市田忠義の発言 (本会議)

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○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問をいたします。
 台風十二号により犠牲となられた方々、そして被災された皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。政府が二次被害の防止に全力を挙げ、被災者の生活再建、自治体への財政支援を強化することを求めます。
 東日本大震災、福島原発事故から半年がたちました。
 復旧・復興の究極の目標、それは、これまで被災地で暮らし、あの大津波から生き長らえた全ての人々がこれからも安心してその地で住み続けることができるようにすることであり、子や孫たちの世代に地域社会を残すことであります。
 ところが、居住環境は劣悪、仕事と収入がないために多くの人々が住み慣れた土地を離れざるを得なくなりつつあります。今何よりも急がれるのは、安心できる住環境と仕事と収入の確保の道を提供することであります。
 雇用の確保のためには事業の再開がその大前提です。再建の意思のある全ての事業者を国が応援することが急務であります。被災した事業所再開の最大のネックは二重ローンであり、その解消が鍵だということを我が党も一貫して指摘し、具体策も示してきました。同時に、事業再建のためには、個々の事業所、店舗への直接の支援がどうしても必要です。住宅については、不十分ではあっても被災者生活再建支援として上限三百万円の補助があります。事業所や店舗の再建のためにも同様の施策を講ずることが不可欠だと考えますが、いかがですか。
 大津波の被災地の主要産業は水産業です。海がある限り海で生きる、漁業者を始め関係者は強い意欲を持っています。漁に出れば魚はいます。ないのは漁船であり、漁具であり、冷蔵・冷凍施設を始めとする生産・加工・流通施設であります。これらが提供されてこそ、新たな生産と雇用が生まれます。全国の漁業関係者などは陸路、海路を通じて被災地に漁船を送ってきました。ところが、政府の対応はどうか。第一次補正で二百七十三億七千九百万円が手当てされた共同利用漁船等復旧支援対策事業は八月末現在一円も支出されていません。養殖施設復旧支援対策事業も、漁港関係等災害復旧事業も同様です。どうしてこんな事態になっているのか。直ちに予算を執行すること、生産、流通、加工までをセットで再生するために、これらとは別枠で冷蔵施設、加工施設再建のための個別・直接支援を行うべきだと考えますが、いかがですか。
 農業についても、予算の執行率は大変低い水準にとどまっています。速やかに事業を執行するとともに、津波被害を受けた農地については、政府が一旦買い上げて塩抜きや圃場整備をして農家に貸し付け、将来的に農家が買戻しできるようにするべきではありませんか。
 次に、原発事故への対応であります。
 私たちが直面しているのは、第一に、重大な事故を起こした福島原発を、外部に今後放射性物質を出すことなく、完全な廃炉まで数十年にわたって管理していくという極めて困難な課題であります。第二に、ウラン換算で広島型原子爆弾の二十個分という莫大な量の放射能で汚染された地域を徹底して除染し、そこで安心して人が暮らし、子供を産み育てられるようにするという、人類がこれまで経験したことのない大事業をやらなければならないということであります。総理にはこの認識と覚悟がおありですか。
 総理は、忘れてはならないものがありますと繰り返し述べ、原発で働く人たちと高校生の言葉を引用されました。しかし、あなたが忘れてならないのは、誰が高校生をあんな思いにさせたのか、なぜあのような原発事故が起こったのか、安全神話にどっぷりとつかってまともな手だてを講じてこなかった歴代政府の原子力行政の在り方そのものではありませんか。
 総理は、除染について国が責任を持つと言われました。それなら、年間線量を二十ミリシーベルト以上だけ国が責任を持つというのではなく、全てに国が責任を持つことを明確にするべきであります。
 賠償については、国と東京電力の責任で全面賠償することを改めて求めるものであります。被害者には適切な賠償とか因果関係云々などといって線引きをやりながら、東京電力は国からの支援を受け、電力業界や原子炉メーカーを始め原発で多くの利益を上げてきた原発利益共同体の責任も免罪し、その役員は高額報酬をもらい続ける。これほどモラルに反することはないではありませんか。
 さらに、今こそ、より根本に立ち返って考えるべきときであります。放射性物質が一旦放出されればそれを抑える手段がないこと、安全な原発などあり得ないことが誰の目にも明らかになりました。総理は問題を対立的にとらえるなと言いますが、原発ゼロを目指すのか、それを推進するのかが今鋭く問われているのです。期限を切って、原発ゼロの日本を目指すことを政府が決断をし、同時並行で自然エネルギーの大規模な普及を進めることを強く求めます。
 次に、円高問題についてです。
 総理の挙げた対策は、大企業への立地補助金を出すことと外国企業の買収支援という、およそ国の政策というには余りにもお粗末なものでした。そこには、なぜ繰り返し円高が日本経済を襲うのか、そこから脱却するために何が必要なのかという根本的な思考が欠如しています。
 元々、今回の急激で異常な円高は、アメリカの財政危機に端を発し、アメリカやヨーロッパ経済への不安を背景にしたものであり、その中で相対的に安全だとみなされた円が買われたところから起きたものであります。
 これまで度々起きた円高局面で、輸出大企業は、一円の円高で数百億円の損失が出るなどといって、労働者と中小企業に犠牲を押し付けて、賃下げや首切りなど一層のコスト削減で対応し、円高の下でも輸出を増やすという方針を取り続けてきました。それがまた新たな円高を呼ぶという悪循環をつくり出してきました。今度も同じ対応が繰り返されれば、日本経済は計り知れない困難に陥るでしょう。大企業の圧力に屈して新たな補助金を出してやるような立地補助金などではなくて、日本経済を外需頼みから家計・内需主導に改革することに正面から取り組むべきではありませんか。そのためには、労働者派遣法を抜本的に変え、非正規雇用労働者を正社員化すること、最低賃金の抜本的引上げ、長時間過密労働の是正、下請いじめをやめさせ、大企業と中小企業との対等な取引ルールを確立するなど、企業活動で得た富を労働者と中小企業に還元し、国内に還流させる手だてを取ることであります。
 さらに、直接的な円高の原因になっている巨額の投機マネーなどに対し、国際的な為替投機規制の取組を開始するよう世界各国に働きかけることが日本政府の責任ではありませんか。併せて答弁を求めます。
 最後に、民主党前原政調会長のアメリカでの発言について伺います。
 前原氏はアメリカで、PKOの武器使用の基準を緩和する、武器輸出三原則を見直すと明言されました。武器使用基準の緩和というのは、自衛隊が他国の軍隊と一緒になって武力行使する道をこじ開けようとするもので、明らかな憲法九条違反であり、従来の政府見解からも逸脱しています。事は政権党の政調会長の発言であり、極めて重大であります。総理は、この発言を是認されるのですか。是認しないとすれば、この発言を放置すべきではないと考えますが、総理の明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117815254X00320110916_026

発言者: 市田忠義

speaker_id: 16179

日付: 2011-09-16

院: 参議院

会議名: 本会議