南部靖之の発言 (国民生活・経済・社会保障に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(南部靖之君) 南部です。よろしくお願いします。
 僕のつくりたい社会というのは、一人一人が強くなると、個人が強くなって国家は栄えると。そういう個人を強くするための仕組みづくりをこの三十五年間、大学を卒業してからずっといろいろ仕組みをつくってきたわけですけれども、三十五年前に僕が大学を卒業するときに、二つの疑問をちょっとお話し申し上げて、それが自分の人生を変えるような、今申し上げたように、個人を強くする、そういう社会をつくろうというきっかけになったことをちょっとお話し申し上げて、それから僕の考えをお話しできればなと思います。
 学生時代になかなか就職できない、今と同じような社会であったわけですけれども、ふっと振り返ってみると、僕以上に大変なのが女子大生だと。あのころは十人に二人、一・四人か一・六人だったと思うんですよね。それ以上に大変なのが難関突破して企業に入った女性たちだと。男性は昇格、昇給があるけれども、女性はずっと給与は変わらない、昇格もできないと。ところが、その女性以上に大変な方々がたくさんいたと。それは、結婚か何かの理由で会社を辞めた女性たちが子育てを終えてから働こうと思っても働けない、僕は、なぜだと。自分も大変だけれども、女子大生、優秀な女子大生が働けない、家庭の主婦も働けないのはどうしてと、働けても収入が安いパート、アルバイトであると、そういう疑問を一つ持ちました。
 二つ目は、女性もそうなんですけれども、男性もそうであると。優秀な学生は大会社に就職します。でも、あのころの大会社に就職できる学生というのは、多分三%か四%だったと思うんですよね。九十数%は中小企業であると。中小企業に入ると、なかなか産業医という医者に診てもらうわけにもいかないし、山の家、海の家といった福利厚生施設もないと。それだけではなく、教育もなかなか受けられないと。
 今言ったように、この二つの格差と、女性の社会進出をどういうふうにインフラをつくることによって可能にさせるか、二つ目は、男性の学生というか、その格差をどういうふうになくせばいいんだろうと。で、考えたのが、僕が参考にしたのがオランダの雇用制度でありました。私もオランダに行って勉強しました。そして結果は、どういう就業形態であっても、年齢、男女を問わず、同じような仕事をする限り同じ賃金がもらえると、同一労働同一賃金であると、これに目を向けたわけです。よし、これだと、個人を強くして、そして国を強くするのはこれしかないぞと。
 僕は就職するのをやめまして、株式会社パソナの前身であるテンポラリーセンターをつくったわけです。年齢、男女を問わず、働きたい就業形態で格差なく働ける社会をつくろうと。景気や企業の雇用の促進といいますか、雇用のニーズに関係なく、意欲に関係なく働けるような、そういう仕組みをつくろうと。もっと言えば、一日四時間働いても正社員であると、一か月に一日働いても正社員であると、一年にほんの数日働いても正社員であると、そういう社会基盤の整備をしようと。
 その社会基盤の整備の中で、株式会社でできるものと政府がやらなければならないものがあると。僕は、株式会社がやるべきもの、ここに目を向けたわけです。一つは、大会社に入っても中小企業の企業でも同じように健康診断を受けられると、健康管理が受けられると。二つ目は、大会社に入っても中小企業のほんの小さな会社に入っても、きちっとした山の家、海の家、福利厚生施設が受けられると。三つ目は、どういう企業に入っても教育をきちっと受けられるような仕組みづくりをと。そして私は、三十五年間の間にこの派遣という仕組みを考えたわけです。今、パソナにいるスタッフに関して、もっと言えば派遣法という法律の中にいるスタッフに関しては、多分その格差はかなり解消されてきただろうなと、そういうふうに思っています。
 政府のやるべき年金問題だとか、あるいは社会基盤の中でも、年金の中でも四分の三以上働かなければ社会保険がもらえないだとか、そういう、この問題に関しては私ども何ともできませんけれども、少なくても今言った教育と健康管理と福利厚生施設に関しては三十五年の間にそれなりの解消ができたなと、そういうふうに思っています。
 じゃ、個人を強くして、そして国が強くなると。個人を強くするということは、もっと言えば個人が自立をする社会をつくると。個人が自立をする社会というのは、企業に属さない、もっと言えば企業に属さなくても、依存しなくてもきちっと生活が安定した収入が得られると、そういう仕組みづくりを僕はつくれればいいなと。企業、まあ組織と言ってもいい、企業・組織依存型社会から個人自立型社会をつくる、これが個人を強くする仕組みであり、それが結果、国が強くなると、そういうふうに思っております。
 さっき申し上げたように、年金問題、社会保険の問題だとかそういう社会基盤が、もし政府がこれにメスを入れたならば、もっと私は、いろんな雇用形態にとらわれないで働けるような、そういう人たちがどんどん増えるだろうなと、そういうふうに思っています。第二子を産みたい、第三子を産みたい女性が一日四時間だけ働いて、そしていろんな福利厚生も、それだけではなく、健康管理だけで、それだけでもなく、山の家、海の家がきちっと、社会福祉が、社会保障といいますか、それがもし付いていたならば、どんどん女性も社会へ進出するだろうなと、そういうふうに思っています。
 私の妻もアルバイトというか介護の仕事をしておりましたけれども、なかなか日雇が難しいということで、直接雇用になったためになかなか難しい雇用条件で、今はもう辞めてしまった事例もあります。私の娘も今フリーターで、音楽家をやっていますけれども、好きな時間で働けるという意味で、今非常にそれが自分の正社員の働き方だと、こういうことで自信を持って働いてはいます。
 今それは、僕が申し上げた自分の三十五年前の経験からそういう社会をつくりたい。今申し上げたように、一日四時間でも正社員、この仕組みをつくったのが今のパソナの人材派遣のインフラづくりだろうと、そういうふうに思っています。
 二つ目に、今ちょっとした現象といいますか、今年大学を卒業した方々がなかなか就職に就けないと。三十五年前の僕と同じような人たちがいっぱいいるんだなと。今はフリーターと言いますけれども、僕のころはプータローと言っていました。同じような感じでみんな頑張っているんだなと。去年も五十五万人の卒業生のうち十二万人が就職できず、八万人が就職浪人をしたと。五十五万人中二十万人が去年、データとしては就職できなかったと。こういう状態は今に始まったことではないと。三十五年前の僕のときもそれに近い状態であったと。それだけではない、バブルのはじけた一九九四、五、あるいは二〇〇〇年前後も同じようなことでした。つまり、ある一定の期間を通して同じことが繰り返されている。にもかかわらず、これに対して何らかの手を打たない、なぜかなと。これは僕は、自分なりの疑問であります。
 女性の継続的な就業、これをどういうふうにやるか。同時に、男性でも、これからはベンチャーを起こしたい、あるいは学問をしながら、あるいは音楽をやりながら、芸術をやりながらと、いろんな多様な働き方を望んでいるそういう若者に対して継続的に働けるような、社会インフラの中でも企業ができるインフラづくりをパソナができるならば、私はこれのために人生をささげたいなと、そういうふうに思っております。
 もう僕の話終わっちゃいました。あと二分ちょっと、じゃ、しゃべりますけれども。
 今、人の見方という意味で、IQが非常に大切だと。でも、そのIQにもう一つ僕はやっぱりEQという感性が大切だと、エモーショナルと。プラスSQという、やる気、スピリチュアルというものが大切だと。IQとEQとSQ、これを加えて僕はPQと、人柄、そういうふうに言ってはいますけれども、今、世の中というのはIQだけを中心にした社会全体の教育制度の中に育った人たちが多いものですから、なかなか社会に出てからもEQとSQの存在に気が付かずに、自分の才能、能力を発揮できないという状況ではないかなと。だから、もし、私は、言うならば、このIQとEQとSQをPQとして考えるならば、IQだけの社会をなくするような、そういうインフラづくりも必要ではないかなと思っています。
 もし僕が文科大臣ならば、大学入試をなくすると。自分の経験から大学入試はやめて、アメリカのような年に二回ぐらいの評価基準制度をつくっておいて、そしてみんなが自由に自分の好きな時間、好きな勉強をしながら、自分の才能、能力を生かすというふうな社会づくりができれば一番いいなと、そういうふうに思っています。
 今、雇用を生んでいくためには二つの問題があると。一つの問題は、今申し上げたような、個人を強くするような、もっと言えばフリーターが社員であると。正規社員以外は非正規というように、正規であらずという差別用語は、これは使うべきではないと。フリーターこそ堂々と働けるような、そういう社会基盤、インフラをつくること。
 二つ目は、今、先ほどもうつ病の話が出ましたけれども、うつ病も起こらない、若者がみんなが元気で働けるようなそういうふうな教育の仕組みづくりをしなければならないと。それによって雇用が良くなり、みんなが生き生きと元気付くと、元気付くことによって個人が強くなり、社会が強くなるというふうに思ってはいます。
 教育は、小学校、中学校、高校、あるいはどの部分を触っていいかどうかが分からないので、社会全体の問題でもありますから難しいかもしれないけれども、やはり私は、入試制度をなくすると、そして今言ったように正規、非正規という呼び方をやめると、そしてフリーターが堂々と一日四時間でも同じような高収入と社会福祉、セーフティーネットが張られるような、そういうふうなインフラづくりを政府がやるべきだと、こういうふうに思っています。

発言情報

speech_id: 117714323X00620110427_009

発言者: 南部靖之

speaker_id: 12456

日付: 2011-04-27

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済・社会保障に関する調査会