稲津久の発言 (本会議)

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○稲津久君 私は、公明党を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
 この法案の質疑に入る前に、官房長官に一点お伺いをいたします。
 今回の中国漁船衝突事件の映像を流出させたと神戸海上保安部の航海士が告白した問題です。
 仙谷官房長官は、昨日の記者会見で、独自の領域の責任者がまず責任を持ってもらわないといけないとし、海上保安庁長官の責任は免れないとの考えを示したとの報道がありました。
 しかし、今回の漁船衝突事件やその後のビデオ公開対応を扱ったのは、官房長官、あなた自身ではないですか。菅総理も、昨日の予算委員会で、管理責任が不十分だったことについて最終的責任は私自身にも当然あると答弁をしております。
 官房長官、あなたは、結局、官僚のトップに責任をなすりつけて決着をつけるつもりですか。あなた御自身がまず責任をとるべきと考えます。明確にお答えください。
 さて、今回の給与法改正法案は、八月十日に人事院が勧告した平均年収マイナス一・五%を勧告どおり国会に提出されたものです。
 そもそも人事院勧告は、労働基本権を制約された公務員の勤務条件を決定するために導入され、代償措置としての役割を果たしてきましたが、その影響範囲は広く、直接的な勧告対象の国家公務員約三十万人だけではなく、国会、裁判所職員、自衛官も人事院勧告に準じた給与改定が行われ、非現業の地方公務員給与もほぼ準拠し、民間部門の一部でも給与決定の参考にされています。
 人事院において、団体交渉による給与決定に代替する基準とされているのが民間準拠です。精緻な官民の給与比較を行った上で勧告を行います。
 しかし、人事院勧告は、財政状況を考慮して出されているものではありません。団体交渉によって給与を決定する場合には、給与の支払い能力として財政事情を勘案しながら交渉が行われますが、人事院勧告作成に当たっては、財政的要素は考慮されません。
 また、人事院勧告は、民間準拠という性格上、給与実態調査を行った後で官民比較を行い出されるものであり、勧告が出される八月時点で既にタイムラグができ、実際に国会で審議を行うこの時期になりますとさらにタイムラグができてしまい、現時点での民間給与との間には少なからず差ができてしまうという性格を持っています。
 さらに、民間給与実態調査の結果は、全国平均的な数値になるため、民間給与の高い首都圏では民間以下、地方では民間以上となる傾向があります。二〇〇五年の地域手当導入により緩和がなされてきているものの、個別化、多様化が進む民間給与に比べれば、まだまだ画一性は残っていると言わざるを得ません。
 そこで、一九四八年に始まったこの人事院勧告制度、これまでさまざまな制度改正を行いながら存続してきたこの制度について、その意義と今後の課題について伺います。
 民主党政権は、昨年、衆議院選のマニフェストで、国家公務員の総人件費二割削減などを国民に約束しました。先般の代表選でも、菅総理は、人事院勧告を超えた削減を目指すと掲げました。
 しかし、結果的には、今回の給与法改正では、人事院勧告を超えた削減は行わず、国家公務員総人件費二割削減の方向性は全く示されていません。なぜ今回、給与改定で、人事院勧告以上のいわゆる深掘りをやらないのか。労働基本権の制約があるからできないとおっしゃるなら、そんなことはあらかじめわかっていた話であり、なぜ政権発足時点から準備を進めてこなかったのか。これでは、問題を先送りしただけとしか言えないのではないでしょうか。
 民主党マニフェストの国家公務員総人件費二割削減を目指す中で、今回の給与法改正はどのような位置づけになるのか、答弁を求めます。また、二割削減への明確なタイムスケジュールを示していただきたい。
 次に、自律的労使関係制度についてであります。
 人事院勧告制度は、労使関係において非常に重要である勤務条件の決定を、両者の参加を限定したまま行う制度とも言えます。確かに人事院は、使用者たる政府の意見も、労働者たる組合の意見も聞いています。
 しかし、それ以外にも、有識者や国民各層とも意見交換を行っており、労使の意見だけで勧告が作成されているわけではありません。これは、単なる労使交渉よりも広い視野で合理的判断に基づいて勧告をつくっていると評価することもできますが、労使の参加、とりわけ労働側の制度的参加という面では、労使交渉より劣るという意見もあります。参加の効用は、労使双方に給与決定当事者としての自覚を促し、労使の給与に対する責任を明確にできるという利点が挙げられます。
 今回の給与改定に関する閣議決定では、「次期通常国会に、自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図る」としています。これは、既に平成二十年に全会一致で成立した国家公務員制度改革基本法の第十二条「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とあることから、何ら目新しいものではなくて、政府として当然行わなければならないものであり、あえて閣議決定する必要があるのかと問いたくもなりますが、それをおいておいても、次期通常国会に法案を提出するというのであれば、既に議論を行った上で、ある程度その方向性なり中身が見えてきているからこそ、わざわざ閣議決定までなされたのではないかと理解いたしますが、いかがでしょうか。
 現時点での検討状況及び方向性をまずはお示しいただきたい。その上で、国民に開かれた制度にするためにどのような努力を行っていくのか、また、今後、労使交渉による給与改定が行われることになった場合、どのような効果があるのか、答弁を求めます。
 次に、公務員人件費削減のための措置について伺います。
 同じく、今回の閣議決定には、交渉を通じた給与改定が実現する前においても、人件費を削減するための措置について検討するとして、必要な法案を次期通常国会に順次提出するとしております。この人件費削減のための措置とは、具体的にどういった措置を示すのか、お示しをいただきたい。
 もしその措置の中にさらなる給与法の改正などが含まれているのであれば、そもそも今回の給与法改正が何だったのかが問われることになるのではないでしょうか。今回の改定が人事院勧告どおりに行われたのは、労働基本権が制約されている中でその代償措置としての勧告を無視することはできないから勧告どおりの改正案を出してきたのではないでしょうか。自己矛盾を起こしているとしか思えません。明快な答弁を求めます。
 都道府県や政令市など、人事委員会が置かれている地方公共団体は、人事院勧告の内容と地元企業との給与差を参考に勧告を行います。人事委員会の置かれていない団体は、国の取り扱いや都道府県の勧告を参考に具体的な給与改定方針を決定いたします。
 いずれも議会の議決で給与改正が行われますが、自治体財政が悪化する中、勧告とは別に、何年間で一律何割カット等を行っている地方自治体があると承知をしております。独自カットは、言うまでもなく、官民格差を理由として行われるわけでもなく、その理由は、自治体の財政難にあります。財政難の自治体では、かなり多くの自治体が行っているのではないでしょうか。
 国と自治体では財政の仕組みが違うので一概に比較はできませんが、国の借金は、一自治体の比較にならないほど膨大なのは事実であります。この点、どのように考えているのか伺います。
 最後に、公務員の人事管理について伺います。
 人事院による報告を読みますと、まだまだ超過勤務が広く行われている実態が改善されていないと見受けられます。これまでも、さまざまな指摘、議論がなされ、代休制度をうまく使うなどの工夫で実効性のあるものになるのではないかとの提案等もあったと思いますが、これまで、特にこの一、二年間で、具体的に何に取り組み、どういう成果があったのか、また、これからどのような取り組みを考えているのか伺います。
 また、超過勤務問題とも関連しますが、健康問題、特に心の問題について伺います。
 報告書を見ても、全職員に占める心の健康の問題による一カ月以上の長期休業者の割合が、平成八年度から十八年度にかけて〇・二一%から一・二八%と、約六倍にも増加しています。
 人事院でも、専門家による検討を行い、心の問題に係る「円滑な職場復帰及び再発の防止のための受入方針」を改定しました。ここにある多くの事例を見ても、これは公務員に限られたことではなく、一般の企業などでも十分起こり得ることでもあり、今般の社会情勢から見ても、こういった問題はふえてきているのが実態ではないでしょうか。その意味では、民間で行っている対策、成功事例なども参考にしながら対策を実施していくべきではないかと考えます。
 そこで、この十年間で六倍にも増加している原因は何と考えるのか、また、具体的に今後どのような対策を考えているのか、答弁を求めます。
 いずれにしても、今回の給与法改正は、菅総理みずから公約に掲げた人事院勧告以上の削減を実行することなく、結局、かけ声だけで終わり、勧告どおりの法案提出となりました。これは明らかに公約違反です。違反であれば、そのことを率直に認められて謝罪すべきではないでしょうか。
 みずからマニフェストに掲げた国家公務員の総人件費二割削減への具体的な方向性を全く示さず、今後検討し四年かけて実行するという答弁を繰り返し、問題をどんどん先送りする菅政権には、政権担当能力なしと訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣片山善博君登壇〕

発言情報

speech_id: 117605254X00720101111_022

発言者: 稲津久

speaker_id: 11884

日付: 2010-11-11

院: 衆議院

会議名: 本会議