野田佳彦の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 中村哲治議員から六つの御質問をいただきました。
 まず最初に、一体改革を行う理由等についてのお尋ねでございます。
 急速な少子高齢化や社会経済状況の変化の中で、世界に誇る我が国の社会保障制度を持続可能なものとし、将来世代に確実に引き継いでいくためには、従来のように、給付は高齢者に、負担は現役世代にという仕組みを改め、給付、負担両面で世代間、世代内の公平が確保された制度とする必要があります。今回の一体改革では、このような観点から、社会保障の充実、安定化のため、消費税率を引き上げることとしております。
 衆議院総選挙の時点で消費税率引上げについて約束していなかったとの御指摘でございますが、税収の大幅減、東日本大震災の発生、毎年度一兆円単位で増加していく社会保障の財源問題、さらには欧州におけるソブリンリスクの顕在化などを踏まえ、もはや先送りできないと判断をいたしました。
 消費税について衆議院選挙の時点で明確に方向性を示していなかったことについては、真摯に反省し、おわびをしながら、国民の皆様に御理解いただけるよう努力を重ねていく決意であります。
 また、簡素な給付措置などの低所得者に対する配慮等の消費税引上げに伴う様々な課題については、法案及び民自公の三党合意に基づく修正案等で示されている検討の基本的方向性やスケジュールに沿って実際の税率引上げまでに具体化すべく検討に取り組むこととしており、問題の解決を後回しにしているとの御指摘は当たらないと考えております。
 続いて、我が国の財政状況に対する認識についての御質問をいただきました。
 我が国の対外純資産や経常収支黒字は、あくまで民間部門を含む我が国の居住者と海外との関係を取り出した評価であり、我が国政府が民間部門に対して負っている債務を考慮していないなど、政府の信用という観点からの評価ではないことから、これをもって財政状況を楽観視することは適当でないと考えております。
 我が国の財政は、ストック面では債務残高対GDP比が主要先進国中最悪であり、フロー面でも国の一般会計で税収が歳出の半分も賄えないなど、国際的に見ても極めて厳しい状況となっております。
 また、我が国の国債の国内消化を支えてきた国内貯蓄が伸び悩む一方、政府の債務残高は増加の一途をたどっており、国債をめぐる状況は変化をしてきております。
 これらの状況を踏まえ、国債市場の環境が安定している今のうちに、社会保障と税の一体改革などを通じ、社会保障の安定財源確保とともに、財政健全化に一刻も早く取り組むことが必要と考えております。
 次に、竹下総理がおっしゃった六つの懸念についての認識と評価に関する御質問をいただきました。
 六つの懸念とは、消費税を導入する前年の昭和六十三年三月に、当時の竹下総理がいわゆる大型間接税について国民一般に懸念を呼んでいる点として示されたものと承知をしております。
 竹下総理は、あえて踏み込んでこれらの懸念を示した上で、できる限り多くの国民が納得し得る税制を確立するため、こうした懸念に対し、十分配慮していきたいと述べられておりました。私は、政策の問題点をあえて明らかにし、オープンな議論の中で国民にきちんと説明をしていくことが重要であるとの竹下総理の考え方に共感をしております。
 今回の一体改革についても、国民の皆様に御負担をお願いするに当たっては、一体改革の意義を分かりやすく丁寧に説明し、国会でのオープンな議論はもちろんのこと、対話集会やテレビ等への出演なども通じて国民の疑問にきめ細やかに答えていくことで、国民の理解を深めていただくことが何よりも重要であると考えており、そのように努力をしてきたつもりであります。
 参議院での御審議も始まりましたが、引き続き、国民の皆様の御理解が深まるよう、一体改革の必要性や意義、内容などを分かりやすく丁寧に説明をしてまいります。
 続いて、所得税や相続税の改正等に関するお尋ねがございました。
 御指摘の所得税、資産課税については、見直しの方向性については民自公の三党とも合意に至ったものの、具体案については更に議論を尽くす必要があるとの考え方も踏まえ、原案から削除することとされましたが、その一方で、所得税の最高税率の引上げなど累進性の強化に係る具体的な措置、相続税の課税ベース、税率構造等の見直し及び贈与税の見直しについて検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる旨の規定が設けられており、この方針に沿って具体化に向けた検討にしっかり取り組んでまいります。
 なお、社会保障の財源となる税収については、高い財源調達能力を有し、経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく安定していることが求められます。また、高齢化が進む中で、保険料や所得税など、勤労世代など特定の者への負担が集中しないものである必要があると考えます。消費税は、これらの特徴を有することから、高齢化社会における社会保障の安定財源として適切であると考えております。
 続いて、中間層に対する対策についてのお尋ねがございました。
 今回の一体改革においては、社会保障の安定財源を勤労世代に集中させることなく国民の皆様に幅広く御負担いただくとともに、社会保障の充実策として、保育の量的拡充、質の改善等による子育て世帯に対する支援や、働く希望を持つ全ての人に対する就労促進策の強化、短時間労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用拡大などを盛り込んでおり、勤労世代を中心にいわゆる中間層の方々にも配慮した施策を講ずることとなっております。
 最後に、一体改革と若年世代についてのお尋ねがございました。
 急速な少子高齢化や経済成長の停滞など、社会経済状況が大きく変化する中で、若い世代から将来に対する不安の声があることは私も実感をしています。こうした状況の中で、社会保障制度については、従来のような、給付は高齢者に、負担は現役世代にという仕組みのままではいられず、給付、負担両面で世代間の公平を確保することで、私たちの世代の責任として若者に安心のメッセージを発することが必要であります。
 このため、今回の一体改革において、給付面では子ども・子育て支援や若者の就職支援を充実させるなど、人生前半の社会保障を手厚くし、全世代型の社会保障制度へと転換することとしています。また、負担面では、先ほども申し上げましたとおり、保険料や所得税など、若者を始めとする勤労世代など特定の者への負担が集中しないものとするとともに、国債発行により社会保障関係費の相当部分を将来世代の負担にツケ回ししている現状を改善することとしています。
 こうした改革により、高齢化が一層進んだ社会においても、現役世代の方々にもメリットを感じていただけて、納得感のある社会保障制度を実現をすることとなると考えております。(拍手)
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発言情報

speech_id: 118015254X02020120713_027

発言者: 野田佳彦

speaker_id: 5804

日付: 2012-07-13

院: 参議院

会議名: 本会議