画をコントロールできるように法律の性格自体を見直すべきと考えておりました。また、全国的な供給過剰状況を踏まえ、特定地域に限らず、新規参入を許可する際に需給状況も勘案するように許可要件に追加するものでありました。同時に、増車計画についても現行の届出制を改め、需給状況に関する要件も含んだ認可制に改めるものでありました。
 以上の提案にこたえる形で、参入許可基準の見直しや増車等の認可制への変更などを含め、タクシー事業にかかわる道路運送法に基づく制度の在り方について今後検討していくことを内容とする条項が衆議院修正で盛り込まれましたが、政府としてはどのような手順と基本方針で取り組むのか、国土交通大臣より明快な答弁を求めます。
 また、当初の政府提出案の欠陥の一つは、運賃制度の問題点に全くこたえていないところでした。民主党は、総括原価方式を維持しつつ適正な人件費が運賃に反映される仕組みとする観点から、安全に配慮した適正な運賃を担保できる制度に改革すべきであると主張してきました。
 現行の道路運送法では、運賃及び料金は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることと規定されており、ゾーン運賃制により運用されておりますが、下限割れ運賃の問題が頻発しています。そこで、この規定を見直し、地域ごとに安全を確保するため、適正な運賃を定めることができる制度とすべく、適正な原価に適正な利潤を加えたものであることとの規定に変更すべきであるとしてきました。
 衆議院の修正案ではこの趣旨を生かし、附則で道路運送法の改正が行われておりますが、私たちが意図してきたこの新たな運賃制度をどのように運用していかれるのか、国土交通大臣のお考えをお聞かせください。
 これらに加えて、事故報告についての規定の厳正化を図ることや、タクシー運転者の拘束時間や休息期間等を定める自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について、行政による事後チェックの更なる強化に取り組むとともに、違反への罰則付与など、厳格な対処を可能とする改善基準の法定化に向けた検討を行うことが必要であると考えておりますが、これらの点について、どのように取り組んでいくか、国土交通大臣及び厚生労働大臣の明快なる答弁を求めます。
 次に、特定地域の指定にかかわる衆議院の修正内容について確認いたします。
 まず、地域における公共交通の健全な発達に寄与することを法律の目的に追加したほか、タクシー行政の地方分権を進める見地から、特定地域の指定について知事や市町村長が国土交通大臣に要請できることや、協議会が作る地域計画について都市計画などとの調和を図るべきことなどを定めた修正が実現しましたが、これらを名ばかりのものとせず、実効性のある項目として生かさなくてはなりません。そのため具体的にどのように取り組んでいくのか、国土交通大臣の答弁を求めます。
 また、関連として、地域公共交通におけるタクシーの役割及び位置付けと、タクシー行政に関する地方分権の推進についての総務大臣のお考えをお聞かせください。
 さらに、地域計画に定められた事業の推進を図るために、国が融通又はあっせんその他の援助に努めるものとすることが条文に追加されました。これにより、事業者が利用者のために良質なサービスを展開し、需要拡大を図るための努力を国が後押しすることが期待されますが、政府系金融機関や信用保証制度の活用も含めて、この修正の趣旨をどう実現していくのか、国土交通大臣の明快なる御所見をいただきたいと思います。
 政府提出原案については、法律の運用についてもいまだ不明瞭な点が多々あります。特定地域の指定要件とその前提となる供給過剰などの定義をどう規定するのか、事業譲渡、合併、減車など事業再構築へのインセンティブ策をどう講じるのか、協議会運営のガイドラインをどう定めるのか等々について、国土交通省はもう少し丁寧に説明していく責任があると思われます。こうした点について、今のうちからできるだけ詳細を明らかにしていただきたいと思いますが、国土交通大臣の答弁を求めます。
 最後に、タクシー業界の需要喚起やそこに働く皆様のやりがいの創出という観点から、私の地元香川県における取組も御紹介しながら質問していきます。
 二〇〇八年十月に観光庁が発足し、ビジット・ジャパンの事業も推進されていますが、観光立国を推進する上で、各地域のタクシー事業者はその重要な担い手としての役割が期待されます。
 私の地元香川県では、うどんタクシーと称して県内のうどん店数軒を巡る観光タクシーが走っております。全国津々浦々で同様のサービスが展開されているものと思いますが、こうした観光タクシーの存在やサービス内容を国内のみならず海外からの観光客に向けて情報発信していくような支援も重要でないかと思います。そうした支援に今後どのように取り組んでいくか、国土交通大臣よりお聞かせください。
 また、香川県内のあるタクシー会社を発祥とするタクシーサービスとして子育てタクシーがあります。急な残業で迎えに行けなくなったときに御両親の代わりにお子さんを保育園に迎えに行ったり等、子育て世帯にとっては有り難いサービスを展開しています。現在、子育て支援についての活動を展開中のNPOの方を始め多くの関係者の方々の協力を得る中、全国子育てタクシー協会が中心となって各都道府県への普及に取り組んでいます。こうした事業の意義をどのように評価しているか、また、その普及拡大に政府としてどのように支援していくおつもりか、国土交通大臣、厚生労働大臣にお伺いします。
 働きがいがあり、夢と希望の持てるタクシー産業の実現に向け、政府また立法府を挙げて、今後とも真剣な議論をし、具体的な政策を実行していただけるようお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣金子一義君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117115254X02920090612_005

発言者: 植松恵美子

speaker_id: 18735

日付: 2009-06-12

院: 参議院

会議名: 本会議