大串博志の発言 (本会議)

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○大串博志君 民主党の大串博志です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表しまして、一昨日の野田財務大臣の財政演説を受けましての質問を行わせていただきます。(拍手)
 まず、菅総理に対して、現在の日本の経済の状況、そして、それへの対応について、お考えをお尋ねしたいと思います。
 リーマン・ショック以降、世界各国においていろいろな対策がとられてきました。その結果、世界経済は、当初懸念された恐慌的状況に陥ることを免れ、今日に至っています。しかし、やはりその傷跡は大変大きいものであったと言わざるを得ません。先進諸国、すなわち、大きな経済におけるバブルの崩壊は長期的な経済低迷、デフレ的傾向に帰結するのではないかというおそれを今の世界経済は示すものとなっています。
 また、日本においては、少子化、人口減少、未曾有の需要不足、そして投資機会の不足という構造的な課題を抱え、国の経済社会制度そのものを見直していく必要性に迫られている段階に来ています。この深刻さに真正面から向き合い、外的環境の厳しい中で、さらに内的にもこのような構造的な問題を抱える日本経済を、これまでの延長線上ではない大胆な発想で、いかにつくり直して、立て直していくのかが問われています。
 このような状況下で、日本経済の短期、中期、長期の見通しをどう見ているのか、そして、それに対して、どのような改革を行い、どのような方向性に日本経済を引っ張っていこうとしているのか、総理のビジョンを述べていただければと思います。
 さらに、顕著に減速傾向を示す足元の景気動向への対応は、まさに待ったなしであります。先ほど述べましたように、先進国経済が低迷する様相を長引かせる中で、近い将来の景気の動向については、強い危機感を持って慎重な態度で臨んでいくべきだと思います。
 去る八月半ば以降に円高が急進し、経済減速傾向が明らかになって以降、政府は、八月末には九千二百億円規模の経済対策の方針を打ち出し、さらに、その一カ月強後の十月初めには約五兆円規模の経済対策を打ち出しました。一カ月半のうちに約六兆円に及ぶ経済対策を打ち出したわけであります。思い出してみても、二年前、リーマン・ショックが九月に発生した後、補正予算案が国会で議論され始めるまでに数カ月かかったことと比べると、相当程度迅速な動きであったと私は思います。
 私が述べたような危機感を政府も共有してくれていると理解していますが、今回の経済対策、補正予算案について、どのような考えでどのような対策としたのか、菅総理の思いを述べていただきたいというふうに思います。
 さらに、今回の経済対策を含む補正予算案は、現下の厳しい経済情勢のもとで、国民生活を緊急に支えるものであります。したがって、国会で熟議の上、できるだけ速やかに世の中に送り出し、執行していくべきものであります。
 いわゆるねじれ国会の中にあっては、本補正予算案は、国会の審議の中でも与野党の幅広い理解と支援を得られるようなものであってしかるべきものです。この点、どのような工夫や考え方が用いられたのか、野田財務大臣から御説明をいただきたいというふうに思います。
 さらに、円高の問題についてです。
 この数カ月間の円高への動きは相当に激しいものがあります。輸出産業を中心とする我が国産業に大きなマイナス影響を与えかねないものであります。確かに、ほかの準備通貨国・経済圏である米国あるいはユーロ圏がそれぞれの通貨の通貨安を受け入れているという見方のある中で、日本単独の為替市場での行動の効果が限られるということはあろうかとは思います。しかしながら、為替の変動が過度に激しい場合には、変動を抑制するという観点から果断な行動を日本単独でもとるべきだと思いますが、野田大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 あわせて、国際通貨体制についてお伺いします。
 中国が、世界第二位の経済大国として私たちの目の前にあらわれてきています。世界経済に大きな影響を与える存在です。しかしながら、中国においては、経済の世界における民主主義とも言える市場経済的な運営が完全にはなされていません。その大きな要素が為替です。世界第二位の経済大国が十分な柔軟性を欠く為替制度を維持しているという現実、これが世界経済にある種のインバランスをつくり出している可能性も否定できません。
 中国一国の問題というよりも、国際通貨体制全体について、新しい目線でそのあり方を考えるべきときに来ているのではないかと思いますが、野田財務大臣の所見をお伺いいたします。
 現在の日本経済の最大のリスクの一つは、長引くデフレです。これについて、先般、日本銀行は、実質のゼロ金利政策を明確化する決定を行いました。この点については、歓迎し、受けとめたいと思います。
 日本の長期化するデフレは、金融面の、マネタリーな現象であるのか、それとも、日本経済の需要不足に象徴されるような構造的な問題なのかという点の論争が長く闘わされてきました。そのどちらの立場をとるかによって、金融政策に対する態度が異なります。この論争には知的な興味を覚えますが、政策決定者の一人として考えるときの結論は一つです。すなわち、両方の可能性から対応をとるということであります。
 すなわち、構造的な需要不足に対応するために、日本経済社会の構造的な転換を含む改革を行っていかなければなりません。他方、マネタリーな要因であるという可能性に対応し、適時かつ果断な金融政策の実施を通じて、適度なインフレとそしてインフレ期待が生じるよう、金融政策の信頼性、そしてクレジビリティーを高めることが極めて重要であります。
 この点、目標を設定する政府、そしてそれに対しての完全なオペレーショナルインディペンデンシーを持つ中央銀行という、イギリス型の、政府と中央銀行との関係を前提としてのインフレーションターゲティング政策も、中央銀行に対する政治の圧力を排しつつ金融政策についての説明責任を高めていくという仕組みとして、一考に値すると思います。
 このようなマネタリーな面、構造面の双方から、デフレに対して本腰を入れた対応をとるということについての野田財務大臣の見解を求めます。
 次に、財政についての課題です。
 日本の財政が危機的な状況にあることは、だれの目にも明らかです。日本の財政の持続可能性をどのように確保していくか、この点は、党派を超えて、国民的な議論のもとに理解を得て、しかも、早急に具体化していかなければならない課題です。先般の参議院選挙においては消費税の議論が大きく取りざたされましたが、財政の持続可能性を考える際には、歳出、歳入の両面から取り組みを行っていかなければなりません。
 政府は、事業仕分けなどを通じて、これまでの政権ではなし得なかった、聖域なき歳出の見直しに取り組んでいます。さらに、先般、政府・与党社会保障改革検討本部を立ち上げ、また、その前に、民主党においては、税と社会保障の抜本改革調査会での議論を開始させ、国民にとっての真の安心をつくり出すために、抜本的な社会保障制度改革の取り組みを始めています。
 野田財務大臣にお尋ねします。
 今、政府は、六月に策定した財政運営戦略、中期財政フレームに基づいて中期的な財政運営を行うこととしていますが、そこから一歩踏み込んで、財政の持続可能性を確保していくための具体的なステップについてどのように考えているのか、社会保障制度改革を含めた歳出構造の改革をどう行っていくのか、税制を含めた歳入面での改革をどう行っていくのか、さらに、それを行っていく上で、当面の脆弱な経済状況、極めて深刻なものに対してどのようにバランスをとっていくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 以上、中期的、長期的な経済財政運営のあり方も踏まえながら、極めて厳しい足元の景気動向への対応などについてお尋ねしました。
 今回提案されている補正予算案は、今の景気を何とかしてほしいという国民の皆様の生活の中からの声にこたえるものであります。国会において大いに議論を尽くし、そして早期に国民の皆さんに生活の下支えをお届けできるよう私たち議員一人一人も取り組んでいくことの大切さを改めてこの場で申し述べて、私からの代表質問とさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

発言情報

speech_id: 117605254X00620101104_012

発言者: 大串博志

speaker_id: 33680

日付: 2010-11-04

院: 衆議院

会議名: 本会議