江田五月の発言 (法務委員会)

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○江田国務大臣 このたび、法務大臣に就任いたしました江田五月です。どうぞよろしくお願いします。
 法の支配が行き渡り、だれもが個人として尊重される社会の確立は、国民が安心して生活するため、そして菅内閣が目指す元気な日本の復活のための最も基礎的な土台というべきものです。法秩序の維持と国民の権利擁護を主たる任務とする法務行政は、そのような社会の実現のために中心的な役割を担っています。
 私は、この重責を果たすため、法務行政の諸課題に正面から取り組みます。そして、優先度を意識しつつ、スピード感を持って政策判断を行います。もちろん、拙速に過ぎたり、独断で進めていくつもりはありません。国民の皆様からのさまざまな御意見、国会等での御議論、関係各方面の御見解などを虚心坦懐にお聞きします。そして、省内での検討、政務三役の協議などを経た上で、法務大臣として、責任を持って政策判断を行ってまいります。
 亡き父から受け継いだ私の座右の銘は、「もともと地上に道はない。みんなが歩けば道になる。」という言葉です。つまり、道は一人でつくるものではありません。歩むべき方向について、みんなで話し合い、支え合いながら道を探り、その実現に向かってみんなで歩むことによって道ができるのです。委員の皆様方には、委員会審議などを通じて忌憚のない御意見を賜りたいと思います。
 所信の一端として、まず、検察について申し上げます。
 先般の大阪地検特捜部における一連の事態により、検察に対する国民の信頼は失墜したと言わざるを得ません。刑事司法のかなめというべき検察がその使命を的確に果たすためには、国民からの信頼が不可欠であり、まことに深刻な状況です。
 この問題については、私のもとに設置している検察の在り方検討会議において、幅広い観点から抜本的な議論、検討を進めていただいております。そして、本年度内をめどとして、検察のあり方に関する有効な改革策等についての御提言をいただくこととしており、これを踏まえた上で、検察の信頼回復のため、真に国民の皆様に納得していただけるような改革策を講じ、検察の再生に取り組んでまいります。
 さて、多岐にわたる法務行政の中で特に私が精力的に取り組みたいことは、まず、検察の信頼回復のためにも避けられない被疑者取り調べの可視化、さらに、長年の懸案であった新たな人権救済機関の設置といわゆる個人通報制度の導入のための体制整備です。
 録音、録画による被疑者取り調べの可視化については、政務三役を中心とする省内の勉強会を設けて、着実に実現に向けた取り組みを進めています。現在は、昨年六月に取りまとめた中間報告を踏まえ、国内外の幅広い調査を実施するとともに、これに並行して可視化の具体的なあり方についての検討を精力的に進めるなど、取り組みをスピードアップさせているところです。今後、国家公安委員会との協議なども行いながら、本年六月以降のできるだけ早い時期に勉強会としての取りまとめを行うこととしています。
 政府からの独立性を有する新たな人権救済機関については、現在、その創設に向け、具体的な制度のあり方について検討を行っており、これを着実に前進させてまいります。それとともに、現在行っている人権侵犯事件の調査・救済活動を適正に実施し、また、効果的な人権啓発活動も行ってまいります。
 人権諸条約に基づく個人通報制度を導入することは、国際社会に向かって国を開くという点でも意義のあることです。今後、その導入を見据え、通報事案への具体的対応のあり方や体制整備等について、関係府省とともに検討を進めてまいります。法相就任時の総理指示の一つであるハーグ条約加入の是非の検討も、着実に進めます。
 国民一人一人が自信を持って生活し、元気な日本を取り戻していくためには、その前提として、国民が犯罪に遭うリスクをできるだけ小さくし、暮らしの安全、安心を確保することが必要です。
 犯罪対策の中で、刑務所から出所した者などの再犯を防止することは非常に重要な課題です。そこで、政府の新成長戦略にも掲げる刑務所出所者等に対する社会復帰支援事業をさらに推進してまいります。
 具体的には、まず、刑務所等での改善指導や職業訓練等、保護観察中のプログラム等を一層効果的なものにするなど、処遇や教育を充実させてまいります。また、そのための体制整備として、刑務所等の施設整備、保護司の方々に対する支援の拡充を進め、刑の一部の執行猶予制度の導入などを内容とする法整備についても検討してまいります。
 社会復帰支援の中で特に重要なのは、刑務所出所者等の居場所と出番、つまり、就労先や帰住先などの生活基盤を確保して、社会のきずなを強くすることです。犯罪対策閣僚会議のもとに設置された再犯防止対策ワーキングチームにより、関係府省との協力関係を密にするとともに、社会全体で一人一人を支えるという新しい公共の観点から、民間や地域社会との連携を強化していきます。
 いわゆるサイバー犯罪は既に社会問題となっており、また、暴力団等による悪質、巧妙な強制執行妨害事犯も予断を許さない状況です。そこで、これらの犯罪に適切に対処するとともに、既に国会承認されたサイバー犯罪に関する条約を締結するために必要な法整備として、情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(仮称)を今国会に提出する予定です。
 国際テロについては、調査を一層充実することにより、その防止に努めます。北朝鮮関係については、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。また、オウム真理教については、団体規制法に基づく観察処分を適正かつ厳格に実施することにより、公共の安全の確保に努めます。
 国民主権の理念に従い、国民にとって、より身近でより利用しやすい司法を目指した司法制度改革は、各制度の実施段階に入っています。今後は、その運用状況を見定めながら、さらに制度の成熟に向けて努力してまいります。
 新たに導入した法曹養成制度については、各方面からさまざまな問題点が指摘されており、広く制度のあり方全体について検討を開始する必要があります。そこで、現在、文部科学省を初めとする関係府省とともに、そのためのフォーラムを設置する準備を進めています。
 なお、司法の中核を担う裁判所の体制の充実強化を図るため、判事の増員を内容とした裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を今国会に提出しています。
 裁判員制度については、裁判員の方々の誠実な取り組みにより、国民の間に定着しつつあります。引き続きこの制度が国民の御理解を得ながら円滑に実施されるよう、関係機関とともに尽力してまいります。また、裁判員制度等を通じて、法や司法に対する国民の理解が深まっており、今後は、未来を担う子供たちへの法教育についても積極的に推進してまいります。
 日本司法支援センター、愛称法テラスは、国民に対する法的支援の中心的機関として、次第に社会に根づきつつあります。とりわけ民事法律扶助業務は、厳しい経済雇用情勢の中で社会のセーフティーネットとしての重要性を増していますし、国選弁護等関連業務は、刑事手続の適正を担保するため的確な対応が必要とされています。このため、法テラスの業務体制の一層の拡充に努めてまいります。
 民事基本法は、国民生活の法的基盤であり、最も身近な法律と言っても過言ではありません。そのため、安定性も重視しながら、社会情勢や国民の意識の変化等に対応し、必要な見直しも行わなければなりません。
 このところ、親などによる児童虐待が多発し、深刻な社会問題となっています。そこで、その防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設することなどを内容とする民法等の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定です。
 また、非訟事件と家事事件の手続を、国民にとって利用しやすく、現代社会に適合したものにするなどの法整備を行うため、非訟事件手続法案(仮称)、家事事件手続法案(仮称)とそれらの整備法についても、今国会に提出する予定です。
 さらに、参議院において継続審議中の民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案につきましても、速やかに成立させていただきますよう、お願いいたします。
 現在、法制審議会においては、民法の債権関係及び会社法制について、それぞれ見直しに向けた審議が行われています。今後、それらの審議結果を踏まえて必要な法整備等を行ってまいります。
 登記事務に関しては、国民の皆様の利便性を高めるため、登記のオンライン申請システムの使い勝手を向上させます。また、全国の登記所備えつけ地図の整備にも積極的に取り組んでまいります。
 平成二十二年に我が国を訪れた外国人の数は、過去最高となりました。人材交流の促進と円滑化は、菅内閣が進める平成の開国の柱の一つであり、日本が国際社会で役割を果たしていくために不可欠の課題です。
 このような観点から、これまでも、新成長戦略にのっとり、観光立国の推進の観点から、円滑な出入国管理を進めてまいりましたし、国際医療交流の観点から、我が国に長期間滞在して医療を受ける外国人の在留資格を明確化するなどの措置を講じてきました。今後とも、より一層円滑な出入国管理を実現していくとともに、優秀な海外人材を日本に招き入れるため、出入国管理上の優遇措置を講ずるポイント制導入の準備などを進めてまいります。
 他方、バイオメトリクスを活用した厳正な入国審査の実施を続け、違法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止し、退去強制事由に該当する者についても一層の減少に努めてまいります。
 難民認定申請については、申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行いつつ、一層の処理期間の短縮に努め、難民調査官の育成や国際情勢等に関する情報収集を強化します。また、第三国定住のパイロットケースとしての難民受け入れも、今後とも円滑な実施に努めてまいります。
 国際貢献に関しては、現在、国際連合と協力し、我が国と関係の深いアジアの国々等の刑事司法実務家を対象とする国際研修等を行い、また、それらの国々の基本法令の起草や法律家の人材育成等を柱とする法制度整備の支援も行っています。これらの交流は、各国における法の支配の実現に貢献するものであり、我が国の法制度や社会を深く理解した人材も育っているので、引き続きこうした取り組みを促進してまいります。
 以上、所信の一端を述べさせていただきました。
 国民の皆様が安心してこの国に暮らす幸せを実感していただけるよう、今後とも、法務大臣として、小川副大臣、黒岩大臣政務官とともに全力を尽くします。
 委員長を初め委員の皆様方には、いつも法務行政の運営に格別の御尽力を賜っています。今後とも、より一層の御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

発言情報

speech_id: 117705206X00120110222_007

発言者: 江田五月

speaker_id: 17067

日付: 2011-02-22

院: 衆議院

会議名: 法務委員会