島尻安伊子の発言 (本会議)
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○島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表して、野田佳彦総理大臣の所信表明演説に対し、質問いたします。
まず、質問に先立ち、改めて東日本大震災で被災された皆様、また、台風十二号による豪雨で被害を受けられた皆様に対し、心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興のために全力を尽くしますことをお誓い申し上げます。
さて、野田総理、先日の民主党代表選挙での気迫のこもった胸に迫る演説、すばらしかったです。あのとき私は、正直申し上げて、菅政権時代の停滞から抜け出る政権が誕生するかもしれないと、ある種期待をいたしました。国民の皆様の中にも同じように感じておられた方が大勢いたと思います。
しかしながら、先日の野田総理の所信表明演説、昨日、また本日の代表質問に対する答弁を聞いていると、何のビジョンも示さず、逃げ口上に終始し、全く別人のようでがっかりいたしました。党首選挙で早くも燃え尽きてしまわれたのでしょうか。
総理、あなたは先日の所信表明演説の中で、このようにおっしゃっていました。意を誠にして、心を正す。私は、国民の皆様の声に耳を傾けながら、自らの心を正し、政治家としての良心に忠実に、大震災がもたらした国難に立ち向かう重責を全力で果たしていく決意ですと。さらに、この大震災で生命を懸け必死に頑張っておられる方々の名前を挙げ、もっと思いを致す必要があると言っておられました。
ところが、野田総理、あなたはたった四日で国会を閉じようとしていた。言語道断極まりない。本院の西岡議長もおっしゃったとおりであります。
我々野党は、自民党、公明党を始めとして、野党八党全党一致で、直面している我が国の国難を一刻も早く乗り切るために与党である民主党に協力すると言っております。結局は、あなたも口先だけで「正心誠意」という重みのある言葉を弄んでいるだけだったのです。まさに、先日、総理が、御自身が言われた、政治が指導力を発揮せず、物事を先送りすることを日本化すると表現してやゆする海外の論調に更に拍車を掛けているのは野田総理、あなた御自身ではありませんか。
「巧言令色鮮し仁」という孔子の言葉が浮かんでまいります。言葉が巧みで角のない表情をする者に誠実な人間はいないという意味であります。つまり、言うこととやることが全く違う、そういう人にだまされるなという教えでありましょう。
民主党政権の巧言令色に国民は辟易しております。総理、今や国民からの信頼を失い、民主党政権の並べる文言は信じるに値しないと言われていることに対して、御認識はお持ちでしょうか。お答えください。
民主党マニフェストはサギフェストだったと言われて久しいわけでございます。普天間飛行場の移設問題についても、これまでの経緯が余りにもずさん極まりなく、今や思考停止状態にもかかわらず、野田総理は相変わらず沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めると、これまでと全く同じことを呪文のように繰り返しておられます。これで一体どのように沖縄の理解を得ようとしておられるのでしょうか。
野田総理にお聞きいたしますが、これまで自民党政権下で交渉されてきた普天間基地移設問題をどう評価なさっているか、お答えください。
沖縄県民は、常に米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされてきました。軍事基地を受け入れざるを得ない局面において、常に賛成、反対で二分され、家族ででさえも意見の対立でぎくしゃくするようなことがありました。このような苦渋の選択を強いられながら、また筆舌に尽くし難い目に遭ってもここまで譲歩してきたのは、ほかならない、愛する我が日本国の、そしてアジア諸国の安全保障を担う立場にあるのだという沖縄県民の誇りと自負心からであり、決して後先を考えずに基地の負担軽減だけを求めたのではなく、抑止力の維持についても真っ正面から向き合ってきたのであります。
一方で、世界一危険だとされる普天間基地の危険性の除去は当然のことながら遂行してもらいたいという沖縄県民の願いにこたえるべく、日米両国は真剣に取り組み、また、沖縄側も、政治を預かる先輩たちが政治生命を懸けても次の世代には苦労させないようにと血を吐く思いで進めてこられました。それを鳩山元総理には、十三年、十四年掛かってくい一本打てなかったじゃないかと言われ、北澤前防衛大臣に至っては、普天間迷走が時間のロスだとすれば、政権交代に基づく民主主義のコストだと言い放ったのは、まだ記憶に新しいものであります。このような民主党政権の態度は沖縄に対して極めて失礼千万であり、沖縄の怒りは一向に収まりません。
野田総理はこれまでの状況をどのようにとらえられていらっしゃるのか、お答えください。その上で、いとも簡単に沖縄に御理解いただきたいなどとおっしゃっていますが、この問題の解決のために何が必要かと、何が一番大事だと思っておられるのか、お聞きいたします。また、今後野田総理が辺野古を抱える名護市の市長に会うつもりはないのか、お尋ねいたします。
来週、総理は訪米を予定されております。日米首脳会談で普天間の移設先についてどう言及されるおつもりか、お答えください。米国も予算削減を余儀なくされる中で、これまで進められてきた米軍再編の見直しもささやかれる中、再び沖縄が翻弄されることのないよう、野田総理にはしっかりとしたビジョンを持って会談に臨んでいただきたいと思いますが、御見解を伺います。
続いて、日米地位協定についての質問をさせていただきます。
今年四月の参議院外交防衛委員会で取り上げさせていただきましたが、一九五六年の日米合同委員会合意により、公の行事で米軍人が飲酒した後の運転が公務と認められる余地が残されていることが問題視されております。飲酒運転が公務と認められ、事故が発生したときの日本側の裁判権が認められないなど、社会通念からは程遠く、直ちに見直すべきであります。
当時、松本外務大臣は答弁で、この条文は死文化していると述べ、よって米側に改正を求めているとのことでしたが、四か月たった今でも何の説明もなく、もしこの間に公務と認められる米軍人の飲酒による交通事故で日本人が犠牲になったら、誰がどう責任を取るのでしょうか。
また、沖縄の政策を決める重要な会議である沖縄政策協議会で、わざわざ沖縄県知事に対して米側と協議しているという大臣の発言があり、県民はこの理不尽な地位協定の条文が改定できると大変期待をしております。
野田総理、このままでは普天間の県外移設と同様、やるやる詐欺ではありませんか。一日も早い改正に向けて野田総理が直接交渉するおつもりはないか、答弁を求めます。
野田総理は、今年度で期限を迎える沖縄振興法、軍転法について、所信の中で表明したのは、積極的に取り組みますのたった一言だけでした。本当にやる気がおありなのか、大変不安に感じます。沖縄振興策を講じ、発展させ、強い沖縄をつくることは、国境離島の人口を減らさないという安全保障の理にもかなうものであります。これまでの沖縄振興は、日本への復帰後の社会基盤整備、本土との格差是正でありましたが、今後十年の振興策は、いよいよ自らの足で立つためのものと考えます。
野田大臣の見解をお尋ねしますが、そもそも沖縄振興はなぜ必要だと考えておられるか、お答えください。さらに、沖縄県知事の求める三千億円の一括交付金について、先日、川端大臣が前向きな姿勢を示したと報道されました。野田大臣も同じお考えだとの認識でよろしいでしょうか、お答えください。
東日本大震災を受け、復興のために必要なのは三十兆円とも四十兆円とも言われております。とにかく、今後、我が国は外貨を稼がなければなりません。アジアの新興国を相手にするとすれば、沖縄は言わばその稼ぎ頭となるポテンシャルを持っています。
かつて琉球王国時代には、万国津梁として、近隣国のみならず、アジア全体の国々の懸け橋として交易をしてきた歴史がございます。
この際、那覇—台北間、空路で約一時間というような地政学的にも優位性のある沖縄を拠点としてのアジア戦略を考えていく必要があると思いますが、どのような仕掛けあるいは方策があるか、総理の御見解をお伺いします。
ロシアと日本の関係についてお尋ねします。
プーチン首相の側近による北方領土訪問、爆撃機による日本一周など、ロシア側の強硬姿勢が目立ちます。昨年十一月のロシア大統領の北方領土訪問に始まり、関係修復の糸口がつかめないどころか、関係悪化を押しとどめることさえできていない日ロ関係をどうなさるおつもりでしょうか。ロシアが日本に強硬姿勢を示す背景には何があるのか、総理は日ロ関係の現状をどう認識されておりますでしょうか。
また、所信でアジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すると述べられましたが、それは具体的にどのような関係か、御説明ください。
中国との関係でも、尖閣諸島をめぐって緊張が続いております。我が国の外交にとって最も切迫した課題の一つでもあります。しかし、野田総理は、所信表明で尖閣諸島に一言も触れておりません。野田総理、これまでの民主党政権の尖閣諸島をめぐる対応に問題がなかったとお考えでしょうか。
また、中国の軍事的台頭という背景の中、アジア地域における安全保障上の日本の役割はどうあるべきか、野田総理の御見解をお聞きいたします。
我が党佐藤正久議員も体を張って取り組んでおられる竹島問題について、総理は竹島が韓国に不法占拠されているとの認識か否かを明確にお答えください。外務省ホームページには不法占拠と明記されており、そごはあり得ないと思いますが、簡潔にお答えください。
一川防衛大臣に伺います。
あなたは、防衛の素人であるから本当のシビリアンコントロールなんだとおっしゃいました。国民目線で国民に訴えることは大事ですが、防衛省という安全保障の専門家たちのリーダーたる大臣が自ら素人だと言うことは、専門家集団をまとめ上げる能力がないことを露呈してしまったということではないでしょうか。防衛大臣のこんなお粗末な発言が諸外国にどう伝わったとお思いか、御本人にお伺いします。
さらに、このことで野田総理は防衛大臣を御指導なさったのか、総理にもお答え願います。
続いて、消費者関係の問題について御質問します。
消費者問題については、政策以前の問題として、今般、消費者担当大臣に御就任された山岡大臣の適格性に大いに問題があると考えます。山岡大臣は、マルチ商法を推進する議員連盟の会長を務め、マルチ商法の業者から献金を受け取っていました。このような方が本気で消費者保護の政策を実行できるのか、甚だ疑問です。山岡大臣は、受け取った献金を全額返金するとのことですが、返金すれば済むというような問題ではありません。マルチ商法を認め、何の問題意識も持たず、むしろ積極的に推進しようとするお考えの方に消費者行政を任せていいのかという問題なのです。
野田総理は、山岡大臣とマルチ商法業者との関係を御存じの上で消費者担当大臣に任命されたのでしょうか。マルチ商法への御見解とともにお答えください。
さらに、山岡大臣にもお聞きいたします。消費者担当大臣としてマルチ商法をもっと厳しく規制すべきと考えますが、大臣の御認識を伺います。
消費者庁は、来年、三年目の全体の見直し時期を迎えます。我が党福田内閣のときに、真に消費者目線に立った消費者行政の強化をうたい、消費者庁が設置されました。
私は今、関係する消費者団体を訪問し、情報交換をさせていただいておりますが、あちらこちらから、消費者庁は設置当初の理念からずれてきたのではないか、こんなはずではなかったなどの声が寄せられております。
国民生活センターの消費者庁への統合の問題や消費者相談窓口の縮小など、この方向性では真に消費者問題の解決に寄与するものとは言えません。東日本大震災の後の一連の放射能汚染での食品の安全についても、まるで消費者の立場からのメッセージを発しているとは思えず、むしろ他省庁に言いくるめられての言い訳担当省のようでした。こんな有様ではこの先が思いやられます。
消費者教育推進も含めて、更なる消費者庁の充実を野田総理はどうお考えなのか、お答えください。
先月の自民、公明、民主三党幹事長・政調会長会談において、来年度から子ども手当を廃止し、児童手当を復活させるとともに、その内容を充実することで合意されました。これにより、我が党が主張してきたように、家庭を基盤とし、自助自立の精神に基づく子育て支援にようやく戻ることになります。
我が党女性局で行ったアンケート調査でも、子ども手当に国の予算を充てるより、所得制限を設けた児童手当や子育て環境・サービスの充実に充てた方がよいと答えた人が全体の七八・三%にも上ったことからも、国民に歓迎される施策だということが分かります。
小宮山厚労大臣に御確認いたしますが、今後、子ども手当は廃止されるということで間違いありませんね。このような理念も効果もない単なるばらまき型の政策は、今後はないと明確にお聞かせください。
最後に、野田総理には、司馬遼太郎「坂の上の雲」の中にある秋山真之の言葉、自分が一日怠けると、日本が一日遅れる、この言葉をお送りいたします。民主党政権が丸二年、全く稚拙な政権運営をしたために日本は何十年遅れたかというのは別といたしましても、国会が、我々国会議員が一日怠けると、この未曽有の国難、問題山積の我が日本の再生が一日、いや、半年、一年と遅れてしまうのです。
総理の言われる「正心誠意」が誠のものであるならば、あるいはあなたが本物であるならば、国会の会期延長などは当然至極、自明の理であります。
不完全内閣のぼろを出さぬよう逃げたつもりが、我々野党や全国民から非難されて、この会期末に渋々中途半端な延長に応じるなど、「正心誠意」の四文字が軽く聞こえてしまいます。早くも国民の信頼を失った内閣に日本の将来を任せるわけにはまいりません。野田総理には、三次補正通過後、直ちに国民の信を問うよう強く申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕