菅直人の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(菅直人君) 小坂憲次議員にお答えを申し上げます。
まず、マニフェストについての御質問をいただきました。
〇九年の衆議院マニフェストについては、これからも実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。その中で財源などによってどうしてもできないものについては、その理由を国民の皆さんにしっかりとお伝えし、国民の皆さんの理解を得てまいりたい、このように考えております。
次に、消費税についてどうするのかという御質問をいただきました。
消費税を含む税制改革について超党派での国民的な議論が必要であるという私の考え方は、参議院の選挙の前から今日に至るまで一切ぶれておりません。一貫いたしております。
参議院選挙では超党派の議論を呼びかけましたが、そのことがすぐに消費税を引き上げるのではないかという誤解を招いたことは私は反省をいたしております。
消費税については、所信表明でも述べましたように、社会保障改革の全体像について議論をする中で消費税を含む税制全体の議論を一体的に行ってまいりたい、その中で野党の皆さんとも機会があれば共通の場で行ってまいりたいと、このように考えております。
次に、領海侵犯事案の対応についての御質問をいただきました。
危機管理に当たっては、国民の安全、安心を確保するため、内閣総理大臣の下で政府一体となって迅速かつ的確な対応をしなければならない、その姿勢で臨んでおりますし、今後も対応していく所存であります。他国の船舶が法令に違反して領海に進入した場合は、これを厳正に取り締まることは当然であります。海上における治安の維持は第一義的には海上保安庁の任務でありますが、自衛隊も警戒監視活動などにより海上保安庁と有機的な連携を図ることなどにより、これに対処をいたしております。
いずれにせよ、領海警備に万全を期し、我が国の領土を保全することは国の最重要な役割の一つであると、このように認識をいたしております。
次に、通常国会の運営について御質問をいただきました。
さきの通常国会の運営については、八月の臨時国会においても既に反省すべきところは反省してまいらなければならないということを私から表明をさせていただきました。至らざるところは率直に認め、今後、国会における丁寧な議論を追求し、野党の皆さんの御意見を誠実な姿勢で伺ってまいりたい、このように考えております。
補正予算や関連法案について御質問をいただきました。
経済の低迷が二十年余り続き、失業率が増加し、自殺や孤独死が増え、少子高齢化対策が遅れるなど、社会の閉塞感が深まっております。所信で述べたとおり、問題を先送りせず、経済成長を含む五つの課題に取り組み、次の世代にこうした問題を先送りしないで、残さないで解決していく、これが私の内閣の使命だと考えております。
現在検討している補正予算は、日本経済を本格的な回復軌道に乗せていくための第二段階の措置であり、国民生活に直結する課題であります。与野党間で意見交換を進め、合意を目指したいと考えており、与野党間での建設的な協議を期待をいたしております。
参議院議員定数削減について御質問をいただきました。
御指摘のとおり、民主党としては、衆議院比例定数八十議席削減とともに参議院議員定数の四十議席程度の削減を提案をいたしております。民主党としては、党として提案すべき具体的な内容の検討を行うこととしておりますが、もとより各党各会派それぞれの御意見、御提案があることは承知をいたしております。
参議院におきましては、この議員定数削減を含め一票の格差問題など、参議院選挙制度に関して議長の下で各党各会派での御協議が行われていることも承知をいたしております。参議院選挙制度に関しては、議長のリーダーシップの下で参議院議員各位の合意が得られる成案がまとまることを期待をいたしております。
憲法審査会等についての御質問をいただきました。
憲法の在り方については、まず我が党の中でしっかり議論をし、その上で、与野党間でしっかりと協議をして決めていくべきものと考えております。また、憲法審査会の始動の問題も同様な形で進めていくべきものと考えているところです。
政治主導の実現について御質問をいただきました。
政治主導は、昨年の政権交代のときに国民の皆様にお約束をした民主党政権の基本となる政策であり、菅内閣においても引き続きこれを推進していくことといたしております。政治主導による政府の政策決定を強力に推進するため、国家戦略局や行政刷新会議を法律上明確に位置付けるとともに、国家戦略局長など国会議員が就く政府内部のポストを新設することなどを内容とする政治主導確立法案をさきの通常国会に提出し、現在、継続審議の扱いとされているところであります。
政治主導確立法案については、今臨時国会において御審議の上、速やかに成立させていただけるよう政府として努力をしてまいりたいと、このように考えております。
来年度の子ども手当についての御質問をいただきました。
平成二十三年度以降の子ども手当については、財源を確保しつつ現行の一万三千円からの上積みを目指すことといたしており、今後、上乗せ部分について、現物サービスも含め、財源の在り方とともに平成二十三年度予算編成過程においてよく検討してまいりたいと思います。
米価の下落と土地改良事業についての御質問をいただきました。
二十二年産米の取引が昨年の当初価格よりも低い価格で開始されたことは承知をしております。米価の下落に対しては、米戸別所得補償モデル事業に参加されている方については農家の所得が補償されることとなると承知をいたしております。
一方、戸別所得補償制度の下支えとして不可欠な土地改良事業については、農業水利施設の全面的な改築、更新から、部分的な補修、補強による長寿命化対策に転換を図ることといたしております。このことにより、農業水利施設の老朽化等による災害・事故リスクの回避に加え、農地の排水対策や地すべり対策などに重点化して事業を着実に推進することを現在検討しているところであります。
高速道路無料化の財源についての御質問をいただきました。
高速道路の原則無料化は、マニフェストで述べているとおり、社会実験を通じて地域経済への効果、渋滞や環境への影響、他の交通機関への影響なども含め、無料化のメリット、デメリットを総合的に検証した上で段階的に進めていくことといたしております。従来からマニフェストの実現については無駄の削減や予算の見直しにより財源を捻出していくこととしており、高速道路無料化の財源につきましても、その進捗状況も見ながら引き続き検討してまいりたいと思います。
領土問題に関する戦略と対中外交に関する御質問をいただきました。
私が国民全体で取り組む主体的な外交を展開すべきと所信表明で述べたことについて、何かそのこと自体が無責任だというような趣旨の質問をいただきましたけれども、私は、外交も含めて国民主権の下では国民が全体として取り組むということは全く間違っていないと思います。そういった意味で、その外交を進めていく上で、もちろん専門家の皆さんの力を借りることは当然でありますけれども、何か国民全体で取り組む主体的な外交の展開そのものがおかしいという、私は小坂議員の意見には残念ながら同意はできません。
尖閣諸島について申し上げますと、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、領有権をめぐる問題はそもそも存在をいたしておりません。今回の事件は国内法に基づいて適切に対応、処理したものであります。政府としては、尖閣諸島に関する我が国の一貫した立場に基づき、従来から尖閣諸島付近海域において厳正かつ適切な警備を実施しており、引き続き万全の体制で警備に当たる考えであります。また、このような我が国の立場に対する正しい理解が国内外で得られるよう、引き続き適切に取り組んでいく考えであります。
いずれにせよ、日中関係全般については、アジア太平洋地域の平和と繁栄、経済分野での協力関係の進展を含め、大局的観点から戦略的互恵関係を深める日中双方の努力が不可欠と考えております。先日のASEMの際の温家宝総理との懇談でも、戦略的互恵関係を推進していくということで意見が一致しました。かわし外交とかその場しのぎ外交という指摘は全く当たらないと考えております。
被疑者釈放の方針決定の適否についての御質問をいただきました。
本件の被疑者の釈放については、検察当局が、被害が軽微であること、犯行の計画性がないこと、初犯であることなどの事件の性質に加え、我が国国民への影響、今後の日中関係などその他の諸般の事情等を総合的に考慮した上で、国内法に基づいて粛々と判断を行われた結果だと承知をいたしております。
衝突時のビデオを見なかったことについての御質問をいただきました。
衝突事件については、海上保安庁からビデオ等により説明を受けた官房長官及び国土交通大臣から随時報告を受けており、必要なことについては把握しておりまして、衆議院でも申し上げましたように、私自身はビデオは見ておりません。
温家宝総理との懇談と邦人拘束事案についての質問をいただきました。
温家宝総理との懇談においては、まず第一に尖閣諸島は我が国固有の領土であって領土問題は存在していないという原則的な立場を述べた上で、日中関係の現状は望ましいものではなく、また六月に私が総理に就任した後、胡錦濤国家主席との会談で一致した戦略的互恵関係を進展させるという原点に戻ること、そしてハイレベル交流及び民間交流を行っていくこと、こういったことをお話をいたしまして、この戦略的互恵関係を進展させるという原点に戻ることやハイレベルの交流及び民間交流を行っていくことについて意見が一致したところであります。外交上のやり取りの細かい部分については、これは外交という面で差し控えたいと思っております。
いずれにせよ、引き続き中国側に対し、いまだ釈放されていない一名の方の身柄の安全確保とともに人道的観点からの迅速な処理を求めているところであります。
所信表明で述べたとおり、私の内閣では重要政策課題の一つとして主体的な外交の展開を掲げております。このような考え方の下、国民の生命を守るべく、主体的な外交を進めていく考えであります。
北方領土について御質問をいただきました。
メドベージェフ大統領の北方領土訪問については、現時点で具体的な計画は明らかにされていないと承知をいたしております。また、我が国の立場はしかるべくロシア側に伝えているところであります。いずれにせよ、北方領土問題については、引き続き強い意思を持って首脳レベルで粘り強く交渉し、前進を図っていくことが重要だと考えております。
普天間飛行場移設問題及びグアム移転に関する質問についてお答えします。
私の内閣が発足して以来、二度にわたる首脳会談を経て、オバマ大統領との間の信頼関係は深まってきていると認識しております。日米安保体制が揺らいでいるとの御指摘は全く当たりません。
普天間飛行場の移設問題については、本年五月の日米合意を踏まえて取り組むと同時に、沖縄に集中した基地負担の軽減にも全力を挙げて取り組んでまいっております。
グアム移転については、二〇〇六年五月のロードマップに基づき進められており、その経費の負担については、インフラ整備のための我が国の分担は七・四億ドルの融資等であるということについて変更はありません。
検察の再建についての質問をいただきました。
今回の検察をめぐる証拠改ざんなどの一連の事態については極めて遺憾であると考えております。これについては、最高検察庁が既に捜査、検証を開始しており、法務大臣の下でも、第三者による会議を設けて検察の在り方等に関する検討を行うことになっていると承知をいたしております。検察に対する信頼回復のため、幅広い観点から検討が行われ、それを踏まえた適切な対応がなされるべきと考えております。
小沢氏の起訴への民主党の対応に関する御質問にお答えします。
まず、小沢議員の国会における説明の件につきましては、国会に関することですので、国会で御議論、御決定いただくべきものと考えております。なお、小沢議員御本人も説明責任を果たしていくと表明されていますので、司法手続に入っていること等を踏まえつつ、説明の場、方法を含めて御本人が自ら判断し、対応されることが望ましいと考えております。
また、民主党としての対応についてお尋ねがありましたが、議員が検察審査議決で強制起訴されるケースは今回初めてであることも踏まえながら、幹事長が検討を行っているところであります。
公共事業について御質問をいただきました。
公共事業については、国民にとって本当に必要なものかどうかを見極め、真に必要なインフラ整備については戦略的に進めることが必要だと考えております。私が九月の二十七日に指示をした経済対策ステップツーでは、地域活性化、社会資本整備、中小企業対策を五つの柱の一つとして位置付けており、補正予算においては、地域経済の活性化や国民生活の安定、安心に真に役立つ社会資本整備を行っていくことを決めているところであります。
戸別所得補償制度の財源に関する質問にお答えします。
二十三年度概算要求を行っている戸別所得補償制度など、農林漁業者への直接支払に必要な予算として計上している約一兆円の財源については、農林水産省において行政事業レビュー等による百七十七事業の廃止等を行うことにより捻出したものと承知をいたしております。新たな財源を必要とするものではないと理解をいたしております。
鹿野農水大臣の発言については、国内農業・農村の振興が必要であるという観点からなされているものと理解をいたしております。
経済の現状認識と円高への対応、また、九月の経済対策は第三の道を修正したものかという御質問についてお答えをいたします。
我が国の景気については、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあると認識をしております。為替相場の過度の変動は、経済、金融の安定への悪影響から看過できない問題であります。引き続き、為替の動向については注視していくとともに、必要なときには断固たる処置をとってまいりたいと思っております。
また、第二の道についての御指摘がありましたが、私が所信でも述べたのは、需要が不足している中で供給側が幾らコスト削減に努める取組をしても、ますますデフレが進み景気が回復をしないという趣旨を申し上げ、必要な規制改革は当然のことですが進めるべきだと考えております。
そして、私が主張している第三の道は、潜在需要が存在する分野での需要と雇用の創出や、生産性向上に寄与する規制・制度改革等により、需要サイドと供給サイドの両面の好循環を目指す政策でありまして、新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策はまさにそうした観点から取りまとめたものであります。
そういった点で、第二の道というのが、小泉政権時代にデフレ下にあるにもかかわらず、デフレを促進するようなデフレ政策を進めたことについては間違いであったという認識は今も変わっておりませんし、この議場におられる多くの皆さんもそう認識をされているのではないでしょうか。
中小企業への支援策についての御質問をいただきました。
中小企業は、急激な円高やデフレ状況の下で厳しい環境に置かれているものと認識しています。このため、第二段階の経済対策において、地域活性化、社会資本整備と中小企業対策を柱の一つに据えて中小企業に対する支援策をしっかりと検討するよう指示をいたしております。
中小企業金融円滑化法を延長するかどうかについては、経済情勢や中小企業等の資金繰り、金融機関の取組状況等を勘案し、総合的に検討してまいります。なお、同法は、中小企業の民間金融機関からの借入れについて、公的金融機関を利用している場合であっても対象といたしております。
科学技術振興についての御質問をいただきました。
科学技術について小坂議員からもお触れをいただきましたが、昨日、鈴木章先生、根岸英一先生のお二人が日本人としてこのノーベル化学賞を受賞されたという大変うれしいニュースがあり、私から鈴木章先生には電話が通じましたので、そのお祝いを申し上げたことも触れておきたいと思います。
科学技術振興は大切な政策分野であります。私の内閣で六月に取りまとめた新成長戦略では、科学技術を成長を支えるプラットフォームとして位置付け、二〇二〇年度までに官民合わせた研究開発投資をGDP比の四%以上にするとするなど、科学技術を成長のかぎとして必要な投資を行うことといたしております。
さらに、従来の科学技術予算における各省縦割りの打破の試み、科学・技術重要施策アクション・プランの作成など、科学技術関係の予算の編成プロセスの改革にも併せて取り組んでいるところであります。
補正と来年度予算の編成に当たっては、新成長戦略を踏まえ、中長期的な視野に立ち、質の高い科学技術予算の充実に努めてまいりたいと考えております。
雇用対策と財政支出についての御質問をいただきました。
所信でも申し上げましたように、単なる失業対策ではなくて、医療・介護・子育てサービス、環境分野といった潜在的な需要のある分野をターゲットに雇用を増すことが重要であるということを申し上げております。そのため、新成長戦略の実行により、成長分野における自律的雇用機会の創出に取り組んでいるところであります。
そのためには、規制・制度改革といったお金の掛からない政策のほか、一定の財政支出を伴う政策も必要であります。財政健全化も重要な課題であり、無駄削減や予算の組替えにより財源を確保しつつ、雇用・需要創出効果の高い事業に財源を振り向けてまいりたい、このように考えているところであります。
最後に、解散・総選挙を行うべきとの御質問をいただきました。
解散・総選挙に関する件については、衆議院の任期はあと三年あり、国民の政権交代に対する期待にこたえるために、また、現下の景気・経済・雇用情勢に迅速、的確に対応してまいるために、この間、全力を挙げてやっていく決意であります。したがいまして、解散・総選挙については全く考えておりません。
内外の課題を解決していくため、小坂議員を先頭とされる参議院自民党、そしてここにおられる全参議院議員の各位の皆さんに御協力を切に求めるものであります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣仙谷由人君登壇、拍手〕