斉藤鉄夫の発言 (本会議)
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○斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫でございます。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました補正予算案に対し、菅総理に質問をいたします。(拍手)
総理、菅政権発足から二十兆円、民主党政権発足から四十二兆円、これは、この間失われた東証一部上場企業の時価総額、つまり、日本を代表する企業の失われた資産の総額です。民主党菅政権による政策不況でこれだけの損失を日本経済にもたらしながらも、まだあっけらかんとしている菅政権に対し、野党時代に民主党がおっしゃっていた、政権交代こそ最大の景気対策であるという言葉をそっくりそのままお返しいたします。
今、日本は劣化を始めています。そのリーダーシップを発揮しているのは、総理、あなたです。総理は、ことし七月の参議院選挙において、民主党内で議論されていなかった消費税増税論議を突如打ち出しました。そして、今国会冒頭の所信表明演説では熟議の国会と言いながら、またしても、民主党内で何の議論もなされていなかったTPP参加の検討を指示しました。民主党内は再び紛糾しています。安易なリーダーシップにより、党内はおろか日本国全体を混乱に陥れ、かえって建設的な議論を遠のかせてしまっていることに気がつかないのですか。
今月一日、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問するという、我が国主権にかかわる重大な事態が起こりました。九月二十七日の中ロ首脳会談以降、尖閣諸島の日中問題に歩調を合わせたかのように、同大統領が北方領土への訪問を明言しておりました。にもかかわらず、対中外交同様に腕をこまねき、大統領訪問を回避することができなかったのは、総理の重大な失策であると考えます。答弁を求めます。
鳩山前総理の迷走により混迷をきわめる普天間問題に端を発する日米のぎくしゃくした関係、尖閣諸島の問題での菅政権の幼稚な対応によって複雑化する日中関係、そのような日本の国際的威信の低下を見透かすかのようなロシア大統領の今回の訪問、これらの問題はつながっています。それをつなげているものは、民主党政権の定見と覚悟のなさであります。このように、国民は、この一年、劣化の一途をたどる日本の政治に不安を抱き始めています。総理の所感を求めます。
次に、政治と金の問題についてお尋ねします。
公明党は、今般の補正予算審議に当たり、小沢氏の証人喚問も含めて、説明責任を果たすよう求めてきました。
総理は、十月十三日の衆議院予算委員会において、公明党の石井政調会長の小沢氏証人喚問に関する質問に対し、場合によれば御本人の意向に沿わないでもこれをやらざるを得ないというときには党として判断していきたいと答弁されました。御本人の意向に沿わないでもと総理みずから言われたとおり、民主党代表として、小沢氏の証人喚問を行うことを決断し、説明責任を果たすよう指示すべきではありませんか。答弁を求めます。
次に、企業・団体献金の解禁について指摘をしておきたい。
特会の中で何が行われ、無駄、税金の浪費はないのか、政官業の癒着が制度の裏にあったかもしれない、そのことも議論いただきたい。総理、これは、先日の事業仕分け第三弾の冒頭、担当大臣によるあいさつです。しかし、その前日に、岡田幹事長は、その政官業の癒着の温床と指摘されてきた企業・団体献金の再開を決定しました。さまざまな課題について決定が先延ばしされる中、こういうことの決定は早いんですね。私はびっくりしました。
衆院選、参院選の両マニフェストにも企業・団体献金禁止を掲げ、総理自身、所信表明演説で年内に方針を取りまとめたいと明言したことを、よもやお忘れではないでしょうね。総理は公約に反しないと言われたと聞きます。しかし、だれが見ても公約に反しており、クリーンな政治に逆行しているではありませんか。
所信表明演説で、金のかからないクリーンな政治の実現、国民の強い要望です、私自身の政治活動の原点ですと高らかに宣言された総理の認識を改めて伺いたい。
いまだなされていない高速道路無料化、暫定税率の廃止、子ども手当もしかりです。いとも簡単に前言を撤回し、マニフェスト違反を繰り返す。そして、場当たり外交により日本の国際的地位を失墜させる。さらにその上に、政治と金の自浄能力のない民主党菅政権に国民の血税の使い方をゆだねることはできないと国民は思い始めております。
そのような民主党政権による補正予算案で、果たして景気浮揚や経済対策が成果を上げることができるのか、信頼に足る景気対策であるのか、国民、市場、そして世界はじっと見詰めているのです。
十月の月例経済報告によれば、景気はこのところ足踏み状態という下方修正がなされ、市場関係者や専門家の間からも、菅政権の経済運営による人災が一因ではないかといった声が上がっています。総理、年末を前に足踏み状態にある経済について、どうとらえ、どのように手を打とうとされているのか。
また、財務省、日本銀行は、九月十五日、日本単独による為替介入を実施しました。しかし、その後も一ドル八十円台を推移し、十月二十九日には一時一ドル八十円三十七銭まで上昇し、戦後最高に迫る高値水準をつけました。にもかかわらず、政府にも日銀にも、日本の産業と雇用を守るためには体を張ってでもできる限りのことをするという覚悟が見えてきません。政府、日銀の連携の悪さも世界に見透かされ、さらに円高が進む。とまらぬ円高に悲鳴を上げる製造業下請中小企業の苦悩が、総理、あなたにはわかっていないのですか。円高対策について総理の所見を伺いたい。
補正予算案の位置づけについて確認したいと思います。
今、日本の経済財政運営で必要なものは、一つはデフレ脱却、景気回復であり、二つ目に財政の健全化でございます。
デフレ脱却、景気回復に向けて、政府は六月に新成長戦略を策定しました。同じく財政健全化に向けては、財政運営戦略を発表しました。今回の補正予算案は、それ以降初めて提出されたものであり、いわば菅内閣の経済財政運営についてのグランドデザインと言えます。
今回の補正予算案は、政策の趣旨や規模において、その二つの柱を実現するにふさわしい予算案なのか、スローガンだけではないのか、総理、お答えください。
公明党は、八月三日の衆議院予算委員会で、追加的な経済対策の必要性について、財源も含めて提示いたしました。それから既に三カ月が経過しています。余りにも遅過ぎるのではありませんか、もっと早い時期に補正予算編成を指示すべきだったと反省されませんか。総理の答弁を求めます。
また、政府が経済対策をまとめ始めたころから既に円高は進行し、その上に、エコカー補助金などの経済対策効果が切れていくことは明々白々でありました。ちょうどそのころ、米国を初め国際経済の世界では、不況からの脱却に向けて大胆な金融緩和を始め、各国政府、中央銀行みずからが血眼になっている中で、菅内閣ののんきなこと。我々の忠告に耳を傾けませんでした。
そもそも、何のために臨時国会を十月上旬に開いたのでしょうか。開会と同時に補正予算を提出すべきだったのではないですか。
総理、残念ながら多くの国民は、菅内閣に、経済に対する危機感と、それを乗り越える確固たる経済政策があるのか、理念があるのかと、大いなる疑問を感じております。総理の答弁を求めます。
さて、平成二十二年度補正予算案について伺います。
今補正予算案のもととなる経済対策では、国費ベースで五・一兆円の規模となっています。しかしながら、実際には経済対策とはほど遠い、まさしく粉飾がなされていることをまずは指摘しておかなければなりません。
第一は、地方交付税一・三兆円であります。そもそも地方交付税は、昨年度及び今年度の増収に伴ういわば自然増であり、経済対策としてカウントすることが適当なのか、甚だ疑問であります。しかも、今年度活用分は三千億円であり、残りの一兆円は来年度予算に回されており、結局は来年度の地方財政計画の中に組み込まれるだけで、経済対策とは到底言えないのではありませんか。政府の資料でもあえて別掲で地方交付税を除いた数字を記しているのも、そうしたやましさがあるからでしょう。まさに、みずから粉飾であると公言しているようなものであります。
第二は、来年度予算の公共事業の契約の前倒し二千四百億円、いわゆるゼロ国債であります。結局は来年度当初予算の枠内で行う公共事業にすぎず、追加的な需要を生み出すものではありません。
このように考えれば、真正の補正予算の規模は、五・一兆円ではなく、四兆円にも満たないことになるのではありませんか。総理の答弁を求めます。
また、政策の一貫性に疑問を持つ施策も見受けられます。
例えば、我々が政権与党だったときの平成二十一年度第一次補正予算で盛り込んだ地域医療再生基金、これは、医療機能の強化や医師確保などの取り組みを支援するためのものですが、鳩山政権では、このうち七百五十億円を執行停止にし、多くの自治体で計画の変更を余儀なくされるなど、大混乱を招きました。しかし、今般の補正予算では、一たんみずから減らした基金を大幅に拡充しているのであります。それでは、昨年の執行停止と、それによる自治体の大混乱は一体何だったのでしょうか。
総理は執行停止の間違いをお認めになりますね。まさに、民主党政権の政策の一貫性のなさ、場当たり的な対応そのものではありませんか。総理の答弁を求めます。
さて、今回の事業仕分けにより、ジョブカードは廃止との判断が下されました。政府が六月に示した新成長戦略で、二〇二〇年までにカード取得者を三百万人にするとしていたにもかかわらず、たった四カ月で方針転換をしたのでしょうか。総理の答弁を求めます。
私たち公明党が九月二日に発表した緊急経済対策では、雇用対策に三千百二十五億円、地方の知恵を活用した需要創出に一兆二千億円の交付金の創設を提案しております。
しかし、今回の予算案では余りにも規模が小さ過ぎます。来春卒業する学生の三割がいまだ就職のめどが立っていないなどの雇用の現状を御存じないのか。一に雇用、二に雇用、三に雇用と言って総理になられた方が取りまとめたとはとても思えません。場当たり的な対策ばかりで、持続的に雇用を生み出す姿が全く示されておりません。菅総理、あなたは一体どのような方法で五十万人もの雇用を生み出そうとお考えか、お答えください。
また、中小企業対策について言えば、経済を成長させ、仕事を生み出すことが最重要課題であるにもかかわらず、ホチキス政策と巷間やゆされるように、各省からの寄せ集め政策集のような内容になっており、戦略も方向性もない。これでは民間からの投資を呼び込むことも困難です。どこに注力し需要をつくろうとしているのかわからない政策の予見性の欠如が今回も露呈した格好であります。
総理、あなたは、この国を一体どうしたいのか、どのようにして元気にしたいのか。雇用対策や中小企業対策に象徴されるように、この予算案で景気回復への責任を果たしていると総理は本当にお思いか。見解を求めます。
このたび提出された予算案は、いわば規模の小さい本予算のようなものであり、余りに総花的であります。緊急性を持って取り組んでいく角度が全く見えず、現在の厳しい経済状況、疲弊する現場の現状を認識しているとは到底言えません。
さまざまな問題が多様化する世の中であるからこそ、よりきめ細やかな政治の下支えが求められています。私たち公明党は、これからも、地域の皆様の切実な現場の声を敏感に感じ取りながら、全議員が一丸となって働いてまいることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕