原科幸彦の発言 (環境委員会)

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○原科参考人 東京工業大学の原科でございます。
 私は、実は四月の八日に開かれました参議院の環境委員会における参考人質疑でもお話しいたしましたので、その後の様子もずっとウオッチしてまいりまして、その場では、皆さん、アセスが本来どうあるかということをかなり御理解いただいたように思います。
 ということで、この改正案、私もかなりいい方向に行ったと思いますが、ただ、抜本的な改正まで行かなかったのはちょっと残念なんですね。そういうようなことをお話しして、もう少しこれを直していただきたいと思いまして、申し上げました。ただ、ここまで来ましたので、この段階で大きく直せませんので、できるだけ早い段階で見直しをお願いしたい。この趣旨は、実績が後で集まってからではなくて、本来あるものはどうかという理念的な議論をもう少し加えていただいて、まさに国会でございますから。そういうふうなことで、三年以内には見直しの議論をしていただきたいと申し上げました。
 そんなことがございまして、そういうことを御理解いただいたようでございまして、環境委員会では修正が通りまして、環境委員会で通ったので本会議でもそういくことを期待しておったんですが、本会議ではそういったことをまだ十分御理解いただけなかったのが残念でございまして、政府原案に戻りました。私は、政府原案自体は基本的には今のものに比べ本当によくなったと思いますから、それは評価しておりますけれども、ただ、環境アセスメントの基本理念のところがまだ十分でないということがございます。
 この件に関しまして申し上げますと、先ほど、最初に浅野参考人がおっしゃったとおりでございまして、環境基本法二十条の規定からいって、この範囲で考えなきゃいけないというのはそういうことなんですが、私は、その範囲で考えた場合に、まだ欠けているという点を申し上げたいと思います。
 浅野先生の資料、環境基本法二十条、この部分、ちょっともう一回申し上げますと、「事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、」云々という規定でございます。「あらかじめその事業に係る環境への影響について」となっております。
 ところが、現行法の規定は、第一条に「目的」がございますけれども、私の資料を見ていただきたいんですが、下の方、四番目の「持続可能な社会を作るものへ」というところでございます。第一条は現在、これに相当する部分は、「規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業に」、規模が大きくという部分と、それから環境影響の程度が著しいものとなる、この二つを追加しているんですね。
 基本法二十条は、これはついていないんですよ。ですから、この点では、基本法二十条に沿うのであれば、環境影響のおそれのある事業にと目的自体を書き直さないと基本法に沿わないでしょう。ですから、そういう意味で抜本的な改正になっていないのが残念なんです。
 私も総合研究会のメンバーでした。浅野先生の見事なチェアマンぶりで、議論はかなりできました。ただ、二年間、十回だけでした。やはり回数が少ないですね。ということで深い議論まで至らなかったのは残念でございますので、そういった機会をぜひ与えていただきたいと思います。
 同じ二年間、私、たまたま国際協力機構、JICAの、環境社会配慮ガイドラインの改定をするということで座長を務めまして、この二年間で何と三十三回議論しております。一回三時間から四時間かけています。総合研究会の時間は二時間ぐらいですから、総合研究会の回数にするともう五十回ぐらいやっているんですね。それだけやったから、JICAのガイドラインは大変高く評価されておりまして、私は国際学会の理事・会長職を四月まで務めておりましたが、その場でも世界銀行のスタッフがJICAのガイドラインはすばらしいと、国際的にも高く評価されております。それだけの時間をかけたからです。
 ですから、時間はやはり必要でございますので、ぜひとも基本理念をもう一回しっかり見直していただきたい。基本法二十条に沿った形で、規模が大きいとか、環境影響の程度が著しいものとなる、こういうようなことを外していただきたいです。
 これは、前政権のもとのお考えでやられたのでそのような制約が残ったのでございますけれども、私は、新政権に大変期待しまして、民主党ならこれはやるだろうと思ったんですが、そこまでやっていただかなかったですね。これは、ある意味ではやむを得ないんです。つまり、総合研究会は前政権のもとですから、そういう制約がありますから、浅野先生がおっしゃったとおりで、そういったことを踏まえてつくったものですから、この時間の範囲内ではやむを得ないんです。しかし、新政権になった以上は、ポリシーを変換していただいて、そして環境基本法二十条に沿った形に、新政権らしい、民主党らしいものにしていただきたいと思います。
 私は、民主党にそういうことを期待していたんですが、今回は残念ながら。それはつまり前政権の研究会の成果がベースだからそうなったのでございましょう。ということで、そんなことをぜひお願いしたい、まずそれを申し上げます。
 そこで、環境アセスメントはどんなものであるべきかということに関しましては、実は放送大学で環境アセスメントという授業を十五年間担当してまいりました。テレビ放送です。昨年まで十五回、三つのシリーズをやりましたけれども、そのためのテキストを書きまして、これはちょっと回覧いたします。ぜひこれを読んでいただきたいんですけれども、番組も見ていただくと中身がよくわかります。その中に、アセスメントはどんなものか書いてあります。ポイントは、環境アセスメントは持続可能な社会をつくるための基本的手段なんです。そういうふうな位置づけでぜひお願いしたいと思います。
 民主党はそういうことが基本コンセプトだと私は考えていますので、だから今の改正案はまだ不十分だと。ただ、この段階でやるのは難しいですから、数年以内に改めて基本理念に立脚した議論をしていただきたいということで、附則にそういったことをつけていただくと大変ありがたいと思います。
 現在の改正案に対して、そういう制約の中で考えた場合に、かなりの程度の前進があるというのは私も同じ考えでございまして、この資料の頭のところに「改善された主要な点」が七項目書いてございます。これは、浅野参考人が御説明になったとおりでございまして、全く同じように考えております。
 それから、「残された問題点」も、浅野参考人が御説明になったとおりでございまして、つまり、我々はまだ議論が必要だったんですね。ただ、時間の制約上、そこまではちょっと答えが出せなかった、そういうふうな状況でございます。
 これをめくっていただきますと、「環境アセスメントの本質は…」と書いてあります。これは少し前になりますけれども、私のことを紹介してくれた記事で、「意思決定過程の透明化」と書いてあります。これは、まさに意思決定を支援する、サブシステムとおっしゃったとおりということで、そのためにどうしたらいいかなんです。日本は環境研究の成果はかなり出ている、しかし、それを実践できない、残念ながら社会がおくれているといったようなことを最初に書いています。それが政権交代によって社会の様子が少しよくなるだろうと期待しておりましたので、そんなことでいいますと、その期待にぜひこたえていただきたいと思います。
 環境影響評価法ができ上がるのに二十五年かかりました。四半世紀かかったんです。英語で言うとア・クオーター・センチュリーですね。そんなにかかって、できたときは、OECDのメンバーカントリー二十九カ国の中で二十九番目ですから、我々としては大変恥ずかしい思いをしております。
 その意味では、ようやく法律ができたときは一種の妥協もあってつくったので不十分であった、それで今回改正しました。ただ、それも政権交代前の仕組みの中でやったので、まだ十分でないと思うのです。ですから、それをぜひ改善をお願いしたい。
 それから、SEAに関しまして、これもまた浅野参考人と同じでございます。浅野先生はこの法律の分野の大権威でございますから、よくおわかりで、全くおっしゃるとおりでございまして、SEAに関しましては、第十九条の方で基本的には対応するものだと思います。十九条というのは基本法ですね。基本法二十条で対応するもので考えるならば、「事業の実施に当たり」ですから、今のように、位置、規模等の検討段階までが、さかのぼってもせいぜいだと思います。ですから、そこまでは頑張っていただきますけれども、その上は十九条だと思います。情報公開ということがベースでございます。
 環境の政策手段は大きく三つのグループに分けられますけれども、一つは法規制ですね。二つ目、三つ目は、これは誘導するものですが、経済的手段、三つ目が情報提供手段と私は整理しておりますけれども、環境アセスメントはまさにこの情報的手段でございまして、情報公開をベースに進めてまいります。これがポイントなんです。
 次をあけていただきますと、朝日新聞での報道です。これはことしのものでございます。「環境エコロジー」という欄に、三月、この法案審議に入る直前でございます。「環境アセス法 抜本見直しへ」と期待を込めた見出しでございますが、残念ながら、今申し上げたことでは抜本とは言えないんですが、改善はありました。下に、「「簡易型」米など先行」と書いています。
 つまり、私は、規模が大きいものだけに限ってやるという考え方はもう古いと。世界はそんなことはありません。規模が小さくても対象にします。規模だけで決めるのは合理性がないんですよ。科学性がないですね。規模が大きくても影響が少ないものはあります。逆に、規模が小さくても影響の大きいものはあるでしょう。これは簡単に思いつきますね。ということで、規模だけで決めるのはおかしいでしょう。
 科学の方法はどうするか。まず試してみるんですよ。余りお金も時間もかけないで、簡単な方法、簡易アセスメントを試してみるんです。そして、どうもこれは影響が大きそうだと思ったときに詳しく調べるんです。今の仕組みは、まず規模で区切りまして、最初から時間もお金もかけてやるから大変なんです。だから、アセスメントのイメージはよくないですね。時間が一年も二年もかかる、何億円もかかってしまう、大きな事業は大体問題が起こりやすいですからたくさん意見が出てややこしい、こうなるわけです。そうなると、アセスメントはどうもイメージがよくなくなる。
 ところが、本来は、国が行う事業、国が行う意思決定、こういったものに関しては、まず影響があるかを簡単にチェックしましょう。持続可能な社会であればそうですね、いろいろなことが意思決定されるわけですから。その上で、どうもこれは怪しそうだという場合には詳しく調べる。こういう二段構成です。
 例えば、辺野古の問題を考えてください。辺野古は、本当に首相があの場所を変えるのであれば、当然、アセスメントをやらなきゃいけないでしょう。そうすると、今の仕組みだと二年ぐらいかかっちゃうんですよ。五月いっぱい、きょうまでですね。もともと不可能なんです。だから、首相に、アセスメントは今はこんなものですということを御進講申し上げたい感じです。
 ところが、私が申し上げる方法だと、簡単なチェックをやりますから、これは私の大学でもう実践しましたけれども、三カ月、四カ月で終わってしまいます。だから、ほかの立地点を、明らかに影響がないと思われるところを選べば、三、四カ月のアセスメントで答えが出てしまうんですよ。これは本当に実現可能性があります。今のアセスは仕組みが悪いからこうなってしまうんです。
 ですから、この基本法は基本理念をぜひ考え直していただきたいと思います。科学というのはそういうものです。
 たまたま岩波の「科学」に、私は頼まれて書きました。これがきのう届きました。何かきょうのためにつくっているみたいな感じです。これは回覧しますけれども、そのコピーを用意しましたので、ちょっとごらんください。その次のページです。これは六百二ページに出ておりますね。「環境アセスメントを持続可能な社会づくりの手段に」と書きました。これが私のメッセージです。つまり、そういうものに本当はなるはずなんですよ。
 環境アセスメントの国際学会、IAIA、インターナショナル・アソシエーション・フォー・インパクト・アセスメントといいますけれども、この学会はとても大きな学会で、国連で特別に認定された団体でございます。大変権威があります。百二十カ国以上のたくさんの国からメンバーが入っております。これはどういうことかといいますと、通常の理工系の学会は五十から六十ですから、その倍はありますよ。つまり、先進国だけではなくて途上国も、世界じゅうでやっているんですね。大変グローバルな、ユニバーサルなものであることがわかります。ということで、アセスメントがなぜ世界に広がったかといいますと、そういう考え方に大変合理性があって普遍性があるからということでございます。
 「環境影響評価法の見直し」と書きました。これはもうスキップしましょう。次に参ります。
 その次のページでございますが、改正案の審議のことを、ちょうど原稿を書いていたらそういうようなタイミングになったので書きました。次のページの左側、「改正案は、目的を記載した第一条には手をつけていない」、こういうことなので、私は、ここのところはやはりきちんと、何とか早い段階で直していただきたいと思います。
 環境アセスメントの理念とはどういうことか。これは、世界のアセスメントは、一九六九年、アメリカの国家環境政策法、ナショナル・エンバイロンメンタル・ポリシー・アクトといいます。ニーパと呼んでいますけれども、あるいはネパと言ったりもしますけれども、これがベースです。その中に持続可能な開発あるいは持続可能な発展という概念がはっきりと示されております。
 大事なのは目的なんですね。目的の記載をここに書いてありますが、「本法の目的は、人間と環境との間の生産的で快適な調和を助長する国家政策を宣言すること、環境と生物圏に対する損害を防止、または除去し、人間の健康と福祉を増進するための努力を促進すること、国家にとって重要な生態系と天然資源についての理解を深めること、そして、環境諮問委員会を設置することである」と書いてあります。
 環境諮問委員会は英語でカウンシル・オン・エンバイロンメンタル・クオリティーといいます。環境の質なんですね。これに対する諮問委員会ということでございます。
 その冒頭に、人間と環境との間の生産的、プロダクティブで、快適な、これはエンジョイアブルという言葉ですけれども、調和を助長する国家政策を宣言する、そういうポリシーをはっきり言っているんですね。そのための具体的な手段としてアセスメントがあるわけでございます。
 このNEPAには既に、現世代が将来世代のために努力するとはっきり書いています。これは、第百一条の(b)の責務内容の一番目の項目として、将来世代に対する現世代の責務という概念が示されておりまして、こういうことがアメリカで始まったんです。こういう概念が世界に広がっていきまして、アセスメントはアメリカが発明した最も有効な方法の一つだとよく言われますけれども、例えば世界銀行を通じて国際協力分野でも使われておりますし、そんなことで広がってまいりました。
 一九八七年の国連のブルントラント委員会のレポート、この中でサステーナブル・ディベロップメントという言葉が特に広がってまいりましたけれども、しかし、その概念自体はもうこのNEPAの中に入っているんですよ。ということは、アセスメントは本来、そのための手段だということがおわかりになると思います。詳しくは私の先ほどの本にも書いてございます。
 そこで、持続可能な社会をつくるためには、賢明な、合理的で公正な判断ですね。合理性のためには科学、サイエンスが必要です。私は理工学の専門ですから、これはもうそのとおりだと思います。ただ、我々は、科学だけではすべての答えは出ないとわかっています、ニュートンが言ったとおりでございます。ほんの一部しかわからないんです。だから、わからない部分をどうしたらいいか。何とか工夫して情報を集めるわけです。そこで人々のいろいろな知見が必要なんですね。ですから、デモクラティックな社会、民主制です。具体的には、参加と、そのための基礎としての情報公開でございます。そういうようなことでアセスメントの仕組みができております。
 これはあくまでも、事業をする主体の自主的な環境配慮を促進することなんです。そういう意味では、規制ではありませんから、自主的な環境配慮をするためには地域住民とかいろいろな専門家の声をしっかり聞かなきゃいけないでしょう。ですから、アセスメントはコミュニケーションということが大変重要でございます。言いかえれば、アセスメントはコミュニケーションと言っていいかもしれないです。
 それで、参加のプロセスというのを考えますと、参加にはいろいろなレベルがありまして、ここのページの右下に書きましたけれども、五段階モデルで申し上げますと、一番低い段階は情報提供。二番目は、それに答えて意見を聞くんですね、情報提供者に。三番目は答えていきます。従来のアセスメントは、形だけの応答に終わる場合が多かったんですね。しかし、アセスは本来の意味ある応答になっていきます。ちゃんと疑問に答えるんですね、意味ある応答。こういったことで、意味ある応答がキーコンセプトだと私は考えております。
 五番目の段階はパートナーシップでございますが、これは、事業をする主体と、それから他の主体とがイーブンということになりますから、これは常にそういう格好になりません。しかし、レベル四というのはかなり普遍性がありますので、そこはやらなきゃいけないと思います。
 そこで、次のページに書きました、図一がありますが、「アセスメントにおける「公共空間での議論」」と書きましたけれども、これは、そのプロセス、意思決定過程を透明化するという考え方で情報公開を進めてまいりますと、これは一種のハーバーマスの言う公共圏です。ただ、環境や地域が限定ですから、むしろ公共空間と言った方がいいですね。ハーバーマスは社会学者で、社会全体で考えます。でも、アセスメントは特定の地域ですから、公共空間でのオープンな議論をするという。これは文書をベースにして、方法書とか準備書とか評価書、そしてそれに対する意見は意見書ですね。そういうことで、意見の内容は公開されますから、公開なプロセスで意見のやりとり、一種の議論ができるわけです。だから、議論をしっかりやることが意味ある応答をすることになるということでございます。
 そこで、環境への影響ということを考えると、最初に規模などで切る、こういうようなことをやっているから十分な配慮ができないと申し上げました。簡単なアセスをやるという発想に切りかえますとどうなるか。これは、スクリーニングをしっかりと講じますね。つまり、数カ月で終わるような簡易アセスをやって、そして、そのことによってどうもこれは詳しく調べた方がいいと思う場合には詳細なアセスに移る、こうなってまいります。
 この方法は、NEPAの方法がそうでございますし、それだけではございませんで、実は、世界銀行を通じまして、国際協力分野で各国の制度がそうなっています。日本でも、実は国際的な場合はそうやっているんです。さっき申し上げたJICAのガイドラインはこの考え方です。特に大きな影響があると思われるものはAという分類に分けまして、若干影響があるかなというのはBです。Cはもう最初から明らかに影響がない、そういう分類をするんですよ。そのときは簡単なチェックをするんです。その上で詳細なやり方を決めます。そういう考え方は当たり前でしょう。それをやっております。ということで、そういうような考えをぜひお願いしたいと思います。
 そういうことになりますと、対象事業の拡大になりますけれども、この拡大は、今やっている形のアセスメントをばんと拡大するという意味ではありません。簡単なアセスメントをまずやりましょうということですね。現在、大変に詳細なアセスしかやらないので、というのは、大変大規模なものしか対象にしていないので、日本のアセスは大変少ないんですね。
 ちょっとめくっていただいて、次のところに「スコーピングと代替案」と書いてあるのがございます。これは方法書段階について書いたものでありますが、お読みいただくことにして、ちょっとスキップします。
 次に、英語でニューズレターとありますね。バリエーション・オブ・エコシステム・サービス・アンド・SEAとSEAのことが書いてありますが、これは生態系保全が大変重要だということ、これも最初に浅野参考人がおっしゃったとおりで、こういったことを我々の学会で議論しております。
 裏側に、エシックス・アズ・ア・プロフェッショナル、専門家としての倫理の問題が書いてあります。私が会長のときにたまたま、コード・オブ・コンダクト、あるいはコード・オブ・エシックスといいますけれども、年次総会におきまして、その下に書いてあるIAIAコード・オブ・エシックス、これを採択しました。アセスメントをやる専門家はやはり倫理観をしっかり持って、専門家として揺るぎない形で意見あるいは情報を提供していくんだというようなことでございます。
 その次のところ、実は、このIAIAの大会、昨年はアフリカ・ガーナのアクラで開催しまして、そのとき、中国政府の方から、私、会長からインビテーションレターが欲しいと来ました。それは、そういう正式のレターが来れば我々は派遣できると。そのときは、政府高官、担当局長の方は通訳をつけてこられて、何と三十数名、大代表団です。
 その高官が、私が開いた特別のフォーラムで、世銀のメンバーみんないる前で、中国はアセスメントを年間三万件やっていると言うんです。日本のアセスは二十件ですからね。自治体のアセス五十件を足して七十でしょう。三万件ですよ。では、アメリカはどうか。NEPA、連邦政府のもとの制度で、三万件から五万件やっております。アメリカは州の制度がほかにあり、これが三万件ぐらいあります。両方足すと六万から八万でしょう。まるで違うでしょう。
 このことには極めて大きな意味があるんですね。「日中文化交流」、これに書いてあるのは「中国の環境アセスメント」です。私は問題がいろいろあることはわかっていますけれども、しかし三万件やるというのは大したもので、それはいろいろな影響があります。
 例えば、人々がみんな環境情報に接する機会がふえますから、環境問題の意識が高まるでしょう。アセスメントの手続がわかるでしょう。そうすると、手続自体が結構スムーズにいくようになりますね。日本はどうですか。国と地方合わせても七十件ですから、一生に一遍アセスの機会に会うか会わないかですよ。みんな素人です。ところが、年間数万件やったらどうなりますか。一生に何度も接するでしょう。そうすると、手続もスムーズにいくし、それから、何といっても環境情報に対するみんなの意識が広まりますね。事業をする主体もそうです。アセスメントをやるのは持続可能な社会をつくるためのお作法だとなりますから、簡単に広まり得るんですよ。そういうことで、非常に社会が、まさに環境に配慮するマインドができるんです。人々のマインド、これをハートウエアと私は呼んでいますけれども、ハートウエアができますと、本当に持続可能な社会になるんですよ。
 民主党であったらそのぐらいのことをやってくれないと、我々の期待がここで崩れてしまいますから。ですが今すぐにこの法律を変えていただくことは日程的に無理なので、ぜひ早い段階で見直しの機会をつくっていただきたい、そういうことを申し上げているんですね。
 この「日中文化交流」の次のところ、最後に、では隗より始めよです。そんなアセスができるのかということを言われますので、実は、私の大学でこれをやりました。私は研究科長をやっておりますので責任もありますので、言うだけでやらないというのは恥ずかしいことですからやりました。自主ミニアセスメントです。ごらんのように、二月にスタートして、四月の末に審査会が終わって、五月、これもたまたまちょうどきょうなんですけれども、この結果をホームページで全部、評価書を掲載します、電子化します。東京工大ですから当たり前だと思われるかもしれませんが、そういうのをやってまいります。
 最後に、ここに写真がありますけれども、これは二十階建てのビル、しかも既存のものに隣接して増設するだけです。ですから、これは日本の今の仕組みではアセス対象になりませんけれども、自主的にミニアセスをやりました。費用は数百万です。事業予算が四十億円ぐらいかかりますから、〇・一%ぐらいですよ。その程度でできるのが簡易アセスなんです。だから、何ら負担感はないと思いますね。ということで、ぜひこういう仕組みに変えていただきたいと思います。私のお願いでございます。
 最後に、一枚つけましたけれども、これは私の本からです。ぜひこの前後を読んでいただきたいんですが、このフローチャートはアメリカのNEPAの制度です。簡易アセスをやって詳細なアセスに行くプロセスはどうなるかを書いてあります。
 これは、ちょっとごらんいただくと、右の方の図の左上に「提案行為の決定」「除外リストの対象か」と書いてあります。つまり、明らかに影響がないものはまずリストから外すんですね。それ以外について、EA、簡単なアセスメントをやります。この簡単なアセスメントの数が年間三万件から五万件なんですね。そしてチェックするんです。公衆、パブリックの意見を当然聞きますね。そしてフィードバックします。その結果、詳細なアセスに至るものは何件か。年間大体二百件から二百五十件です。だから、三万から五万というと四万が平均ですから、二百分の一、わずか〇・五%です。だから、大部分は簡単なアセスで終わっちゃうんですよ。
 辺野古の問題も、本当にだれが見ても影響ないところだったら、簡単なチェックをやれば、代替地はアセスのプロセスはそんなに時間はかからないです。ただ、今の仕組みではかかります。だからこそ、仕組みを変えていただきたいです。
 明らかに影響がないものにただ規模が大きいだけで時間やお金をかけるのは全く合理性がありません。逆に、規模が小さいからといって影響があるものを見過ごすのは大変に残念なことです。例えば、経済規模は日本はアメリカの半分ぐらいですから、アメリカで二百件から二百五十件、詳細なアセスをやっているということは、日本でいうと百から百二十でしょう。ということは、今たった二十件ということは、百件ほどは見逃している可能性があるでしょう。これはとても大きな問題ですよね。そういうことがなくなるんです。アセス逃れがなくなるんです。
 最後に、もう一言だけ申し上げます。
 このことは、これも民主党の政策ですね、コンクリートから人へとおっしゃっているでしょう。アセスを広げるとどうなりますか。無駄な公共事業が減りますね。そして、アセスの方は産業クリエーションですよ。例えば、三万件やりますと、一件一千万弱でできたらどうですか。三千億円の市場です。今はどうですか。一件五億とかかかりますね。たった二十件で百億円ですよ。全く違ってくるでしょう。だから、アセスは新しいグリーン産業をつくるんです。実際、アメリカはそうです、各国もそうなんですよ。だから、産業の面で大変おくれていまして、情けないことです。しかも、そうやってアセスの数がふえますと、アセスの技術が高まりますね。国際競争力も高まりますよというふうなこととか、それから人材も育ちますね。ということで、アセスをたくさん行うということは大変に効果があります。
 最後に申し上げますが、ワインの名産地は、質が高いだけではなくて量も多いですね。ボルドーを見てください。あの地域一帯はすごいたくさんの生産量があって、その中で質の高いものができます。同じことで、アセスメントもたくさんやっていけば、本当に質の高いアセスメントができて、それこそ日本型モデルといいますか、世界に示すことができると思いますので、ぜひそのような検討をお願いしたいということを申し上げます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 117404006X01420100528_009

発言者: 原科幸彦

speaker_id: 9795

日付: 2010-05-28

院: 衆議院

会議名: 環境委員会