山口那津男の発言 (本会議)

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○山口那津男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました鳩山総理の施政方針演説など政府四演説に対し質問いたします。
 鳩山内閣となって初めての施政方針演説、私は、総理の友愛の思想に基づく具体的かつ率直な政策が総理の口から聞かれるものと強く期待していました。しかし、結論から申し上げれば、その期待は裏切られました。正直申し上げて、心に響くものが感じられなかったのは私だけでしょうか。
 二つ理由があると思われます。
 総理は施政方針演説の中で、友愛ではなく、いのちを守るというキーワードに変わっていたものの、二十四回もいのちを守ると言われました。いのちを守る、実に重みのある言葉です。だからこそ、鳩山内閣が具体的に何をしようとしているのか、それが聞きたかった。しかし、言葉が上滑りして、それに伴う具体策がありませんでした。
 残念ながら、私にはどうしても鳩山総理の考える理念と具体策が結び付いてこなかったのであります。これが第一の理由であります。
 第二の理由は、総理自身の姿勢の問題。率直に申し上げれば、政治と金で何も語ろうとしない、国民との信頼が問題なのであります。幾ら美辞麗句を並べても、国民から信頼されない総理の言葉は、やはり信用もされないのであります。まさに政治家に問われているのは、総理が演説で言われた、まず国会議員が範を垂れることであります。信頼を回復する努力であります。
 総理、なぜ演説の冒頭できちんと政治と金の問題について国民に説明をされなかったのか。演説の中で触れられたのは、わずか二行だけ。しかも、御批判を真摯に受け止めると言うだけで、国民に対しては何の説明もありません。問題は、受け止めた後、自らどうするかです。
 民主党を始めとする与党の皆さんは、野党時代、舌鋒鋭く政権党の政治と金の問題を追及していたではありませんか。立場が逆になった途端だんまりを決め込む、これでは信を託した国民への裏切りそのものではありませんか。総理の答弁を求めます。
 総理、国民の多くはこう思っているでしょう。政権が交代した、そして百日待った、さあ、いよいよ鳩山内閣は具体的に何をやってくれるのかと。ハネムーンは終わったのであります。総理、日本国の最高責任者として、しっかりと国民と向き合ってください。そして、この国会で、国民のいのちを守るため、国民生活を守るため、大いに議論しようではありませんか。私たち公明党もその責務を果たしてまいる決意です。
 まずは政治と金の問題から質問します。
 総理の偽装献金問題や小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入問題は、現職国会議員を含む元秘書らが逮捕されるゆゆしき事態です。
 総理は、お母様から毎月千五百万円、総額十二億六千万円にも上る贈与を受けていた。あなたの言を用いれば、これこそ労働なき富ではありませんか。そして、秘書に任せていたから、もらったこと自体を知らなかった、さらに何に使ったのかも知らなかったとの答弁を繰り返しています。しかし、知らなかったで済まされる金額ではありません。お金の入りも出もすべて秘書任せ、まして何に使ったかも説明しない、それで国民にどう納得しろというのでしょうか。あなたが全く知らないところで、関与しないところで秘書が勝手に出し入れをして使ったとでもいうのですか。
 総理、自らの不明を恥じるというなら、まず何に使ったかというところから説明すべきです。答弁を求めます。
 また、小沢幹事長の資金管理団体による土地購入疑惑についても、捜査中であることを理由に民主党は全く自浄能力を果たしていません。民主党の現職の国会議員が逮捕されたのです。代表たる総理は、自らリーダーシップを取って自浄能力を発揮させるべきではありませんか。お答えください。
 そして、小沢氏が潔白であると信ずるというのなら、総理にはその根拠を国民に示す責任があります。ただ同志だからというのでは余りにも国民を愚弄しています。総理、明確に国民に説明してください。いずれにせよ、秘書に任せていたから知らなかったとの説明で済ませるのでは余りに無責任。政治家本人の責任を問う新たな仕組みが必要です。
 公明党は、秘書などの会計責任者が虚偽記載などの違法行為を行った場合には、監督責任のある議員も公民権を停止する政治資金規正法改正案を昨年提出しています。
 総理、まずはこの通常国会で政治家の監督責任を強化する法改正を実現することこそが、あなたが引き起こしたような問題の再発を抑止する仕組みになるのです。その実現に向けて、国民に明快な決意を述べてください。
 あわせて、企業・団体献金を禁止する法改正にも踏み込むべきだと考えますが、いかがですか。
 次に、平成二十二年度予算案について申し上げます。
 鳩山内閣として初めての本予算は、民主党マニフェストの実現のため予算規模は大きく膨らみ、一般会計で九十二兆三千億円と当初ベースで過去最大となりました。しかも、世界経済危機に伴う景気の悪化で税収が激減したこともあり、新規国債発行額は四十四兆三千億円まで膨らみました。一方、事業仕分による歳出削減額は一兆円、独法の基金返納などの一時的な歳入も含めても二兆円程度にとどまり、平成二十三年度以降の恒久的な財源はほとんど捻出されなかったのであります。
 鳩山総理自身、当初、マニフェストに必要な財源は七兆円、無駄遣いの見直しで確保するとしていましたが、達成できませんでした。民主党が言うように予算の組替えがなされていれば、四十四兆円もの国債発行にはならなかったはずです。総理、そもそも見通しが甘かったと率直に認めるべきではありませんか。明確にお答えください。
 また、菅財務大臣は財政演説の中で、国債増発に依存することなく必要な財源を確保していると話されましたが、私には言い訳にしか聞こえません。数多くのマニフェスト違反、修正によって二十二年度は何とかつじつまを合わせたものの、二十三年度以降はどうなるのか、甚だ疑問であります。
 さらに、総理は施政方針演説の中で、景気の二番底には陥らせない決意として、第二次補正予算と二十二年度本予算により切れ目ない景気対策を実行すると述べられました。何が切れ目ない景気対策ですか。第一次補正予算を凍結した挙げ句、何ら有効な手を打つことなく、私たちの主張していた凍結解除にも応じず、ずるずると年明けまで第二次補正予算提出を先延ばししたのは一体どの内閣でしょうか。その時点で打つべき対策を講じず、経済対策を遅らせたのは明白です。中長期の見通しのないその場しのぎにすぎないのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 そもそも、来年度予算案のどこに経済成長を積極的に促す策があるのでしょうか。政府は、本予算案を編成した後の昨年十二月三十日に新成長戦略の基本方針を発表しました。しかし、目標達成への具体的な道筋は依然示されないままであります。柱のない家に身の丈以上の家具を好き勝手に並べたところですぐに倒壊してしまうのが関の山、先行き不安に対する懸念を増幅させるだけです。
 また、財政健全化への道筋も全く示されていません。特に、今後社会保障の在り方をどうするのか、貧困、格差の是正にどう対策を講じていくのか、まさに歳出歳入の在り方全体についての明確なビジョンを打ち出すべきではありませんか。総理、具体的にお答えください。
 さて、昨年、公明党は、今後目指す社会の方向性を山口ビジョンとして発表しました。新しい福祉、教育、平和をつくる公明党と題したこのビジョンでは、日本の未来を見据えた、地域で支える協働型福祉社会、子供の幸福を最優先する社会、核廃絶、平和、環境で世界に貢献を三つの挑戦として掲げました。
 まず、地域で支える協働型福祉社会です。
 日本は今、人口に占める六十五歳以上の割合が二二%に達し、急速に超高齢社会へと突き進んでいます。
 私は、年金、医療、介護、子育ての各分野できめ細かなサービスの仕組みをつくり、その上に地域の実情に合った協働型福祉社会を築くべきだと思います。協働型福祉社会は、個人が自立して生活する自助、地域住民の連帯でお互いを支え合う共助、行政などによる公助がバランスよく効果を発揮する社会であり、総理が施政方針演説の中で強調された新しい公共と理念の上で相通じるかもしれません。
 その中で、最重要の課題の一つは、介護の力をどう築くかです。二〇二五年には高齢化率三〇%という人類が経験したことのない超高齢社会を迎える中、公明党は、介護基盤の整備目標を示す新たな介護ビジョンが必要と考えます。総理、新たな介護ビジョンを策定する考えはありませんか。お答えください。
 公明党は、昨年十一月から十二月にかけて、全国三千人を超える議員が一丸となり、四十七都道府県で介護総点検を実施しました。寄せられた十万件を超える貴重な声を基に、高齢者が住み慣れた地域で必要に応じた介護サービスや介護施設を自由に選択、利用でき、家族の負担が過大にならない安心して老後を暮らせる社会の実現を目指します。
 そこで、二〇二五年の姿を前提に、二〇一二年の介護保険制度改正では抜本的な制度設計の見直しが必要です。日常生活を豊かに過ごす介護基盤整備の拡充を始め、利用者負担の抑制や、家族に休息してもらうレスパイトケアの充実、介護従事者等の処遇改善の見直しは、先日の予算委員会で指摘したように全力を挙げて取り組まねばなりません。生涯設計において、必要なときに入居できるケア付き高齢者住宅の整備も求められています。
 まずは介護施設の大幅な拡充が必要です。入所待機者の解消を目指し特養ホーム、老健施設などの介護三施設は倍増させる、また、全く足りない特定施設、グループホームは三倍に増やす緊急整備に着手すべきです。総理のお考えを伺います。
 また、在宅介護の支援強化を急ぐべきであり、通い、宿泊、訪問といったすべてのサービス体系を提供する小規模多機能型居宅介護事業の大幅な拡充は、先日の予算委員会で指摘したところです。総理、今こそ安心して老後を暮らせる社会の実現に向けて、政府を挙げて取り組もうではありませんか。総理の明快な答弁を求めます。
 次に、社会を支える安全網の強化について伺います。
 福祉や雇用のセーフティーネットから漏れた貧困層、低所得や単身の高齢者、一人親世帯など、社会的に弱い立場の方々を最優先で支援することが政治に課せられた使命です。公明党は、現行のセーフティーネットを拡充し、所得保障、住宅支援、就労支援等のトータルな支援策をいま一重、厚くすべきだと考えます。
 第一に、職業訓練等の就労支援とその間の生活保障が重要です。昨年ILOが発表した報告書では、我が国は失業給付を受けていない失業者の比率がOECD諸国の中で最も高いことが明らかになりました。まずは雇用保険の適用範囲を拡大することが急務です。また、公明党の推進で創設した職業訓練中の生活費用を保障する訓練・生活支援給付は、より多くの方が利用できるよう拡充するとともに、制度を恒久化すべきです。
 第二に、高齢期の所得保障の柱である年金制度の安全網を強化することが必要です。公明党がこれまで主張してきた年金保険料の事後納付期間の延長は、今般、政府提出の国民年金法改正案に盛り込まれましたが、これだけでは支払能力のある方しか救済できず不十分です。事後納付期間の延長とともに、受給資格期間の短縮、さらには低所得者に年金額を上乗せする年金加算制度の創設を早急に実現すべきです。
 第三に、一人親世帯や独居高齢世帯の増加といった今日的課題を踏まえ、こうした方々が安心して生活できるよう、給付面のみにとどまらず、サービスの提供においても支援を強化すべきです。一人親が安心して子供を預けられる安価な保育サービスや、独居高齢者の安全を地域で見守るサービスなど、必要かつ十分な支援を行うべきです。
 以上、我が党が提案する安全網強化の具体的な取組について総理の考えを伺います。
 ビジョンの第二の柱は、子供の幸福を最優先する社会、すなわちチャイルドファースト社会の構築です。
 かけがえのない子供たちの個性や能力、創造性、思いやりの心をはぐくむことを社会の最優先課題とする、未来を託する子供たちを社会全体で守り育てる、そのような環境を整えてまいりたい。
 今回の経済危機のように、社会が危機に直面したとき、そのしわ寄せを最も強く受けるのは子供たちであります。その意味からも、危機を乗り越えようとしている今こそ、私たちが掲げる理念の重要性を強調したいのであります。
 そこで、教育について伺います。
 総理は、施政方針演説で教育について言及されましたが、教育の質を向上させるための具体策は全く示されませんでした。私は、チャイルドファーストという理念の下、社会全体で教育に取り組むための環境整備を進めるべきと考えます。特に学校は、子供を様々な脅威から守る安全の拠点、文化の担い手を育成する拠点、未来をつくる人材の発信拠点を目指し、教職員等の人材の充実など、ソフト、ハード両面にわたる環境整備に取り組むべきであります。
 具体的には、災害に強い学校づくりに加えて、情報化社会に対応したICT環境の整備、少人数教育の徹底、経験豊かな社会人の活用、文化芸術活動などの体験学習の充実、スクールカウンセラーや栄養教諭の充実、地域で学校を支える体制の抜本的な強化などが必要です。また、地域や学校の多様な課題に柔軟に対応するため、教育における地方分権の推進も必要と考えます。
 特に義務教育については、権限や財源の大胆な移譲を検討するなど、学校や地域が自由な発想で子供を教育できるような環境を整えるべきです。総理の見解を求めます。
 さて、総理は、施政方針演説の中で阪神・淡路大震災のことに触れつつ、防災、減災の重要性に言及されました。しかし、この度提出された予算案では、学校施設の耐震化については予算計上されたのは約二千二百棟分にすぎません。地方自治体から要望があった五千棟の半分にも満たないのです。一方で、マニフェストに掲げた高校授業料の実質無料化には三千九百億円を計上しました。マニフェストの実現を優先する余り、結果的に子供や地域のまさにいのちを守る学校の耐震化予算が削減されたとの指摘もあります。このように禍根を残した予算編成になってしまったのも、本当の意味でいのちを守る政治を貫く信念と目指すべきビジョンがないからです。総理の見解を求めます。
 総理、今年が国民読書年であることは御存じでしょうか。これは二〇〇八年に衆参両院で全会一致の決議を経て制定されたものです。
 私たちも読書の重要性、特に子供たちが本に親しむことの大切さを何度も訴えてまいりました。朝の読書が定着した学校では、読解力の向上だけでなく、子供たちに落ち着きが出てきた、遅刻やいじめが少なくなったなどの効果も報告されています。
 しかし、事業仕分の結果が反映された二十二年度予算案では、子供の読書や体験活動を応援する子どもゆめ基金を廃止した上、子供の読書活動を推進する事業は大幅に縮減されてしまいました。仕分結果に寄せられた国民からの意見のうち、実に九割近くが反対であったにもかかわらずです。総理は読書の重要性やこれに関する教育現場などでの着実な努力をどのようにお考えか、明確にお答えください。
 ビジョンの第三の柱は、核廃絶、平和、環境で世界に貢献する日本です。
 公明党は、平和の党として、人間の安全保障を掲げてまいりました。これは、貧困や飢餓、紛争と地雷、環境破壊、感染症、麻薬などの脅威から一人一人の人間を守るという考え方です。その人間を守る大前提として、核兵器廃絶、そして持続可能な地球環境を実現することを目指します。まずは、核兵器の廃絶への政府の取組について伺います。
 世界には今も二万発を超える核兵器が存在すると言われ、二十一世紀に入ってからは、テロなどの影響により核の拡散という新たな核の脅威も生まれています。核廃絶を実効性あるものとして前進させるためには、核の違法性を国際規範として確立することが必要です。我が国のリーダーシップの下、この規範を広めるため核兵器禁止条約の実現を目指すべきだと考えますが、総理の御見解を承りたいと思います。
 核兵器のない世界を目指すと宣言した昨年四月のオバマ・アメリカ大統領の演説により、世界は核軍縮へと動き始め、核兵器のない世界を目指す安保理決議一八八七号の全会一致の採択など、変化の兆しに世界の期待が高まっています。その中で迎える本年の核拡散防止条約、NPTの運用検討会議はまさに正念場であります。
 核廃絶の第一歩は、何よりも核保有国がこれまでの核抑止政策を転換できるかどうかに懸かっていると考えます。そのために、NPT運用検討会議において、核兵器国は非兵器国に対して核兵器を使用しないとの一九九五年のジュネーブ軍縮会議での宣言を改めて行うとともに、それを実効あらしめる消極的安全保障の法的拘束力のある合意を目指し、各国が議論のテーブルに着けるよう、唯一の被爆国である我が国が行動すべきと主張したいと思います。
 さらに、国連決議一八八七号に盛り込まれたCTBTの批准やカットオフ条約の早期交渉開始の実現についても、NPT運用検討会議の好機を生かし、働きかけていただきたい。併せて総理の御所見をお尋ねします。
 次に、地球温暖化対策への取組です。
 これは人間の安全保障のために避けて通れない課題ですが、国際交渉の有様は、人類共通の課題の解決よりも、いかに自国の義務や負担を少しでも軽くするかに力点が置かれているのが実情です。こうした状況を打ち破り、むしろ各国が温暖化対策への貢献を競い合うような状況をつくり出すことが必要であり、それをリードする中に我が国のソフトパワーも高まるのではないでしょうか。公明党が北海道洞爺湖サミットに先立ち、温室効果ガスの二〇二〇年二五%削減を打ち出したのも、こうした考え方に立ったからであります。
 COP15におけるコペンハーゲン合意は、残念ながら採択には至りませんでしたが、米国を含む先進国、中国、インドなどの新興国も合意した貴重な一歩であります。今後、この合意への各国の賛同を大きく広げ、温暖化交渉のベースとするとともに、内容をより肉付けすることによって、弱い合意から強い合意へと高めていかなければなりません。
 その意味で、日本政府が二五%削減という目標を各国に率先して提出したことは率直に評価いたしますが、ただ、今後の外交においては、公平かつ実効性のある国際枠組み、意欲的な目標の実現をただ待っているのではなく、その実現のために積極的に国際社会をリードしていただきたいと思います。まずは、ほぼすべての国がコペンハーゲン合意に賛同し、国別削減目標や削減行動を提出するよう働きかけるべきです。また、COP16のホスト国メキシコや国連条約事務局との連携を強化し、交渉をサポートしなければならないと思いますが、総理の外交方針並びに決意をお伺いいたします。
 また、国際社会の温暖化への取組を促進していくためにも、二五%削減の国内対策をもっとスピード感を持って進めていくべきです。鳩山内閣の新成長戦略にも環境が掲げられていますが、具体性に欠けた貧弱なものと言わざるを得ません。このままでは我が国は更に世界に後れを取りかねません。まず、国際交渉の結果を待たず、早急に国内の削減目標を決定すべきではないでしょうか。それでこそ本格的な低炭素社会づくりをスタートさせることができると考えます。それとともに、我が国の温室効果ガスの排出の実態をきちんと分析し、包み隠さず、分かりやすく国民に知らせた上で、現在の経済社会を低炭素社会に移行させるための制度づくりを急ぐべきです。
 例えば、我が国の温室効果ガスの排出が、排出量の報告が義務付けられている事業所等で七割、二百に満たない事業所で五割を占めていることを考えれば、排出の上限を定める国内排出量取引制度の導入は不可避です。それとともに、環境税など税制をどう組み合わせるかも一体的に検討しなければなりません。
 また、太陽光発電、小水力発電などの自然エネルギーの導入を図るために電力の固定価格買取り制度をどう拡充していくか、あるいは次世代自動車や断熱住宅などへの切替えをどう進めるのか、税制優遇や補助金を強化するなら、その財源はどう捻出するのか等々、各種の施策をいかに組み合わせて温室効果ガス削減を実現するかという見取図を早急に示し、国民の理解を得なければ、十年後に迫った二〇二〇年二五%削減には間に合いません。
 鳩山総理は、まず国内削減目標を早急に決める考えはないか、また、日本の排出実態をどう認識し、どのような道筋で国内での削減を進めるつもりなのか、明快な答弁を求めます。
 次に、道州制についてお尋ねしたい。
 公明党は、地域の活性化と新時代にふさわしい福祉を始めとする身近な行政サービスを充実させるため、国、道州、基礎自治体の三層構造から成る地域主権型道州制の導入を掲げています。人口減少、高齢化、過疎化に直面している今日、日本全体が持続的に発展していくためには、新しい国の形として地域が主権を持つ地域主権型道州制の導入が不可欠です。
 総理は施政方針演説で、地域主権型の構造に変革すると述べましたが、地域主権型道州制の導入について、政府は検討されているのですか。だとすれば、そのスケジュール、基本方針等の取組はどうなっているのか、答弁を求めます。
 道州制の導入に先立ち、まずは徹底した地方分権を推進することが重要です。特に、そのかぎを握るのが地方の税財源の充実、二重行政との批判がある国の出先機関の廃止ですが、一向に進んでいません。鳩山内閣からは、地方分権の具体的な取組について、言葉は躍れど強靱な意思やメッセージが伝わってきません。地方の率直な意見だと思います。総理、地方分権を推進するために一体いつまでに何を実現するのか、その道筋を国民に分かりやすく説明すべきです。お答えください。
 次に、具体的な政策課題について伺います。
 今、雇用問題は深刻です。仕事がない、ハローワークに何回通っても仕事が決まらない、いつ解雇されるか分からないなど、国民は現実に苦しんでいます。
 雇用調整助成金の積極活用による雇用維持、雇用保険や住宅困窮者への対策などのセーフティーネットの強化、医療・介護、子育て分野や環境、農業、観光などの成長分野への戦略的な雇用創出、この三つの柱を軸にあらゆる政策手段を総動員すべきです。
 特に、高校、大学等の新卒者の就職は危機的な状況です。新卒者の内定率が就職氷河期と呼ばれた時代を下回る今、緊急避難的な措置として、第二次補正予算で講じられるアドバイザーの人的配置とともに、トライアル雇用のように未就職新卒者が実際に働ける場を提供するような緊急支援策を講じるべきです。待ったなしの雇用対策に対する総理の認識と取組の方針について伺います。
 最後に、普天間飛行場の移設問題についてお尋ねします。
 私は、昨年十二月十八日、沖縄県を訪問し、普天間飛行場に近接する市立普天間第二小学校などを視察してまいりました。同小学校では墜落事故を想定し避難訓練まで実施しています。
 普天間問題の根本は、住宅地の真ん中に基地が存在する危険性を取り除くことです。総理は施政方針演説でいのちを守りたいと繰り返し述べられましたが、まさに普天間問題の解決こそ、いのちを守ることにほかならないのであります。一日でも先送りされればそれだけいのちが危険にさらされます。沖縄から遠く離れた政府における閣僚の発言の不一致、ころころ変わる総理の発言は、沖縄の人々のいのちにかかわる問題に対する切迫感が感じられません。
 先日の予算委員会において私は、五月末決着について、実現できなければこれは内閣の命運にかかわることであり、この政権の言わば存続を懸けてこれを実現する決意かと総理に質問しました。総理は、五月末までに必ず結論を出しますと答弁されました。これは、普天間の危険性を除去するための移設先を五月末までに決定できなければ、総理として責任を取る覚悟があるということだと受け止めましたが、改めて総理の明快な決意を求めます。
 以上、私のビジョンを中心に言及してまいりましたが、この未曾有の経済危機を打開し、併せて日本の希望ある未来を切り開く総理のリーダーシップを強く望み、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117415254X00620100203_002

発言者: 山口那津男

speaker_id: 1759

日付: 2010-02-03

院: 参議院

会議名: 本会議