野田佳彦の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自由民主党野田毅議員の御質問にお答えをいたします。
まず、国民の理解、民主党内、政策理念と、私のリーダーシップに関する御質問をいただきました。
野田議員から、消費税を含む社会保障と税の一体改革に関する自由民主党の基本的なスタンスを御説明いただきましたことに対し、まず、感謝申し上げ、敬意を表します。
大平総理時代の一般消費税議論に始まり、野田議員が日本国を思いながら汗と涙を流されたお話についても、尊敬の念を持って伺わせていただきました。野田議員から頂戴した教訓と叱咤を胸に刻み、御指摘の、壁を乗り越えて一体改革をなし遂げる決意、政治生命をかけてやり抜く覚悟を貫いてまいります。
税制改革の推進勢力であるという力強い御主張を伺って改めて思ったことは、与党と野党という立場の違いこそあれ、我々は、国民のため、この国のために共通の問題意識を持ち、同じ方向性の解決方法を志向している、そして、今なさなければ、改革の実現はこの先もないということであります。
協力は無条件ではない、三つの壁を私のリーダーシップで乗り越えよという議員の御忠告について、確かに、国民の理解、政策理念、そして民主党内のことは、私自身、内閣全体、与党として乗り越えていかなければならないことであり、全力を傾注してまいりたいと思います。
同時に、民主党と自民党の前には大河が横たわっているように見えますが、国民は、橋をかけ、双方が歩み寄って胸襟を開いて話し合い、握手することを求めております。我々が改革の大義を同じくする限り、渡るべき川は、広くなく、深いものではありません。必ず乗り越えられると確信をしております。
虚心坦懐、正心誠意をもって、これからの国会審議の中で私の決意を体現させてまいります。大局に立って建設的かつ実りある審議を進めていただき、改革を必ず実現させるために、必ず一致点を見出してまいりたいと存じます。
次に、消費税とマニフェスト等との関係についてのお尋ねがございました。
民主党は、総選挙の際に、今回の任期中に消費税引き上げはしない、税率引き上げを実施する際には国民に信を問いますと主張いたしました。今回の提案がこのお約束自体に反するものではないとしても、野田議員のおっしゃることを全く否定するつもりはありません。
さきの総選挙における私たちの発言の中に舌足らずや行き過ぎた点があったこと、そして、マニフェストを含めて、野党時代の私たちに甘さや検討の不十分さがあったことについては、真摯に反省し、おわびをいたします。そして、今日、待ったなしの改革の必要性について国民の皆様の御理解を十分にいただいていない点については、今後、乗り越えるべく全力を挙げてまいりたいと思います。
改革の必要性について、過去一貫して改革を目指してこられた野田議員にここで改めて御説明するつもりはございませんが、国会審議を通じて国民の皆様にも十分に説明を尽くし、また、自由民主党の御批判と御提案をお伺いしながら一致点を見出し、共通の課題である改革実現を何としても今国会において実現したいと考えております。何とぞ御協力をお願いいたします。
次に、民主党内と会期内成立についてのお尋ねがございました。先ほどの三つの壁という御指摘に関連する御質問かとは存じます。
まず、民主党内にさまざまな意見があることは否定をいたしません。しかし、民主党にも、自由民主党と同様、自由な議論という党風と、党の意思決定のルールがございます。
確かに、民主党は、一昨年の参議院選挙で敗北を喫し、消費税の議論において慎重な意見があります。しかし、昨年の六月の一体改革成案、ことし一月の素案と大綱、そして三月の法案閣議決定、国会提出に至る議論と決定という積み重ねがございます。まさに丁寧な議論と決定を積み重ねてまいりました。国民に責任を持ち、政権を担う与党として、大変重い党議の決定であります。
したがって、所属議員全員がこの決定を尊重する義務を国民に対して負っており、党議拘束は、党所属議員である限り、処分云々にかかわらず、全員にかかっております。
そして、幹事長を先頭に、執行部全体が今国会での一体改革実現にかたい決意と意思統一を行っており、会期延長に言及した党幹部はおりません。今国会における成立へ向けて、意見があれば説得をし、党が一致結束して対応することを確信し、また、全力を挙げていく決意であります。
次に、社会保障・税一体改革の理念についてのお尋ねがございました。
社会保障と税の一体改革とは、社会保障の充実、安定化と、財政健全化を同時に達成することにより、少子高齢化が進む中、社会保障制度を持続可能なものとし、若い世代を含め、国民が安心で希望と誇りが持てる社会の実現を目指すものであります。
こういった理念に基づく一体改革は、自公政権下での社会保障国民会議や安心社会実現会議などにおける議論も踏まえ、民主党政権下では菅内閣において初めて取り上げられ、政府・与党として取り組みを進めてきたものでございます。
私は、民主党代表選挙においてもその必要性を掲げ、政権発足後においても、最重要課題の一つとして、持続可能な社会保障と財政健全化を一体のものとして取り組んでいるところでございます。
次に、給付つき税額控除及びそれを実施する際の所得捕捉等についてのお尋ねがございました。
消費税に係るいわゆる逆進性の問題を踏まえ低所得者対策を考える必要があり、その一つとして、給付つき税額控除の導入を検討しております。
この給付つき税額控除制度について、その適正かつ効率的な運用を確保するためには、諸外国の例も踏まえれば、番号制度を用いた所得把握のための仕組みが整えられている必要があると考えています。
給付つき税額控除の制度設計に当たっては、御指摘のように、所得把握のあり方などの執行面での対応可能性を含めさまざまな論点がありますので、総合的な検討を行っていく必要があると考えております。
潔く、誠実に、正直に、素直に語るべきとの御提案がございました。
野田議員から懇切丁寧なアドバイスをいただき、本当に感謝をしております。
確かに、内外ともに難題が山積しており、初めて政権を担っている民主党にとっては反省と教訓の毎日であることを率直に申し上げます。しかし、自由民主党は、何十年もその重荷を背負い、責任を果たされてこられました。民主党もまた、国民の負託を受けた以上、政権任期内において責任を全うしない限り、健全な議会制民主主義のあかしでもある、選挙による国民の政権選択というシステムは確立しないと確信をしております。
脱イデオロギー、政策連合という考え方は、政党間の垣根を低くして、国会におけるねじれ現象も今だけのものではありません、新しい政治の構図の中で、問責の問題も改めて考えていく必要性は与野党共通のものであり、大きな改革に当たっての政党内の議論、政党と所属議員のあり方も問われていると考えます。
現在の年金制度も、五十年も経ており、改革は不可避です。経済や社会の変化の中で、国民全体が時代の変化への対応と新しい展望を求め、決断する政治、実行する政治を求めております。
今問われているものは、政党の存在意義と政治家のあり方であるとも思っております。その意義を示すためにも、一体改革をなし遂げ、そして政治生命をかけることは、今、民主党代表にある者の責任と考えております。
最後に、消費税の地方への移管及び所得税率のフラット税率化についてのお尋ねがございました。
人口構成が大きく変わっている状況下で社会保障を持続可能なものにしていくためには、高い財源調達力を有し、勤労世代など特定の国民に負担が集中しない消費税を社会保障の安定財源として確保することが重要と考えます。
その消費税を全額地方に移管するのであれば、年金、医療、介護、子育てといった社会保障について地方に大きな責任を担っていただく必要がありますが、これは結果的に大きな地域間格差を生じさせることにもなりかねず、果たしてそれで国民の理解が得られるかどうか、疑問であります。
また、仮に、消費税を地方に移管する一方で、社会保障の根幹は国が担うとするならば、その財源は現役世代に負担が集中する所得税や保険料などで確保することとなり、世代間の公平の観点から問題があると考えております。
次に、消費税とともに車の両輪をなす所得税は、累進的な税率構造による所得再分配機能を特徴としておりますけれども、所得税による所得再分配機能は近年低下をしてきており、今後、消費税率の引き上げにより税制全体としての累進性がさらに低下することも踏まえれば、所得税についてはむしろ累進性を高めるための改革を進める必要があると考えております。
以上、答弁とさせていただきます。(拍手)