松村祥史の発言 (本会議)
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○松村祥史君 自由民主党、松村祥史でございます。私は、自由民主党・改革クラブを代表し、鳩山総理並びに関係閣僚に質問いたします。
先日、総理の施政方針演説を聞かせていただきました。いのちを守りたい、地球を守りたい、ごもっともなお考えです。そのことを実現していただきたいと願います。
しかし、総理は本当にそのことを実現するための方法論をお持ちなのでしょうか。私には理想論ばかりにしか聞こえませんでした。世の中には、明日の生活をも知れず困っている人々が国内にも世界にもたくさんおられます。
総理が、平成二十二年度予算をいのちを守る予算と名付けられ、本当にいのちを守りたいと思っていらっしゃるのなら、まずは隗より始めよではありませんか。国民の税金という他人の財布だけを当てにして、ただだから大盤振る舞いするということではなく、総理が持っている莫大な資産から十億や二十億ぐらい寄附してからおっしゃったらいかがでしょうか。
総理自身も、自ら施政方針演説で労働なき富は社会的大罪と述べられました。総理が親から譲り受けた庶民では想像すらできないような巨額の財産や毎月のお小遣いは、労働なき富そのものじゃありませんか。
それにしても、労働なき富が社会的大罪とはよくおっしゃいました。私も、鳩山政権になって、この言葉の意味がよく分かりました。本当にそのとおりだと思います。鳩山政権の政策には、国全体で富を拡大するという思想がほとんどありません。施政方針演説を聞いて、この国が豊かになる、明るい社会が築けると思った国民は恐らく皆無でしょう。なぜ富を拡大して国を豊かにするという発想が出てこないのでしょうか。総理自身もおっしゃるように、恵まれた家庭に育って富を稼ぐ必要がなかったからじゃないんですか。それ以上豊かになる必要がなかったからじゃないんでしょうか。私は、他人の人生における価値観をとやかく申し上げるつもりはありません。しかし、このような人が一国の総理として経済政策の最終責任を担っている、これを社会的大罪と言わずして何と言うんでしょうか。
総理は、母親から受けていた毎月家一軒買えるだけの巨額の贈与を全く知らなかったとおっしゃっておられますが、仮に中小企業の経営に例えれば、その会社を支える大口取引との取引の存在を部下に任せて全く知らなかったということであります。私も中小企業の経営者をやっておりましたのでよく分かるのですが、そんな経営者はいません。もしいたとしたら経営者として失格であり、知らないことも罪なんです。経営のイロハも分からず中小企業の経営も満足にできないような人が今まさに国家経営をしている、まるでブラックジョークのような話です。国民にとって実に不幸なことだとは思いませんか。総理の見解をお伺いいたします。
私は、昭和三十九年、東京オリンピックの年に生まれました。オリンピックの開催は、先進国の仲間入りを果たした象徴でもあると思います。熊本で生まれ育った一九六〇年代は、まさしく高度経済成長の真っただ中でした。資源に恵まれない我が国は、世界でもまれに見るほどに勤勉な国民が創意工夫を重ねたことで経済大国を築き上げました。
その国民が、残念なことに今自信を失っています。その原因は何か。情報通信を始めとした現代文明の進歩により、世界は小さくなりました。情報、人、物、金が国境を越えて瞬時に移動できるようになりました。先般の世界的金融危機を例に挙げるまでもなく、経済的に見れば既に世界は一つになったと言っても過言ではありません。我が国経済も、その多くはこの一体化した国際経済の中に組み込まれています。これは、好き嫌いではなく事実です。多くの国民は、その中で競争し、勝ち抜いていくことに自信を失ってしまっているのではないでしょうか。
私は、失われた国民の自信をもう一度取り戻したい、取り戻せると確信をしております。まさにそれが政治の役割だと考えております。我が国が資源が乏しい中で生きていく以上、国際経済の中で競争し、勝ち抜いていくことから逃れるわけにはいきません。そして、幸運なことに、そのためのすばらしい可能性を国民一人一人は持っています。国民一人一人の能力や個性を生かしながら、その可能性を存分に引き出すことができれば、我が国は間違いなくもっと伸びていくと確信をしております。
ところが、政府・与党の政策にはこの発想が極めて希薄です。基本的には、今そこにいる弱者を保護し、いのちを守る。しかし、厳しい国際経済の荒波からは目を背けたい。弱き者を助けることは当然大事ですが、国民とともに荒波に立ち向かい、それを乗り越えていくことなくして国民の生活も救われません。
確かに、先日、政府は新成長戦略を策定されました。来年度予算案の編成後に策定するというタイミングも、いささか本気度に疑問符が付くところであります。また、内容もとても戦略と呼べるような代物ではありません。これまでの政権に対する敵がい心ばかりで、あとは少しの関連施策を羅列したにすぎません。語られる内容が適切かどうかの検証もなければ、実現するためのシナリオすらも描かれていない。このように、経済成長のことも考えていますというポーズのためだけのパフォーマンスはもうやめましょう。偽装するのは献金だけでもう十分です。国民は本物の政策を待ち望んでいます。
政府・与党は、多くの政策において国民を弱き者、保護すべき存在と決め付けています。まるで国民総護送船団のようです。社会主義国家じゃあるまいし、実に上から目線だとは思いませんか。単に保護するだけでは決して明るい未来は開けません。我々、自由民主党は違います。国民一人一人の可能性を信じ、共に伴走し、一生懸命にとことん励まし、共に汗を流し、それによって初めて国民は、明るい将来や夢、希望、生きがいを感じることができると確信をしております。総理はどのようにお考えですか、お聞かせください。
幾つもある政府・与党の国民総護送船団の政策のうちの一つが、まさしく子ども手当であります。
本来、少子化対策は、妊娠、出産から高校、大学までの子供の成長に応じた総合的な子育て支援、親の働き方の改革、社会の意識改革、こういった多面的な対策に相乗効果を持たせていくべきものであるにもかかわらず、中学生以下の親に現金を配るところに政策資源を集中的に特化するという、誠にバランスを欠いたばらまき政策を展開しています。二十二年度は二・三兆円、二十三年度は五・三兆円と見込まれる真水の予算支出にもかかわらず、これによって少子化に歯止めが掛かるとは到底考えられません。
最近は共働き世帯が増えていますが、夫婦共に働くためには、安心して子供を預けられる施設が家庭や職場の近所にあって夜遅くまで対応してくれる、そこに心優しい親切な先生や保育士がいる。老朽化した施設の耐震強化も子供たちの安全を守るためには必要でしょう。そういう環境整備も極めて重要であり、ばらまきという言葉は好きではありませんが、家計にお金を配ればそれで済むという単純なことではないと思います。
本当にこれは少子化対策なんでしょうか。それとも所得対策なのか、政府の言う需要対策なのか、政策目的すら明確ではありません。政策効果も不明なまま、まさに子ども手当の対象となる子供たちに巨額の借金のツケを回すのが本当に子供たちの未来のためになるのか、政府としてもう一度胸に手を当てて考えるべきではないでしょうか。一体どういう目的で、どのような効果を期待してこれだけの多額の予算を計上されているのか、社会が子供を育てるという理念には大いに賛同いたしますが、その方法論として、三歳から五歳児の幼児教育・保育の無償化や、未払が多く出ている給食費へ充当するとか、もっと効率的な施策があると思いますが、総理の責任ある御見解をお伺いいたします。
総理も最近になってようやく地方に行かれるようになったようですが、地方におります私にとって、地方経済が極めて深刻な状況であることを危惧しております。こうした状況を改善するためには、地方の産業をてこ入れし、活性化することが必要です。ほとんどの地域の産業は、おおむね農林水産業、中小・小規模企業、建設関連産業の三本柱によって成り立っております。そこで、この三つの産業について、産業育成という観点から総理にお伺いいたします。
まず、地方経済についてお聞きいたします。
今回の政府予算案では、コンクリートから人へという掛け声の下に、公共事業関係予算が前年比約一・三兆円の減、率にして約一八・三%の減と大幅に削減されました。
地方においては、一般に社会資本整備が遅れており、このような公共事業の極端な削減により、通勤通学あるいは医療・福祉関係機関へのアクセス整備など、真に必要な公共事業の整備もままならない状況に陥っています。
さらに、経済基盤の脆弱な地方にとっては、公共事業に依存する度合いが強く、景気や雇用にも致命的な影響を与えかねず、地域の疲弊に拍車を掛けることも懸念されます。
一方、政府は、削減分の一部を活用し地域にとって使い勝手の良い新たな交付金を創設したと言っておられますが、交付金の使い道については、関連の社会資本整備やソフト事業も含まれるといった話はあるものの、総額として大きく減額されており、そのほとんどはこれまでの国庫補助対象事業を移し替えただけとの声も聞こえてきます。これでは、ひも付きではないといっても見かけ倒しの地方分権ではないでしょうか。総理の御認識をお伺いいたします。
次に、農林水産政策についてお伺いいたします。
後継者問題は深刻です。地元熊本でも、お話を伺っておりましても、民主党農政への不安は消えません。確かに各農家の所得を補償してくれる選挙での民主党のスローガンは非常に耳触りが良く、農家の方々の心をとらえました。しかし、かねてより小沢幹事長を始め民主党は農産物貿易の自由化を主張され、総選挙前には、米国とのFTAを締結するとしたマニフェストを、農業者の猛反発に遭い、交渉するから促進するへと後退させた経緯があります。幾ら農家の所得を戸別に補償すると言われても、海外の安い農産品が大量に入ってきたのでは、価格競争に勝てず、将来農業が産業として成り立っていけるのか、農業者の方々は不安でならないのです。
農家は決して弱者ではありませんし、守らなければならないかわいそうな人たちでもありません。農業に自信と誇りを持ち、産業として自立したいというのが農業者の方々の真の願いだと考えます。国が丸抱えで面倒を見なければならないような産業に若い人が夢を持てるでしょうか。
今必要なのは、各農家にお金を支払う社会政策ではなく、産業としての自立を促す政策です。総理は、産業としての農業をどう考えていらっしゃるのでしょうか。
また、この度、戸別所得補償のモデル事業の費用を捻出するに当たって、農業農村整備予算が三千六百四十三億円削減されました。六三%以上の減です。総理は、十年後に自給率五〇%を目指すと言っておられますが、圃場整備をおろそかにしてどのようにして自給率を向上させようというのでしょうか、併せてお伺いいたします。
同様に、林業については、第一次補正予算の凍結後、森林整備予算が百九十四億円削減されました。やはり来年度予算でも森林整備予算は四百三十五億円以上削減されました。政府は緊急経済対策の中で、森林・林業再生の加速を成長戦略の一つに位置付けられました。にもかかわらず、削減とは一体どういうことでありましょうか、その真意をお伺いいたします。
菅副総理は、林業を雇用の受皿にすると言っていらっしゃいますが、農業と同様、基礎的な整備を怠って日本の林業が再生するとでも考えていらっしゃるのでしょうか。地球温暖化の観点からも、森林吸収源としてますます重要となる林業を産業として再生させるため、どのような方策を取るおつもりでしょうか、お伺いいたします。
水産業についても厳しい状況は変わりありません。乱獲や環境の変化により漁獲高も減り、厳しい経営を強いられております。まさに漁業者の方々も八方ふさがりです。
総理は、一次産業について、産業育成という観点からどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
地元熊本に帰りますと、中小・小規模事業者から聞こえてくるのは悲鳴ばかりです。そのような中で、民主党のマニフェストには、最低賃金を全国平均千円まで引き上げることを目指すと記されています。現在、熊本の最低賃金は六百三十円です。最低賃金の千円は、地方の水準からすれば到底払い切れない金額です。
私も、中小・小規模企業で一生懸命働く従業員の方々の賃金を引き上げられないかとは思います。しかし、現実を見れば厳しい、非常に厳しい状況です。中小・小規模企業は我が国雇用全体の約七割を支えております。今より賃金を引き上げれば、大部分の中小・小規模企業自体が立ち行かなくなるのが現状です。一体いつから引き上げるおつもりなのでしょうか。なぜ、現在のように企業業績が低迷するときに労働分配率だけを大幅に引き上げないといけないのか、私には全く理解できません。
むしろ、中小・小規模企業をきちんと活性化した上で、その果実を従業員の方々とともに分かち合うというのが本来あるべき姿ではないでしょうか。その意味で重要となる中小・小規模企業の活性化についても、目先の金融対策という対症療法以上に、企業を成長軌道に乗せていくための支援策を政府はきちんと持ち合わせていないように見受けられますが、どのようにお考えなのか、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。
建設関連産業についても大変な状況に置かれております。政権が変われば政策も変わるというのは分かります。しかし、政策の先には現場で生活する人々が大勢おられます。
前原大臣は、先日、建設業者の数を五十万社から二十万社に減らすとおっしゃっておられました。公共事業予算が減れば、建設関連産業も自然淘汰されるとでも思っておられるのでしょうか。淘汰される三十万社もの経営者、従業員、そしてその家族の方々はどうすればいいのでしょう。御聡明な前原大臣にはよく御理解いただいているものと思っておりますが、円滑に事業転換、業種転換をさせていこうと考えているのか全く伝わらず、大変不安に思っております。
政府として責任を持って明確なビジョンを示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。午前中、同僚の岡田議員からも同様の質問に対し前原大臣から御答弁いただきましたが、もっと詳細なプランをお持ちでしょうか。お持ちであればお示しいただきたいと思います。
次に、外交・安全保障政策についてお伺いいたします。
その前に、長らくインド洋に派遣され、無事任務を終了された海上自衛隊の皆様や、ゴラン高原にPKO活動で派遣された佐藤正久隊長の第一次部隊から、今般派遣される第二十九次派遣部隊の皆様の御労苦と御活躍に深く敬意を表すものであります。
外交・安全保障ほど現実的なアプローチが求められる分野はなく、我が国の安全や国際平和も、核廃絶のみを訴えればそれで済むというほど甘いものではありません。
政府は、昨年末に策定するはずであった新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画の策定を先送りしました。変化の激しい国際環境の中で、政府として安全保障の基本方針すら示せずにいるのは、基本的なリスク管理ができているのか、大いに不安にさせられます。政府としての国益上のねらい、戦略を分かりやすく具体的に国民に総理から御説明していただきたいと思います。
次に、外国人参政権についてお伺いいたします。
地方政治に拙速に外国人参政権を認めようとする動きが政府・民主党内にあることが報道されています。政府・民主党は、地域主権を唱えながら、地方の意見を聞かずに、他方で地方に外国人参政権を認めようとしています。先般、熊本県議会からも反対決議がなされていると思います。
これは、要するに、国の主権を拙速に外国人に与えようとしているということにほかならないんじゃないでしょうか。全く理解できません。もっと地方や国民の声を聞くべきです。この点について、総理の御見解と、連立与党として亀井大臣の御所見をお伺いいたします。
政府は、予算編成に際して事業仕分という手法を導入いたしました。透明、オープンな方法で客観的に評価するということはとても大事なことであります。その趣旨は分かりますが、手法には多くの疑問が残ります。仕分対象事業や仕分人の選定、仕分ける際の判断基準など、透明なプロセスという見せかけとは裏腹に、仕分ける側の政府に都合のいい非常に恣意的な手法が埋め込まれております。
そもそも、このような決算評価的なプロセスは、きちんと国会で、それも参議院が担うべきものではないでしょうか。参議院決算委員会で我々国会議員が与野党の垣根を越えて十分な審議を行い、その決算を基に予算編成をする。会社を経営した者としてはごく当然のことと思いますが、いかがでしょうか。総理にお伺いいたします。
最後にもう一点。これまで触れてまいりませんでしたが、民主党小沢幹事長の献金問題については、巷間言われている問題自体の深刻さもさることながら、それに対する民主党の対応は異常としか言いようがありません。このように深刻な疑惑になぜ政府や与党の皆さんの多くは口をつぐむんですか。なぜ批判をすることすらも許されないんですか。国会議員なのになぜ発言する自由すらないんですか。このように大事なときに発言することすらできない政治家や政党に国を任せて本当に大丈夫なんでしょうか。民主主義の根幹にかかわるこの問いを最後に総理にお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕