松本龍の発言 (環境委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(松本龍君) おはようございます。
 環境大臣を拝命いたしました松本龍でございます。
 第百七十六回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。
 私は、以前、地球は先祖から受け継いだものではなく、未来の子供たちから預かっているものであるというアメリカ先住民の言葉を聞いたことがあります。私は、今の大人が子供たちのために何ができるかを第一に考えて環境大臣の職務を務める所存です。
 また、環境保全の視点を大胆に社会経済活動に織り込むことを通じて二十一世紀型の経済成長を実現するという考え方に立って、国益を保ちながら地球益、人類益の実現も図ってまいります。
 まず、目の前の最重要課題は、昨日から愛知県名古屋市で始まった生物多様性条約第十回締約国会議、COP10、いわゆる国連地球生きもの会議です。
 生物多様性については、生物多様性条約事務局が公表した地球規模生物多様性概況第三版において、このまま生物多様性の損失が続くと歯止めが利かなくなるおそれがあると指摘しているように、深刻な危機に直面しています。
 COP10では、世界各国が現下の深刻な生物多様性の状況を認識し、自然との共生という大きな目標に向けた機運をしっかりつくることが重要です。私は、議長として、COP10の成功に向けて最大限努力していく所存です。
 また、会議の成果を具体化する政策も実現してまいります。生物多様性の分野における国際貢献として、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォームの設立支援や、二次的自然環境の持続可能な利用に貢献するSATOYAMAイニシアティブを推進します。
 国内における生物多様性保全対策としては、生物多様性保全活動の促進等のための法案を今国会に提出しました。本法案の御審議をお願いしたいと考えています。また、国立公園など保護地域の拡大、野生鳥獣の管理の充実、希少な野生動植物の保護や外来種対策、動物愛護も推進します。
 地球温暖化については、IPCC第四次評価報告書において、世界平均気温の上昇のほとんどは人為起源の温室効果ガス濃度の増加によってもたらされた可能性が非常に高いとされているように、まさに待ったなしの喫緊の課題となっています。
 まずは、地球温暖化対策の第一歩として、京都議定書に定める二〇一二年までの六%削減目標を確実に達成する決意です。
 また、今国会に、すべての地球温暖化対策の基礎となる地球温暖化対策基本法案を提出しており、御審議をお願いしたいと考えています。
 我が国は、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的な枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提に温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに二五%削減し、さらに二〇五〇年までに八〇%削減する目標を表明しています。これらの中長期目標の達成に向け、ロードマップについては、国民各界各層の御意見を伺いつつ精査を行うとともに、削減努力をした者が報われる社会基盤の整備を進めます。
 その具体的な施策として、国内排出量取引制度については、先進的な技術開発や投資を促しつつ、公平で透明な排出削減の取組を求める制度の設計を進めてまいります。また、地球温暖化対策のための税については、来年度の実施に向けて、税制調査会を中心として議論を深めてまいります。
 国際交渉に関しては、次期枠組みの採択実現に向け、気候変動枠組条約第十六回締約国会議、COP16における交渉に尽力するとともに、我が国の企業の国際貢献が評価される仕組みの構築に努めます。
 菅総理は、今国会の所信表明演説において、菅内閣の重要政策課題は経済成長であると表明されました。環境省では、持続可能な社会づくりに向けた様々な取組を積極的に実施することにより、グリーンイノベーションの促進、世界に先駆けた物やサービスの提供等を実現してまいります。このような取組を通じて雇用を確保し、経済成長を牽引していく覚悟です。
 具体的には、民生部門での温暖化対策を促すため、低炭素機器等を対象としたエコリースを促進する事業や、家庭のエネルギー利用状況を診断し、具体的な削減行動に結び付ける事業を展開したいと考えています。また、再生可能エネルギーなど地球温暖化対策技術の開発、導入を促進します。
 我が国の優れた環境保全技術を活用して、アジアにおける持続可能な社会づくりに貢献すると同時に、日本企業がアジアの環境市場にこたえられるよう促していくことも必要です。このため、我が国の静脈産業や水ビジネスのアジアへの海外展開を積極的に支援します。
 私は、大量生産、大量消費、大量廃棄を基本とする社会の在り方に対して、昔から非常に懸念を持っていました。また、大量流通という社会の現状についても問題意識を持ってきました。私は、このような社会から脱却し、地産地消など地域における物やエネルギーの循環を基本とし、環境負荷の少ない持続可能な地域づくりやまちづくりを進めることが必要だと考えます。
 このための具体的な施策として、新しい低炭素社会基盤の集中整備を行っていきたいと考えています。また、優れた自然観光資源を保護しながら活用するエコツーリズムを通じて地域の活性化を図る事業を展開していきたいと考えています。
 資源効率が高く、環境負荷の少ない循環型社会の構築に向けた取組も必要です。このため、優良な静脈産業事業者の支援や、小型家電からのレアアースを含むレアメタルの回収を始めとするリサイクルの充実等により廃棄物の3Rを推進するとともに、廃棄物処理施設で発生する熱の利用等を進めます。また、引き続き不法投棄対策や浄化槽の整備等を推進します。
 人を大切にし、命を守ることは環境行政の基本的な使命です。私は、この考えを堅持し、安全、安心な生活を実現するための取組を引き続き着実に実行します。
 まず、公害健康被害対策にしっかりと取り組んでまいります。特に水俣病については、水俣病被害者救済特措法に基づく救済や和解協議に万全を期すと同時に、水俣病発生地域の人々が安心して暮らしていけるよう、福祉の充実やまちづくりに向けて取り組みます。あわせて、水俣病経験国として、国際的な水銀汚染の防止のため、水俣条約の実現を目指して国際的な議論をリードします。
 大気環境や水環境の保全に関しては、微小粒子状物質に関する総合的な対策の推進や地下水汚染の未然防止対策の在り方の検討、コベネフィットアプローチの途上国での推進に取り組みます。
 また、子供たちの健康を守るため、世界各国と協調して長期的かつ大規模な疫学調査を実施するとともに、包括的な化学物質対策の強化を推進します。
 このほか、さきの通常国会に提出している環境影響評価法の一部を改正する法律案についてもよろしくお取り計らいをお願いいたします。
 以上、当面の取組の一端を申し上げました。
 私は、一九九二年、リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議でセヴァン・スズキさんという十二歳の少女が、未来に生きる子供たちのため、そして、死に絶えようとしている無数の動物のために、会議に参加する大人たちに対して、どうやって直すのか分からないものを壊し続けるのはもうやめてくださいという言葉を投げかけたことに深く感銘を受けました。私も、未来に生きる子供たちのために大きな使命感と責任感を持って環境大臣の職務に全力を尽くしてまいります。
 委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願いいたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 117614006X00120101019_010

発言者: 松本龍

speaker_id: 7314

日付: 2010-10-19

院: 参議院

会議名: 環境委員会