西郷泰之の発言 (少子高齢化・共生社会に関する調査会)
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○参考人(西郷泰之君) 座ったままで失礼します。(資料映写)
私は、勤めは大正大学というところに勤めておりますが、今日はNPOの代表という立場でお邪魔をさせていただいております。二十分の間に、二つの団体の活動を通して、今後国として取り組んでいただきたいことについてもお願い、御提案をしていきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
まず一つ目ですが、ホームスタートということについて説明をさせていただきたいと思います。
この投影されている皆様から向かって左側が私の画面ということになりますが、このホームスタートについては、タイトルにも書かせていただきましたが、「待つ支援から届ける支援へ」という、支援の形態が大きく変わってくる活動であります。
現在、国も養育支援訪問事業とか乳児家庭全戸訪問事業とかなどでかなり訪問型の支援に力を入れていらっしゃいまして、それについては、とりわけ欧州、ヨーロッパの方に比べますと日本はかなり後れているわけではありますが、ただ、かなり力を入れて取り組んでいらっしゃるというところについてはとても歓迎したいなと思っております。それをより進めるというための活動がホームスタートということになります。
そしてもう一つが、市民参加、虐待防止についての市民参加が可能であるということです。虐待防止は、ややもしますと専門家たちによってでしか支援ができない、防止ができないということのイメージが強いようですが、専門家だけではなくて一般の住民も参加をすることで住民の意識を高めていって、虐待の予防、防止に役立っていくということもありますので、そういった視点からホームスタートは新しい活動ではないかということで話をさせていただこうと思います。
ホームスタートについて話をさせていただく前に、地域子育て支援拠点とか子育てサロンとか、従来ですと地域子育て支援センターとか、親御さんたちがたまって友達になったりとか話をしたりとか子供同士を遊ばせたりとかというところがあります。
そういうところを運営をしている社会福祉法人とかNPOの方たちが同じく口をそろえておっしゃるのが、こういうところに来ている親御さんないしは子供たちはいいと。保育所とか幼稚園とか、そういう地域子育て支援拠点に来ている親御さんたちはいいと。ですが、来ていない人たちに対しては私たちはとても心配であると。そして、以前来ていたけれども現在来なくなってしまったという方たちについてもとても心配だという話があります。
そういう拠点に来れない人たちないしは来ない方たちに対して支援ができる方法だということで意味があるのではないかということです。
ちょっと画面を見ながら説明をさせていただきたいと思います。
「はじめに」ということで、「ホームスタートとは」ということですが、ホームスタートは、やることは至って簡単であります。この三点だけやるということです。
一つ、子育て経験者が、二つ目、定期的に乳幼児がいる家庭を訪問し、定期的というのは週一回二時間程度というのが一般的です。そして、やることは傾聴です。傾聴といっても、家庭にいて、お子さんもいてお母さんもいて、話ばっかり聞いているというわけにはいきません。当然、家事、育児、買物、散歩、公園での遊びなどに付き合いながら傾聴するという活動です。
たったこれだけであれば何の画期的な点もないだろうということになるわけですが、私が考えているのは、一つは制度面との関係で、こういったところが画期的ではないかというふうに思っています。
まず一つは、地域子育て支援拠点事業というのがありますが、この地域子育て支援拠点事業というのは、先ほども申し上げましたように、出てこれる親たちについては極めて有効で、とても人気もあることから現在全国で七千を超える設置がされているわけですが、そういうところに出てこれない親たち、来ない親たちがいるわけです。
ちなみに、私は埼玉県の児童福祉審議会の委員長、会長をやっておりまして、埼玉県がこういった地域子育て支援拠点に来る乳幼児の親たちはどのぐらいの割合がいるのか調査をしたところ、正式な数字ははっきり覚えておりませんが、大体七%です。残りの九三%は地域子育て支援拠点を利用していない親たちということになります。九三%みんなが心配な親たちということでは決してありませんが、でもその中に心配な親たちが当然含まれているのではないかというのは容易に推測がされると思います。
二つ目、虐待予防については、この育児支援家庭訪問事業、現在は法律が変わって養育支援訪問事業という名前になっておりますが、こういう子育て困難家庭に対して支援をする厚生労働省所轄の事業があります。これは極めて有効な事業ではありますが、ただし、子育て困難家庭にならないとこの事業は活用できないんです。
つまり、平たい言葉で申し上げますと、要は不幸になってからでないとこの事業は発動しないということになるんです。こういった不幸になってからでないと発動しないという事業の在り方がいいのかと私は疑問に思っています。
こういう不幸になっていない、ですが、もうストレスが極めて高くて、もう少しすると虐待が起こりそうないわゆるグレーゾーンと言われる家庭に対して、ホームスタートというのは極めて有効だということです。
そして、同じように、生後四か月までの全戸訪問事業、乳児家庭全戸訪問事業ですが、これも困難家庭を見付けた場合は、先ほども申し上げた育児支援家庭訪問事業につなぐことができますから、何らかの社会的な支援ができるわけです。ですが、ストレスが高いようだが困難ではないと、つまり虐待など発生していないという家庭については、その次に対応する手だてがないということになります。そういった点で、ホームスタートというのはその手だてになり得るのではないかということです。
ちょっとこれはすごく粗い表というか図なんですが、皆様から向かって左半分が、親を対象にした、主に厚生労働省所管の事業です。右半分が主に対象は子供です。上に行けば行くほど重い事例、つまり虐待などの重い事例の家庭ないしは子供、そして下に行けば行くほど白というか、問題がない家庭ということで理解をしてください。
対象が子供については、重篤な問題がある子供たちについては児童養護施設の利用など取組がありますし、比較的ストレスが軽い、ないしはない家庭についての支援も一応制度としてはあります。それに対応して親の方を見ますと、重篤な親、つまり虐待を起こしている親たちに対しての支援施策は、十分ではないのかもしれませんが、というか、十分ではないものの事業としては用意はされています。
ですが、私が今日中心に申し上げたいのは、このストレスがない、ないしはストレスが極めて高くて、でも虐待などの行為には至っていないという家庭に対しての支援については、地域子育て支援拠点事業だけ、施策は地域子育て支援事業だけと言ってもいいような状況です。地域子育て支援事業は、先ほども申し上げたようにその拠点に来れる人たちにしか有効ではありませんから、来れない人たちについては全く社会としては手だてが講じられていないというのが現実だというふうに思います。
では、画期的な点を今度は対象家庭との関係で説明をさせていただきます。
対象家庭ですが、これまで手が届かなかった家庭です。つまり、そういう地域子育て支援拠点のような拠点に来れない孤立している家庭、なおかつレッドゾーンないしはイエローゾーン、つまり重い虐待ないしは軽い虐待が発生している家庭については育児支援家庭訪問事業や児童養護施設などの仕組みが動くわけですが、グレーゾーンについて、つまり高ストレス家庭に対しては支援がないわけです。グレーゾーンのところで止めない限りイエローゾーンになり、回復が極めて難しくなっていくということになります。ですので、このグレーゾーンに手が届くというところで画期的ということになります。
そして、システム上は、これは簡単に申し上げますが、ボランティアの活動ではあります。全く、訪問をする人たちはボランティアです。無償です。交通費しかもらわない。ただ、そのコーディネートをするオーガナイザーは有償で専門家を雇うと。そうしないと、利用家庭を守りボランティアを守るということができないからです。
そして、ホームスタートと名前のとおり、これは海外で、イギリスで約四十年前ぐらいから始まったものです。ちょっとイギリスの様子を説明いたします。
イギリスでは、一九七三年にイギリスの、日本でいうと児童福祉司、児童相談所の専門家であったマーガレット・ハリソンさんという方が、先ほども私が説明させていただいたように、困難家庭についてはイギリスは専門家がいると、だけれども困難家庭になる前、困難家庭になる前で止める人たちがだれもいない、なので、こういったボランティアの人たちでグレーゾーンの人たちに対しての支援をしようということで始めたものです。
とりわけ、ボランティア、なおかつ子育て経験者などの当事者によるボランティア活動というのは、その後の日本の国の中でも、なおかつ高齢でも障害関係でもそうですが、調査研究で明らかになっているのは、専門家よりも気持ちを元気にする、エンパワーメントする点では専門家よりも効果が高いということが言われています。
そういうことをマーガレット・ハリソンさんは経験的に理解をしていて、専門家ではない、非専門家によるボランティアでグレーゾーンの子供たちないしは家庭に支援をするということを考えたわけです。
これは大きな地域組織ですから、小さいところは年間の予算が百万ぐらいで、ボランティアの交通費、コーディネーターの賃金なども出したりしています。ボランティアのトレーニングも当然行います。
効き目としては、一〇〇%に近い母親たちが活動に満足をし、約八割の母親たちが情緒面で安定し、約九割の保護登録児というのは、要は被虐待登録、虐待されている子供たちの家庭で登録が解除されているということです。
日本のホームスタートについて簡単に説明して、ホームスタートについての説明を終えます。
日本のホームスタートの組織は二〇〇六年にできて、昨年の十二月に内閣府認証のNPO法人になりました。そして、試行事業などをして、現在、十三地域でホームスタートの試行事業ないしは準備に取り組まれていて、この日本地図の赤い点がそういう取組があるところです。この赤い点以外にも、今分かっているところで五地域、来年度に向けて取り組むということがあるので、約二十地域で来年度に向けて取組が始まるということです。既に始まっているところもございます。
そして、二〇〇八年度に日本版で、日本型でやらなければいけない、イギリスの直輸入では必ずしもできるとは限らないということで日本型のシステムを開発して取り組みまして、大体九九%の親たちの子育てニーズが緩和ないしは解消したと。完全にすべて解消ではありませんが、効果があったということが分かりました。
厚生労働省さんも応援をしてくれている制度をつくってはくださっていますが、必ずしもこういったボランティアによる活動が永続的に行える、要は収入がない活動ですので、永続的に行えるという仕組みがないので、なかなかどうしたものかというふうに考えているというところです。
これは先ほど申し上げたところなので省きます。後ほど詳しく話させていただく時間があれば、ホームスタートの利用者の声、そして派遣されているボランティアの人たちの声ということについては補足で申し述べさせていただきたいと思います。
まとめとしては、従来の壁、つまり拠点に来れない親たちへの支援ができる点、そしてイエローゾーンになる前の、つまり虐待の発生予防が、直前で止められるということができるという点でホームスタートが有効であると。そして、質の高いボランティア活動、市民参加ができるということが特徴点だと思います。
ということで、ホームスタートの説明をしながら、ホームスタートを例に取りながら申し上げたかったことは、こういった家庭訪問型の支援、欧米でいうとホームビジティングとかホームビジットと言いますが、これについて力を入れていただきたいということを一つお願いをしたいとともに、こういったボランティア、つまり市民参加型の活動もありますと。つまり、有償の支援ないしは専門家による支援だけではなくて、こういう市民参加型のボランティアによる支援でも極めて力があります。
こういった活動についても活用していただきたいということの二点をお願いして、ホームスタートについての説明を終わりたいと思います。
次は、また画面が変わりまして、プレーパークせたがやの理事長としての話をさせていただきます。
これから話をさせていただくのは、余りとやかく申し上げる必要はないのですが、要は、子供にとって遊びが必要であるということは皆様も十分御承知ですし、屋外での遊びというのも大事だということも皆様も御承知です。ですが、今我々が、私も子供が、一番下がもう二十一になってしまいますので、私も大分子育ての真っ最中ではなくて、ただ今度、私事で申し訳ありませんが、長女が初孫を産んでくれるので、おじいさんとして、祖父としてまた子育ての参加をしたいと思っておりますが、そういう子育て真っ最中ではない私もそうなんですが、極めて子供の遊び環境は私たちが考えている以上に劣化しているということをお伝えしたいなと思って参りました。
例えば、地球環境、CO2の問題とか言われています。我々は、今から三十年とか四十年も前の日本国民は、ほとんどが別に環境問題が地球環境まで悪くするとは思ってもみていませんでした。でも、よくよく考えてみたら地球環境自体が人類のせいで大きく変わってしまっているという、ちょっと後戻りができにくいような深刻な事態になってしまっていました。同じように、子供の遊ぶ環境というのは同じような事態だというふうに思っていただきたいなと思います。
ここにはいろんな世代の議員さんがいらっしゃいますので、世代ごとに子供時代の思い出は違うと思いますが、とても先輩の議員さん方については、野山でとにかく遊びなんか用意されなくても自由に遊べたという時代があったかと思います。私は五十五になりますが、私も東京都で生まれ育っていますけれども、東京といってもかなり野原とかがありました。そういった時代環境に育った我々からは信じ難い事態が現在起こっています。
それで、ちょっと時間もないので簡単にパワーポイントを進めますが、屋外遊びについてどういうことに効き目があるかということの復習ですが、運動能力が当然高まりますと、免疫力とか循環器とか呼吸器とか知的好奇心も高まります。だけれども、現在、最も幼児の親御さんたちが心配されている、子供のいらいらが最近は心配だというふうに様々なアンケートで幼児の親御さん、幼児の親御さんですよ、幼児の親御さんの心配事の一位が子供のいらいらだという調査もあります。
そういうことに対応する意味合いからも、情緒の安定というのが、屋外遊びというのはとても効果があるということがあります。
それで、屋外遊びは昔はもう当然でした。これまでは屋外の遊びが当然過ぎたので、逆に屋内の遊び場を整備してきました。児童館、児童センター、地域子育て支援拠点、みんな屋内です。でも、屋外が十分にあったから屋内の拠点整備でもよかったんです。
でも、どんどん屋外がなくなってしまいました。公園もあるにはあるけれども、公園での活動はないです。そして、環境が破壊されていって、でも細々とプレーパークないしは冒険遊び場などの活動が日本でも続いてはいました。ですが、全国でたかだか二百か所です。今やるべきことは、屋外での活動をまた再び取り組むということを国を挙げてやっていただかないといけないのではないかということです。
イギリスは、屋外での遊び場について、ないしはスポーツ活動について極めて膨大な予算を投下して、イギリスの極めて急速な肥満傾向に対してとか精神病への傾向について、それを止めようという努力を極めて急速に力を入れてやっていらっしゃいます。イギリス方式がいいかどうかは別として、日本も是非そういった取組に力を注いでいただきたいなというふうにお願いをいたします。
最後の項目については、後ほど公私の協働の仕組みについてちょっと御提案をしたかったんですが、時間も来てしまいましたので、後ほどの質疑の中で補足ができればと思います。
ありがとうございました。