野田佳彦の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 共産党の市田議員から、まず最初に台風十二号の二次被害防止等についての御質問をいただきました。
政府としては、危険な状態にある五か所の河道閉塞、いわゆるせき止め湖について状況を注視し、関係自治体の警戒避難体制を支援するとともに、緊急に排水を行うための調査を進めるなど、緊張感を持って二次被害の防止に全力を尽くしております。また、本災害を近く激甚災害に指定し、被災者の生活再建の支援や被災自治体への財政支援を図ることとしております。
事業者の再建支援についてのお尋ねがございました。
被災事業者が早期に事業再開できるよう支援することは、被災者の暮らしの再建、地域の雇用の確保のために重要であります。このため、事業者の資金繰りを強力に支援し、仮設店舗や仮設工場の整備を行うとともに、被災した事業者が相乗効果を生みながら早期に復興できるよう、事業用の施設や機械等に対する復旧支援を実施をしてまいります。
続いて、農林水産業の再建支援についての御質問をいただきました。
水産業や農業の再建に向けた補正予算事業の執行については、現在、多くの事業において交付決定や査定前着工を実施しているなど、着実に進められているところでございます。御指摘の事業についても執行は着実に進んでおりますが、補助金の交付については、事業を実施する方々から国に請求があり次第、直ちに対応をしてまいります。
生産、加工、流通一体的な水産業のインフラ復旧は地域経済再生のためにも極めて重要であり、水産加工施設や市場等の共同利用施設の早期復旧に必要不可欠な機器等の整備を支援しているところでございます。今後とも、地域の方々の意見を踏まえ、更に本格的な復興に向けて取り組んでまいります。
東日本大震災で被災をした農地については、既に農地の復旧可能性の図面を公表したところであり、おおむね三年間での復旧を目指すこととしております。地域の意向を踏まえ、排水機場や堤防の復旧、除塩等を支援することにより、従来と同様の農地としての利用が可能となるようにしてまいります。
原発事故対応に関する認識と覚悟についての御質問をいただきました。
今回の原発事故においては、地震と巨大な津波の発生により、従来の設計評価における検討の範囲を超えた極めて厳しい事態が発生をいたしました。地震や津波に関する想定が不十分だったことなど、これまでの原子力安全行政が十分でなかったことは認めざるを得ません。この点、政府も事業者も、原子力に関する安全神話にとらわれていたという事実は謙虚に反省すべきであると考えております。
今回の原発事故は、まさに国家としての危機と言うべきものであり、事故の早期収束や大規模な除染、事故原因等の徹底的な検証を踏まえた原子力安全規制の抜本的見直しなどについて、国として全力で取り組んでまいります。
国の除染に対する姿勢についての御質問をいただきました。
本格的に除染を進めるために、政府として今回、除染に関する緊急実施基本方針を決定をいたしました。これを受け、県や市町村の協力も仰ぎつつ、国の責任として大規模な除染を行ってまいります。年間被曝線量が二十ミリシーベルト以下の地点においても安全かつ円滑に除染が行われるよう環境を整備するため、財政措置、専門家の派遣などの必要な支援を国として強力に実施をしてまいります。
原子力損害の賠償についての御質問をいただきました。
本件事故により生じる損害については、事故との相当因果関係が認められるものは全て原子力損害賠償法に基づき適切な賠償が行われることとなっており、この賠償は、一義的には原子力事業者である東京電力が賠償の責任を負うべきものであります。
他方、政府としても、被害者の速やかな救済が必要と考えており、さきの国会で成立した原子力損害賠償支援機構法やいわゆる仮払い法等に基づき支援を行うとともに、当事者間の和解交渉の仲介体制の整備等を通じ、原子力損害を受けた被害者の方々全員に対して適切かつ迅速な賠償が行われるよう全力で取組を進めてまいります。
また、原子力賠償支援機構法に基づく政府による支援は、東京電力による最大限の経営合理化と経費削減などを大前提としており、国民の理解を得られるよう、東京電力に対し、聖域なく最大限の努力を求めていく考えでございます。
なお、原子炉メーカーなど産業界は、これまで避難住民の方々に対して宿舎の確保や雇用機会の維持確保に努めるなどの協力を進めていると承知をしており、本件事故の収束や避難住民の方々に対する支援など、産業界も含め関係者が一丸となって取り組むことが重要であると考えております。
脱原発及び自然エネルギーの普及に関する御質問をいただきました。
原子力発電については、脱原発と推進という二項対立でとらえるのではなくて、中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきであると考えております。
今後、自然エネルギーの普及も含め、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成の在り方については、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、エネルギー・環境会議を中心に検討をしてまいります。
円高の日本経済に対する影響についての御質問をいただきました。
過度な円高の進行は、我が国の産業を牽引してきた輸出企業や中小企業に悪影響を及ぼし、国内産業の衰退と雇用の場が失われていくおそれを生じさせます。現在の歴史的な水準の円高を契機とする産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくために、金融政策を行う日本銀行と連携をし、あらゆる政策手段を講じてまいります。そのため、予備費や第三次補正予算を活用し、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の一層の充実など、緊急経済対策を実施をいたします。加えて、環境・エネルギー分野や長寿社会で求められる医療関連の分野を中心に新たな産業が次々と生み出されていく環境を整備し、経済成長を担う民間企業の活力を引き出すことで国内に安定した雇用の場を確保してまいります。
内需主導の経済についての御質問をいただきました。
我が国の経済成長を支えているのは中小企業を始めとする民間企業の活力であり、また、分厚い中間層の存在が経済発展の基礎となってまいりました。グローバル経済における競争が激化する中、我が国が安定的な成長を達成するためには、外需に過度に依存することなく、安定した内需と外需を創造し、産業競争力の強化と併せて、富が広く循環する経済構造を築く必要があると考えております。そのため、我が国の産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持するとともに、環境や医療等の分野を中心に新しい産業や雇用が生み出されていくことが重要であります。
政府としては、昨年策定された新成長戦略の実現を加速するとともに、戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめ、取組を進めてまいります。
国際平和協力業務に従事する自衛官の武器使用権限について最後に御質問をいただきました。
国際平和協力業務に従事する自衛官の武器使用権限の在り方については、国会やPKOの在り方に関する懇談会等における議論を踏まえつつ、引き続き検討することが必要であると考えております。もとより、こうした検討は憲法の枠内で行ってまいります。
以上、答弁とさせていただきます。(拍手)
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