秋野公造の発言 (本会議)

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○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました参議院憲法審査会規程案につきまして、賛成の立場から討論を行います。
 憲法改正手続法の成立から四年余り、そして、その完全施行から本日でちょうど一年になります。憲法審査会は、平成十九年八月七日に衆議院とともに参議院に設けられました。憲法審査会の設置から昨年の五月十八日までの約三年間は凍結期間と称されておりました。すなわちこの間は、憲法改正原案の提出及び審査を凍結し、じっくりと憲法論議を行うこと、憲法改正手続法の宿題とも言うべき投票権年齢の引下げや公務員の政治的行為の制限の検討を始めとする、国民が主権者として国民投票を行うに当たっての制度の整備が国会に求められていたのであります。この中には、民主党が我々とともに共同提案者となり、日本国憲法に関する調査特別委員会で可決された十八項目にわたる附帯決議に盛り込まれた検討事項が含まれていることをまず指摘させていただきます。
 衆議院は、平成二十一年六月十一日に衆議院憲法審査会規程を制定しました。その後、衆議院で委員の選任等が行われていないのは、国会における憲法論議の重要性に鑑みて、憲法審査会の始動について参議院と歩調を合わせて進めていくべきとの考えがあったからではないでしょうか。参議院が憲法審査会規程を制定しないことにより、本院のみではなく、国会における憲法論議そのものが行われず、凍結期間の三年間どころか空白期間の四年間が生じてしまったのであります。
 果たして、このような事態を主権者である国民の皆さんにどのように説明すればよいのでしょうか。議論を行うことすら拒否することは、国会の自殺行為と非難されるでしょう。民主党の皆さんはどのようにお答えになりますか。私自身は、昨年本院に議席を得たばかりでありますが、国会に身を置く者として、国民の皆様にどう説明すべきなのか、全く言葉が見付かりません。
 公明党は、四年間にわたり、憲法審査会規程の制定を求めてまいりました。本日、制定の運びとなりました参議院憲法審査会規程の案文は、これまで公明党が主張してきたものとほぼ同一の内容であります。憲法審査会の組織についてもそうでありますし、憲法改正原案の審査に際しては必ず公聴会を開くことを求めており、運営についても憲法改正の重みに十分配意したものとなっております。当然、公明党は本規程案に賛成であります。
 それでは、なぜ民主党は憲法審査会規程の制定をいたずらに先送りしたのでしょうか。その責任は誠に重大であり、真摯な反省に立って、次のステップである憲法審査会の始動を確約していただきたいと思います。
 さて次に、私は憲法についての公明党の考え方について申し上げたいと思います。
 我が国は、現行憲法の下で、敗戦の荒廃の中から立ち上がり、今日の発展を築くことができました。国民主権主義、恒久平和主義、基本的人権の尊重の憲法の三原則を不変の原理として、そして憲法第九条を堅持した上で、環境権やプライバシーの権利を始めとする新しい人権を加えていくという、加憲の立場を取っております。
 そして、公明党は、未曽有の大震災を乗り越えるため、大震災によって国の将来像が根本的に問われる中、憲法の精神を更に定着させることに全力を尽くしてまいる所存でございます。
 二十一世紀に入り、既に十年が経過した現在、我が国は、高齢化、女性の社会進出、世界を取り巻く不況などの目まぐるしい変化の中にあります。国民の生活と価値観は多様化し、男女の役割や家族の在り方など、次世代のライフスタイルの模索も始まっています。憲法制定時と異なった状況が生じていることは明らかであります。
 そして、このような変化に対応できず、困難な状況に直面している多くの国民がおられます。不安定な雇用と格差、うつ病、配偶者からの暴力、児童虐待、不登校等の病んだ心が人生を脅かす深刻な事態、また、増加する孤独死や情報通信の発達による新たな課題など、これまでの社会制度では想定し得なかった課題が増加しています。これらの課題は生きること自体を脅かす新たなリスクであり、これにどのように対応していくかが問われているのです。
 憲法第二十五条は、生存権の保障と国の責務について規定をしています。この規定は、言わば我が国の社会保障制度の根幹を成すものとして極めて重要であり、同条に基づいて従来行われてきた社会保障制度を充実していくことは当然であります。
 しかし、生きること自体を脅かす新たなリスクの全てが憲法第二十五条でカバーされているわけではありません。公明党が二十一世紀型の福祉として、新しい社会問題に対応するヒューマンケア、安定した雇用を保障する新システムなどを盛り込み、従来の福祉政策を刷新する新しい福祉を提唱している理由がここにあります。憲法第二十五条の規定を変えることなく、新たな考え方を更に憲法に盛り込んでいくということにつながってまいります。
 生きること自体を脅かす新たなリスクへの対応は、個々の国民の安全を確保しようという考え方でもあります。
 一九九六年、UNDP(国連開発計画)は人間の安全保障の概念を初めて提示いたしました。我が国はこの考え方を更に深め、今や人間の安全保障の考え方は我が国の外交における大きな柱になっています。
 大震災は、個々の国民の安全を確保していくという当然のことの重要性を我々に再認識させました。我々がこれを認識する代償は余りにも大きかったと言わざるを得ません。人間の安全保障の考え方を憲法上の観点から国内的にも深化させ、国が行うべき責務を明確にしていくことにより、大震災で亡くなられた方々、そして被災された多くの方々に報いていくことが我々の政治の責任であります。そして、新しい福祉という概念も人間の安全保障に通じる考え方であるということは言うまでもありません。
 参議院憲法審査会規程の制定は、国会において真摯な憲法議論を行うための第一歩であります。民主党政権に対する国民の政治不信は今や頂点に達したかの感がございます。最も民主的と言われたワイマール憲法を破壊したのも政治不信でありました。自ら定めた法律を守ることなく、憲法審査会規程の制定を本日まで先送りにし、国民の主権行使に直結する憲法改正手続法の諸課題に対応することを怠っている、これは憲法前文にある国民の厳粛な信託を裏切るものであり、民主党の国会運営が政治不信に一層の拍車を掛けることになっているのではないでしょうか。
 本日、参議院憲法審査会規程が制定されることを受け、空白の四年を埋め、国会が真剣に我が国の国の在り方を議論することが必要であります。国民の代表としての国会が国民の厳粛な信託にこたえていく、余りにも当然のことの重要性を強調させていただくとともに、我々公明党は国の在り方の議論に積極的な役割を果たしていくという決意を新たにして、私の賛成討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 秋野公造

speaker_id: 11074

日付: 2011-05-18

院: 参議院

会議名: 本会議