竹内譲の発言 (本会議)
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○竹内譲君 公明党の竹内譲です。
私は、公明党を代表して、消費税率引き上げを中心とした税制関連二法案に対し、野田総理大臣に質問をいたします。(拍手)
四年間は消費税は上げないとして民主党が政権を奪取してから、わずか二年半余り。政権交代が実現した二〇〇九年に、今のような状況、すなわち、民主党三人目の総理が消費増税に政治生命をかける事態を、国民の一体誰が想像し得たでしょうか。
当時、リーマン・ショックによる影響で、我が国の経済、財政ともに深刻な状況にあったことは周知の事実でありました。にもかかわらず、当時の民主党は、世界的な危機を乗り越えるために党派を超えて協力するどころか、政権批判に終始し、さらに、国民の危機感を利用して、無駄を削減すれば財源など幾らでも捻出できるかのような幻想を国民に振りまいたのです。
それとも、民主党が野党であった当時は、経済や財政そのものがわかっていなかったのでしょうか。もしそうであれば、財政を語る資格はおろか、そもそも政権担当能力を持ち合わせていなかったということになります。
しかし、少なくとも野田総理は、野党時代から財政の厳しさは認識していたはずであり、あのようなマニフェストが実現不可能なことはわかっていたに違いない。とすれば、野田総理は国民をだましたことになります。
二〇〇九年の選挙のときに、民主党も総理も、なぜ消費増税の必要性を訴えなかったのか。総理、不誠実ではありませんか。ここに多くの国民が根本的な不信感を抱いているのです。総理の答弁を求めます。
さて、さきの衆議院選挙の際に、総理自身が街頭演説で有権者にどう語っておられたのか、よく思い出していただきたい。
マニフェスト、イギリスで始まりました、ルールがあるんです、書いてあることは命がけで実行する、書いてないことはやらないんです、それがルールです、書いてないことを平気でやる、これっておかしいと思いませんか、それはマニフェストを語る資格がないというふうにぜひ皆さん思っていただきたい。総理の口から出た発言です。
消費増税は、二〇〇九年マニフェストのどこに書いてあるのでしょうか。どこにも書いてありません。インデックスにも、消費税は「現行の税率五%を維持し、税収全額相当分を年金財源に充当します」とあります。つまり、書いてないことを平気でやる、書いてないことを命がけでやる、これこそ、野田総理、あなた自身のことではありませんか。
これっておかしいと思いませんか、それはマニフェストを語る資格がないってことですという言葉も、全部ブーメランのように野田総理自身に返ってくるのです。恥ずかしいと思いませんか。総理の見解を求めます。
社会保障と税の一体改革は、日本の高齢社会を見据えれば、避けて通れない最重要課題であり、このこと自体を否定するものではありません。
しかし、我が国は民主主義の国家です。選挙でやらないと言ったことをやるという公約破りにとどまらず、国民の生活に直結する増税という極めて重大な意思決定が、国民の負託を受けずに実行されようとしている。これは余りにもひどい暴挙であります。
野田総理が消費増税に政治生命をかけることは勝手ですが、国民軽視の、民主主義を否定するやり方で政治生命をかけると言っても、説得力を持つはずがありません。
総理、さきの衆議院選挙公約と今般の消費増税法案とは、明らかに矛盾しています。やはり、直ちに解散・総選挙を断行し、民主党政権に対する総括としての審判を受けるとともに、改めて消費増税の可否を国民に問うのが筋であり、まことの政治ではありませんか。総理の答弁を求めます。
さて、私たち公明党は、まずは、社会保障のあるべき姿、改革の全体像が示されなければならないと申し上げてきましたが、その観点からは、増税法案の審議に入る大前提が整っていないと指摘せざるを得ません。中途半端で全体像なき社会保障改革では、負担の詳細な議論に入ることはできません。
よって、以下、一体改革の前提となるべき課題を中心に質問いたします。
公明党は、国民に負担をお願いする場合には五つの条件が必要であることを一貫して訴えてきました。
第一に、国民負担の議論を開始するのであれば、まずは、社会保障の全体像、具体像を示せということであります。
検討項目ばかりが並ぶ大綱ではなく、あなた方が目指す社会保障改革によって、国民の暮らしがどのように変化し、将来の生活がどの程度保障されるかなど、具体的に提示していただきたい。
しかし、今般の社会保障と税の一体改革の法案の基礎となっている大綱を一言で表現するならば、はっきり消費税増税、がっかり社会保障改革と申し上げざるを得ません。すなわち、消費税率の引き上げ幅と引き上げ時期だけが鮮明ではあるが、社会保障改革は検討、検討のオンパレード。どこが一体改革なのでしょうか。消費税増税は決められるが社会保障は決められない、これが民主党政権の実態です。
具体的に指摘しましょう。
最低保障年金の創設を柱とする年金の抜本改革、これはどうするのですか。
民主党は、政権取得後、これが、到底実現できない、絵に描いた餅であることに気づいたのではありませんか。しかし、みずから撤回するのは恥ずかしいので、かわりに、民主党員でない与謝野氏を大臣に招き入れて、一旦は事実上の棚上げをしてもらった。ところが、どういうわけか、それをまた、今回、わざわざ棚卸しをした。棚卸しをしたはいいが、消費税増税の明確さとは対照的に、具体策は一つも示されず、来年に先送り。民主党は、やる気があるのか、ないのか、もう、いいかげん、はっきりさせたらいかがですか。国民を愚弄するにもほどがあると、総理、思いませんか。
やはり、年金抜本改革、そして高齢者医療制度の見直しは、直ちに撤回すべきであります。総理の答弁を求めます。
さらに、引き上げる消費税のうち、四%で現行の社会保障制度を守り、残りの一%で社会保障の充実を図るとしております。しかし、その社会保障制度の中身は、自公政権時に取り組んだ内容がほとんどです。中には、あなた方民主党が、選挙目当てに、当時反対した内容まで含まれています。
なぜ、民主党は主張を変えたのですか。与党になって初めて勉強されて、自公政権の正しさがわかったのですか。かつての民主党の主張は間違っていたということですか。総理、明確に御答弁願います。
第二には、景気、経済についてであります。
大綱では、復興需要と、民需主導での経済成長への移行によって経済状況は好転していくとの見通しを立てています。しかし、日本経済が長年デフレ下に置かれている現状、さらには、欧州の債務危機が再燃しかねない状況にあっては、決して楽観できるものではありません。
具体的にお聞きします。
一、仮に、欧州の経済危機が再燃し、世界経済に異変が起こったとしても、増税のスケジュールは変わりませんか。
二、また、法案附則第十八条には名目三%の成長等と書かれていますが、この達成が引き上げの前提になるのか、ならないのか。
三、さらには、わざわざ、名目三%、実質二%と明記している以上、素直に読めば、少なくともデフレ脱却が前提になると考えますが、総理は、デフレ脱却や経済成長が見込めなかった場合でも、消費税引き上げは断行すべきと考えますか。
明快な答弁を求めます。
第三に、行政改革、行政の無駄削減の徹底です。
総理、二〇〇九年のマニフェストのとおり、税金の無駄遣いと天下りを根絶して十六・八兆円もの財源を生み出せれば、そもそも消費税増税など必要なかったのではありませんか。
二〇〇九年のマニフェストには、「国の総予算二百七兆円を徹底的に効率化。ムダづかい、不要不急な事業を根絶」九・一兆円等とした上で、平成二十五年度には合計で十六・八兆円もの財源を生み出すと明確に書かれています。
増税の議論に入る前に、こうした公約は一体どうなったのでしょうか。幾らの財源が生み出されたのか、数字で明確にお答えいただきたい。
さて、総理、マニフェストの中にはこのような公約も記されております。
すなわち、「天下りの在籍する独立行政法人、特殊法人、公益法人などへの支出(一年に約十二兆円)や、国の契約を見直して、国の政策コスト、調達コストを削減する」「補助金改革で関連の事務費、人件費を削減」「独立行政法人、特殊法人、公益法人の仕事を徹底的に見直し、天下りのためにある法人・仕事は廃止して、その団体への補助金等を削減」するとした上で、六・一兆円の財源を生み出すとしておりました。
では、天下り法人への支出約十二兆円は一体幾ら削減できたのですか。補助金改革で、関連の事務費、人件費は幾ら削減できたのですか。天下り法人は幾つ廃止して、補助金は幾ら削減できたのですか。これらの削減で、財源は一体幾ら生み出されたのですか。数字でお答えください。
また、さきの街頭演説で、総理は、皆さんの税金には天下り法人がぶら下がっているんです、シロアリがたかっているんです、シロアリを退治して天下りをなくす、そこから始めなければ、消費税率を引き上げるという話はおかしいんですと述べていますが、シロアリ、すなわち天下り法人は退治されて、天下りは根絶されたのでしょうか。総理、言い逃れは許されません。明快にお答えください。
さらに、民主党政権は、行政改革の一環として特別会計を減らしたとしていますが、その結果、一体どの程度の財政的な効果が上がったというのでしょうか。数字でお答えください。単なる数合わせではないですか。この一点だけでも、行革の努力や成果が全く見られません。
総理、要するに、政権交代以降進められた行政改革、無駄の削減は、民主党が国民に期待させたほどの効果は全く上がっていないということです。それどころか、消費税の前にやるべき行政改革が、いつの間にか議員定数の削減や公務員総人件費の削減だけになっており、独法の見直しや天下りの根絶など、改革の本丸部分がごっそりと抜け落ちてしまっているのです。
要は、マニフェストの実現は不可能などとは今さら言えないため、いかにも身を切る改革を断行しているかのように取り繕っているだけではありませんか。消費増税の前に、二〇〇九年マニフェストにあるとおり、脱官僚、政治主導の予算編成によって、国の総予算を全面的に組み替え、税金の無駄遣いと天下りを根絶することこそ、総理が政治生命をかけて取り組むべき課題ではありませんか。総理の答弁を求めます。
最後に、消費税には、その税の性格上、逆進性が存在することは論をまちません。仮に引き上げによる負担を求めるのであれば、低所得者対策を講じることは当然です。しかし、いまだに政府・民主党からその具体的な制度設計が示されていないのはどういうわけでしょうか。
法案では、確かに給付つき税額控除等の施策を導入することは法案の本則に盛り込まれたものの、残念ながら、具体的な導入時期や方策は示されておりません。また、導入されるまでの間の簡素な給付措置も、財源を含めて、曖昧のままです。
逆進性対策、低所得者対策に対する総理の見解を求めます。
いずれにいたしましても、このように課題は山積です。今後さらに野田内閣の無為無策を徹底的に追及する旨を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕