中島忠能の発言 (行政監視委員会)
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○参考人(中島忠能君) 中島でございます。
お手元に私からメモが配ってあると思いますけれども、行政監視システムの在り方、特に事業仕分と東京電力の福島原発事故に関連してというものでございますが、それを基に発言させていただきたいと思います。
まず第一番目に、事業仕分について申し上げます。
私たちもテレビで拝見させていただきましたけれども、若い国会議員さんとかあるいは民間で活躍されている方が中心となりまして、ふだん一般国民には見えない予算編成過程とそこでの議論、そして行政官庁等の考え方がそこで顕示されまして透明性を高めることになった、政治を国民に近く感じさせるように効果があったという点については評価しなければならないと思います。
しかし、他方、仕分される事業の多くのものが国会審議を経て成立した予算、法律等に基づいて実施されるものであることを考えますと、仕分作業というものはいかなる根拠に基づいて行われておるんだろうか、そしてその根拠は国会の議決とか決定と、そういうものに対して否定的な効果というものを持ち得るんだろうかということが、私たち常に法律とかそういうものに囲まれながら仕事をしてきた者にとってはすぐにそういう点が心配になりました。
この事業仕分に相当するような作業と、そして国民の税金をできるだけ効率的に経済的に使わなきゃならないというこの考え方、そういう考え方というのは、やはり今回の事業仕分を拝見いたしまして感じますのは、国会でそもそも行うべきことじゃないかと。
予算成立前に予算委員会の分科会というのを頻繁にお開きいただいて、そこでしっかり予算成立前に議論していただく、また、予算執行後には行政監視委員会とか決算委員会で十分時間を費やして審議をされまして、その非効率な面、あるいは非経済な面というものを指摘していただきまして、国民の税金が効率的に有効に使われるように議論していただくのが本筋ではないかというふうに私は考えるに至りました。
そして、そういうことを国会でなさる場合には、やはり総務省の行政評価局とか会計検査院との連携、あるいはその機能の活用というものが有効ではないかというふうに思います。
両機関とも現在、予算執行の経済性とか効率性等の視点からの監視、検査というものが必ずしも十分でないという指摘がなされております。そのことを考えると、やはり基本的にはその原因究明というもの、それをしまして行政評価、会計検査院の仕事というものを改革しなければなりませんけれども、せっかく現在、国民の税金を効率的に使おうじゃないか、そして行政監視、会計検査というものをしっかりやろうじゃないかという熱が上がっているときでございますので、この際、思い切って両機関、両機能というものを国会に設置する、国会に所掌させるということについてしっかり議論していただくいい機会ではないかというふうに思います。
次に、第二の東京電力の福島原発事故について申し上げます。
この事故についてはもうたくさん報道があちこちされておりますので、多くの問題が指摘されておるということは御存じのとおりでございます。その中で、私は以下の四点について意見を申し述べたいと思います。
その一は、原子力発電そのものについて、また、その安全性の確保につきまして関連する専門分野の学者等の間において厳しい意見の対立がございました。現在もあるようでございますけれども、意見の対立がございます。そのような場合、通常、今まで私たちが考えておりました民主的な組織におきましては、異なった意見の持ち主の参加を得まして会議を繰り返し開催し、調和点、一致点を見出すべく渾身の努力をするものでございます。ところが、今回そのような形跡というものは全く見られません。恐らく、原子力関係の専門家から言わせますと、そういう会議はやっても無駄だというふうに反論をされると、そういうふうに想像しますけれども、しかし、反原発と烙印を押された人たちの中にも、せめて集中的な立地というものをやめたらどうかと、あるいはまた出力というものももう少し下げたらどうかというふうな発言をされておるということでございますので、そういう方の参加を得て議論を開くということは非常に私は有益であったというふうに思います。
ジャーナリズムは原子力村という表現をしておりますけれども、その閉鎖性というものが今回の事故の発生とか規模の拡大に全く関係がなかったかということは、必ずしも関係ないというふうに断言できないというふうに思います。原子力安全委員会というのがございまして、非常に立派な先生が委員になっておられます。したがいまして、こういう場合には原子力安全委員会に出番があったんじゃないかというふうに思います。しかし、そのような形跡も見られないと。ただ排除の論理というものだけがまかり通っていって、原子力発電は安全でなければならないというふうに当初言われておりましたけれども、いつの間にか原子力発電は安全であるというふうに変わっていったと。そういうような経過があったのを私は非常に驚きを持って見ております。
その二として申し上げたいのは、天下り問題でございます。
四月十四日の朝日新聞の報道によりますと、枝野官房長官は、つい最近まで東京電力を指導監督する立場にいた資源エネルギー庁長官の石田氏の東京電力顧問就任につきまして、経産省の東電に対するチェック態勢が甘くなっていたと疑義を持つ人が多数いることは当然だと述べるとともに、指導監督する行政の側と指導監督を受ける側との間に癒着を生じているという疑義があっては許されないというふうに述べておられます。官房長官は、恐らく察しますに、現実にチェック機能が甘くなったかどうかということを問う以前に、関係のある営利企業への天下りは国民から疑義を持たれると、李下に冠を正さずということをいわれますけれども、その姿勢で幹部公務員は身を処してほしいと言っておられるんだと思います。
それでは、なぜ今回こういう天下りが行われるようになったのかということでございますけれども、これは何回も私も雑誌等で書きましたけれども、平成十九年の国家公務員法の改正で幹部公務員は退職後すぐに指導監督していた利害関係企業に天下りできるように改正されたと、それが原因だと思います。天下りした者が現職公務員に働きかけることを規制すれば、公務の公正な執行は確保できると考えられたからでございます。これを事後行為規制方式、それ以前は、改正以前は事前承認制でございましたけれども、事後行為規制方式というものを導入して、退職後、天下りしてから現職公務員に働きかけることを規制するというその方式でいいじゃないかということでございますけれども、この方式はアメリカで採用されております。
しかし、この方式が日本社会で有効に作用するためには、私は三つの要件があるというふうに思います。一つは、天下りする幹部公務員に対する国民の信頼の確立というものが前提となるだろうと。そして二番目に、当事者間の会話とか接見内容が正確に記録されていること、そしてその記録が公文書と位置付けられていること、そしてその公文書と位置付けられた接見内容がいつでも公開されるということが二番目に必要だと思います。そして三番目に、内部通報とか告発等が予防的効果をアメリカ社会で持っておりますけれども、そういう効果を日本社会でも発揮できるようになっていること。この三つがそろった場合には、事後行為規制というものは有効だというふうに思います。
ただ、この事後行為規制方式というのは、不作為による倫理違反事犯というものには十分対応できない場合があることを先生方よく御記憶いただきたいと思います。
倫理違反事犯というのは作為によるものが非常に目に付きますけれども、不作為による倫理違反事犯というのが非常に大きな被害を及ぼしておるということは御存じのとおりだと思いますけれども、そういうものがここではとらえにくいという欠点があると思います。
この天下りというものは、単に経済産業省と東京電力との間においてのみ生ずる問題ではございません。是非とも、議員提案によって国家公務員法というものを再修正をしていただきたいというふうに思います。
その三として申し上げたいのは、原子力安全・保安院の経済産業省からの切離しについてでございますけれども、これは菅総理も発言されましたけれども、今やこれに反対する国民というものはいないんじゃないかと思います。
今考えておくべきことは、切り離した後、それが頼りになるチェック機関として有効に機能するために何をすべきかということを今考えておくべきだというふうに思います。まず、優秀な使命感のある人材というものが必要とされるでしょう。それをどのように集め、育成するか。特に、現場を熟知しているプロパーの人材というものが必要だと思います。さらに、推進機関としての役割を果たしてきた経済産業省との無益な対立、摩擦を避けつつ、さりとて従属することなく、国民の安全、安心というものを最優先すべき価値と考えるトップ人事、その人の主導の下で、新しい組織づくり、そしてそれを支援する体制というものがなければなりません。
最後に、今回、原子力安全委員会の存在が国民から見えなかったように思います。原子力の安全利用を実現するための中心的な機関だというふうに考えておりましただけに、非常に寂しい限りでございます。この安全委が今まで原発の安全確保のために何をしてきたのかと。そして、そのしてきたことが今回の事故の発生防止にどういうふうに役立ったのかと。現在反省すべき点は何なのかと。これらについては、最近設けられました事故調査・検証委員会で検証していただくということでございますから、まずはその結論を待ちたいと思います。しかし、必要とあるならば、国会法に基づく質問主意書により原子力安全委員会に所見をただしてみてはいかがかというふうに思います。
あと一、二分あるようでございますので、ここには何も書いてございませんけれども、一言申し述べさせていただきたいと思います。
最近、時々、大学の理系学者というものが国費から支出されている研究費を私的に流用していると、不正経理事件というものが報道されることがございます。我々が尊敬してやまない大学教授の倫理観のなさに唖然とする、暗たんたる気分になることがございます。有力な週刊誌とか経済雑誌の報道によりますと、東京電力から億を超すお金が大学や大学内の研究グループに支出をされております。まさかそこに癒着があるというふうには思いませんけれども、今のうちに、癒着疑惑が生じないよう企業及び大学当局の双方において自主的に何らかの措置が講じられることを願ってやみません。
以上でございます。ありがとうございました。