田村憲久の発言 (本会議)
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○田村憲久君 自由民主党・無所属の会を代表して、平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案に対する質疑をいたします。(拍手)
まず冒頭に、一昨日、ニュージーランドのクライストチャーチで発生した地震で被災された皆様方には、心からお見舞いを申し上げ、また、一刻も早い救出をお祈り申し上げます。
さて、子ども手当は、言うまでもなく、民主党の衆議院選挙マニフェストの目玉政策です。この国民との重い約束をほごにし、二十二年度に引き続き二十三年度までも一年間の時限立法で行うことは、子ども手当の継続性が疑われるばかりか、国民との約束などただの選挙目当てとの民主党の姿勢が見てとれます。マニフェストにおいては、半額支給の昨年はともかく、二十三年度からは満額の予定であり、単年度にする理由など何もないはずです。
なぜ、再び時限立法として提出されるのか、納得のいく御説明をお願い申し上げます。
二十二年度の子ども手当法案でも、財源確保は大きな議論の一つでした。まさか、二年連続で税収より多い四十四兆円を超える新規国債を発行し、格付機関より国債の格下げがなされる中、財源不足にもかかわらず、三歳未満の手当を増額、昨年を大幅に上回る二兆九千億円を給付するとは、あいた口がふさがりません。
当然、無責任なばらまき政策の菅内閣支持率はついに二〇%を割り、さすがに菅総理も、これではいかぬと、マニフェストにもない消費税増税に言及されています。これに対し、同僚である原口前総務大臣からは、月刊誌で、菅内閣は赤い増税内閣と倒閣宣言される始末です。さらに、小沢シンパの十六名の民主党会派離脱宣言、さらには昨日の松木農林水産大臣政務官の辞任表明などは、身内からのレッドカードも同然です。
ハトからサギにかわった口先だけのサギフェスト政権にけじめをつけるために、何より日本の国のために、逃げずに、解散・総選挙で国民に信を問うつもりはありませんか。お答えを求めます。
そもそも、子ども手当を初めとするマニフェストは、無駄の廃止で財源を捻出するものだったはずです。しかし、今回の増額分は、マニフェストにはない給与所得控除や成年扶養控除の縮小廃止等、国と地方を合わせて五千八百億円規模の個人向け増税で賄おうとするものであり、断じて看過できません。内需主導で経済成長という総理の考えとは反するものですが、どのように弁明されるおつもりですか。
また、子ども手当は、二十三年度には二万六千円の給付を約束したはずではありませんでしたか。しかし、本法案では、三歳未満のみ二万円へ増額となっております。
所得制限なし、一律二万六千円とは、絵にかいたもちであったのですか。重大なマニフェスト違反を国民におわびし、そして、何よりも解散・総選挙、これを御決断いただきますようにお願いいたしたいと思います。
最近、岡田幹事長を初め民主党ではマニフェスト見直しがかまびすしいですが、一体、二十四年度以降はどうなるのでしょうか。満額二万六千円支給という約束はまだ生きているのでしょうか。お答えください。
これは国民との約束、一方的に破ることはできないはずです。約束を守れなかったとき、総理は職を辞す覚悟はおありでしょうか。
三歳未満の子供に二万円への引き上げを行うのは、年少扶養控除廃止に伴い負担増になる世帯が生じるとの理由からです。しかし、そもそも、児童手当で所得制限がかかっていた年収八百六十万円以上の層では、三歳未満の子供がいても負担増にならないところもあります。それどころか、三歳未満の手当を二万円に引き上げると、年収三百万円の世帯では十一万円の手取り増に対し、年収九百万円の世帯では手取りが十八万円近くふえることになります。
一体、これのどこが所得の再配分なのですか。これでは、相対的に高所得者に有利な控除から手当へ転換するというマニフェストとの整合性がつかないのではないですか。
また、年少扶養控除廃止で負担増になる世帯は、何も三歳未満の子供がいる家庭ばかりではありません。例えば三子目以降のいる家庭など、こうした世帯に、なぜ二万円への引き上げを行わないのでしょうか。
予算委員会において、細川厚生労働大臣は、公明党の坂口委員のこの指摘に対し、何とかそこは勘弁してもらえないかと言われましたが、だれに何を勘弁してもらいたいのでしょう。方便に勘弁、詭弁を弄するのはやめて、明確にお答えください。
先般、予算委員会に提出された子ども手当の目的を整理した厚生労働省の文書には、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援する観点から支給するとあります。約二兆九千億円にも及ぶ手当を、この未曾有の財政難に、何の政策的効果も目的も期待せず今回も支給するのは、公金を使った壮大な選挙買収と言わざるを得ません。
改めて総理に、子ども手当の目的、また、期待する政策的効果についてお伺いします。次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援するという文言は、もう結構です。我々議員を初めとして、国民だれにもわかるよう、この文言の意味を敷衍して説明いただきたいと思います。
一方、前述の厚生労働省見解文書には、子ども手当は、結果として少子化の流れを変えることに資するものであるとありますが、昨年九月に厚生労働省が実施した調査によれば、約四割の方々が使途は貯蓄や保険料と答え、既に使い道を決めていた方々の中でも約四割が子供のため以外に支出し、子供の数をふやす計画を立てたと考える方々は一割にも至りません。
この調査結果を前にして、少子化対策として費用対効果が得られると自信を持っておっしゃるのですか。見解を伺います。
今回、この調査は、複数回答方式が基本であり、今年度の子ども手当一万三千円の使途を具体的に解明するものではありません。アリバイづくりの全くずさんな調査と言わざるを得ません。これだけ巨額な財源を投入する施策である以上、正確にその効果を検証する必要があると考えます。
そこで、お聞きします。
本年度の子ども手当一万三千円が家計の中で何に使われたのか、所得階層別に解明できる調査をいつまでに行うつもりですか。お答えを求めます。
本法案では、我々の昨年の議論を反映したかのように、子ども手当からの保育料と給食費の天引きを認めることとなっています。しかし、給食費は、養護者本人の同意なしに子ども手当と相殺できません。理由は、給食費は私的債権だからとのことです。しかし、給食費を払わぬ親が子ども手当からの天引きに同意するとは考えづらく、結局、実効性のない空文となることが懸念されます。
親の給食費未納のため、育ち盛りの子供たちが給食を食べることができない事態は、生存権にもかかわる問題です。現在、全国でどれぐらい給食費未納がありますか。また、実際、給食を食べていない子供がいないか把握していますか。
さらに、学校給食法を改正して強制徴収できる債権としてでも、子ども手当法案で天引き可能とすべきではないでしょうか。文部科学大臣と厚生労働大臣にお聞きします。
先般の子ども手当の地方負担に反対する市長さんたちと谷垣総裁との懇談会では、地方の声は十分に聞くと言ったにもかかわらず、政府はその約束を十分に果たしていないとの不満が聞かれました。また、予算委員会の参考人質疑で出席された大阪府池田市の倉田市長も、平成二十二年度に続き二十三年度においても地方負担を求められたことに対して、全国市長会を初め、地方団体が決して了解したものではありませんと明言されておられます。
そこで、総理にお聞きします。
昨年、何度、どのような形で地方との話し合いを持たれましたか。地方の意見を十分に聞き、納得を得た上で法案を作成したと胸を張って言えるのでしょうか。お伺いいたします。
地方との十分な話し合いが行われなかった結果、今回の法案でも、五千五百億円を超える地方負担を強いる内容となったのだと私は理解しております。
民主党マニフェスト、工程表などで明確に子ども手当の所要額を五兆三千億円としていますが、これは全額国庫負担すると民主党がマニフェストで約束していたとの理解でよいのか、同僚の小泉議員の予算委員会の質問に、そうではないと答えられた、民主党マニフェストを全然理解できていない枝野官房長官に御答弁をお願いいたしたいと思います。
また、仮にそうだったのであれば、二年連続の地方負担は明らかにマニフェスト違反であります。それを認め、率直に国民及び地方におわびすべきではありませんか。
もし総理が平成二十四年度以降も子ども手当を継続するつもりならば、そのときは地方負担は課さないと言明できますか。明確にお答えください。
地方負担については、現在、六十五の自治体が拒否し、新年度予算案において地方負担分を計上しないと報道されております。政府への地方の怒りに対してどのように対処するおつもりなのか、お答えを求めます。
民主党政権は、地域主権を挙げ、ひもつき補助金を廃止し、一括交付金を導入することで、地方に自由度の高い財源を移譲するとしております。しかし、地方の首長からは、住民税に匹敵する子ども手当負担金こそが、ただ配るだけのひもつき補助金であるとの声を聞きます。
子ども手当は、一括交付金化の流れにも地域主権にも反するのではありませんか。地域主権も子ども手当もマニフェストの一丁目一番地。この矛盾をどう説明なされますか。
我々は、児童手当と同様に、子ども手当にも所得制限すべしと要求してまいりました。政府は、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援するとして、所得の多寡にかかわらず、一律の手当といたしました。また、所得制限をしない事例としてヨーロッパを何度も引き合いに出されましたが、そもそもヨーロッパ諸国の趨勢は、国民負担率が、我が国と比較してもはるかに高い高福祉・高負担国家です。ちなみに、それでもイギリスは、財政難のため、所得制限を検討しているとも聞きます。
総理は、高福祉・高負担国家を目指すつもりですか。お答えください。
今国会では、税と社会保障の一体改革を中心に我々への抱きつき戦略を考えておられるようですが、民主党の社会保障政策には、特に年金制度の具体的改革内容が示されず、迷惑千万です。
さて、予算委員会で、与謝野大臣より、子育て対策は税と社会保障の一体改革の議論の対象であるかの発言も聞かれました。
そこで、お聞きします。
子ども手当は一体改革の中で検討されるのですか。また、消費税の引き上げ分で子ども手当の増額を行うのですか。端的にお答えいただきたい。
以上、民主党による子ども手当の欺瞞とインチキに関して質問をしてまいりましたが、あれほど、今まで、いいかげんな政権公約では政治は信頼されない、財源や工程表を示すことでマニフェストは実現可能になると言いながら、結局、民主党は、国民を完全に欺いたこととなっております。
マニフェストで約束した財源も見出せずに、この国を財政破綻へと導く、政権をとるための方便としてばらまいた子ども手当法案は、財源には疎かったのでと国民の皆さんにおわびし、撤回すべしと助言いたしますが、総理の答弁を求めます。
我々自民党は、ばらまきより、保育所や放課後児童クラブなど必要な子育て支援策の充実を行うと主張して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕