佐藤正久の発言 (憲法審査会)

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○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。
 我が党は憲法改正案の新憲法草案を党議決定し、内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛軍を保持するというふうに中で明記しております。これは国防や国際協力のための自衛隊を軍に昇格するというものであります。
 昭和二十年、我が国はポツダム宣言を受諾し、陸海軍は解体、徹底的な非武装化が進められ、日本は完全な丸腰国家となっていきました。しかし、朝鮮戦争が勃発し、駐留米陸軍の朝鮮投入による力の空白化を懸念したマッカーサー元帥が、吉田茂首相にあてて国内の警察力と海上警備力の強化を促す書簡を送りました。そのマッカーサー書簡を受けて、警察予備隊令、これが制定をされ、警察予備隊が誕生しました。米陸軍の野戦師団をひな形として四個管区隊が編成され、米軍からは小銃や機関銃等の装備を供与されましたが、警察予備隊が軍隊でないとするために、いろいろと名称で苦労したようです。師団を管区、歩兵を普通科、砲兵を特科と呼び変えたり、兵器は武器、戦車に至っては特車というような感じでした。
 昭和二十七年に、陸上兵力である警察予備隊と海上保安庁隷下の海上警備隊を統合して保安庁がつくられました。その根拠となる保安庁法、これが国会で大きな議論になりました。特に野党からの反対は、陸海空軍その他の戦力は保持しないとの憲法九条を盾にいろんな観点で議論がなされたというふうに聞いています。当時の吉田茂首相は、戦力とは近代戦を実行する力であり、保安隊、警備隊にはその力がないと答弁をしたようです。その結果、自衛隊は長い間戦力なき軍隊と言われ、今もその呪縛にとらわれているというふうに思います。
 その後、昭和二十九年七月に防衛庁が設置をされ、陸海空自衛隊、そして陸海の防衛力から独立した航空自衛隊ができ、現在の体制が逐次整備されていきましたが、自衛隊が今でも軍隊か否かという問題、これは議論が続いているというふうに思います。
 今、国会の方においては南スーダンPKO派遣について議論が行われておりますが、ルワンダ軍の歩兵部隊がその自衛隊の警備をサポートしてくれるというような方向で今調整が進んでいるようです。しかし、万一自衛隊が襲撃された場合、ルワンダ軍は救援に駆け付けることはできますが、自衛隊がルワンダ軍を救援することはできないという事態も想定をされ、これは自衛隊による国際平和協力活動が始まって以来、現場の悩みの種となっているというふうに思います。
 かつて私が派遣されたイラクにおきましても、その根拠法たるイラク特措法においては武器使用は認められております。しかし、その範囲は極めて限定的であり、自己、自己と共に現場に所在する他の隊員、管理下に入った者の防衛のための武器使用であり、その対象には当然、他国の軍隊や、日本人といえども管理下に入っていなければそれは守ることができないというような状況になっています。
 また、集団的自衛権による縛りもあります。集団的自衛権は、自国が攻撃をされていなくても同盟関係にある他国への攻撃を自国に対する攻撃とみなして実力で阻止する権利とされておりますが、我が国は、憲法九条との関係から、権利は保有しているが行使は許されないとする内閣法制局の見解が今通っております。
 また、この問題はほかにも様々な弊害を生んでいると思っています。その一つは、対テロ特措法に基づくインド洋へのイージス艦派遣をめぐる議論においても、イージス艦は高度な情報収集能力を持つため、自衛隊と米軍とが情報が一体化されることによって集団的自衛権に抵触するというふうに当時指摘されました。また、ミサイル防衛においても同じようなことが言われております。
 本来、集団的自衛権は国連憲章にうたわれている国家固有の権利であり、昭和二十六年に締結された旧日米安全保障条約の前文においては、国連憲章は全ての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有していることを承認している、これらの権利の行使として日本国は云々というふうにここでは認められております。当時としては、自衛隊の前身である警察予備隊創隊からまだ間もない時期であり、日本が米国に協力して共に戦うという想定はあり得なかったということではありましょうが、米国が我が国の集団的自衛権の行使を認めた前提でこの条約が締結されたということは大きな意義を有していると思います。
 同盟国が危機に陥った際、自国は助けてほしいが相手は助けられないとのこの片務性ゆえの逃げの姿勢をやめて、権利の行使を宣言すべき時期を迎えていると私は思います。国際情勢の変化、また軍事技術向上などにより、一国のみで自国を防衛できる国家はもはやないと思います。我が国自身が憲法改正を果たして、集団的自衛権の行使を可能とすることが我が国の平和と安全にとっていかに寄与するのか、また、行使されるとした場合、何ができるのか、どこまでできるのか、根本的かつ健全な議論がこの審査会を通じて行われることを切に願っております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 佐藤正久

speaker_id: 11254

日付: 2011-12-07

院: 参議院

会議名: 憲法審査会