野田佳彦の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 共産党志位委員長の御質問にお答えをいたします。
まず第一問目は、台風十二号による豪雨災害等についてのお尋ねがございました。
危険な状態にある五カ所の河道閉塞、いわゆるせきとめ湖については、国において緊急調査を実施し関係自治体の警戒避難体制を支援するとともに、排水等緊急的な対策の検討を進めるなど、二次災害の防止に万全を尽くしているところでございます。
また、激甚災害の指定については、現在、関係施設の被害状況等の迅速な把握に努めており、その被害が指定基準を満たせば、速やかに対応してまいります。
さらに、御指摘のような避難体制のあり方等については、今回の大雨災害における実態を調査した上で、必要な改善を図ってまいります。
続いて、事業者の再建支援についてのお尋ねがございました。
被災事業者が早期に事業再開できるよう支援することは、被災者の暮らしの再建、地域経済の再建、復興のために重要でございます。
このため、事業者の資金繰りを強力に支援するとともに、事業用施設設備及び機械等の復旧支援、仮設店舗・工場の整備、被災農漁業者の経営再開に向けた復旧作業への支援などを実施してまいります。
続いて、二重ローン問題についてのお尋ねがございました。
政府としては、六月十七日に決定した政府の対応方針などに基づき、債権の買い取り等を行う産業復興機構を県ごとに設立することとしております。現在、政府による具体的な支援の方法も含め、県や地域金融機関と精力的に調整を進めているところであり、早急に産業復興機構を設立することを考えています。
続いて、医療機関の災害復旧や医療提供体制のあり方についての御質問をいただきました。
医療機関の災害復旧については、まずは早急に回復できる施設の復旧を急ぐ観点から、二十三年度第一次補正予算において、一部損壊の病院復旧等に必要な費用を計上したところでございます。
今後さらに、被災地の医療機能の復興に向け、第三次補正予算の編成に当たっては、民間医療機関への支援も含めて、国としてできる限りの支援を検討してまいります。
また、医療提供体制のあり方につきましては、さきに取りまとめられた社会保障・税一体改革成案を踏まえて、地域の実情に応じた効率化、重点化と充実等により、安心で良質な医療を確保できるよう検討してまいります。
続いて、水産特区構想についてのお尋ねがございました。
水産業の復興に当たっては地域主体の取り組みが基本となるものであり、水産特区の具体化についても、地域ごとの漁業の特性等を踏まえ、地元のさまざまな意見をしっかりと伺いながら、真に被災地の復興に資するものとなるよう努めてまいります。
生産、加工、流通一体的な水産業のインフラ復旧は地域経済再生のためにも極めて重要であり、水産加工施設や市場等の共同利用施設の早期復旧に必要不可欠な機器等の整備を支援しているところでございます。
今後とも、地域の方々の意見を踏まえ、さらに本格的な復興に向けて取り組んでまいります。
震災復興、食料自給率とTPPとの関係についてのお尋ねがございました。
東日本大震災からの復旧復興は、この内閣が取り組むべき最大かつ最優先の課題でございます。東北の被災地の基幹産業である農林漁業の再生に全力で取り組んでまいります。
TPPについては、八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるように、被災地の農業復興にも関係していると認識をしています。他方で、国際交渉の進捗、産業空洞化の懸念等も踏まえる必要があります。
経済連携と食料自給率との関係については、昨年十一月に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針において、高いレベルの経済連携の推進と、我が国の食料自給率の向上や国内農業、農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じることとしています。
政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、TPP協定への交渉参加について、しっかり議論し、できるだけ早期に結論を出していく考えでございます。
復興財源としての法人税などについての御質問をいただきました。
平成二十三年度税制改正法案に盛り込まれた法人実効税率の五%引き下げについては、復興の基本方針において、与野党間での協議を経て、その実施を確保することとしております。
一方で、復旧復興のための税制措置については、同基本方針において、基幹税などを多角的に検討することとし、税制調査会が、具体的な税目、年度ごとの規模等を組み合わせた複数の選択肢を復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て同本部で決定することとしており、法人税や所得税も含め、税制措置の内容を早急にまとめたいと考えております。
復興財源についてのお尋ねがございました。
復興の財源については、復興の基本方針において、一次、二次補正予算等における財源のほかに、歳出削減、税外収入及び時限的な税制措置により確保することとしております。
現在、財務大臣を中心に歳出削減及び税外収入による財源確保策を検討しており、また、税制調査会では時限的な税制措置の複数の選択肢を議論しているところであり、歳入歳出両面からの財源確保の取り組みを進めているところでございます。
国債の大企業引き受けについてのお考えをお示しされました。
一般論として申し上げれば、国債の安定消化のためには、まずは政府が財政規律を維持し、市場の信認を確保していく必要があると考えています。
なお、現在の国債の発行は順調に行われており、特に大企業に対して国債の引き受けを要請するようなことは考えておりません。
原発安全神話に対する認識についての御質問をいただきました。
今回の原発事故においては、地震と巨大な津波の発生により、従来の設計、評価における検討の範囲を超えた、極めて厳しい事態が発生をいたしました。地震や津波に関する想定が不十分だったことなど、これまでの原子力安全行政が十分でなかったことは認めざるを得ません。この点、政府も事業者も、原子力に関する安全神話にとらわれてきたという事実は謙虚に反省すべきであると考えます。
今後、事故原因等の徹底的な検証を踏まえ、安全性確保のための抜本的な対策を講じてまいります。
除染等に関する御質問をいただきました。
住民の方々の不安を取り除くとともに、復興の取り組みを加速するためにも、既に飛散してしまった放射性物質の除去は喫緊の課題であると受けとめております。
原子力災害対策本部で取りまとめた除染に関する緊急実施基本方針や、さきの国会で成立した放射性物質環境汚染対処特措法に基づく対策によって一日でも早く除染が進むよう政府が一丸となって総力を挙げることはもちろんのこと、自治体の協力も仰ぎつつ、民間や研究機関の知見、さらには世界の英知を総動員して、全力で取り組んでまいります。
国の除染に対する姿勢についてのお尋ねがございました。
本格的に除染を進めるために、政府として、今回、除染に関する緊急実施基本方針を決定しました。これを受けて、県や市町村の協力を仰ぎつつ、国の責任として大規模な除染を行ってまいります。
年間被曝線量が二十ミリシーベルト以下の地点においても、安全かつ円滑に除染が行われるよう環境を整備するため、財政措置、専門家の派遣などの必要な支援を国として強力に実施してまいります。
放射性物質による汚染への対処に関する御質問もいただきました。
住民の方々の不安を取り除くとともに、復興の取り組みを加速するためにも、放射性物質による汚染への対処は喫緊の課題でございます。
食品中の放射性物質の検査については、国みずからも、流通段階の買い上げ調査を実施し、食品の安全性の確保に努めているところでございます。
また、除染の推進については、八月二十六日に除染に関する緊急実施基本方針を取りまとめ、徹底的かつ継続的な除染を実施することを決定いたしました。
国は、市町村の要望に合わせ、財政措置、専門家の派遣などの支援を実施してまいりますが、その際、子供が安心して生活できる環境を取り戻すことが最も重要であり、学校、公園など、子供の生活環境を徹底的に除染していく所存でございます。
モニタリングについては、航空機を用いた広域のモニタリング、土壌調査、計画的避難区域等の詳細なモニタリングなどを実施するとともに、空間線量率や放射性物質濃度のマップを作成しているところであり、引き続き、自治体や事業者と連携をしつつ、国が責任を持ってモニタリングに取り組んでまいります。
除染のための拠点については、福島県に政府の現地対策チームを置くなど体制整備を図っており、今後も、定員の増員などにより必要な整備を行ってまいります。
原子力損害の賠償についてのお尋ねがございました。
本件事故により生じる損害については、事故との相当因果関係が認められるものはすべて原子力損害賠償法に基づき適切な賠償が行われることとなっており、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針は、そのような考えに立ち策定をされているものでございます。
ただし、被害者の適切な救済のため中間指針で残された課題については引き続き審議が行われることとされ、その結果は、必要に応じ指針に追加されるものと承知をしております。
また、原子力損害賠償法では、原子力事業者に賠償責任を集中することにより、被害者の迅速かつ適切な保護を図ることとされております。
なお、原子炉メーカーなど産業界は、これまで、避難住民の方々に対し宿舎の確保や雇用機会の維持、確保に努めるなど、協力を進めていると承知をしており、本件事故の収束や避難住民の方々に対する支援など、産業界を含め関係者が一丸となって取り組むことが重要であると考えております。
定期検査中の原発の再稼働についてのお尋ねがございました。
定期検査で停止中の原子力発電所の再起動については、事業者が行ったテストを保安院が評価し、さらにその妥当性を原子力安全委員会が確認した上で、地元の理解や国民の信頼が得られているかという点も含め、政治レベルで総合的に判断を行ってまいります。
また、原子力安全・保安院によるやらせの問題は、言語道断であります。この問題に関しては、第三者委員会において事実関係の徹底的な解明等を行っていただいているところであり、その結果をしっかりと受けとめた上で、国民からの信頼回復に全力を尽くしてまいります。
原子力発電所の新設、核燃料サイクル及び原発輸出政策に関する一連の御質問がございました。
原子力発電所の新増設については、現状では原子力安全に対する国民の信頼が失われているといった点を踏まえ、客観的な状況に対する認識として、困難と申し上げたものであります。
他方、建設中の原子力発電所等については、進捗状況もさまざまであり、個々の状況をしっかりと踏まえ、立地地域の方々の御意見も踏まえながら、個別の事案に応じて検討していく必要があると考えております。
核燃料サイクルについては、エネルギー・環境会議において、原子力政策の徹底検証を行い、新たな姿を追求すると整理されており、今後の原子力政策の見直しを議論していく中で、しっかりと議論を行ってまいります。
また、国際的な原子力安全の向上に資するため、今回の原発事故の経験と教訓を共有すべく努力を続けてまいります。
こうした観点から、これまで進められてきた各国との協力を着実に推進していくとともに、原子力発電所の輸出を含めた国際的な原子力協力のあり方については、原発事故原因の徹底的な検証を踏まえ、できるだけ早い時期に我が国としての考え方を取りまとめる方針でございます。
原子力発電所特有の危険の存在及び原子力技術に関する御質問をいただきました。
今回の事故で示されたように、原発事故は、外部に放射性物質が放出された場合、周辺住民の方々や地域の環境に悪影響を及ぼす長期的なリスクがあると認識をしています。したがって、原子力については、原子炉等規制法等の特別な規制制度のもとでその利用が図られてまいりました。
他方、今回のような事故をあらかじめ想定し、十分な対策を準備できなかったことは事実であります。この点については真摯に反省し、原発事故が再発することがないよう、事故原因の徹底的な検証を踏まえつつ、原子力安全規制を抜本的に強化するなど、世界最高水準の安全性を確保すべく取り組んでまいります。
また、原子力発電の運転後には高レベル放射性廃棄物が発生しますが、これを安全な形で地層処分し生活圏から完全に隔離することが、国際的にも共通の考え方となっています。
現在最も重要なことは、原発事故の収束に向けて総力を挙げて取り組むことであります。大気や土壌、海水への放射性物質の放出を確実に食いとめることに全力を注ぎ、作業員の方々の安全確保に最大限努めつつ、事故収束に向けた工程表の着実な実現を図ります。世界の英知を集め、技術的な課題も乗り越えてまいりたいと考えております。
脱原発及び自然エネルギーの普及に関する御質問をいただきました。
原子力発電については、脱原発と推進という二項対立でとらえるのではなく、中長期的には、原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきと考えております。
今後、自然エネルギーの普及も含め、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成のあり方について、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、エネルギー・環境会議を中心に検討してまいります。
社会保障と税の一体改革についての御質問をいただきました。
本年六月に決定した社会保障・税一体改革成案は、社会保障を全世代対応型へと転換し、総合的な子ども・子育て支援を進めることや、地域の実情に応じた質の高い医療・介護サービスを効率的に提供することなどにより、社会保障のほころびに対応するものでございます。
今後、改革案の具体化を早急に進め、消費税収を主たる財源として安定財源を確保することにより、必要な社会保障の機能強化と社会保障全体の持続可能性の確保を図ってまいりますので、各党各会派の皆様にも政策協議に御参加いただきますようにお願いを申し上げます。
税負担などのあり方についての御質問もいただきました。
社会保障・税一体改革成案においては、二〇一〇年代半ばまでに消費税率を一〇%まで引き上げることとしているほか、社会保障の機能強化にも取り組むこととしております。
いずれにせよ、消費税負担と社会保障のあり方については、消費税の負担のみに着目するのは適当ではなく、税、社会保障全体としての再分配を総合的に勘案する必要があると考えております。
普天間飛行場の移設問題についての御質問をいただきました。
普天間飛行場の辺野古沖への移設とともに、約八千名の海兵隊員のグアム移転や嘉手納以南の土地の返還などを内容とする現在の日米合意は、全体として、少なくとも現状に比べると、沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、政府としては、引き続き、沖縄の皆様の御理解を得るべく、誠実に努力をしていく考えでございます。
なお、レビン上院軍事委員長らの提言については、あくまで米議会の議員らによる見解であり、米国政府として現行案へのコミットメントは変わらない旨公式に表明していると承知をしています。
最後に、普天間問題に関する沖縄の声についての御質問をいただきました。
普天間飛行場については、固定化を回避し、危険性の一刻も早い除去を図り、沖縄の負担軽減を目指すことが必要でございます。
沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、政府としては、引き続き、日米合意を踏まえつつ、沖縄の皆様に誠意を持って御説明し、理解を求めながら、普天間飛行場の移設に向けて全力で取り組んでまいります。
また、MV22オスプレーの沖縄配備について、安全性や騒音等に対する御懸念があることも承知をしております。地元の方々が安心できるよう、本件に関しても、丁寧に、誠意を持って御説明してまいります。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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