南野知惠子の発言 (少子高齢化・共生社会に関する調査会)

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○南野知惠子君 座ったまま失礼いたします。
 自民党の南野知惠子でございます。
 少子高齢化・共生社会に関する調査会は、平成十九年十一月の設置以来、鋭意調査を進めてまいりました。今期は「少子高齢化とコミュニティの役割」をテーマにして一年間調査を行いましたが、本日は、三年間の調査を通じて感じた点も交えて意見を述べたいと思います。
 三年間の調査を通じ最も印象的だったことの一つに、一年目の外国人との共生の調査の一環として浜松、豊橋を訪れたことがございます。ブラジル・ペルー人学校のムンド・デ・アレグリアの倉庫を改造した寒風の吹き込む講堂で校長先生は、外国人学校等に対する寄附金に関する税制上の優遇措置が短期滞在者を中心とする一部の学校のみを対象とし、ブラジル人学校には適用されていないことについて、対象拡大が是非必要であると力説しておられたことは忘れられません。
 私たちが現地を訪問したのは平成二十年の二月でしたが、その後、世界的にリーマン・ショックに端を発する景気後退に見舞われ、ブラジル人学校においては通学している子供の四割が減少し、うち二五%が自宅にいるか不就学状態にあるとのことです。景気後退による自動車の販売数の低下によって多くの日系人労働者が職を失い、また収入が減少したとのことですが、それでも彼らの日本滞在期間は長期化する傾向にあります。
 日系人の子女は、日本語が不十分である等の理由で公立学校への転入をためらう傾向がありますが、一方で母国語の十分な教育も受けておりません。外国人の地域社会での孤立化を避けるためにも、日本に長期間滞在する外国人子女に対する的確な日本語能力取得への支援は極めて優先度の高い課題であると考えております。また、親の来日目的により短期の場合や長期の場合があり、子供の教育の目標が異なってきます。子供の立場に立った教育環境も考慮すべきだと思います。
 さて、少子高齢化とコミュニティの役割に関して三点ほど考えを述べさせていただきます。
 まず一点目は、高齢者が地域で安心して住むことのできる社会をつくることです。
 沖藤、赤石両参考人の陳述にもありましたように、高齢女性は単身世帯となりやすく、また、彼女たちが若かった時代は性別役割分担の意識が強かったこともあり、老後の収入や蓄積が十分ではありません。このような高齢女性の貧困問題を解消し、地域で安心、安全に暮らせるような社会をつくることが必要であります。
 そのために、コミュニティーにおいて高齢者の生活の質を左右する見守り、災害弱者である高齢者への対応、安心して医療を受けられる体制づくり等、高齢者の生活全般に対する支援を行う新たな仕組みづくりが求められます。
 二点目は、子供を大切にする社会の構築です。
 近年、少子化や遊びの変化により、地域から子供の遊ぶ姿が消えつつあります。汐見参考人は、地域の交流が希薄になったことなどの影響で、子供が忌避される社会になってきているという現状を実例を基に報告されました。我が国の将来を担う子供は、何よりも社会から温かく見守られなくてはなりません。子供に優しい社会、安心して、かつ充実感を持って子育てができる社会をつくっていくことが必要です。
 そのためには、国やNPOの支援活動の拡充も必要ですが、何より子育てをしている人を全国民的に応援していくような環境をつくることが必要です。子供を見かけたときに、かわいいねと一声掛け、また、子育て中の親に自分たちの経験を伝授していくような国民的な運動を始めることを提唱したいと思います。
 三点目は、子育て支援におけるコミュニティーとの連携です。
 かつては外で遊ぶことを見守る高齢者の姿が見られましたが、いつのころからか姿が見えなくなりました。現在、放課後の子供の居場所づくりのための施策が行われておりますが、居場所だけでなく、コミュニティーの再生という視点からも、地域において高齢者、親の世代、子供が交流する場をつくっていく必要があります。今、省庁の壁を越えて実施されている放課後子どもプランについても地域全体の参画を得て運営されることが必要不可欠であり、学校に地域と学校の橋渡しをする教師を置くことも検討すべき課題であると思います。
 コミュニティーとのかかわりが大事になってくるのは、子供の遊びばかりではなく、子供が病気になったときも同様です。欧米諸国では、子供が病気となると、母親等は仕事を休んで看護をすることが社会的常識として浸透しています。そのための制度も完備しており、働く母親は子供が病気のときも安心して休むことができます。しかしながら、我が国では、子供が病気になってもなかなか仕事を休むことができず、また周囲の理解も十分とは言えません。
 もちろん、母子の健康面からいえば、有給の病児看護休暇制度を拡充させ、子供が病気のときに親が休むのは当然として、会社や社会に受け入れられる雰囲気をつくっていくことが求められます。しかし、仕事の都合などでどうしても休めない場合や、軽症ではあっても急に発症したような場合の病児保育の体制整備についても進められる必要があります。コミュニティーにおいては、病気になった子供を一時的に預かって面倒を見ていくようなシステムがあれば、どれほど多くの働く親の助けになるかは言うまでもないと思います。
 かつて、私たちは多くのコミュニティーを失ってきました。そのような方向は、経済の成長という大きな流れの中にあっては、ある意味やむを得ない部分もあったと思います。しかし、今や我が国の成長を担ってきた人は高齢化し、社会の第一線を次々に離れています。彼らの居場所となり、そして今後の我が国を託すべき子供たちをはぐくむ場となるのはコミュニティー以外にはありません。
 今後、外国人も今まで以上にコミュニティーに参加してくるでしょうし、ひとり社会の到来により地域の片隅で一人で過ごす人も増えてくると思われます。そういった様々な人々に元気を与え、安心、安全に生活していく場を提供するため、コミュニティーは再生されなければならないと思います。
 コミュニティーの再生のために、地域に新しい人材を取り込んだり、地域の人材や資源を生かす効果的な取組が調査会において数々示されました。調査会での三年間の議論が、このような方向に少しでも貢献できることを祈念して、意見表明を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 南野知惠子

speaker_id: 14231

日付: 2010-04-21

院: 参議院

会議名: 少子高齢化・共生社会に関する調査会