重野安正の発言 (本会議)

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○重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、野田内閣総理大臣の所信表明演説に対し、質問します。(拍手)
 冒頭、東日本大震災及び台風十二号を初めとする災害の犠牲者にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 まず、台風十二号災害について伺います。
 行方不明者の捜索救助に全力を尽くすとともに、復旧事業や被災者支援、交通網の回復を促進するため、早期に激甚災害に指定し、特別交付税の繰り上げ交付、予備費の活用や第三次補正予算による手当てをするべきだと考えます。万全の対応を求めます。
 さて、歴史的な政権交代から二年、今大切なのは、なぜ政権が交代したのか、どういう方向を目指していたのかをしっかり踏まえて、政権交代の原点である、国民の生活が第一という理念に立ち戻り、国民の期待にこたえるべく、実績を積み重ねることではないでしょうか。
 二〇〇九年九月九日の政策合意の実現、中でも、労働者派遣法改正案、郵政改革関連三法案については、早期成立を図るべきであります。改めて、政策合意の実現に向けた総理の決意を明らかにしていただきたい。
 あわせて、対話と理解を丁寧に重ねた合意形成、議論を通じて合意を目指すというのであれば、民自公三党で決めたことを押しつけるのではなく、少数政党の意見にも耳を傾けるべきだと考えますが、総理、いかがですか。
 未曾有の被害を出した東日本大震災から半年が経過いたしました。復興の主体は被災者であるという視点を踏まえ、被災者の生活、権利及び人間の尊厳の回復を重視して、復興に全力を挙げるべきだと考えます。
 さて、厚生労働省は、東日本大震災の影響で失業した労働者は三県で少なくとも七万人に上る可能性があるとしていますが、農漁業従事者や個人事業者も加えれば、職を失った人ははるかに多いと思います。
 失業手当が切れ始める秋以降、経済的に追い込まれる労働者が続出するとの懸念が広がっています。被災地の雇用問題についての総理の認識と対策についてお示しください。
 また、必死に奮闘している漁業者や農業者に、二重ローン問題が立ちはだかっています。株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案の早期成立を図ることが、被災者を救い、復旧復興を進めていく力となると考えますが、総理の見解を伺います。
 被災地のシンボルである三陸鉄道を初め、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた鉄道について、国の補助率を抜本的に拡充し、事業者の負担なしで速やかな復旧復興ができるようにすべきではないでしょうか。あわせて、継続審議となっている交通基本法の早期成立を期すべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
 総理は、演説の冒頭で、忘れてならないものがあると連呼されました。しかし、重要なことを総理は忘れていませんか。
 原発事故を引き起こしたのは、虚構の安全神話の上に、やらせと隠ぺいを繰り返し、危険性を指摘する声を無視し、地震国である日本に五十基以上の原発をつくった政府と電力事業者にあります。その点についての反省も被災者への謝罪もないのは、一体どういうことですか。また、原発事故の収束は、国家の挑戦ではなく、国家の責任ではありませんか。最初から認識が間違っていると言わざるを得ません。総理はどのようにお考えか、お示しください。
 総理、児玉龍彦東大教授が厚生労働委員会に参考人として出席され、国民の総力を挙げた測定と除染の体制に関する四つの緊急提言をされました。総理は、どう受けとめ、対応されようとしているのでしょうか。そして、原発事故は、今の安全委員会や保安院の人たちが失敗したわけだから、彼らには直ちに退いてもらい、原発、核汚染、放射線医学、環境、食料などの最先端技術を持つ専門家チームを立ち上げるべきだという提案についての見解を伺います。
 放射能汚染が懸念される農畜産物、水産物について、国の責任による徹底した検査、安全基準の作成など、消費者の信頼確保に向けた取り組みをどのように実行していくのか、総理の決意をお聞かせください。
 また、私は、被曝したおそれのあるすべての人に、広島や長崎の被爆者と同様に被曝者健康手帳を渡し、医療費の完全無償化を図ることを提案したいと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 自然エネルギーを中心に据えたエネルギー政策に転換し、菅前総理が提唱した原発に依存しない社会への道筋を明確にしていただきたいと思います。総理の見解を求めます。
 原子力発電所の新増設、リプレースを、着工済み原発を含めてすべて中止し、今後地震の危険が大きい立地の原発、四十年たった等の老朽炉、危険炉を廃炉にするとともに、定期検査等で運転を停止中の原子炉については、事故の収束、検証、安全、地元の同意の四条件が整うまでは再稼働するべきではないと考えますが、見解を求めます。
 総理は、分厚い中間層の復活に言及されています。中間層とは、一体何を指すのですか。また、中間層縮小の原因は、小泉構造改革による雇用と賃金の破壊にあります。安定した良質な雇用こそ中間層復活の最大のかぎではありませんか。総理のお考えをお聞かせください。
 総理は、社会保障と税の一体改革への熱意を述べられました。しっかりとした社会保障を築くことに異論はありません。しかし、その前提が消費税増税ありきというのでは、ぬくもりのある社会を取り戻すことはできません。橋本内閣が行った消費税増税の後に日本社会はどうなっていったのかを思い出すべきであります。
 消費税ではなく、欧州並みの所得税の累進性強化を行えば財源は十分賄えるのではありませんか。総理の考えをお尋ねいたします。
 先日、民主党の前原誠司政調会長が、野田総理の所信表明がなされる前に米国ワシントンで講演し、政府の重要な方針である国連平和維持活動の際の自衛隊の武器使用を緩和することや、武器輸出三原則を見直すことに言及したと報じられています。与党政調会長として問題ある発言と言わざるを得ません。これらは、国内では長く議論が続いてきた問題であり、憲法の平和原則にもかかわる重大な問題であります。
 また、前原氏は、自衛隊の活動について、米国の手の回らないパズルのピースを日本や他の友好国が埋めていくとも述べています。自衛隊は米国の下請なんでしょうか。マニフェストで緊密で対等な日米関係を築くことを掲げながら、このような露骨な対米追従政策を勝手に表明することは、国民の信頼を裏切るものと言わなければなりません。
 震災と原発事故で、あすの暮らしも見通せない人々が大勢いる中で、武器使用基準の緩和、武器輸出三原則の見直し等をしている場合ではないと考えますが、総理の認識を伺います。
 さて、総理は、政治と政治家に求められているのは正心誠意だとの決意を表明されました。辺野古への新基地建設を認めないという沖縄県民の意思は、既に明白です。ウチナーンチュに寄り添い、米軍基地の負担と重圧に苦しむ県民の心を理解し、国外、県外への移設を求めて対米交渉をやり直す正心誠意こそ見せていただきたい。
 アシュトン・カーター国防次官も、上院の指名公聴会で、辺野古に移す計画を再検討する可能性を示しました。アメリカも変わってきています。日米合意の見直しに関する総理の決意を伺います。
 残念なことに、沖縄振興については、沖縄県の要望にこたえたものになっていません。県が求めている新沖縄振興法や沖縄振興一括交付金創設等、沖縄振興への具体的な取り組みについての総理の明快な答弁を求めます。
 また、沖縄振興は、地域主権ではなく、日米同盟の深化・発展の項目に挙げられています。しかし、菅内閣当時、予算委員会で、基地の受け入れを条件に振興策を展開するかのごときリンク論を否定する統一見解が示されています。
 普天間移設と沖縄振興のリンク論について、改めて否定していただきたい。
 十一月にハワイで開催されるAPEC首脳会議での合意に向けて、環太平洋経済連携協定、TPP交渉が行われています。TPPは、日本にとって本当に必要なものなのか、国民にどんな利益があるのか、立ちどまって考えねばなりません。
 TPPへ参加を見送る姿勢を表明し、日本農業の再生に向けた諸課題への取り組みを強化すべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞きします。
 本年は、国際森林年に当たります。改正森林法も成立し、新たな森林・林業基本計画が決定されました。また、台風十二号による災害によって、森林や土壌の保水力の向上など大型台風対策としても森林・林業再生の必要性が浮き彫りになりました。
 山村の振興、労働者や技術者など人材の育成、国産材の需要拡大、森林吸収源の達成及び森林整備予算の確保についての総理の見解を伺います。
 また、国有林は、企画立案と実行を一体的に進めるため、早期に組織、事業のすべてを一般会計に移行させ、人材育成を図る中で、民有林への指導、サポート、地域貢献を果たせる体制の確立を図ることが重要と考えますが、総理の御見解を伺います。
 二年前の国連女性差別撤廃委員会の求めに対する今年八月の日本政府の報告は、余りにも消極的なものでありました。二年間の政府の取り組みへの評価と、今後の取り組みの強化についての決意を伺います。
 あわせて、選択的夫婦別姓制度や婚外子相続差別撤廃などを含む民法改正案はいつ提出されるのか、明らかにしていただきたい。
 また、東日本大震災の復興、福島第一原発の事故や放射能被害の対応、エネルギー政策の転換に関する意思決定に関する女性の参加の確保についても、具体的にお答えください。
 八月十七日、福島県の小学生四人が、原子力災害対策本部や文部科学省の担当者に、約四十通の子供たちの手紙を手渡しました。その中に、大人が勝手につくった原発でなぜ福島の子供たちが被曝しなくてはならないのか、なぜこんなつらい目に遭わなくてはいけないのか、これほどの事故が起きても、どうしてまた原発再開を目指すのか、このような状況で総理大臣がかわっても、よい国がつくれるとは思いませんとの手紙があります。総理は、どう感じてそのお手紙を受け取られたのでしょうか。
 総理、声なき未来の世代にこれ以上の借金を押しつけてよいのでしょうかと言うのなら、子供たちにこれ以上の放射能を押しつけてよいのでしょうかと言いたくなる。今を生きる政治家の責任が問われているのはどちらなのでしょうか。
 原発事故の最大の被害者である福島の子供たちの声をしっかり受けとめた政治の実現を願い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

発言情報

speech_id: 117805254X00320110915_009

発言者: 重野安正

speaker_id: 24379

日付: 2011-09-15

院: 衆議院

会議名: 本会議