愛知治郎の発言 (本会議)

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○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎です。
 私は、平成二十三年度における公債の発行の特例に関する法律案について、自由民主党を代表して、菅総理並びに関係大臣に質問いたします。
 震災の発生から既に五か月以上が経過したにもかかわらず、被災地の復旧・復興は遅々として進んでおりません。特に、菅総理が内閣不信任案を否決するために中途半端な退陣表明をした六月二日以降、政権はレームダックと化し、行政機能があらゆる面で停滞をしております。
 この間、私の地元宮城県では、震災発生時から危惧されていたにもかかわらず、悪臭やハエの大量発生が起こってしまい、必要な情報を何も知らされていなかったせいで稲わらや肉牛の汚染が拡大し、また、瓦れき処理の業者やみなし仮設の大家さんに対してはいまだほとんど支払がされておらず、さらに、被災した宅地や農地の扱いについて国が方針を明示しないため自治体で混乱が生じるなど、全て政府の対応の遅れからくる人災、二次被害、三次被害が次々と起こっております。
 そもそも、菅政権の震災対応について問題を挙げれば切りがありませんが、あえて数え上げれば、震災直後のガソリンや燃料の供給不足、所掌不明の本部や会議の乱立、原発事故の初動対応の誤り、東京電力との意思疎通の欠如、瓦れきやヘドロ撤去の遅れ、仮設住宅建設の遅れ、不適切な情報発信、恣意的な情報隠蔽、諸外国からの不信、根拠のない原発停止要請、補正予算や法整備の遅れ、被害者への補償の遅れ、原発再稼働をめぐる混乱、暴言を吐いた大臣の辞任、長引く電力不足、閣内の意思の不統一、そして復興基本方針の遅れ。本当に切りがないのでやめますが、まだまだあるはずであります。よくも一人の総理、一つの内閣でこんなに問題が起こせるものだと半ばあきれてしまいます。
 この状況を脱するためには、菅総理を早く退陣させ、まともな政権を誕生させなければなりません。菅総理は、先日委員会審議の場で、第二次補正予算、特例公債法案、再生エネルギー法案のいわゆる退陣三条件が成立すれば退陣すると明言をされました。
 そもそも、これらの予算や法案には大いに問題があります。第二次補正予算に関しては、金額も少なく、時期も中途半端であること、特例公債法案に関しては、マニフェストで約束した十六・八兆円の財源創出ができないにもかかわらず赤字国債を発行するのは身勝手であること、再生エネルギー法案に関しては、エネルギー政策の基本的なビジョンが定まっていない中で中途半端な決定をするのは拙速であることなどであります。
 しかし、今は何よりも一刻も早い復旧・復興が国家の最重要課題であります。そして、そのための最大の障害である菅総理の退陣が急務であります。そのことに鑑み、我々は第二次補正予算にも賛成いたしましたし、残り二条件の速やかな成立にも協力を惜しまないつもりであります。
 菅総理がこの問題のある三つの政策を退陣条件としたために、我々は六月以降、大変貴重な二か月を無駄にいたしました。被災地の状況を考えると、失ったものは余りにも大きいと言わざるを得ません。菅総理には、こんな自分の身勝手のために復興を遅らせたという自覚があるのでしょうか。しかし、もはやそのことをあなたに問うても仕方ありません。
 菅総理には、あえてこの一点だけ質問させていただきます。三条件が成立したら速やかに退陣するということでよろしいのですね。イエスかノーか、一言でお答えください。
 菅総理のこれまでの言葉がうそでないのであれば、答えはイエスのはずであります。ならば、もうお辞めになる総理に質問しても仕方がありません。そこで、本日は、いち早く菅総理の後任に名のりを上げている野田財務大臣を中心に質問をさせていただきたいと存じます。
 民主党は現在、衆議院で三百一議席、参議院で百六議席と、いずれも第一党であります。衆参合わせて四百七議席。第二党である自由民主党の二倍以上という、歴代政権が羨むような圧倒的な議席数を有しております。
 菅総理はすぐに、野党のせいで物事が進まないというような言い方をしてまいりました。しかし、これだけの議席を持っていながら物事が進まないのであれば、それは菅総理を選んだ民主党そのものの力不足、民主党自身の責任にほかなりません。
 菅総理は、一方では野党に協力を求めながら、他方では野党議員を閣僚や政務官に一本釣りをするなど、与野党の信頼関係を破壊する不誠実な行動を繰り返してきました。野党と話し合い、協力していこうという姿勢を持たず、自分の都合だけで全てを進めようとすれば、どんなに多くの議席を持っていようと、物事が進まないのは当たり前であります。復旧・復興の遅れも、元はといえば全てそのような菅総理の姿勢からきていたものであります。もし次の総理もこのような姿勢を取り続けるのであれば、野党の協力など望むべくもありません。
 そこで、今後、民主党がどのような姿勢で野党との関係をつくっていくべきか、野田大臣の考えを伺います。
 次に、民主党マニフェストの問題に移ります。
 先日、三党の幹事長が民主党のばらまき政策の見直しを検討することで合意をいたしました。子ども手当は既に廃止が決まりましたが、残りの高速道路無料化、高校無償化、農業者戸別所得補償についても、厳しく検証をした上で速やかに廃止すべきであります。
 これに関して、民主党が、子ども手当存続しますというビラを全国に配布したと聞きました。岡田幹事長が謝罪の上、配布の中止を決定したものの、回収の指示はされておりません。この事実は、また国民をだまし、我々をペテンに掛ける許されない行為であり、この特例公債法案に対する我々の賛否にもかかわる問題であります。
 細川厚生労働大臣、このビラ配布について事前に内容を知らされていたのか、内容は三党合意に反するものではなかったのか、子ども手当の廃止は間違いないのか、三点伺います。
 また、高校授業料の無償化は、朝鮮学校も対象となり得る制度であり、ばらまきとは別の観点からも大いに問題があります。政策効果の検証を待つまでもなく、廃止すべきと考えます。
 また、民主党マニフェストの根本的な問題は、これらの政策を実現するための前提である財源が確保できなかったことであります。無駄削減、埋蔵金の活用、租税特別措置の見直しで合計十六・八兆円の財源を捻出するという国民との約束は、全く果たされておりません。それを野田財務大臣は、先日の参議院予算委員会で、埋蔵金と租税特別措置についてはそれ相応の結果は出してきている、無駄削減については着実に財源を確保しながら実行していこうという思いを持ってきたという答弁をされましたが、これは国民の認識と大きくずれていると言わざるを得ません。
 野田財務大臣に伺います。
 十六・八兆円のうち、これまで確保できたのは幾らですか。あなた方のマニフェストに沿って、無駄削減、埋蔵金、租税特別措置、それぞれの金額をお答えください。また、それぞれ今後幾らまで財源創出ができるのか、見通しをお答えください。
 また、そうやって確保した財源が実際にはどこに使われたのでしょうか。マニフェストの工程表では、平成二十三年度、ばらまき四Kなど八事業に十二・六兆円を使うことになっていますが、それぞれの事業に実際幾ら使われたのか、お答えください。
 マニフェストに掲げた政策は、まず財源を確保した上で、その財源に見合った分の事業を行うようゼロベースで見直すのが当然であります。新政権が今後、どんな局面にせよ、与野党協議を持ちかけるのであれば、それが避けて通れない道であります。
 野田財務大臣、ばらまき四K政策も含め、マニフェスト全体を今後見直す考えがあるのかどうか、お聞かせください。
 政府は、先日、二〇二〇年代半ばまでの経済財政の中長期試算を発表しました。これによれば、二〇一五年までに消費税を一〇%に引き上げても、二〇二〇年には十八兆円ほど基礎的財政収支が赤字になるとのことであります。
 菅総理が内閣の最重要課題と位置付けていた税と社会保障の一体改革は、民主党内すらまとめ切れず、腰砕けに終わってしまいましたが、財政状況は待ったなしであります。次のリーダーには、パフォーマンスや思い付きではない、中長期を見据えた改革を、言うだけではなく実行していただかなくてはなりません。
 そこで、野田財務大臣、消費税について引き上げることは間違いないのか、また、菅総理とは違い、誰が反対しても増税をやり抜く覚悟があるのか、覚悟のほどを伺います。
 次に、復旧・復興の遅れについて伺います。
 冒頭でるる申し上げたように、菅政権の震災対応は余りにも失敗だらけで、遅きに失しています。
 我々自由民主党は、第一次から第三次までの計五百七十七項目にわたる緊急提言や、震災後の経済戦略の緊急提言など、数々の震災対策を提言してまいりました。第二次補正予算では、十七兆に上る本格的な復旧・復興予算を提案しました。
 しかし、復興基本法も、原子力損害賠償支援機構法も、瓦れき処理特措法も、政府案のレベルが余りにも低過ぎたため、野党案丸のみで成立をしております。野党にできることがなぜ政府にできないのでしょうか。ここまで政策立案能力の低い政府は前代未聞であります。
 さらに、中途半端な時期に第二次補正予算を編成したために、本格的な復旧・復興対策である第三次補正が遅れ、そのために来年度本予算の編成も遅れるという玉突き状態になってしまいました。明らかなスケジューリングのミスでありますが、政府にその認識はあるのでしょうか。
 そこで、野田大臣に伺います。本格的な復旧・復興のための補正予算がいまだにできていないのはなぜでありますか。また、今後どのようなスケジュールで本格的な復旧・復興予算を作成するおつもりでしょうか。
 さて、先月来、稲わらや牛肉の広範囲な汚染が問題となっております。新しい汚染が次々と判明し、生産者も消費者も農産物の実際の汚染と風評被害の区別が付かず、何を信じてよいか分からない状態になっております。
 政府がいつもその場限りの対応を繰り返し、全体的な基準がないために大混乱を招いているのであります。牛が食べる稲わらが一キロ当たり三百ベクレル、人間が食べる牛肉が一キロ当たり五百ベクレルという安全基準は整合性があるのでしょうか。先日、宮城県において牛肉の出荷停止が解除されましたが、政府が農畜産物の全体的な安全基準の考え方を国の責任で示さなければ生産者も消費者も不安は収まりません。
 また、農畜産物の検査体制もいまだ不十分であります。自由民主党は、四月の段階で、国、商工会議所等が放射能に対する安全性を公的に証明する品質保証を行う仕組みの構築を提言してまいりました。政府がもっと早い段階で検査体制の整備に着手していれば、今ごろ慌てる必要はなかったはずであります。
 これらは食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省など、複数省庁にまたがる課題でありますが、あえて代表候補の一人とされる鹿野農林水産大臣に伺います。国や県、商工会議所等が幅広い品目の農畜産物について品質保証を行う仕組みを構築する考えはないのか、また、そのための検査体制を国費で構築するつもりはないのか、見解をお聞かせください。
 また、政府は汚染牛への補償について、一頭五万円などという農家をばかにしているとしか思えない額を決めましたが、もっと大胆な補償が必要だと考えます。
 これは野田財務大臣と鹿野農林水産大臣にそれぞれ伺います。なぜ牛一頭五万円という補償なのか、根拠をお示しください。また、今後、もっとまともな金額の補償をするつもりはないのでしょうか。さらに、牛以外の農畜産物、水産物まで含めた包括的な補償の枠組みをつくるつもりはないのでしょうか。お答えください。
 復旧・復興に関しても財源が大きな問題であります。復興債の償還財源、特に復興増税の有無について政府は考えをまとめ切れておりません。復興基本方針でも、基幹税などを多角的に検討すると曖昧な記述にとどまっております。
 そこで、復興のための増税の必要性について、また、どのような税を充てるべきかについて、野田大臣はどのようにお考えか、見解を伺います。
 最後に、最近の急激な円高株安対策について伺います。これは欧米の債務問題に端を発したものでありますが、震災の傷が癒えぬ我が国経済への影響は大きく、我が国としても欧米諸国と連携しながら積極的な対策を講じていく必要があります。
 そこで、野田大臣、この円高、株安に対し、我が国としてどのような対策を講じているのか、また今後講じていくつもりか、お考えをお聞かせください。
 これまで述べてきたように、偽りのマニフェストを掲げて政権を取って以来、民主党政権は数多くの過ちを繰り返してまいりました。そして、今なお震災や原発事故への対応、我が国の財政問題、世界経済の問題、どれを取っても状況は大変に切迫しております。民主党にこのような難局を乗り切るだけの政権担当能力のないことは明々白々であります。
 私は、以前、鳩山政権時代に、この演壇で論語を引用し、過ちては改むるにはばかることなかれという言葉を申し上げました。しかしながら、民主党は、その後も過ちを改めるどころか、更にひどい過ちを積み重ねてきております。論語では、過ちて改めざる、これを過ちというとも言っております。まさに民主党がこの状態ではないでしょうか。今回のビラ事件はその象徴であります。
 本日は代表選に名のりを上げられているということで野田大臣を中心に質問をいたしましたが、誰が代表になっても民主党が政権の座にある限り本当の問題解決にはならないのであります。民主党内で政権をたらい回しにするのではなく、我々に一刻も早く政権を禅譲をしていただくか、少なくとも解散・総選挙で民意を問う、それが本来の姿であると強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117715254X03420110822_009

発言者: 愛知治郎

speaker_id: 22851

日付: 2011-08-22

院: 参議院

会議名: 本会議