舛添要一の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○舛添要一君 未曽有の大震災、そして原発事故という国難に当たり、内閣総理大臣として重責を担われる野田首相の所信表明演説に対しまして、たちあがれ日本・新党改革を代表して質問いたします。
 まずは、震災・原発事故対応についてですが、これまでの菅内閣の対応は場当たり的で、しかも迅速さに欠ける嫌いがありました。私たち野党も様々な建設的提言を行ってきましたが、残念ながらその提案が採用されることは余りなかったように思います。
 総理は、福島第一原発で黙々と作業を続けている二千人を超える作業員の方々に言及されましたが、彼らの安全確保について十分な配慮をしているのでしょうか。私は、これまで一貫して造血幹細胞の事前凍結保存を提案してきましたし、民間の医療機関もそのための支援体制を整えてきました。しかし、政府は、そのような努力を支援するどころか、原発作業員は被曝しない安全な環境で作業しているのでその必要はないという論理でこの提案を拒否してきました。
 危機管理とは、まさに想定外のことが起こったときにどう対応するかということであり、この政府の姿勢は間違っていると思います。造血幹細胞の事前凍結保存について、野田総理はどういう対応をするのか、改めてお伺いいたします。
 さらに、海洋生物などについて、セシウムのみならず、プルトニウムやストロンチウムの含有量を調査するように要求してきましたが、これらについても十分な調査が行われた形跡はありません。また、放射性物質に対する除染作業についても遅々として進んでおりません。これらの問題についても、どのように取り組むのか、お聞かせください。
 福島県では、医者不足が深刻であります。これは除染作業の遅れが原因でもあります。例えば、南相馬市では夜間に小児科医が一人もおりません。国会で予算を決めても、それを国は県に丸投げ、県は業界団体に丸投げで、現場で必要なところにお金が届いておりません。これらの問題についてどう対処するのか、総理の答弁を求めます。
 次に、エネルギー政策についてですが、総理は、来年の夏をめどに新しい戦略と計画を打ち出しますと明言されましたが、その方向性もまだ明らかではありません。電力供給については、安定性とコストという要素を考慮に入れることが必要ですし、また、脱原発を志向するのならば、原発に代わる代替エネルギーの開発を急がねばなりません。
 総理は、菅内閣が提案した脱原発依存という方針を変更されたのかどうか、お答えください。さらには、定期検査後の原発の再稼働についても、容易に地元自治体が容認するとは思えません。この点について、総理の認識は楽観的に過ぎるように思いますが、いかがでしょうか。
 次に、金融・経済対策について取り上げます。
 昨今の円高は、製造業の国外移転、いわゆる産業の空洞化を招来することにつながります。この円高の原因の一つは、デフレとの戦いが十分でないことにあります。非日常的な手段も行使して、更なる金融緩和を行う必要があります。その点では、日銀法に明言されているように、財務省と日本銀行が政策の十分な調整をすることが不可欠であります。デフレ対策についての総理の認識をお伺いいたします。
 総理が主張されるように、経済成長と財政健全化を車の両輪として同時に進めていくことについては誰も反対しないでしょうが、安易な増税は消費者心理に悪影響を与え、デフレからの脱却を遅らせ、かえって復興の足を引っ張ることを危惧いたします。GDPの六割が個人消費であることを忘れてはなりません。
 その点でも、国民に安心と希望を与える社会保障制度の改革は喫緊の課題であります。高度経済成長時代の社会保障は、企業など個人が所属する団体によって支えられておりました。人生の安全網は、言わば会社によって張り巡らされていたと言ってもよいでしょう。しかし、企業がグローバル競争にさらされる今日、もはやその役割を企業に期待することはできません。政府が正面に登場すべきときが来ています。だからこそ、財源の問題が最重要課題となってくるのであります。
 ところで、総理は、社会保障制度について全世代対応型への転換をうたっておられますが、これを実行するのは容易ではありません。例えば、年金について、賦課方式から積立方式への変換をどのようにして、またどれくらいの期間で実現するのか。さらに、介護保険料の負担年齢を現行の四十歳以上から成年以上に拡大するのか否か、考慮すべき具体的課題は山積しております。これらの点について総理の御所見を求めます。
 次に、外交防衛問題について質問いたします。
 民主党政権になって、この二年間、日本外交はすっかり停滞し、世界における日本のプレゼンスも大きく低下してしまいました。日本の動向にはかかわりなしに、国際社会は大きく変動しております。野田政権に求められるものは、日本外交の立て直しであります。
 まずは、日米関係です。良好な日米同盟関係は、日本外交の基盤であるとともに、世界の平和と安定を支える柱でもあります。しかし、鳩山内閣以来、この重要な日米同盟にひびが入ってしまいました。言うまでもなく、普天間基地移設問題が障害となっております。
 先日、私は、この問題につきまして沖縄県の仲井眞知事やアメリカ政府の担当者と議論を交わしました。移転先について、沖縄県民は最低でも県外という認識で固まっており、それを仲井眞知事も無視するわけにはいきません。しかし、アメリカ政府は年内決着を求めており、それが入れられなければ普天間の固定化もやむなしといった主張を始めております。さらに、アメリカは予算削減の必要性からグアム移転計画を見直す方針のようであります。
 民主党政権も、結局は自民党政権が長年掛けてまとめ上げた辺野古移転案を採用しましたが、今後の展開は全く不透明であります。この問題をどのようにして解決していくのか、総理のお考えをお聞かせください。
 沖縄と東京では大きな認識ギャップがあるように思います。沖縄県民の意見に謙虚に耳を傾け、その上で信頼関係を築き上げることができれば、この困難な問題を解決する糸口を見出すことは可能だと考えますので、できるだけ早い機会に総理が沖縄を訪問されることを提案したいと思います。
 次に、近隣諸国との関係であります。
 日本の政治の不安定な状態に乗じてか、隣国からの不穏当な動きが目立ちます。ロシア軍が我が国周辺で偵察飛行を行ったり、大規模な演習をしたりしております。これは、日本が侮られているからなのか、それとも経済支援の欲しいロシアの焦りの表れなのか、総理の見解を求めます。また、北方領土問題解決への野田政権の取組について説明してください。
 中国もまた尖閣諸島周辺に漁船を派遣するなど、挑発的とも言える行動を繰り返しております。竹島をめぐる韓国の最近の動きも懸念材料であります。これらの問題については、日本の領土を守り抜くという毅然とした姿勢が必要であります。野田内閣の決意と取組について説明を求めます。
 また、中国については、近年の軍事力、とりわけ海軍力の拡大が周辺諸国の不安をかき立てております。来年は日中国交正常化四十周年ですが、中国とは戦略的互恵関係を発展させるとともに、この隣国が国際社会の重要な一員としての責任を果たすことを求めるべきだと考えますが、総理の御所見を求めます。
 先日、脱北者が能登半島沖に漂着しましたが、北朝鮮との関係では、拉致問題、核兵器開発問題など、解決すべき問題が多々あります。拉致被害者、そしてその御家族にとっては一刻の猶予もならない事態でありますが、残念ながら民主党政権下でこの問題の進展が見られませんでした。野田総理はどのような方針で北朝鮮と対峙していくのか、御説明お願いいたします。
 さらには、TPPの推進も国際社会で生き抜かねばならない我が国としては重要な課題であります。TPPを強力に推し進めるのか否か、野田内閣の方針を明確に説明してください。
 最後に、選挙制度改革の話を取り上げます。
 最近、日本の政治家の質の劣化が指摘されており、私たち国会議員も反省しなければならないと思いますが、その質の劣化の原因の一つに現行の小選挙区制があるように思えてなりません。ポピュリズムがばっこする世の中で、一つの議席を争えば、選挙至上主義で様々な弊害が生まれます。選挙制度改革について議論すべきときが来ていると思いますが、この問題についての総理の認識をお聞かせください。
 私たち国会議員が、そしてこの国会が、国権の最高機関として、この国難に正面から対応すべきことを強調いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117815254X00320110916_029

発言者: 舛添要一

speaker_id: 6496

日付: 2011-09-16

院: 参議院

会議名: 本会議