近藤駿介の発言 (科学技術・イノベーション推進特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○近藤参考人 おはようございます。
 本日は、私どもに発言の機会を与えていただきましたこと、感謝申し上げます。
 本年三月十一日、三陸沖を震源地とするマグニチュード九・〇の巨大地震が発生いたしまして、東北地方沿岸部を中心に広い地域を巨大な津波が襲い、多くの貴重な命が失われました。犠牲者の方々に心からの哀悼の意をささげたいと思います。
 また、東京電力福島第一原子力発電所の一号機から三号機は、サイトを襲った津波が想定をはるかに超えるものであったために、熱の最終逃がし場を失い、大量の放射性物質を放出するに至りました。
 原子力災害特別措置法十条、第十五条の通報を受けた政府は、直ちに原子力災害対策本部を立ち上げ、原子力発電所周辺に避難地域や屋内退避地域を設定し、周辺住民の皆様に避難や屋内退避をお願いいたしました。また、実際に放射性物質が周辺各地で検出されたことを踏まえて、そのレベルに応じて、さらに広範な地域で放射線安全の観点からの取り組み、御協力をお願いしていると承知しております。
 原子力委員会は、原子力政策の一環として、原子力災害の防止の取り組み、万一の重大事故の際に備えての原子力防災計画の取り組み、そして原子力損害賠償制度を整備、充実することを関係各省に求めた上で、原子力施設を国民生活の水準向上に寄与するものとして、立地地域の皆様がこれと共生できる条件を整備することを重要施策としてまいりましたので、それにもかかわらず、この事故が発生し、国民の皆様、とりわけ発電所周辺に居住されているゆえに避難された皆様、屋内退避を強いられた皆様、農産物等の生産者の皆様が不安の最中にあり、また避難所で大変不便な生活を強いられておるなど、甚大な被害をこうむっておられることについては、まことに申しわけなく存じ、深刻に受けとめている次第でございます。
 また、私個人としまして、若いときから研究者として、政府におけるこうした制度の整備のお手伝いをしてまいりましたが、そうした仕組みが今日、到底十分なものとは言いがたい、十分に機能しているとは言いがたいことに関しまして、みずからの至らなさを思い知らされ、深くおわびの気持ちを持っている次第でございます。
 さて、原子力委員会は、皆様御存じのとおり、政府の原子力災害対策本部に法律上の位置づけはございませんが、事故発生以来、こうした不安と不便の最中にある多数の皆様の御苦労と御心痛を片時も忘れることなく、この災害対策本部の事故の収束に向けての取り組み、及び避難、屋内退避に伴って不安、不便をおかけしている皆様に、放射線安全を第一に、生活基盤を確保していくことについての適切な措置が講ぜられるよう、できるだけ多くの内外の知見と専門家に寄与していただくことに対して努力をしてきた次第でございます。
 同時に、現在も他の地域においては、余震が続く中、原子力発電所が運転を続けているわけでございますから、こうした地域の皆様の不安にも思いをはせる必要がございます。
 そこで、先般、政府が、たとえそれぞれの発電所が想定を超える津波に襲われたとしても大きな被害を発生しないで済む備えを緊急に用意するべきとの観点から、いわゆる緊急安全対策を取りまとめ、事業者においてこれを速やかに実施することを求めた際に、私どもとしましては、もちろん所掌は原子力安全委員会でございますが、それにもかかわらず、この取り組みを重要とし、関係者がこの取り組みを的確に行い、さらにその内容の妥当性を立地地域社会の皆様に丁寧にきちんと御説明していくことが大事であると、原子力安全・保安院並びに事業者にお願いをしたところでございます。
 ところで、皆様御承知のとおり、原子力基本法は、原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨とし、民主的な運営のもとに、自主的にこれを行うものとして、その成果を公開し、進んで国際協力に資することとした上で、原子力委員会に対して、これを通じて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することという目的を達成するために、政府が計画的に取り組むべき施策を決定する責任を課してございます。
 そこで、この責任を果たすために、原子力委員会は、この施策の基本的考え方を二〇〇五年に、平成十七年でしょうか、原子力政策大綱に定めました。
 この大綱の要点を申し上げますと、第一には、安全性、核不拡散、そして核セキュリティーを確保しつつ、国民の理解と協力を得ながら、原子力発電及び放射線が国民生活の水準向上に効果的に利用されるよう、安全規制、核物質に係る保障措置、核セキュリティーに関するリスク管理を徹底しつつ、人材育成、国民との対話と相互理解活動、関連産業体制の整備、核燃料サイクル及び放射性廃棄物の管理に至る諸活動を、原子力発電に関しましては、二〇三〇年以降も発電電力量の三〇ないし四〇%以上を担うことを目指して、体系的にかつ計画的に進めるべしということでございます。
 このうち、原子力防災を含む原子力安全規制に係る取り組みは、原子力安全委員会の所掌するところですので、私どもとしましては、しかしながら、この取り組みにおけるリスク管理の徹底が原子力利用の前提であるとして、その重要性を強調してきたところでございますが、それにもかかわらず今日の事態が発生しているのですから、その要請が不十分であったことを深く反省しているところでございます。
 第二は、研究開発の取り組みについて、第一に、現在利用されている軽水炉とその燃料サイクル技術、並びに学術研究から産業活動にまで多方面に利用されている多種多様な放射線発生装置の利用に関して、安全を確保しながら、より効果的、効率的な取り組みをなされるべくの、いわゆる短期的視点に立った取り組み、研究開発、それから第二に、現在利用されているこれらの装置がいずれ陳腐化するに違いないと考えて、これらを置きかえるための原子炉、例えば高速増殖炉やその燃料サイクル技術、そして粒子加速器等を用意するためのいわば中期的観点に立った研究開発、そして第三に、核融合に代表される革新的なエネルギー技術あるいは革新的な放射線発生装置、利用装置の実現可能性を探索するいわば長期的観点に立った取り組み、この三つの取り組みを適切な資源配分のもとで並行して推進するべしというものでございます。
 第三は、近年、各国においてエネルギー安全保障、地球温暖化対策が緊要な課題となっておりまして、再生可能エネルギー、原子力発電、二酸化炭素回収、貯蔵技術に関する研究開発や導入の取り組みが活発に進められておりますので、各国における原子力利用の取り組みが安全性、核不拡散、核セキュリティーを高い水準で確保しつつ推進されるよう共同するとともに、共有する短期的、中期的、長期的課題を解決するための多国間あるいは国際機関を通じての取り組みを積極的に推進するべしというものでございます。
 こうした内容を含みます大綱を定めましてから五年が経過いたしましたので、委員会は、昨年末から、今後十年を見据えた新しい原子力政策大綱を策定すべきかと考えまして、その検討を開始しましたが、福島原子力発電所の事故を受けまして、この四月、検討を中断することにいたしました。
 私どもといたしましては、当面は、まずはこの事故の収束への取り組み及び避難されている人々の暮らしの確立の取り組み、そして、その後の環境回復、必ず再び住める土地とするためのさまざまな取り組みに関係者が全力を注ぐこと、あわせて、我が国の電力供給のある割合を担っている原子力発電について、これが周辺住民の皆様の御理解を得つつ運転を継続できるよう、さきに触れました緊急安全対策の的確な実施と、さらに原子力施設をこの事故の教訓を踏まえてリスク管理の観点から十分なものにしていくこと、そして、これらの取り組みを進めるためには、これまでにも増して志の高い人材と知恵が必要でございますから、そうした人材の確保と関連する研究開発活動を充実する取り組みが的確になされるよう、政府に対して施策をお示ししていく所存でございます。
 また、今後の原子力発電の取り組みを考える場合、広範にわたる莫大な被害の発生に加えて、膨大な量の放射性廃棄物が発生しておりますし、まだ今後も発生し続けると考えられますので、この取り扱いに関しましては新しい考え方が必要ではないかと考えておりますし、さらには、今後、政府において、事故の根本原因分析を踏まえた我が国の原子力安全確保への新しい取り組みに向けた総括と提案の作業も、時宜を失せず行われると考えております。
 したがって、私どもは、こうした三・一一以後の我が国の原子力発電のあり方についての基本方針は、こうした取り組みを踏まえて検討なされるべきと考えております。
 私からは以上です。御清聴ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 117703910X00320110426_008

発言者: 近藤駿介

speaker_id: 31635

日付: 2011-04-26

院: 衆議院

会議名: 科学技術・イノベーション推進特別委員会