志位和夫の発言 (本会議)
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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問いたします。(拍手)
冒頭に、台風十二号による記録的豪雨がもたらした大災害によって犠牲になった方々への深い哀悼とともに、被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。
大量の土砂によるせきとめ湖の決壊など二次被害の防止に万全を尽くすとともに、激甚災害指定を行い、被災者の生活再建への支援、自治体への財政支援を強化することを強く求めます。また、台風、豪雨災害から人命を最優先で守り抜くために、避難体制の抜本的強化など、全国的な防災の総点検を行うことを提案します。総理の答弁を求めます。
東日本大震災から半年がたちました。被災地では、被災者の皆さんの懸命の努力で復興への息吹も起こっています。しかし、多くの被災者が、不自由な避難生活を余儀なくされ、先が見えない不安と苦しみのもとに置かれています。
大震災からの半年間、政府の対応は、余りに遅く、不十分だと言わなければなりません。復興に逆行する一連の問題点も浮かび上がってきました。私は、幾つかの角度から大震災に対する政府の基本姿勢を問うものです。
第一は、被災者の生活となりわいの再建の問題です。
一人一人の被災者が、破壊された生活となりわいの基盤を回復し、自分の力で再出発できるように公的支援を行うことこそ、復興に当たっての国の最大の責任です。政府はその責任を果たしてきたと言えるでしょうか。被災地ではさまざまな問題が山積みですが、二つの問題に絞って伺いたい。
一つは、被災した事業者が再出発するための直接支援の問題です。
帝国データバンクの調査によると、岩手、宮城、福島の沿岸部の市町村の中で特に被害の大きい地域に本社がある五千四社のうち、二千四百九十八社が営業不能状態となっています。多くの漁業者、農業者も、事業再開にはほど遠い状況です。放置するならば、大量廃業、大量失業の危機が迫っています。
七万人を超えると言われる震災失業者の失業手当が十月下旬から切れ始めます。多数の失業者が職を求めて地元を離れざるを得なくなることへの強い懸念の声が上がっています。このままでは、地域から人がいなくなり、地域社会を復興する土台そのものが崩壊してしまいます。復興のためには、事業再開のための従来の枠を超えた個々の事業者への直接支援が、文字どおり待ったなしの緊急課題です。総理にその認識はありますか。
商工業者にとっても、漁業者、農業者にとっても、事業再開の最大の足かせとなっているのが二重ローンの問題です。
被災地がその解消を強く求め、我が党も債務の凍結、減免のための具体的提案を示す中で、政府も、県ごとに産業復興機構をつくり、公的支援を行うと発表しました。しかし、この機構はいまだに設立さえしていません。その原因は、被災事業者を選別して、支援は再生の見込みがあると判断された事業者だけ、地域金融機関からの債権買い取りはできるだけ安くという国の姿勢にあります。
この姿勢を改め、政府が国の方針として、事業再開の意思がある被災事業者はすべて支援の対象とする、そのために必要な資金は国が責任を持って手当てする、このことを明確に示し、機構を直ちにスタートさせるべきです。総理の答弁を求めます。
いま一つは、被災した医療機関の再建です。
被災三県では、百四の病院、診療所が全壊、九百三十四の病院、診療所が一部損壊という大被害を受けました。しかし、震災から半年たっても、復旧は大幅におくれ、入院機能の喪失、勤務医の転出、診療所の廃業が大問題になっています。
被災医療機関、特に民間病院・診療所に対する国の支援が余りに貧弱で、復旧が医療機関任せになっているという批判が、医師会や保険医協会など多数の医療関係者から寄せられています。総理はこの声をどう受けとめますか。
これまでの姿勢を改め、公立病院への支援の拡充を図るとともに、民間病院・診療所への支援制度を新たに創設し、すべての医療機関の復旧に国が責任を負うという姿勢を明確にすべきです。選択と集中の名で病院の統廃合を進め、医療提供体制を縮小する従来の政策は抜本的に転換すべきです。答弁を求めます。
第二は、大震災に便乗した財界、大企業の身勝手を許していいのかという問題です。
大企業が自由勝手に沿岸漁業に参入できるようにする水産特区構想を国と宮城県が押しつけようとしていることに対して、漁業協同組合を初め被災地から激しい批判の声が上がっています。
目先の利益第一の企業に漁協と同格の漁業権を与えたら、漁業資源の適切な管理が損なわれ、浜の荒廃を招きます。何よりも、浜の復興の主人公は漁業者の皆さんであり、漁協が一体になって反対している方針を押しつけて、どうして復興ができますか。
漁業者の皆さんが海がある限り海で生きるという必死の思いで頑張っているときに、国がやるべきは、生産、加工、流通一体で水産業のインフラを復旧するために、本腰を入れた支援に乗り出すことではないですか。水産特区の押しつけはやめ、こうした支援こそ抜本的に強化すべきだと考えますが、いかがですか。
いま一つただしたいのは、TPPへの態度です。
日本経団連は、大震災を乗り越えるためにもTPP参加を急げと号令をかけています。しかし、TPP参加による関税撤廃は、日本の米の九〇%を破壊するなど農業に壊滅的な打撃を与えるだけではありません。ワカメ、昆布、サケ・マスなど、水産業にも壊滅的な被害が及びます。被災地の地域経済を支える第一次産業を土台から破壊して、どうして復興ができますか。
総理は、TPP参加が被災地の復興に重大な障害をつくるという認識をお持ちでしょうか。TPP参加は食料自給率向上と両立し得ないという認識をお持ちでしょうか。もしもそうした認識があるなら、TPP参加をきっぱり断念することを明言すべきであります。
第三は、復興財源の問題です。
総理は、復興財源の一部を臨時増税で賄うとの方針を示しています。報道によれば、法人税、所得税の臨時増税を行うが、法人税については、五%の減税をした上でその減税分の一部を一時的に増税するとされています。
結局、これでは大企業の負担増は一円もなく、所得税増税、サラリーマンと自営業者にだけ増税を求めるという話になるではありませんか。
日本経団連は法人税の純増税は絶対に容認できないとしていますが、こんな身勝手を受け入れるつもりですか。大企業に復興のための新たな負担を求める意思があるのかどうか、明確な答弁を求めます。
日本共産党は、第一に、復興財源というなら、まず何よりも、法人税減税と証券優遇税制の延長、大企業や大資産家への減税のばらまきを中止する、不要不急の大型公共事業の中止、原発の建設・推進予算の削除、政党助成金の廃止など、歳入歳出の見直しの一部を充てるべきだと主張しています。
第二に、当座の復興資金の調達については、二百五十七兆円という空前の規模に膨らんでいる大企業の内部留保を復興に役立てるために、通常の国債とは別建てで、市場に出さない震災復興国債を発行し、大企業に引き受けを要請することを提案しています。我が党の提案についての総理の見解を伺います。
次に、原発災害について質問します。
原発事故はいまだ収束の見通しが立たず、放射能汚染の被害は日々拡大し、十万人もの人々に先の見えない避難生活を強いています。まず、総理に伺いたいのは、この大事故を引き起こした責任をどう自覚しているかということです。
政府は、IAEAが各国に過酷事故対策をとることを勧告していたにもかかわらず、日本では過酷事故は起こり得ないとして、何の対策もとってきませんでした。日本共産党は、国会質疑で、福島原発について、大地震と津波による全電源喪失の危険性を具体的に警告し対策を求めたにもかかわらず、何の対策もとってきませんでした。
総理、あなたには、民主党政権も含めた歴代政権が、原発安全神話にどっぷりとつかって、とるべき対策をとってこなかったという認識と反省はありますか。原発事故は、歴代政権の原子力政策が引き起こした人災であるとはっきり認めるべきであります。そうしてこそ、今後の対応や方策も、真剣で、道理に立ったものになります。明確な答弁を求めます。
原発事故によって大量かつ広範囲に広がった放射能汚染から、国民、わけても子供たちの命と健康を守ることは、日本社会の大問題です。
福島原発から放出された放射性物質の総量は、広島型原爆の二十個分という莫大な量に達しています。これだけの規模で広がった放射性物質を除染し、適切な方法で処理し、封じ込めるという事業は、人類がこれまでに取り組んだことのない一大事業であり、その自覚に立った構えが求められます。総理はどのような構えで除染に取り組むのか、その自覚と覚悟をまず伺います。
最新の科学的知見によれば、放射能による健康被害には、これ以下の被曝なら安全という、いわゆる閾値は存在しないと言われており、放射能汚染に対しては、被曝は少なければ少ないほどよいという大原則に立った対策が求められます。
政府が八月にまとめた除染方針のような、年間二十ミリシーベルトを超えたら国が直接除染するといった受け身の姿勢では、国民の命と健康を守ることはできません。この姿勢を改め、能動的、積極的な放射能汚染対策を打ち立てるべきではありませんか。
私は、その立場から、四つの具体的対策に政府が責任を持って取り組むことを求めます。
第一は、放射能汚染が疑われるすべての食品を迅速に検査し放射線量を測定する体制を速やかにつくることです。
第二は、妊婦と子供を守るための緊急除染です。保育園、幼稚園、学校、通学路、公園、病院などを中心に線量を測定し、高線量のホットスポットを迅速に除染することです。そのための専門家の配置を国が責任を持って行うことです。
第三は、詳細な放射能汚染地図をつくり、放射能で汚染された地域の危険を最小にする恒久的除染に取り組むことです。除染には住民の理解と協力が不可欠です。除染計画は住民の納得と合意で決め、実施と財政的な手当ては国が全面的に支援すべきです。
第四は、科学者、専門家などの知恵と力を総結集し、放射能汚染の測定と除染を推進する強力で特別な体制、放射能測定・除染推進センターをつくることであります。
以上述べた具体的対策に政府が直ちに取り組み、日本の命運がかかった一大事業として放射能汚染対策に本腰を入れて臨むことを強く求めます。総理の見解を伺います。
原発災害の賠償問題も、待ったなしの緊急課題です。
政府は、八月、賠償に関する中間指針を発表しました。しかし、福島県知事を会長とする福島県原子力損害対策協議会は、中間指針は福島県の被害を十分に反映したものになっていないとし、事故によって福島県民がこうむったさまざまな損害はすべて賠償されることが大原則と訴えています。この声をどう受けとめますか。
損害賠償は、その範囲を恣意的に限定するのではなく、全面賠償、原発事故がなければ生じることのなかった損害について、被害者が求めるものはすべて賠償することを大原則にすることを明確にすべきではありませんか。
賠償責任と負担は、東京電力に第一義的に求めることはもとより、電力業界、原発メーカー、大手ゼネコン、鉄鋼・セメントメーカー、大銀行など、原発で大もうけをしてきた原発利益共同体に責任と負担を求めるべきです。総理の見解を問うものです。
原発事故は、原発に依存したエネルギー政策の根本からの見直しを迫っています。
総理は、定期検査中の原発の再稼働について、安全性を確保しながら進めるとしています。しかし、事故の収束もできず、事故防止対策の前提となる事故原因の調査さえ途上じゃありませんか。これでどうして安全性の確保ができるというのですか。
原子力の規制機関とされてきた原子力安全・保安院は、やらせまで行っていたことが明らかになり、規制機関失格の烙印が押されました。規制機関がない、まともな対策もないもとでの再稼働など論外だと考えますが、いかがですか。
一方で、総理は、原発の新設は困難と述べています。それならば伺います。
建設中の二基の原発、建設準備中の十二基の原発について、政府として中止を求める意思はありますか。破綻したプルトニウム循環サイクルから撤退し、青森県六ケ所村の再処理施設の閉鎖を求める意思はありますか。自分の国では危なくて使えないものを他国に押しつける原発輸出政策は中止すべきではありませんか。答弁を求めます。
多くの国民は、今、原発事故の中に、ほかの事故には見られない異質の恐ろしさを目の当たりにしています。すなわち、一たび重大事故が発生し、放射性物質が外部に放出されたら、それを完全に抑える手段は存在せず、被害は空間的にどこまでも広がる危険があり、時間的にも将来にわたって危害を及ぼす危険があり、地域社会の存続すら危うくします。
このような事故は、ほかの事故には見られない、原発事故だけに特有の異質の危険だと考えますが、総理の認識を伺いたい。
私たちは、こうした異質の危険は、今の原発の技術が本質的に未完成で危険であることに起因するものであると考えます。すなわち、今開発されているどんな型の原子炉も、発電の過程で莫大な死の灰を生み出します。しかし、人類がこの死の灰を閉じ込めておく保障を持っていないことは、スリーマイル、チェルノブイリ、福島と、三度にわたって経験したことではありませんか。さらに、核のごみを、その危険がなくなる百万年という単位で安全に処分する方法も人類は持っていません。
総理は、今の原発の技術が本質的に未完成で危険なものであるという認識をお持ちでしょうか。答弁を願いたい。
安全な原発などあり得ません。一たび重大事故が起きれば取り返しのつかない事態を引き起こす原発を、世界有数の地震・津波国日本において社会的に許容していいのかが問われています。私は、総理に、原発から速やかに撤退し原発ゼロの日本を目指す政治的決断を行うとともに、期限を設定して原発をなくし、同時並行で自然エネルギーの急速な普及を進めるプログラムをつくることを強く求めます。明確な答弁を求めます。
総理は、税と社会保障の一体改革の名で、二〇一〇年代半ばまでに消費税率を一〇%まで引き上げる法案を来年三月までに国会に提出するとしています。しかし、一体改革といいますが、この改革で社会保障はよくなるのでしょうか。
政府が六月に決定した方針では、医療では現行の医療費の三割負担に加えて外来受診のたびに定額負担を上乗せする、年金では支給開始年齢を六十八歳ないし七十歳まで引き上げるなど、社会保障切り捨てのオンパレードではありませんか。その一方で、国民にあれだけ約束した後期高齢者医療制度の廃止の公約は、全く影も形もないではありませんか。
消費税を一〇%に上げて社会保障を悪くする、これが政府の一体改革の正体ではないですか。総理の答弁を求めます。
総理は、日本社会で中間層の厚みが損なわれ、格差が拡大してきたことを問題にしています。
しかし、所得の少ない人に重くのしかかる消費税増税は、格差の拡大に追い打ちをかけ、中間層をますます貧困に落とし込みます。総理にその自覚はないのですか。
貧困と格差を本気で問題にするなら、消費税増税は中止し、応能負担、負担能力に応じた負担という原則に立って、税制と社会保障のあり方を土台から再構築することこそ必要だと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
最後に、米軍基地と日本外交の問題です。
総理は、沖縄・普天間基地の問題について、辺野古移設を推進すると述べました。
しかし、総理は、本気で県内移設が可能だと考えているのですか。あなたの目には、沖縄で県内移設反対が党派を超えた島ぐるみの揺るがぬ意思となっているという現実が見えないのですか。
米国議会でも、レビン上院軍事委員長などの有力議員が、辺野古移設は非現実的、実行不可能と述べています。米議会の中からも辺野古移設を疑問視する声が上がっているのに、総理は何の疑問も感じないのですか。
玄葉外相が、辺野古移設について、踏まれてもけられても、誠心誠意沖縄の皆さんに向き合っていくと述べたことが県民の怒りを呼び起こしています。琉球新報は、「踏みつけているのは誰か」と題する社説で、これは加害者が被害者であるかのごとく装う、明らかな主客転倒発言だと批判しています。県内移設反対の沖縄県民の声を無視し、危険きわまる最新鋭輸送機オスプレーの配備を押しつけようとしている日米両政府こそ県民を踏みつけにしてきた張本人ではないか、このような批判が起こっています。総理は、沖縄のこの声にどうこたえますか。
野田内閣が向き合うべきは、沖縄県民ではなく、米国政府であります。普天間基地の無条件撤去を求めて米国政府と本腰の交渉を行うことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕