野田佳彦の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 柳田議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 まず、政権運営についての御質問をいただきました。
 日本の経済社会は、長年の懸案事項を抱え、さらに大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、そして経済と金融の危機からの脱却という喫緊の課題を乗り越えていく必要がございます。野田内閣は、政権交代後の二年間の実績と教訓を引き継ぎ、危機感を持って、震災からの復興、原発事故の収束はもとよりとして、着実な政策遂行を進め、国民の生活を守り、危機を乗り越え、希望と誇りのある日本の再生を成し遂げていく決意でございます。
 私の政治信条についての御質問をいただきました。
 「正心誠意」、すなわち意を誠にして心を正すという姿勢で全ての国民が力を合わせて国力の結集を図っていく、それが私の心からの願いでございます。信条、覚悟でございます。
 震災からの復旧・復興、原発事故の収束、経済金融危機の克服といった国難を乗り越えるため、実行あるのみで全力を尽くします。柳田議員、各党会派の皆様、そして国民の皆様の御理解と御協力を改めて心よりお願いを申し上げます。
 放射性物質対策に関する御質問をいただきました。
 住民の方々の不安を取り除くとともに、復興の取組を加速をするために、放射性物質による汚染への対処と健康管理は喫緊の課題であります。
 除染の推進については、八月二十六日に取りまとめた除染に関する緊急実施基本方針や、さきの国会で成立をした放射性物質環境汚染対処特措法に基づく対策によって、一日でも早く除染が進むよう、政府が一丸となって総力を挙げることはもちろんのこと、自治体の協力も仰ぎつつ、民間や研究機関の知見、さらには世界の英知を総動員して全力で取り組んでいく覚悟でございます。
 住民の健康管理については、福島県が主体となって県民健康管理調査が実施されているところでございますが、政府としては、この調査が長期間にわたり安定的に実施できるよう、平成二十三年度二次補正予算において九百六十二億円の予算を措置し、財政的支援を行うとともに、放射線医学総合研究所等を通じて技術的支援を行っているところでございます。今後とも、住民に安心感を持っていただけるような必要な技術的、財政的支援を積極的に行ってまいります。
 復旧・復興の財源についてのお尋ねがございました。
 復旧・復興のための財源は、次の世代に負担を先送りするのではなくて、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合うことが基本でございます。時限的な税制措置については、歳出削減及び税外収入により確保される財源を三兆円と仮置きした上で、税制調査会で基幹税などについて多角的な議論が行われており、具体的な税目、年度ごとの規模等を組み合わせた複数の選択肢を復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て同本部で決定することとしています。
 また、税制措置の規模を圧縮するため、歳出削減や国有財産の売却等による財源捻出の努力をできる限り行ってまいります。
 日本郵政株式会社の株式については、いわゆる日本郵政株式売却等凍結法により、その処分が停止をされております。現在継続審議となっている郵政改革関連法案が成立をすれば、政府保有義務が掛からない株式は売却が可能となりますが、現時点では日本郵政グループの事業経営の見通しが立っておらず、具体的な売却の時期、収入を見込むことは困難であります。
 今後、郵政改革関連法案の早期成立を目指すとともに、財源確保の観点から、株式の売却に向け、そのための環境整備を含め努力をしていきたいと考えております。仮に売却が確定した場合には、それ以降の時点における復興の財源フレームの見直しの際に売却収入を織り込むことになります。
 財政再建のための増税についての御質問をいただきました。
 若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障のための安定財源を確保し、あわせて、財政健全化を同時に達成するための社会保障と税の一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題であります。このため、国民の皆様に御負担をお願いしなければならない場合には、柳田議員御指摘のとおり、国民に対し、その必要性、その理由、その前段階で何をなすべきか等についてきちっと御説明をし、御理解を得ていかなければならないと考えております。
 行政刷新への覚悟についての御質問をいただきました。
 行政に含まれる無駄や非効率の根絶は、この政権の最重要課題の一つであります。
 衆議院調査局の調査結果によれば、国家公務員の再就職者が在籍している法人に対する国からの貸付け等を含む資金交付額の合計額は、平成十九年度において約十二・一兆円とされています。
 政府としては、これまでも、事業仕分等を最大限活用することにより、独立行政法人や公益法人に対する支出やその不要資産等の見直しを進めてきたところです。昨日、第二十回行政刷新会議を開催し、私の内閣における取組をスタートさせていただきました。今後とも、独立行政法人、公益法人等への無駄な支出を含め行政の無駄削減、効率化と機能強化を図るため、行政刷新の取組を継続強化してまいります。
 全員参加型社会における若者の雇用についての御質問もいただきました。
 現在、若者の就職環境は、御指摘のとおり非常に厳しくなっております。このため、ハローワークにおいてきめ細やかな職業相談、職業紹介を行うなど、若者の正規雇用化と就職支援に全力を尽くし、意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型社会の実現を目指します。
 大学教育と高校、大学の新卒者の就職についての御質問もいただきました。
 先ほど申し上げたとおり、学生の就職状況は依然として厳しい状況が続いております。自立したグローバル人材を育成する大学教育において、就職活動の早期化や長期化によって、学生が十分学業に専念できないような状況にも問題があると考えております。
 高校、大学の新卒者への就職支援は極めて重要な課題と考えており、関係省庁が連携して経済界、大学等とも一体となって総力を挙げて支援をしてまいります。
 公的年金制度についての御質問もいただきました。
 高齢者世帯への収入の七割を占める公的年金は、老後の生活保障の柱であり、今後も国の責任で安定的に続けていかなければならない制度でございます。
 この年金は、一生涯受け取れる、物価や賃金の水準の変動に応じた額が受け取れる、老後を迎える前でも必要な場合には障害年金、遺族年金が受け取れるといったメリットがあります。また、財源は保険料と国庫負担で賄われているため、納めた保険料を上回る金額が受け取れます。若い世代の方々には、このような公的年金制度の意義やメリットを十分に説明をしていきたいと考えております。
 将来を憂えている若者への言葉についての御質問をいただきました。
 残念ながら、今の日本は若者たちにとって社会で活躍するチャンスが得にくく、失敗するとリターンマッチができなくなっていること、その中で将来を担う世代をしっかりと支援していくことが重要であるとの認識は、柳田議員と全く同感であります。このため、就職に悩む若い世代に対しては、一人一人に寄り添いながら、ハローワークにおけるきめ細やかな相談やジョブサポーターによる支援を強化をしてまいります。また、フリーター等の正規雇用化を促進をしてまいります。
 私としては、将来を担う若者の皆さんが安定した職業に就き、プライドを持って社会の中で活躍できるよう、希望と誇りある日本をつくることに全力を尽くします。
 中間層をつくり出す具体策についての御質問をいただきました。
 中間層を復活させるため、意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型の社会の実現を進め、働きがいのある人間らしい仕事の実現を図ります。全ての人が安心して働き続けられるよう、民主党政権では、これまでにも求職者支援制度の創設や雇用保険の適用拡大などに取り組んでまいりました。さらに、今後とも、若者の安定的雇用の確保、女性の就業率のM字カーブの解消、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会づくり、障害者の雇用促進を含め非正規労働者の公正な待遇確保に努めるとともに、貧困の連鎖に陥る者が生まれないよう、確かな安全網を張ってまいります。
 フロンティア開発の方策についてのお尋ねがございました。
 四方を海に囲まれて、国土面積の約十二倍に相当する世界第六位の管轄海域を有しており、その海水体積は世界第四位、特に五千メートル以深の資源に恵まれた深海水の保有体積は世界第一位と言われています。
 このように、海洋国家である我が国にとって、鉱物やエネルギー等の海洋資源を十二分に活用することは重要な課題であります。
 また、我が国は、ロケットや衛星の技術から宇宙飛行士の育成、ロケットの射場に至るまで自己完結的な宇宙能力を備えた国であります。一昨年打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」は、約五万六千地点と地球のほぼ全域の温室効果ガスの濃度分析を観測するなど、我が国は地球の息遣いを一番感じられる国でもあります。こうした日本の力を生かし、宇宙空間の開発利用体制の構築の検討を含め、宇宙開発利用を積極的に推進することは極めて重要な課題であります。
 こうした日本の優位性を生かしながら、今後、人類の新たなフロンティアである海洋と宇宙の開発利用にリーダーシップを発揮し、政府一丸となって新しい日本のフロンティアを開拓をしてまいります。
 新成長戦略の再強化についての御質問をいただきました。
 日本経済の立て直しは、大震災からの復旧・復興と並んで、この内閣が取り組むべき最優先の課題であります。また、経済成長と財政健全化は車の両輪として同時に進めていかなければなりません。そのため、昨年策定をされた新成長戦略の実現を加速するために、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめてまいります。
 その際、フロンティアの開拓は重要であり、とりわけ再生可能エネルギーの普及拡大や蓄電池など、関連する新産業の育成などの環境・エネルギー分野での取組や、日本発の革新的な医薬品の研究開発推進などの医療分野での取組を通じて産業、雇用の創出に努めてまいります。
 TPPについて、最後に御質問をいただきました。
 世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためには、国と国との結び付きを経済面で強化する経済連携の取組を欠かすことはできません。このため、包括的経済連携に関する基本方針に基づき、高いレベルの経済連携協定の締結を戦略的に追求をしてまいります。
 同時に、農業の活性化や再生も重要であり、先般、八月二日、食と農林漁業の再生実現会議で中間提言を取りまとめたところです。農業は国の本なりとの発想の下、東北の被災地の基幹産業である農業の再生を図ることを突破口として、食と農林漁業の再生実現会議の中間提言に沿って、早急に農林漁業の再生のための具体策をまとめてまいります。
 TPP協定については、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってまいります。その結果得られた情報については、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきており、今後とも努めていく考えでございます。
 八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、TPP協定への交渉参加について、しっかりと議論をし、できるだけ早い時期に結論を出させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)
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発言情報

speech_id: 117815254X00320110916_013

発言者: 野田佳彦

speaker_id: 5804

日付: 2011-09-16

院: 参議院

会議名: 本会議