松村龍二の発言 (本会議)

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○松村龍二君 自由民主党の松村龍二であります。
 私は、ただいま御提出のありました平成二十三年度第二次補正予算につきまして、自由民主党を代表して、菅総理に質問いたします。
 私は福井県出身で、小学生のときには、死者、不明者三千七百人余りを出した昭和二十三年の福井地震を経験いたしております。そのため、震災の恐ろしさについては、子供のころより強い思いを持っておりました。
 そして、平成七年、阪神・淡路大震災の年に国会議員になったのでありますが、その一月、大震災のときはまだ議員になる前でございましたが、現地を見なければならないという思いで神戸を訪れまして、地震で潰れた家やビル、破壊された港湾や道路等の様子を目の当たりにし、大きなショックを受けたのであります。
 そのとき、震災からの復興のためには、まず被災者に対する素早い対応が何よりも大事であること、そして、インフラなどの復旧・復興と人的、物的な被害に対する対策を、政府、地方、国民が心を一つにして、力の出し惜しみをすることなくとことん行うことが必要であるということを痛感したのであります。
 ところが、今回の東日本大震災に対する菅政権の対応は、何度も言われたことではありますが、余りにもツーレート・ツーリトルであります。ツーリトル・ツーレート、もうどっちを先にしてもいいんですけれども、まさにもうツーリトル・ツーレートの言葉に尽きるわけでございます。
 まず、震災の発生から一次補正まで四十九日、今回の二次補正に至っては四か月以上というタイミングは、阪神・淡路大震災に比べても余りにも遅過ぎます。菅政権の意思決定は決定に逡巡があり、また混乱があるということで、復旧・復興を妨げていると言っても過言ではありません。
 義援金の配分、仮設住宅への入居、被災自治体の支援、瓦れきの撤去、ヘドロの除去、病院や学校の復旧、被災事業者の再建、原発被害者に対する仮払い等の補償など、緊急に求められる対策がどれ一つ取っても十分に進んではおりません。総理には被災地の現状や人の命の大切さが見えているとは思えないのであります。
 このような状況で、この二兆円に満たない二次補正ではとても足りるものではありません。自由民主党では、本格的な復旧・復興のため、十七兆円の二次補正案を提言いたしております。被災者の生活再建に三・八兆円、被災自治体等の支援に二・三兆円、災害に強い国土づくりに三兆円といった内容であります。その観点からは、今回の二次補正は全く不十分と言わざるを得ません。
 そこで、御質問させていただきますが、まず総理に、二重ローン対策を含む中小企業支援について伺います。
 二次補正の七百七十四億円という金額は十分だとお考えでしょうか。この予算額の算定根拠とともにお答えください。また、内容的にも、実際に既存のローンが消えるような内容ではありませんが、これで事業者が本当に二重ローンから解放されるとなぜ言えるのか、お教えいただきたいと思います。
 二つ目に、被災自治体に対する交付金について伺います。
 まず、五千四百五十五億円という金額は、これで十分だとお考えでしょうか。これも算定根拠とともにお答えください。また、これは全額を地方が自由に使えると理解してよいのでしょうか、お答えください。
 三つ目に、被災者の生活再建支援金は国の負担を八割に引き上げるとしておりますが、これは全て国が責任を持つべきだというふうに自民党は主張いたしております。中途半端に国の負担を八割とする理由をお答えください。また、この制度は、最大三百万円、家を失っても三百万円しか補助できないわけでありまして、この程度の支援金の上乗せをするお考えはないのか、お答えください。
 この二次補正にも表れていますが、菅政権の震災対応には地方を大切にするという姿勢が見えません。地方主権を声高に叫ぶ政党を与党とする政党であるにかかわらず、地方を大切にするという姿勢が見えないのであります。さきの全国知事会でも、国の姿勢に対する強い批判の声が上がりました。復興担当大臣の九日余りの交代劇、現地対策本部を国の出先とし副大臣や政務官を派遣するといった在り方も、結果的には同じ地方無視の形になっております。菅総理には、地方の自主的な力を利用するという視点が抜け落ちているのではないでしょうか。
 そこで、総理に伺いますが、これらの予算を作成するに当たり、被災者、被災企業や被災自治体の意見をどのように聞き、どのように反映したのでしょうか、お答えください。
 また、今回の二次補正は、そもそも一次補正の延長であり、単なる応急措置にすぎません。本格的な復興ビジョンに基づいた予算は全く含まれていないのです。住民の高台移転といった災害に強いまちづくりや交通インフラの整備、防災研究の強化といった災害に強い国土づくりを実現するため、本格的な復興予算はいまだに青写真すらありません。これは政府の怠慢であります。
 政府の復興構想会議は六月に提言をまとめていますが、その提言は今回の予算には反映されていません。その理由は何か、総理の見解を伺います。
 復興のビジョンとしては、今回の被災地の復興はもちろんのこと、将来の災害に備えた国土全体のビジョンも描いておく必要があります。例えば今回の震災でも、震災発生当初、石油がないという悲鳴が聞こえたわけでありますが、太平洋側の物流がストップしましたが、日本海側の物流ルートが機能したおかげで、早い段階で被災地への物資の輸送が可能になりました。
 このように、災害に強い国土づくりという観点からは、日本全体で、太平洋側のみならず、日本海側の道路や鉄道、中でも建設途上ではありますが、新幹線、私の立場からすれば北陸新幹線と言いたいところでありますが、交通網を強化し、複数の国土軸を形成して災害時の代替ルートを確保するという視点が必要ではないでしょうか。この点について、総理の見解をお伺いします。
 政府の怠慢という点では、いまだ収束が見えない原発事故への対応も目に余るものがあります。
 福島第一原発事故への対応のみならず、再稼働をめぐる安全宣言やその後のストレステストの指示など、政府の方針が二転三転したことで、菅政権は原発立地地域からの信頼を完全に失っております。私の地元であります福井県も、十四基という多くの原発を抱えており、他人事ではありません。
 先日示された統一見解も、何を検査するのか、どのような判断基準になるのか、中身が全く見えません。政府の考えが曖昧だと地元は不安になるのです。総理、これ以上立地地域を振り回すのはやめてください。地元の理解を得ようと思うなら、もっと真摯な姿勢で臨むべきであります。
 総理に伺いますが、これまでの政府の原発立地地域に対する姿勢をどのようにお考えですか。また、今後どのような姿勢で立地地域と向き合うおつもりか、所見をお聞かせください。
 また、政府がこれまで示している対策は、電源車の確保などの短期対策と津波対策だけに偏っておりまして、地震対策や高経年化プラントの対策はいまだ不十分であります。古くなった原発が良いのか悪いのか、なぜ悪いのかといったことについて政府は何ら指摘をしていないわけであります。
 総理は五月の会見で、浜岡原発について文部科学省の機関が、今後三十年以内にマグニチュード八程度の地震が起こる確率が八七%であり、事故が発生した場合には日本社会全体に甚大な影響を与えると評価していることを停止の理由に掲げました。
 しかし、同じ文部科学省が、三十年以内に震度六以上の地震が起きる確率について福島第一原発はゼロ%と評価していたのであります。実際にはこの評価は全く当たらず、巨大地震と津波の被害が起こりました。このような信憑性のない評価に基づいて他の原発は大丈夫と言われても、全く信用できないのであります。
 今回のような巨大地震が起きたことで日本列島全体の地殻が不安定になっており、以前よりも地震が起きやすくなっているということを指摘する学者等もございます。これまでの評価方法ではなく、より詳細な調査分析を行う必要があります。
 そこで、総理に伺います。まず、今回の大震災の影響もあり、日本列島の地震活動が不安定期に入っているとお考えか否か。私自身も、あのような大津波が起きるということは想像もしなかったところでございます。総理大臣自身の、地震活動が不安定期に入っているかどうか、お聞かせいただきたいと思います。これまでの地震に関する確率評価を全面的に見直す必要があるとお考えか否か、お聞かせください。
 また、今後、原発立地地域における地震、津波の調査分析を重点的に行う予定があるのか、また、行う場合、具体的にどのような内容、スケジュールで行うことになるのか、お答えください。
 原発事故に関しては、福島のみならず、茨城、千葉、静岡など幅広い地域で放射性物質による汚染被害や風評被害が発生しております。これらの地域の農業者、漁業者の方々の苦しみは毎日のテレビ等で国民に知らされているところでありますが、まさに塗炭の苦しみを味わっているわけであります。
 最近も、牛肉から基準値を超える放射性セシウムが検出され、大きな問題となっています。政府は全頭検査も検討しているようですが、検査機器や検査体制が間に合うのかどうか明確ではありません。
 総理に伺いますが、肉用牛の全頭検査は可能なのでしょうか。可能な場合、そのコストは誰が負担するのでしょうか。まさか地元が負担するわけではないと思いますが、国が負担することとはっきりお答えください。さらに、肉用牛以外についても全頭検査を行うことを検討しているか、お答えください。
 原発事故への対応は、今後の我が国のエネルギー政策自体にも大きくかかわります。総理は先日の記者会見で、原発に依存しない社会を目指すとおっしゃいました。また、自ら決定したエネルギー基本計画で掲げた、原子力発電の比率を五三%にするという目標を白紙に戻して考えるという国会答弁もされました。
 そこで、総理に伺います。脱原発依存は総理個人のお考えなのか、思い付きなのか、政府の統一見解なのか、どちらでしょうか。また、脱原発依存とは原子力発電について将来的にゼロにするということなのか、あるいはゼロではなく、縮小しつつも存続させるということなのか、明確な方針をお示しください。
 さらに、原子力発電を減らした分を自然エネルギーだけで賄えるというお考えですか。そうだとすれば、その根拠をお示しください。そうでないとすれば、どのような手段でそれを達成するのか、お考えをお聞かせください。
 エネルギー政策については、将来の姿を議論することと並んで、現在の深刻な電力不足をどう脱していくかも重要な課題であります。
 そこで、総理に伺います。現在、電力使用制限令の発動を始め、様々な節電に対する措置が行われていますが、こうした努力によって今年の夏は計画停電を行わずに乗り切れるとお考えか否か、見解を伺います。
 また、現在のように、民間企業に節電を強いるような状態が続けば、企業が海外に流出するおそれも強まります。この点についてどのような対策を講じるおつもりか。景気回復の問題が我々の第一関心でありますように、この点についてお答えいただきたいと思います。
 最後に、原子力の規制体制についてもお伺いします。
 仮に、脱原発依存という総理のお考え方に沿った政策を進めるにしても、少なくとも当分の間は原子力が存続することになります。
 政府は、原子力安全・保安院を経済産業省から分離する考えを示しております。私も、現在の原子力安全・保安院の体制は十分ではないと考えます。アメリカの原子力規制委員会、NRCは三千人以上の人員を擁し、独立した権限を持っています。一方、我が国の場合、原子力安全委員会と原子力安全・保安院を合わせても定員数百名で、十分な権限もありません。
 そこで、総理にお伺いします。我が国の原子力安全規制体制はどうあるべきか、特にアメリカのNRCのような体制をつくるべきか、お聞かせください。
 総理は、先日、第三次補正予算の準備に入るよう指示したとされます。なぜ、もう辞めると表明している総理が予算編成を指示するのでしょうか。総理の延命策以外の何物でもないというふうに思えてなりません。
 思い付きで物事を進める菅総理の下で、意思統一もできない内閣が第三次補正予算を編成したところで、被災地の実態には沿わない、そしてまたツーリトル・ツーレートなものになることは火を見るよりも明らかです。
 もうこれ以上、被災地や原発立地地域を無用に混乱させ、疲弊させるだけの菅政権に我慢はできません。原発の存続については、立地地域にも様々な意見があります。しかし、菅政権の存続については、存続するべきではないという意見で一致していると確信いたしております。
 私は、第三次補正予算は新たな総理の下で編成、実施すべきであり、それが復興にとって最善の策であることを強く主張いたします。そのためにも、菅総理の一刻も早い退陣を求めるものであります。
 今日の世論調査で、菅内閣は一二・五%まで落ちておるということでございます。一桁に落ちないうちに是非見事な出処進退を見せていただくことを申し上げて、私の質問とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 松村龍二

speaker_id: 32520

日付: 2011-07-15

院: 参議院

会議名: 本会議