野田毅の発言 (本会議)
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○野田毅君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、税制抜本改革二法案について、野田総理に質問をいたします。(拍手)
冒頭、東日本大震災から一年以上が過ぎましたが、いまだに厳しい生活を強いられている被災者の方々に対して心からお見舞いを申し上げると同時に、被災地の一日も早い復興、再興を目指して我が党も努力してまいる所存であることを申し上げます。
また、先般、茨城、栃木両県で発生した竜巻や、北関東各地での落雷によって被害に遭われた皆様に、衷心よりお見舞い申し上げます。
さて、ようやく、消費税を含む社会保障と税に関する議論が本格的に始まりました。
まず、我が党の基本的スタンスを申し上げておきます。
我々は、今世紀に入って、急速な高齢化を展望する中で、借金依存体質と安易な増税路線に傾くことのないよう、徹底した歳出構造の見直しや財投改革、無駄の撲滅を中心に財政再建を進めてまいりました。
しかし、この過程で、安全保障、産業政策や農業対策、人材育成、福祉、医療など重要な政策経費を削減し過ぎた結果、さまざまなひずみを引き起こし、その結果もあって、二〇〇七年の参議院選挙で敗北をいたしました。
このことを通じ、我々は、画一的な歳出削減によるだけでは財政の再建を進めるには限界があり、無駄の排除の不断の努力と同時に、消費税の引き上げを避けて通れないことを痛感させられました。
その反省に基づき、麻生内閣時に、持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラムをつくり、税法附則百四条も定めました。そして、前回の総選挙における公約、特に一昨年の参議院選挙公約などにおいて、正々堂々と、消費税の引き上げを含む税制抜本改革を唱えてきたのであります。
また、私ごとではありますが、大平総理の一般消費税を皮切りに、地元で一万人の反対集会の中で、わら人形までつくられ最後は燃やされた、中曽根総理時代の売上税、竹下総理や山中先生のもとで奔走し、その成立の際にともに涙を流した消費税を思い起こします。
消費税引き上げには、政党や政治家にとってそれだけの政治リスクがあるのです。我々は、それだけ、人生をかけて、政治生命をかけてやってきているんです。
したがって、我々は、税制改革の足を引っ張る気持ちは全くない。むしろ、推進勢力であります。
我々は、前に進めたい気持ちはあふれるほどあるにもかかわらず、進められないハードルがあって、すんなり進むには、残念ながら、違和感が拭えません。
総理、よく身の回りを見てください。本当に議論を進められる環境は整ったと思えますか。国民の理解、民主党内政局、政策理念、それぞれに大きな壁があります。このことを政策の中身の議論に入る前に指摘し、総理のリーダーシップのもと、その壁を取り除くことこそ、今、総理に求められているのであります。
国民理解とは、国民との契約であるマニフェストのことであります。
このたびの消費増税は、マニフェスト違反であり、国民との契約違反ではないかという国民の批判にどう応えますか。先日の我が党の大島副総裁に対する答弁で、相変わらず、ちまちまとした詭弁まがいの言いわけを聞きましたが、誰も納得しておりません。何よりも、マニフェスト作成の主役の一人、小沢さんが、明確な違反だと言っているではありませんか。総理は、この小沢発言について、国民にどう説明されますか。
そもそも、総理自身も、前回の総選挙の際には、消費税引き上げの必要性を訴えるどころか、その前提としてシロアリ退治が先だと、真っ向から違うことを言っていたのではありませんか。それが、なぜ、急に、政治生命をかけるところまで成長されたのか。リーマン・ショックや東日本大震災のせいにしているようでありますけれども、では、リーマン・ショックや大震災がなかったら、消費税増税は喫緊の政策課題ではなかったというのでしょうか。
財政の責任者となって学習をされたのであれば、私はそれでもよいと思います。普天間問題と同様に、国政を預かる立場になれば、結局は戻るべきところに戻ったのでありましょう。
総理、まずは、国民に対して率直に、野党時代の自分の考え方が甘かった、間違っていたと素直に非を認め、謝罪した上で、改めて国民に理解を求めることが、この消費税議論に入る前になすべきことではないでしょうか。
多くの国民が釈然としないのは、こうした総理の過去と現在の言動、そして、増税はしないと言った民主党マニフェストの存在ではないでしょうか。この場で釈明すべきです。
政権の存続をかけるくらいの大課題は、議院内閣制のもとでは、政府・与党が一体となって事に当たるのがイロハではありませんか。特に消費税のような問題では、過去において、政権与党が一丸となって進めても困難をきわめた、重い政治テーマであったことは承知のことでしょう。まず、党内の一体化に全力を尽くす、むしろそれがスタートであります。
誰が見ても公然たる反対勢力が、現在もなお、党内で大手を振っているではありませんか。総理は、言葉だけで、一体、党内を取りまとめるための具体的な動き、努力をみずから行ってこられたのでしょうか。
特に、総理、このたび、小沢さんの党員資格の復活に際して、少なくとも消費税賛成への約束を取りつけたのですか。そのような努力もしないで、今後説得できる見通しはあるのでしょうか。
また、強調したいのは、このたびの消費税議論だけではなく、決められない政治の大きな原因は衆参のねじれが問題なのではありません。与野党のねじれも原因ではない。そもそも与党内のねじれこそが問題なのです。我が党に協議を呼びかける前に、まず、与党内の一体化を求めることが先であります。
党内を二分したままでもあえて断行するというのなら、最低限、総理は、幹事長以下の執行部との綿密な打ち合わせと意思疎通が当然必要だ、これは常識であります。
ところが、野田総理は一体改革に政治生命をかけているとおっしゃるけれども、一方で、肝心の幹事長以下の皆さんは、消費税よりも、党を割らないことを優先しているではありませんか。継続審議や大幅な会期延長などということが連休前から民主党内から流れているということを、総理、あなたはどう受けとめているのか、お答えください。
この状態のままで我が党に協議を求めることは、不成立の場合の責任を野党の非協力に転嫁しようという意図があるのではないかと勘ぐらざるを得ません。
総理という頭と、党執行部という胴体がばらばらでは、与党として政権を担当する資格はない。政治生命をかけるなら、いっそのこと、民主党を解党したらどうですか。この党内政局をどう乗り越えるのか、総理の真意、今後の民主党の対応方針が明確でないことが大きなハードルとなっておるんです。
いずれにせよ、総理に、党代表として党内をおまとめになり、六月二十一日の会期内までに採決を行う覚悟のほどをお伺いいたします。
さて、私は、税制改革の重要性、必要性を長年訴えてきましたが、一体改革とはあえて言わなかったんです。
野田総理、社会保障と税の一体改革の理念とは、そもそも何なんでしょうか。誰が一体という言葉を使い始めたんでしょうか。いつから社会保障と税の一体改革を民主党政権の最重要課題と位置づけるようになったんですか。
政策論議なく、政治と金を中心に展開された民主党代表選、その後の第二次菅内閣。そのときに初めて、TPP、法人税減税と並んで唐突に言い出したのではありませんか。政策的なバックボーンはそれまで聞いたことがありません。動機不純は明らかだ。経済界、マスコミ、そして自民党支持層の上前をはねようというさもしい意図、党利党略的発想であったと断ぜざるを得ません。
また、福田、麻生内閣の社会保障国民会議中間報告を横取りしようとしたことは明らかではないですか。さらに、消費税引き上げというむちだけではまずいと思って、あめを用意したのでしょう。
マニフェストにこだわって、年金や子育て、後期高齢者医療制度など、上乗せ、はみ出し、後退をさせて、厚化粧を施してしまったために問題が拡大したのであります。結局、年金制度の矛盾や低所得者へのばらまき拡大等、消費税の使い道としては大きな問題をビルトインしてしまいました。
社会保障改革の本質は、保険料や税金を負担する立場なくして給付のあり方を論ずることはできないことを明確にすることから始まるのであります。我々は、この理念なき社会保障改革案なるものが消費税論議の大きな障害物、これを前提とする限り、前には進めないと考えています。
以上、幾つかの越えなければならない壁、ハードルを指摘してまいりました。ぜひ、政府・与党は、これらのハードルを処理していただきたい。そして、我々も、冒頭述べたように、前に進めたいんです。
社会保障の問題については、各分野について、特別委員会の論戦を通じて問題点を詳細に指摘してまいります。その上で、社会保障の給付と負担のあり方の基本的な我が党の考え方を取りまとめたいと思っています。それが受け入れられることを前提として、その財源たる消費税の論議に入りたいと考えています。
消費税への対応については、法案そのものが率直に言って検討事項のオンパレードで、よく法制局がこのような形での法案を了承したものだと目を疑いました。今後は特別委員会で問題点を指摘してまいりますけれども、いずれ、環境が整えば、我々の考え方を示すことになります。
きょうは、最も気になる一点だけ触れます。
政府は、低所得者対策として給付つき税額控除の導入を検討しているようですけれども、給付つき税額控除は、不正直に申告した人が逆に過大に給付を受け取る可能性があって、二重の意味で不公正を拡大させるものだと私は考えています。
基本的に、所得税の課税最低限以下の者の所得は国税庁で把握できるわけがありません。どのように低所得者の所得を捕捉するのか。加えて、マイナンバー法案によっても金融所得の把握はできないのではないですか。
給付つき税額控除は実際に実施可能なのか、総理の見解を伺いたい。
政治の基本は信頼です。
しかしながら、信頼が整っているとはとても思えません。先月、参議院において、田中防衛大臣、前田国土交通大臣に対する問責決議案が可決されましたが、いまだに総理は、立法府の意思を無視しているだけではなく、誰が見ても不適格な大臣を更迭できずにいます。あなたの見識よりも党内力学の反映だと国民は見ており、これでは国民から信頼は得られません。
さらに、冒頭で述べたように、総理自身もみずからの変節について釈明もありません。
総理、消費税増税と社会保障一体改革へのあなたの思い、方向性は間違ってはいないのです。ただ、それを今行う環境を整えるための努力を、国民に対して、そして党内に対して行ってきているのかが問題なのです。
我が党は、正直に誠実に説明を重ねることを旨とし、甘い言葉で選挙民を誘惑するようなことはいたしません。民主党の考えは、現実には存在しない夢を売る青い鳥政策であり、普天間基地移設問題の迷走と同じではありませんか。もはや、通り一遍のちまちました詭弁まがいの言を弄することなく、潔く、誠実に、正直に、素直に語ったらいかがですか。
総理並びに与党の皆さん、まさに、政局ではなく大局に立って、謙虚に反省すべきは反省し、判断していただきたい。正直に国民に説明し、決めるべきは決め、進めるべきは進める政治を目指してほしい。
国民の閉塞感がきわまっている結果、新たな政治勢力への期待となっていることは承知のとおりです。
ちなみに、大阪維新の会などが主張している、消費税を全額地方税にや所得税のフラット税率化についてどう考えているのか、総理に所感をお伺いしておきます。
我々は、正々堂々と国家国民のために本音で議論を行いたいと願っております。そのことを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕