野田佳彦の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 山口那津男公明党代表より、具体的、建設的な御提言も含めて御質問をいただきました。順次お答えをさせていただきたいと思います。
 まず、台風十二号災害についての御質問をいただきました。
 政府では、近く今般の台風十二号による災害を激甚災害に指定し、被災者の生活再建の支援や被災自治体への財政支援を図ることとしております。
 高速道路のミッシングリンクの解消については、地域の孤立化や多様性の欠如など災害面からの弱点を克服するためにも必要なものであり、近畿自動車道紀勢線の整備を始めとする基幹道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。
 また、山口代表御指摘のように、災害時の被害を最小化する減災の考え方に基づいてハード面とソフト面の対策を適切に組み合わせていくことは重要であり、避難体制の在り方等も含め今回の大雨災害の教訓事項を精査し、必要な改善を図ってまいります。
 続いて、マニフェストについて何点か御質問をいただきました。まとめてお答えをさせていただきたいと思います。
 マニフェストは国民の皆様とのお約束であり誠実にその履行に努めてまいりましたが、その多くを実施した一方で実現できていないものもあり、それを党として検証し発表したものが八月の中間報告でございます。実現できていないものについては率直に認め、国民の皆様に御説明し、御理解をいただくよう努力をしてまいります。
 私が過去二代の政権で副大臣、大臣を務めたことは事実でございます。これまでの民主党政権の歩みには、大きな意義もあれば反省すべき点もあります。そのことは、八月に党でまとめたマニフェスト中間検証でも述べているとおりでございます。
 民主、自民、公明の三党間では、八月四日に政調会長レベルで「子どもに対する手当の制度のあり方について」を、また八月九日には幹事長レベルで「確認書」を取り交わしています。
 私は、民主党代表に選出をされた翌日、組閣を行う前に、自民党そして公明党の山口代表と党首会談を行わさせていただき、その場で、三党合意については私が約束したのだから是非信頼をしてくださいと申し上げました。三党合意の確認については誠実に履行をしてまいります。
 現在、来年度予算の概算要求基準を政府内で取りまとめている最中でございますけれども、高速道路無料化については三党合意にのっとり概算要求に計上しないこととしております。
 高校無償化、農業戸別所得補償、子どもに対する手当についても、同様に三党の合意に沿って検討を進めてまいりたいと考えております。
 続いて、復旧・復興に向けた決意についてのお尋ねがございました。
 政府としては、これまでも地方自治体とも協力をして、仮設住宅の建設、瓦れき撤去、被災者の生活支援などの復旧作業に全力を挙げてまいりました。一方で、迅速さに欠け、必要な方々に支援の手が行き届いていないとの御指摘もいただいております。
 こうした御指摘も踏まえつつ、第三次補正予算の準備作業を速やかに進めるとともに、復興基本方針に基づき、復興特区や使い勝手の良い交付金などの具体策を着実に実行することにより、本格的な復興に向けた取組を加速をしてまいります。
 補正予算編成のスケジュールについてのお尋ねがございました。
 当面の復旧・復興については、第一次、第二次合わせて六兆円規模の補正予算を編成をし、これを執行するとともに、東日本大震災復旧・復興予備費の活用により機動的な対応を図っているところでございます。
 他方、本格的な復旧・復興を総合的かつ計画的に進めるためには、必要となる復興施策の精査、復興事業に係る財源の確保等、国による復興のための取組の全体像を明らかにすることが必要であり、こうした観点から、七月末にかけて復興の基本方針を策定をいたしました。この基本方針に沿って、一刻も早い被災地の復旧・復興に向け、三次補正予算の編成を速やかに進めてまいります。
 続いて、東日本大震災事業者再生支援機構法案についてのお尋ねがございました。
 いわゆる二重ローン問題については、政府としては、六月十七日に決定した政府の対応方針などに基づき、産業復興機構及び産業復興相談センターを県ごとに設立し、農林漁業者や医療法人も含めた幅広い被災事業者を相談から債権の買取りまでワンストップで一体的に支援する体制を構築をいたします。現在、県や地域金融機関と、産業復興機構及び産業復興相談センターを早急に設立すべく、精力的に調整をしているところでございます。
 なお、東日本大震災事業者再生支援機構法案については、現在審議中であり、与野党間においても引き続き協議が続けられているものと承知をしておりますが、いずれにせよ、政府としては、二重債務問題に対する対応を迅速に進めてまいります。
 私学災害復旧助成法案の早期成立についての御質問をいただきました。
 被災した私立学校等に対する支援は大変重要と考えており、政府としては、第一次補正予算の速やかな執行により早期の復旧を図ることが重要であると考えております。
 山口代表御指摘の議員提案の私学災害復旧助成法案については、災害復旧に係る財政援助の在り方等様々な観点から慎重に検討すべき事柄を含んでいると考えておりますが、いずれにせよ、現在継続審議中であり、与野党間において引き続き協議が続けられているものと承知をしております。
 経済対策についてのお尋ねがございました。
 急速な円高等による産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくためには、あらゆる政策手段を講じていく必要があります。まずは、緊急経済対策として、第三次補正予算や御指摘をいただいた予備費により、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の更なる充実等を実施してまいります。さらに、昨年策定された新成長戦略の実現を加速するとともに、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、自律的な経済成長の軌道に乗せていきたいと考えております。
 これからも、八月十八日に御党から貴重な御提言をいただきましたけれども、これらを十分に参考にさせていただき、取り組んでまいりたいと考えております。
 経済対策に関する御提案について、引き続きお答えを申し上げます。
 東日本大震災を始めとする災害の発生を受けて、国民の安全、安心を守るという社会資本整備の最も重要な使命を再認識したところでございます。そのため、安全、安心な国民生活を支えるために真に必要な社会資本整備について、戦略的に実施していくことが必要であると考えております。
 御指摘の中小企業者については、分割発注などにより受注機会の増大に努めてまいります。また、いわゆる下請いじめ問題については、今後とも独占禁止法や下請法の厳正な執行に取り組んでまいります。
 家庭における省エネを推進するための省エネ設備機器の導入支援や住宅エコポイント、固定価格買取り制度の導入等、検討中のものも含め様々な政策を総動員することで、省エネルギー対策及び再生可能エネルギーの導入拡大を推進をしてまいります。
 中小企業への資金繰りや仕事確保のための支援についての御提案をいただきました。
 震災や原発事故に加え、急激な円高の影響など厳しい経済環境の中で、中小企業の支援に万全を期すことは非常に重要と認識しており、御指摘に全く同感でございます。
 資金繰り支援については、震災以降、従来以上に長期かつ低利の東日本大震災復興特別貸付などを実施しており、中小企業の資金繰りの円滑化に大きく貢献したものと承知をしています。中小企業の資金繰り支援については、第三次補正予算への必要な財政措置の盛り込みを含め、引き続き万全の支援を充実をさせていきたいと考えております。
 また、中小企業者の受注機会の増大のための措置を講ずるなど、仕事確保策にも全力で取り組んでいく所存でございます。
 続いて、被災地の雇用確保についてのお尋ねがございました。
 先日も被災地での厳しい雇用情勢をお伺いをして、雇用なくして被災地の再生はないと強く実感したところでございます。今後、本格的な安定雇用を生み出すため、これまでの「日本はひとつ」しごとプロジェクトの推進に加え、第三次補正予算の中で雇用創出基金を拡充、延長して、産業政策と一体となった雇用面での支援や、若者、女性、高齢者、障害者の雇用機会の確保に努めてまいります。
 続いて、空洞化対策に関する御提案、御質問をいただきました。
 現在の我が国は、歴史的な水準の円高や新興国の追い上げなどによって空前の産業空洞化の危機に直面をしております。このままでは国内産業が衰退をし、雇用の場が失われていくおそれがあります。また、欧米やアジア各国は国を挙げて自国に企業を誘致する立地競争を展開をしています。
 このような中で我が国が産業の空洞化を防ぎ国内雇用を維持していくためには、金融政策を行う日本銀行と連携し、あらゆる政策手段を講じていく必要があります。まずは、第三次補正予算により、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の更なる充実等を行います。早期に包括的な空洞化対策を講ずるべきとの議員の御指摘も踏まえ、速やかに議論と対話を進め、円高・空洞化対策を力強く展開をしてまいります。
 円高対策についての御質問をいただきました。
 為替市場において一方的に偏った円高の動きが続いていることを強く懸念をしております。先般開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議では、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力することに合意したところでございます。この合意に沿って、関係通貨当局と様々なレベルで連絡を取り合いながら、市場において投機的な動きがないか注視し、あらゆる措置を排除せず、必要な場合には断固として行動してまいります。
 ワクチン接種についての御質問をいただきました。
 御指摘の交付金については、関係審議会における予防接種制度全体の見直しの議論を踏まえ、平成二十四年度以降の接種の在り方を検討してまいります。
 安心こども基金と妊婦健康診査支援基金に関する御質問をいただきました。
 安心こども基金や妊婦健康診査支援基金により実施している待機児童解消のための保育所の整備や妊婦健康診査等の施策は、子供や子育てに関する支援を充実をさせていく上で重要な役割を果たしていると認識をしています。これらの基金や施策の今後の取扱いについては今年度中に結論を得たいと考えております。
 介護職員の処遇改善についてのお尋ねをいただきました。
 介護職員処遇改善交付金の実施により、介護職員の給与が改善するとともに、逼迫していた介護労働者の需給状況には改善が見られます。一方で、現在の給与引上げの半数が一時金の支給によるもので継続性が弱いことなども踏まえ、介護サービスの安定的な確保に向けて、これらの効果を維持できるよう、必要な方策について検討してまいります。
 高齢者医療制度の負担軽減措置についての御質問をいただきました。
 高齢者医療制度については、社会保障・税一体改革成案においてもその見直しが盛り込まれていることを踏まえつつ、御指摘の負担軽減措置の在り方については、予算編成過程において決定をしてまいります。
 障害者自立支援臨時特例交付金による基金事業についてのお尋ねがございました。
 この基金は、本年度末までの事業として、障害のある方が地域で自立した生活を送ることができるよう、障害者自立支援法の円滑な施行や新体系移行のための基盤整備を支援しているものでございます。今後、新体系への移行期間後に向けて、各種事業の趣旨や効果を検証をしてまいります。
 地域自殺対策緊急強化基金についてのお尋ねがございました。
 我が国における年間の自殺者数は十三年連続で三万人を超えており、非常に厳しい状況にあると認識をしています。自殺対策においては、地域に密着した取組が非常に重要であり、地域自殺対策緊急強化基金を通じて地方公共団体における取組が一層促進されるよう支援するなど、今後とも自殺対策の推進に全力で取り組んでまいります。
 防衛大臣の発言についてのお尋ねがございました。
 一川大臣には、防衛大臣として適切に仕事をしていただけるものと信じております。シビリアンコントロールについての防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が国民の目線に立って物事を判断していくべきとの趣旨であったと承知をしております。政府としては、文民統制の徹底に万全を尽くす一方、新防衛大綱に従い、即応性、機動性等を備えた動的防衛力を構築し、新たな安全保障環境に対応しつつ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。
 政権交代以降の日本外交の評価に関する御質問をいただきました。
 我が国を取り巻く世界の情勢が大きく変化をしている中で、政権交代以降、日米同盟の深化や近隣諸国との関係強化など、様々な外交上の課題に真剣に取り組んでまいりました。その過程では、率直に申し上げて、個々の問題の複雑さゆえに全てが順調に進んだわけではございません。
 例えば普天間飛行場の移設問題では、沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けし、深くおわびしなければならないと認識をしております。私としては、反省すべきは反省しつつ、民主党政権の下で得られた外交上の成果を生かしながら、様々な課題に対応して国益を増進をすべく最大限努力してまいる所存でございます。
 野田政権の外交戦略についての御質問をいただきました。
 我が国を取り巻く世界の情勢は日々変動し続けており、国際社会は多極化が進行をしています。私は、このような新たな時代の呼びかけにしっかりとこたえる外交を推進をする所存でございます。安定した国際環境が確保されることが我が国自身の平和と繁栄にも不可欠でございます。我が国は、大震災はありましたが、食料の安定供給、途上国支援、脆弱国家対策といった国際社会が抱えている課題の解決のために引き続き積極的に貢献をしていく考えでございます。私自身、御指摘の国際会議への出席等を通じてこういった我が国の姿勢をしっかりと発信し、積極的な外交を展開をしていく所存でございます。
 日米首脳会談についてのお尋ねがございました。
 日米同盟は日本外交・安全保障の基軸であり、強固な日米同盟がアジア太平洋の安定と繁栄にとり不可欠であるというのが私の信念でございます。既にオバマ大統領とは九月一日に電話会談を行い、その旨を私から直接お伝えをするとともに、オバマ大統領とともに日米同盟の一層の深化、発展に取り組みたい旨申し上げました。来る日米首脳会談では、御指摘のとおり、御助言のとおり、率直な意見交換によって首脳同士の信頼関係を早急に構築をするとともに、安全保障、経済、文化・人的交流を中心に様々なレベルでの協力を強化し、二十一世紀にふさわしい同盟関係に深化、発展をさせていきたいと考えております。
 普天間飛行場の移設問題についての御質問をいただきました。
 普天間飛行場の移設問題については、鳩山政権の発足以降、何とか県外移設ができないかという考えの下、様々な案を検証いたしましたけれども、結果的には現在の日米合意に至りました。民主党政権としては、この過程で沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについて、先ほども申し上げましたけれども、深くおわびしなければならないと認識をしています。
 他方で、同盟を基礎とした日米の信頼関係は長い歴史を持つものであって、軽々に揺らぐものではありません。沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、政府としては、引き続き沖縄の皆様の御理解を得るべく誠実に努力をしていく覚悟でございます。
 日中、日韓、日ロ関係についての御質問をいただきました。
 中国との間では、来年の日中国交正常化四十周年を見据えつつ、震災を受けた協力、海洋に関する協力、文化・人的交流などの幅広い分野での具体的な協力を推進し、大局的な観点から戦略的互恵関係を深めていく考えでございます。
 韓国との間では、北朝鮮問題を含む地域情勢、世界経済、そして核軍縮や気候変動、貧困といった課題においても幅広く重層的に協力していき、未来志向の新たな百年に向けて一層の関係強化を図ります。
 ロシアとの関係は、その潜在力に見合うほど十分に発展していないのが現状です。こうした中で、政治、経済、文化、国際舞台での協力等のあらゆる分野での協力を進めるとともに、領土問題を解決して平和条約を締結することにより、日ロ関係を一層高いレベルに引き上げていきたいと考えております。
 北朝鮮の拉致問題についての御質問を最後にいただきました。
 拉致問題は、我が国の主権にかかわる重大な問題であるとともに、重大な人権の侵害でもあります。先般、拉致被害者の御家族とお会いをし、私の決意を申し上げましたが、国の責任において、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くしてまいります。
 また、拉致問題については、引き続き国際社会の理解と協力を求めることも重要でございます。その一環として、例えば、先般訪日されたサントス・コロンビア大統領に対しても、この問題に対する理解と協力を要請したところでございます。
 今後とも、あらゆる外交上の機会をとらえて、拉致問題の解決に向けた明確なメッセージを発信していく考えでございます。
 以上、御答弁とさせていただきます。(拍手)
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発言情報

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発言者: 野田佳彦

speaker_id: 5804

日付: 2011-09-16

院: 参議院

会議名: 本会議