山口那津男の発言 (本会議)

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○山口那津男君 私は、公明党を代表して、さきの野田総理の所信表明演説に対して質問いたします。
 まず、紀伊半島を中心に多くの犠牲者を出した台風十二号による被害についてであります。改めて、犠牲となられた方々に深い哀悼の気持ちを述べるとともに、多くの被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 十一日、十二日と被災地域に行き、その惨状を目の当たりにしました。和歌山県那智勝浦町では、文献的にも過去一千年間一度も経験したことのない激しい豪雨が発生、すさまじい地響きとともに住宅地などを土石流が襲い、多くの犠牲者と被害をもたらしました。日高川流域では、アユの養殖場は泥水にのまれて壊滅。堤防が決壊し、収穫期を迎えた稲は全滅、四十年掛けてつくり上げた広大なミカン畑は瓦れきの山というような有様です。
 三重県紀宝町の熊野川支流では、堤で覆った中に住宅を建てる輪中堤を越えて水があふれ、大きな被害をもたらしました。輪中堤の高さは、川の水位を最高で九メートルと想定し、九・四メートルで造ったものでしたが、今回の豪雨による濁流は結果的にこの想定をはるかに超え、多くの住居が水につかり、堤防そのものも破壊されました。
 奈良県十津川村では、道路の寸断が救援を妨げました。台風接近が伝えられた二日午前から、二十四時間態勢で災害情報の収集や物資の配布などの対応を行っていましたが、道路の寸断により、八日になっても約百人の職員のうち約四十人が出勤できない状態で、他の職員が業務の代行を余儀なくされたのです。役場に仮眠室などはなく、職員は廊下などのスペースを使って寝泊まりするなど劣悪な環境の中で、土砂ダムの決壊に注意しながら懸命な救助活動に取り組まざるを得ませんでした。
 その一方で、高速道路が完成している一部区間では、まさに命をつなぐ道路としての機能が発揮されたのです。
 現地の要望の中心は、まずは激甚災害の指定、紀伊半島を一周する高速道路と奈良県内陸部と沿岸部を結ぶ道路の早期全面開通、ミッシングリンクの解消です。この度の東日本大震災で、岩手県の三陸縦貫自動車道が物資や人を運ぶ重要な道路として機能した実例と考え合わせると、基幹道路ネットワークは、命をつなぐ道路として整備する必要があると考えます。
 さらに、今後は、減災という考え方を基本に、道路、堤防などの整備といったハード面だけではなく、政府は地方自治体と連携して、従来の被害想定を見直した新たな避難計画の策定や、豪雨時には、例えば累積雨量、地形、避難場所などの相関関係に基づいて避難指示を出す仕組みなど、ソフト面でも新しい対策を速やかに検討すべきと考えます。
 野田総理も、現地に行かれて会見もされていましたが、台風十二号災害について激甚災害の指定をどうするのか、紀伊半島のミッシングリンクの解消をどうするのか、ハード、ソフト両面にわたる防災対策の強化など、政府として具体的に何をどうされるのか、明確にお答えいただきたい。
 次に、政権交代がなされた二〇〇九年の総選挙における民主党のマニフェストについてお伺いいたします。
 野田総理の公式サイトのかわら版ナンバー七百六十三に、マニフェスト考という記述があります。政権交代前の二〇〇九年八月六日にアップされているものです。
 待ちに待った総選挙が今月三十日に実施されます。この総選挙は、歴史的な政権選択選挙であり、自公政権の四年に対して国民の皆さんが審判を下す選挙ですという書き出しで始まり、注目すべきは、マニフェストに載せたことは命懸けで実現する、載せなかったことは基本的に手を付けないと言及。さらに、加えて、借金の山を積み上げるしか能がなく、せっかく見付けた埋蔵金もばらまきで使い果たし、国の金庫を空っぽにした自公両党に財源を語る資格もありません。民主党は、税金の無駄遣いを徹底してなくし、国の総予算を全面組み替えし、私たちのマニフェストを必ず実現させる覚悟ですと勢い込んでいます。たった二年前、総理、あなたが書かれたものですよ。
 民主党マニフェストは、財源的にも破綻し、民主党もそれを認めたではありませんか。これはもはや民主党政権による国民、有権者との契約不履行と断じざるを得ません。総理、今でもマニフェストに載せたことは命懸けで実現すると明言できますか。明確にお答えください。
 今年七月二十一日には、見通しの甘さを国民に率直におわび申し上げたいと、当時の岡田幹事長の謝罪に続き、菅前総理も同二十二日の参院予算委員会で、財源についてやや見通しの甘かった部分があったと陳謝しています。当時の財務大臣はあなたです。財源についての責任者として、一体どう反省しているのですか。
 さらに、八月九日に交わされた民主、自民、公明の三党の合意文書、これは、子ども手当を廃止し、児童手当が復活するなど、民主党がマニフェストに掲げた主要政策の見直しを事実上認めたものです。野田総理は、この合意を尊重し誠実に守ると発言されていますが、実質的に破綻したマニフェストを具体的に今後どうされるおつもりなのか、明確にお答えください。
 震災が発生して半年が過ぎましたが、震災対応は遅きに失し、被災者に対して冷たいものばかりです。学校や公民館、旅館などの避難所生活を強いられている被災者はいまだに一万人近く、復興の大前提となる瓦れきの撤去率は五割程度、お盆までに建設するとした仮設住宅はなお三千戸が未完成です。
 原発事故対策では、政府の責任で避難指示を出しておきながら、避難に必要な支援策は全く示さないなど、避難を強いられる方々への温かな思いが全く感じられません。
 また、民主党の支持団体である連合からは、民主党内でも結束もできない、役人も使いこなせない、産業復興への意識は脱落しているとの批判が上がる始末であります。
 さらに、辞意を表明した菅首相が三か月間も居座ったため、政治的な空白を生み出しました。その結果、第三次補正予算の編成作業が先延ばしされるなど、震災の復旧・復興が相当遅れることになった。政治空白で生じた国民の損失は非常に大きく、新政権が背負う責任は極めて重大であります。
 総理、被災地では国の財政支援の詳細が定まらず、本格的な復興予算の全体像が全く示されないため、いまだに復興計画すら策定できない状況なのです。七月十二日の金融政策決定会合で日銀総裁が指摘したように、政策的な不確実性を小さくし、日本経済ができるだけ早く復旧・復興するために、政策面で必要なことを速やかに実行することが急務であります。
 総理、前政権による復興を重要閣僚としてどのように反省されているのか、そして、本格的な復興を具体的にどのようにお考えか、今後の決意とともに明確にお答え願います。
 公明党は、本格的な復興に向けた第三次補正予算に盛り込むべき施策として、震災復興及び経済対策に必要な予算に関する提言を発表いたしました。本格的な復旧・復興には、地域の特性を最も理解している市町村が復興の主体者として知識や経験、能力などを最大限に発揮できるよう、財源や人材など国の力強い支援が求められます。また、当然のことながら、被災地域の真の復興には日本経済の再生が欠かせません。
 提言では、被災自治体への支援として、復興一括交付金や復興基金の創設、三陸沿岸道路の整備など社会インフラの早期復興、被災児童生徒の就学支援、学校の耐震化及び防災機能の強化など具体的に提案しています。
 本来であれば本格的な復興の第一歩として第二次補正予算で取り組むべき施策を第三次補正予算に持ち越したこと自体、被災者、国民生活に対する想像力や緊張感が民主党政権には全く欠落していた証拠です。
 総理、第三次補正予算について、昨日、我が党の井上幹事長に対する答弁でも曖昧なままです。再度問います。いつまでに編成し、国会に提出されるのか、明確に展望をお示しください。
 二重ローン対策について伺います。
 金融庁の調査によれば、被災三県、すなわち岩手、宮城、福島県で買取りなどの支援が必要な債権額は五千五百億円を超え、このうち約四千五百億円が事業者向け債権です。巨額の債務から事業者を救うには、既存の枠組みにとらわれない思い切った支援策が必要です。
 政府・民主党が当初示された二重ローン対策は、既存の制度、すなわち平時に活用される制度の単なる延長であり、現下の緊急時では極めて使い勝手が悪い。また、被災地で特に被害が大きかった農林漁業者に対する支援が期待できず、対策に限界がありました。
 このため、公明党は、機構による債権の買取りを提唱し、東日本大震災事業者再生支援機構法案、これを議員立法として参議院に提出、七月二十九日に参議院を通過しました。私たち野党が提案した法案では、中小企業や農林漁業者、医療法人などを対象に、機構が相談から支援までをワンストップで実施することを法律で明確にしており、債権の買取りのほか、融資なども手掛け、これらに必要な資金額として二兆円程度を見込んでおります。
 民主党が政治主導を掲げるならば、省庁の縦割り、慣例を乗り越えて政策を実現すべきです。本来、復興対策は、政府・民主党がどんどん法案を国会に提出して推進すべきです。対象業務の明確化や相談に当たっての守秘義務、税制上の支援措置などを考えれば、立法上の措置が必要なのです。それなのに政府は全く動きが鈍い。
 この野党が出した法案は、民主党が賛成すれば直ちに成立します。総理、どのように対応されるのか、明快な答弁を求めます。
 総理、さきの通常国会で我々が積み残した大きな宿題があります。それは、震災で被災した私立学校に対する災害復旧支援策の拡充であります。
 その拡充の根拠法案である私立学校建物特別助成措置法案は、さきの国会において本院では可決されましたが、衆議院において継続審議となり、成立には至りませんでした。被災地での私立学校を含めた施設復旧が喫緊の課題となっている中、緊急性の高い今回の追加支援策が実施できないままとなっているのは誠に残念でなりません。
 本法案に対し、民主党の皆さんから様々な議論があることは承知しておりますが、今は非常時であります。将来にわたり被災地の復興を担っていくのは未来ある子供たちであります。未曽有の災害に見舞われた今、公立、私立を問わず、その子供たちが通う学校を全力で復旧させるのは国の責務ではないでしょうか。総理がリーダーシップを発揮し、本法案の速やかな成立に協力していただきたい。総理の答弁を求めます。
 次に、円高対策を含む総合経済対策について伺います。
 世界経済は、ギリシャを中心とした欧州の債務問題、同じく米国の債務上限引上げ問題などによって先行きに対する不透明感が増しています。中でも為替の混乱は深刻であり、相対的に安全とされる金などの現物資産、あるいは通貨ではスイス・フランと日本円に投資資金が集中してしまい、その結果、急激な円高を招いているのが実情です。
 ただ、円高の要因が何であろうと、このまま高止まりの状態で手をこまねいていることは許されません。未曽有の東日本大震災からの復旧・復興に取り組んでいる中にあって、中小企業や雇用への影響、さらには産業の空洞化につながる企業の海外移転を加速しかねません。
 公明党は、既に八月十八日に円高対策を含む総合経済対策に関する緊急提言を取りまとめ、公表しました。
 その中で、三次補正で対策を講じることはもちろんのこと、既にある第二次補正予算の予備費も活用して、スピード感を持って取り組むよう提言しましたが、政府の対応は全くもって遅いと言わざるを得ません。現下の経済情勢は、震災に続く新たな試練とも言える異常事態であり、政府が総力を挙げて事態を打開していかなければならず、まさに総理のリーダーシップが求められます。
 現在、政府内での検討が進められていると承知しておりますが、産業空洞化対策という枠にとらわれず、日本経済全体の需要をどう喚起するのか、さらには中小企業の資金繰りや雇用対策などをどうするか、それらを含めた総合的な経済対策を速やかに策定し、予備費の活用を含め、できることは速やかに実施すべきと考えます。この点、まずは総理の基本的なお考えを伺います。
 続いて、具体的な対策の中身について伺います。
 まず第一には、災害に強いまちづくりのための社会インフラ整備など、公共投資を前倒しで実施すべきです。現在の需給ギャップは内閣府の試算で約二十兆円にも上り、圧倒的に需要不足の状況です。需要をどう掘り起こすのかという視点でいえば、成長戦略ももちろん重要ですが、防災、減災などのための投資を着実に進めることは、波及効果も高く、国民の理解も得やすいのではないでしょうか。また、中小企業への優先発注や下請いじめ対策も併せて講じるべきです。そのほか、需要喚起策として、家庭における省エネ、エコ化の早期推進のため、節電エコポイントの創設、住宅エコポイントの再導入、再生可能エネルギーの導入促進なども前広に実施すべきです。
 第二には、中小企業の資金繰り支援策の強化です。東日本大震災や原発事故による経済的な影響に加えて、急激な円高による影響が加わり、被災地のみならず、日本全体の企業、特に中小企業が厳しい状況になりつつあります。中小企業への資金繰りや仕事確保のための支援を一層強化すべきと考えます。
 第三には、雇用の確保です。中でも被災地における雇用状況は深刻であり、引き続き、新卒者、若年者を中心とした雇用の維持確保策と併せ、地元雇用の確保や雇用創出関連の基金を拡充、延長して万全な措置をとるべきです。
 第四には、産業空洞化の防止対策です。産業が空洞化し、日本の技術や人材が海外に移転することは、日本経済の源泉がなくなり、さらには雇用の悪化や地域経済の地盤沈下を招くものであり、早期の対応策が必要です。そのためにも、国内の企業立地の促進のための立地補助の拡充や関連規制の見直しなど、包括的な空洞化対策を講じるべきです。
 第五には、超円高に対する日本としての毅然とした対応と各国との連携の強化です。更なる円高の動きに対しては、追加的な為替介入を含め、政府と日本銀行が連携して断固たる対応措置を講じるとともに、欧米など主要国とも連携を強化しつつ、協調して為替の安定策を講じなければなりません。しかし、先般九日にマルセイユで開かれたG7では、我が国の円高阻止に向けた協力要請に対して参加国からの反応は芳しいものではなかったようです。まさに内閣としての本気度が決定的に欠けている証左ではないですか。
 以上、経済対策に関する私の五つの提案について、野田総理の答弁を求めます。
 次に、国民生活の安心と向上を図る具体的な取組について政府の見解を伺います。
 公明党は、自民党との連立政権下において、安心社会構築のため、医療や介護の充実、子育て支援の強化などに対する各種基金制度を創設するなど、地方自治体における迅速かつ柔軟な取組を支援してきました。こうした基金事業などは今年度限りで終了するものが多く、来年度以降の対応について現政権の取組を明らかにする必要があります。
 具体的に申し上げます。
 初めに、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金について伺います。
 公明党の強い要望でスタートしたこの事業は、地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を財政支援するものであり、多くの関係者から事業の継続を求める声が上がっています。公明党は、必要なワクチン接種について予防接種法の対象疾病に位置付ける抜本的な法改正を求めておりますが、それまでの間、基金事業による財政支援を継続すべきと考えます。
 同様に、保育所や放課後児童クラブなどの整備を後押しする安心こども基金や、妊婦健診の負担軽減を図る妊婦健康診査支援基金についても継続が必要です。民主党政権では、保育サービスの提供や妊婦健診について、新たに創設する子ども・子育て新システムの中で対応するとされていますが、具体的な法案作りはこれからであり、当面は基金事業での対応が現実的であると考えます。
 介護職員処遇改善等臨時特例基金について伺います。
 自公政権下の平成二十一年度補正予算において、介護職員の賃金引上げなどを行うための基金を創設し、今年度末までの二年半分を予算措置しましたが、来年度以降は引き続き基金事業で対応するのか、次期介護報酬で対応するのか、現政権の方向性が見えてきません。介護職員の処遇改善は極めて重要な課題であり、着実に施策を推進するため、介護報酬で手当てできない場合は、既存の基金を積み増しし、着実に賃金引上げなどに充てられるよう措置すべきです。
 現行の高齢者医療制度の負担軽減措置について伺います。
 自公政権では、制度創設に伴う激変緩和措置として、七十歳から七十四歳の窓口負担一割の据置きや低所得者の保険料軽減措置などを実施しており、これらの措置は政権交代後も継続されております。民主党は現行制度を廃止すると主張していますが、それに代わる新たな法案作りが進んでいない以上、少なくとも現行の負担軽減措置は来年度も継続すると明言すべきです。
 障害者自立支援対策臨時特例基金について伺います。
 障害者自立支援法の施行に伴う事業者の経過的な支援等を行うため、平成十八年度から二十年度までの特別対策として実施したこの事業は、その後の既存事業の拡充や新たな事業を盛り込み、今年度末まで延長することになっています。来年度以降も、新体系移行後の事業所支援やグループホーム等の設置補助などが必要であり、基金事業による柔軟な支援を求めます。
 地域自殺対策緊急強化基金について伺います。
 平成十年以降、年間の自殺者数は三万人を超え、地域における自殺対策の強化を図るため、平成二十一年度補正予算において、今年度末までの事業として強化基金が創設されました。
 これまで、同基金を活用して電話相談窓口の充実や自殺の危険性が高い方などへの訪問事業など、地方自治体における具体的な取組が進められており、こうした取組を切れ目なく支援するためにも基金の積み増しが必要です。
 以上、基金事業を始めとして今年度末までで終了する施策について、来年度以降政府はどのように対応するのか、総理の明確な答弁を求めます。
 一川防衛大臣が、安全保障に関して素人だが、これが本当のシビリアンコントロールと発言され、その釈明として、ほとんどの国民は素人だ、一般の国民を代表する国会議員が監視するのがシビリアンコントロールだと思っていると述べました。
 シビリアンコントロールとは、言うまでもなく、民主主義国家における軍事に対する政治の優先又は軍事力に対する民主主義的な政治による統制を指すものです。基本的な意味を全く理解していない大臣が、日本の領土と国民の生命、財産を守るという防衛大臣の役割を果たすことができるとお考えですか。任命責任は大きいと言わざるを得ません。総理の認識を伺います。
 二〇〇九年の政権交代以降、無能なリーダーの下で確実に弱体化した日本外交についてお尋ねします。
 近年、中国漁船衝突事件や中国の海洋活動の活発化、ロシアの大統領等の北方領土訪問、竹島問題をめぐる日韓関係、全く進展の見られなかった拉致を始めとする北朝鮮の諸問題、そして停滞する普天間問題など、我が国を取り巻く外交・安全保障環境が不安定かつ複雑化しているにもかかわらず、菅前総理の在任一年三か月の間、日本は外交空白を引き起こし、国益が大きく損なわれました。総理就任に当たり、弱体化した日本外交に対する総括なり評価なり反省なりを率直に国民に語るべきではないでしょうか。明快な答弁を求めます。
 弱体化した日本外交の立て直しは急務であり、国際的な課題への関与が薄れてはなりません。今年後半は、今月下旬の国連総会に続き、ASEAN首脳会議、東アジア・サミット、G20首脳会合、APECなど外交日程がめじろ押しです。今こそ日本の進むべき道を明確にし、日本外交の存在感を取り戻す好機です。新政権はどのような外交戦略を持って日本外交のかじ取りをなさるお考えか、総理の基本的な外交方針を尋ねます。
 総理は所信表明の中で、日米同盟を我が国外交・安全保障の基軸とし、世界の安定、繁栄のための公共財と表明されましたが、日米同盟関係は大震災でもその機能を遺憾なく発揮したようにまさに最重要の二国間関係であります。
 民主党政権二年間の失敗外交はこの日米関係に深刻なきしみを生じさせましたが、前轍を踏んではなりません。安全保障、経済対策などについて、まずは首脳同士の信頼関係をどう再構築されるのか、目前に迫った日米首脳会談にどういう決意で臨むのか、率直にお答え願いたい。
 さらに、鳩山元首相の発言と対応が混乱を招いた普天間問題は、最大かつ最優先の課題です。本年六月の2プラス2の共同発表において二〇一四年の移転時期が延期されることが盛り込まれましたが、このままでは普天間は固定化されかねません。
 民主党政権の頭越しの対応が沖縄県民の怒りを買い、その対応のまずさが米国の日本に対する不信につながり、日米同盟の空洞化を招く結果となったとの認識はおありでしょうか。全て民主党政権の失政によるものです。ゆえに、総理は在任中に進退を懸けて普天間問題の解決に取り組むべきです。総理の覚悟を伺います。
 外交の弱体化は、周辺国との関係をより複雑なものとしました。中国は海洋活動を活発化させており、尖閣諸島問題以降、中国との関係は必ずしも良好とは言えません。韓国に目を向けると竹島問題、ロシアとは北方領土問題など、領有権をめぐる問題が顕在化しています。二〇一二年の春にはロシア大統領選、秋には中国指導部の交代、年末には韓国大統領選が予定され、東アジア周辺国は政治的な節目を迎えます。
 変化を見据え、民主党政権で悪化した周辺各国との関係を立て直し、いかに各国との間に横たわる諸懸案を解決していくのか、総理の外交手腕が今後の我が国の国益を決定付けます。中国とはいかなる交渉をもって戦略的互恵関係を再構築するお考えか、韓国とはいかなる未来志向の関係を、ロシアとはいかなるアジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築していくのか、総理の基本戦略を伺います。
 拉致問題は日本の主権及び国民の生命と安全にかかわる問題であり、その解決は政府の最重要の外交課題の一つです。民主党政権が誕生してから僅か二年で五人目となる拉致担当大臣に、拉致被害者の家族から、民主党政権では担当の大臣が頻繁に交代し、拉致問題を軽視しているといった批判が出るのは当然です。その上、山岡担当大臣は幾つもの大臣を兼務しており、私は、総理が本気で拉致問題解決に取り組む決意があるのか、率直に疑問を感じます。
 総理、拉致問題を風化させてはなりません。外交デビューとなる今月末の国連総会を皮切りに、総理自らがあらゆる外交の機会を生かし、拉致問題解決へ向けた行動を取るべきと考えますが、答弁を求めます。
 以上、内外の政治課題について述べてまいりましたが、公明党は、庶民のための政治を目指して、国民生活の窮状の打開と日本の未来を切り開くため、全力を挙げて取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117815254X00320110916_002

発言者: 山口那津男

speaker_id: 1759

日付: 2011-09-16

院: 参議院

会議名: 本会議