愛知治郎の発言 (本会議)

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○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎です。
 私は、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました消費税法改正案等について質問をいたします。
 質問に先立ち、一言申し上げます。
 九州地方を中心とする観測史上初めてという大雨で、多くの方がお亡くなりになっております。謹んで哀悼の意を申し上げますとともに、政府には、人命救助と災害の拡大防止、復旧に全力で取り組まれるよう強く要望いたします。
 さて、総理、総理は、就任時の所信表明演説で、東日本大震災からの復旧・復興が最大かつ最優先の課題だと宣言をされました。私もまさに正しい御認識だと思います。場当たり的な対応に終始し大混乱を招いた菅内閣を引き継いだ野田内閣の使命は、震災からの復旧・復興にほかなりません。
 一方で、総理は、消費増税に政治生命を懸けると繰り返しおっしゃっています。そして、事実、衆議院では、特別委員会で百二十九時間にも及ぶ審議を行った後、一体改革法案を通過させました。日米安保条約の百三十六時間に次ぐ史上二番目の審議時間だそうです。しかし、総理、震災からの復旧・復興が最大、最優先の課題であるなら、本来そちらにもっと時間を使うべきなのではありませんか。余りに言っていることとやっていることが違い過ぎます。
 また、総理は、消費増税に政治生命を懸けるとおっしゃいますが、震災復興には政治生命を懸けていないのでしょうか。それとも、総理の政治生命は幾つもあるのでしょうか。まさか、震災復興には一定のめどが付いた、一定の課題はクリアできたから次の課題に移ったとでも言うのでしょうか。
 被災地には、まだまだ議論し、解決し、実行していかなければならない課題が山積しております。被災された方々の生活再建は進んでおりません。破壊された町の再建も進んでおりません。原発事故の賠償や除染も進んでいません。一方で、復興予算には、五兆円もの繰越しと一兆円もの不用額が出ております。必要なところに支援が届いていないのです。こんな状況で消費増税に時間を使っている場合なのでしょうか。
 総理、御自身の最優先課題についてどうお考えなのか、被災地出身議員の一人としてお伺いをいたします。
 私自身、若い世代として、将来に負担を先送りすべきではないと考えます。したがって、消費税の増税も避けて通れない課題だと考えております。しかし、同時に、被災者の立場からは、なぜ今なのかという思いも持っております。
 例えば、一年でもいいので、待ってもよかったのではないでしょうか。一年後であれば、今よりも震災からの復旧・復興も進んでおり、消費税について議論できる環境もより整っていることでしょう。このような状況で、なぜ今どうしても消費増税なのでしょうか。今回の民主党政権による増税は、どんなに詭弁を弄したとしても、国民に対する裏切りにほかなりません。それは、大量の離党者を出して民主党が分裂したことからも明らかであります。
 そこまでして、なぜ今なのでしょうか。今国会中に決めなければギリシャのように直ちに財政破綻に陥ってしまうとお考えなのでしょうか。総理、一年後でなく、今でなければならない理由をお聞かせください。
 また、総理が政治生命を懸けると言ったからこそ、我々は真摯に協議をし、三党合意をするに至りました。ところが、民主党内のごたごたによって採決の日が当初より遅れてしまいました。さらには、採決で多数の造反者が出るという惨たんたる状態でありました。
 先日の参議院本会議で、総理から、これらの不手際について謝罪をいただきました。しかし、その後も公認をめぐる問題等、発言等ぶれ続けているように思えます。
 総理は夕刊を見てびっくりされたようですが、私も本日の朝刊を見てびっくりいたしました。
 昨日の衆議院予算委員会で、我が党の茂木政調会長の次期総選挙の公認に関する質問に対し、増税はマニフェストに明記する、守れない人は公認しないと明確に述べました。
 しかし、同じ日の民主党両院議員総会において、一般論で言った、誤解を与える部分があったと発言をされております。予算委員会の議事録を読む限り、一般論でなく、次の総選挙を指した発言で、誤解の余地はないと思います。一日のうちに全く違う趣旨の発言をされている。国民にきちんと御説明いただきたいと思います。
 いずれにせよ、我々は、口先だけの謝罪ではなく、しっかりとした行動で示していただきたいと考えます。今回の造反者に対する処分は果たして十分だと言えるのでしょうか。我々に対する誠意を十分に尽くしたとお考えか、併せて総理の認識を伺います。
 次に、法案について質問をいたします。
 まずは、軽減措置の被災地への適用について伺います。
 今回、低所得者の負担軽減や住宅、自動車に関する負担軽減など、各種の軽減措置についても議論がされました。しかし、家や仕事を失って仮設住宅で暮らす被災地の方々が増税の影響を最も受けます。そうした方々が今後家を建て、車を買うときも消費税が掛かりますが、これは震災がなければ必要なかった出費であります。これらの負担を軽減すべきではないでしょうか。
 総理は先日の答弁で、被災地を対象とする負担軽減を検討するとおっしゃいました。そこで伺いますが、抽象論ではなく、具体的にどのような措置をお考えなのでしょうか。また、先日は住宅を例示されていましたが、自動車や生活必需品など、それ以外の対象はどのようにお考えなのでしょうか。総理から具体的な説明をお願いいたします。
 次に、複数税率について伺います。
 三党合意に基づく修正で、我が党が求めていた複数税率を総合的に検討することが明記をされました。しかし、実際に複数税率を導入する場合には法案の抜本的な改正が必要となりますので、税率を一〇%に引き上げた後でなければ導入は困難であるようにも思えます。今回の法案の趣旨として、一〇%引上げの前に複数税率を導入することも可能だと考えてよいのでしょうか。また、その場合に、具体的にどのような手続が必要になるのでしょうか。財務大臣の見解を伺います。
 給付付き税額控除については、政府案では導入するとされていたものが、三党合意を受けて、複数税率と同様に、総合的に検討するとなりました。御承知のとおり、我が党は給付付き税額控除に反対をしてきました。仮にマイナンバーを導入したとしても、資産の正確な把握などが難しく、消費税の逆進性対策としては不十分だと考えるからであります。
 一方、消費税の逆進性緩和には不適当である給付付き税額控除でありますが、勤労の促進や子育て支援という観点からは十分検討に値すると考えております。
 まず、勤労促進の観点であります。現在の生活保護制度では、収入があるとその分の給付が減額をされるので、働くインセンティブをそがれてしまう状況にあります。しかし、給付付き税額控除を導入すれば、勤労所得が増えるほど手取り額も増える仕組みをつくることが可能になります。いわゆる勤労税額控除という方法で、アメリカ、イギリス、フランス、韓国など、既に十か国以上で導入されております。
 また、子育て支援の観点から、給付付き税額控除も考えられます。子供の数によって税額控除の額が増える方法であります。これは、民主党の子ども手当のように所得にかかわらず全員にばらまくということではない、効率的な給付ができます。児童税額控除と呼ばれ、アメリカ、イギリス、ドイツなどで導入されております。
 生活保護や子ども手当をばらまくよりも、これらの給付付き税額控除制度を検討すべきだと考えておりますが、財務大臣の考えを聞かせてください。
 次に、景気条項について伺います。
 法案では、消費税の引上げを経済状況を好転させることを条件として実施するとして、経済状況等を総合的に勘案した上で、施行の停止を含め所要の措置を講じるとしております。
 では、実際にこの条項に基づいて施行を停止するにはどのような手続が必要になるのでしょうか。法律に書いたことを実施しないわけですから、やはり法改正が必要になると考えますが、あえてこの点、財務大臣に確認をしたいと思います。
 次に、消費税の使途についてであります。
 消費税収のうち国に配分される部分は、年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四分野に充てられます。全て重要だと考えておりますが、その中でも特に介護分野への配分についてお伺いをいたします。
 介護現場の現状は、大変に厳しいものであります。介護職員は給料だけでは生活できないほどの低賃金労働となっているのが実態であります。私の知っているケースでも、男性が結婚するときに、介護の仕事では生活ができないので仕事を辞めざるを得ないという話があります。
 このような状況ですから、介護分野は慢性的な人手不足であります。これからますます需要が増えてくる介護の分野が、これでよいのでしょうか。消費税を増税するならば、介護職員の待遇改善にもっと大胆な配分を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。これは複数の大臣に関係いたしますので、総理に全体的な御判断を伺います。
 次に、消費増税が円高に与える影響について伺います。
 消費増税を行って財政が健全化の方向に向かえば、市場における我が国の信用は高まります。それ自体はもちろん悪いことではありませんが、その結果、円高を促進してしまうという可能性もあります。
 言うまでもなく、円高は我が国を苦しめている大きな要因であります。今後、更に円高が進むようなことがあれば、産業空洞化が更に進み、我が国の経済は大変なダメージを受けることでしょう。
 つまり、我が国の置かれた状況には、財政健全化の必要性と円高是正の必要性という、矛盾する二つの要求があるわけです。政府は、消費税を増税し、財政を健全化しようとしているわけでありますが、円高にはどう対応していこうと考えているのでしょうか、財務大臣に伺います。
 次に、将来的な消費税率について伺います。
 今回の法案では、税率を一〇%まで引き上げることを定めていますが、その先は明示されておりません。税率が一〇%ではプライマリーバランスの黒字化に不十分だということは、政府自身が認めております。ならば、政府・民主党は、一〇%の先に更なる増税を想定していると考えるのが自然であります。総理も、政治生命を懸けるとまでおっしゃっている重要課題である以上、まさかその先は知りませんということではないでしょう。
 総理は、将来的な消費税率について、いつごろまでに何%まで引上げが必要とお考えなのか、伺います。
 最後に、総理に申し上げます。
 憲政の神様、議会政治の父と呼ばれた尾崎行雄先生が、投票の心得九か条というものを示し、その中でこうおっしゃっています。いやしくも公約を裏切った政党や議員に対しては、次の選挙のときに絶対に投票してやらぬことを覚悟すれば、政党も議員も完全に有権者によってリードせらるるようになると。総理、この言葉を踏まえても、今回、消費増税法案を通したら、堂々と国民の審判を仰ぐべきであります。そして、民主党が公約を裏切った政党かどうかは、国民が判断すればよいのであります。
 また、総理は、消費増税に政治生命を懸けるとおっしゃいました。このことからも、政治生命を懸けた使命を果たしたならば、当然、総辞職か解散を行い、次の課題を担う政権を誕生させるべきと考えますが、いかがでしょうか。本法案成立後の総理の潔い決断を求めます。
 もしその決断ができないようであれば、我々が後押ししてさしあげる用意があるということを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118015254X02020120713_016

発言者: 愛知治郎

speaker_id: 22851

日付: 2012-07-13

院: 参議院

会議名: 本会議