野田佳彦の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党を代表しての仙谷議員の御質問にお答えをしてまいります。
まずは、予算と特例公債を一体処理するルールづくりに関する御質問をいただきました。
現下の厳しい財政事情にあっては、いかなる政権であっても、特例公債なしで今の財政を運営することはできません。ねじれ国会の制約があっても、国家国民のため、政策本位で論戦を闘わせ、やらなければならないことにきちんと結論を出すことが政治の使命であり、そのための最大の試金石と考えられるのが特例公債法案であると考えております。
先般の私の提案は、毎年の特例公債法案を政治的駆け引きの材料にしてしまう悪弊を断ち切るものであり、与野党間で胸襟を開いて議論を進め、解決策を見出さなければならないと考えております。
次に、一票の格差是正と、後段で定数削減の御質問もありましたので、あわせてお答えをさせていただきたいというふうに思います。
選挙制度に関しては、国会において各党各会派で議論、成案を得るべき事項ではありますが、違憲、違法の状態にある一票の格差是正は喫緊の課題であり、また一方、議員、政治家の身を切るという意味で、定数削減も国民の強い要請と認識をしております。
この二つの課題のいずれもがさきの国会で成案を得ることができなかったことはまことに残念であり、今臨時国会において法改正が実現することを強く期待しております。党利党略を超えて、違憲、違法状態からの脱却が最優先課題であることは言うまでもありませんが、政治改革の推進という国民の要請にいかに応えるか、各党が真剣に議論し、今臨時国会で結論を得ていただくよう、切にお願いをいたします。
続いて、子ども・被災者支援法の基本方針についてのお尋ねがございました。
福島の再生なくして日本の再生はありません。原発事故で被災した子供を初めとする住民の生活を守り支えていくことは、大変重要な課題であります。
政府としては、子ども・被災者支援法に基づき、現在、避難者支援、住宅支援、健康管理調査などについて、具体的な対象地域や施策を含む基本方針の策定や必要な予算の確保に向け、検討を行っているところであります。
今後、民主党の中に設けられた子ども・被災者支援ワーキングチームと密接に連携しつつ、真に支援を必要とされる方に適切な支援が行われることとなるよう、積極的に検討をしてまいります。
続いて、エネルギー政策についてのお尋ねがございました。
原発に依存しない社会の実現に向けて、これまでの原発推進政策を大きく転換し、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとした革新的エネルギー・環境戦略を踏まえて、エネルギー政策を遂行してまいります。
また、こうした政策転換を可能とするためにも、グリーン政策大綱を年末までに策定し、日本から世界へと広がるグリーンエネルギー革命を思い切って加速させます。
電力システム改革については、需要家による電力供給元の選択の自由を確保すること、送配電網を広域的かつ公平中立に使えるようにすることなどを通じ、競争的で国民に開かれた電力システムを構築し、低廉で安定的な電力供給を実現してまいります。
現下の経済情勢を踏まえ、切れ目ない政策対応を行うため、経済対策の第一弾として、先般、日本再生戦略におけるグリーン、ライフ、農林漁業の重点三分野を初めとする施策の前倒しなど、緊要性の高い施策について、予備費の使用を決定いたしました。
徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの導入拡大は、グリーンエネルギー革命の柱であり、七月にスタートした固定価格買い取り制度の着実な運用や、今回予備費で措置した家庭用燃料電池の導入支援など、あらゆる政策資源を投入して取り組んでまいります。
次に、医療イノベーションの推進についてのお尋ねがございました。
政府は、医療イノベーションの実現に官民挙げて強力に取り組むため、平成二十二年十一月に医療イノベーション会議の開催を決定し、翌年一月に医療イノベーション推進室を設置しました。
医療イノベーション会議は、本年六月、医療イノベーション五カ年戦略を取りまとめ、その内容は日本再生戦略に盛り込み、七月に閣議決定しました。
これらを踏まえ、政府といたしましては、革新的な医薬品や医療機器の創出、再生医療や個別化医療の実現に向けた施策を一体的に推進しております。
具体的には、医療イノベーション推進室を中心として、来年度予算の概算要求段階から、府省の垣根を越えた横串調整を実施しております。
また、薬事法につきましては、医療機器の特性を踏まえた制度改正について、次期通常国会に改正法案を提出することを目指して取り組んでいるところであります。
続いて、経済外交についてのお尋ねがございました。
アジア太平洋地域を初めとするグローバル需要の取り込みは、我が国が経済成長を維持し、そして増進をしていくためにも不可欠でございます。
このため、ことし七月に作成した日本再生戦略にあるとおり、幅広い国々と戦略的かつ多角的に経済連携を進めるとともに、円高メリットを活用した海外MアンドAの促進などの施策を推進していきます。
また、日本の技術や豊富な経験、ノウハウを集約し、官民連携によるインフラ分野での海外展開を推進していきます。
昨年十一月の日・ASEAN首脳会議やことし四月の日・メコン地域諸国首脳会議では、主要なインフラ案件リストを提示いたしました。
インドネシアでは高効率石炭火力発電所の整備、ベトナムではハノイの外港の港湾開発、インドではデリーとムンバイを結ぶ貨物専用鉄道の建設、ミャンマーではティラワ地区を含むヤンゴン大都市圏のインフラ整備など、ASEAN諸国を中心に、精力的にインフラ整備と関係システムの輸出に取り組んでいるところであります。
次に、国民会議の早期の立ち上げについての御質問をいただきました。
さきの国会では、チルドレンファーストの理念に立脚した子ども・子育て支援の拡充や、現行の年金制度の改善といった社会保障改革と、その安定した財源を確保するための税制改革を内容とする一体改革関連法が成立しました。しかしながら、いまだ道半ばであり、今後とも、公党間の約束である三党合意を基礎に、社会保障の残された課題について、さらに議論を進める必要があります。
国民会議は来年八月二十一日までの期限となっており、既にカウントダウンは始まっています。
このため、まずは速やかに会議を立ち上げて議論を始めることが、議員御指摘のとおり、与野党問わず政治の責任であり、政府の責任であると考えますので、引き続き、御協力を呼びかけていきたいと思います。
次に、民主党政権の雇用対策についてのお尋ねがございました。
分厚い中間層を復活させるためには、高齢者、女性、若者、障害者、全てを念頭に全員参加型社会を目指すとともに、ディーセントワークを実現しなければなりません。
二〇〇九年の政権交代以降、これまで、求職者の訓練機会を確保するための求職者支援制度を創設し、第二のセーフティーネットとするとともに、医療、介護といった成長分野での雇用創出や人材育成を進めるなど、累次の雇用対策を講じてきたところであります。
また、東日本大震災の発生を受け、産業政策と一体となって雇用を創出するなど、「日本はひとつ」しごとプロジェクトとして、被災地の雇用情勢に応じた対策に取り組んでまいりました。
さらに、少子高齢化が進み、非正規雇用の労働者が全労働者の三分の一を超える中で、さきの国会では、労働者派遣法、労働契約法、高年齢者雇用安定法をそれぞれ改正し、働く人を一層元気にする仕組みができつつあります。
今後は、日本再生戦略に基づき、分厚い中間層の復活という社会ビジョンの実現に向けて、若者雇用対策など、さらに力を入れてまいります。
続いて、消費者行政についてのお尋ねがございました。
消費者が安心して暮らせる社会の構築は、日本経済の六割を占める個人消費の回復の重要な前提でもあり、野田内閣として重要な課題であります。
このため、本年七月に消費者政策会議を開催し、食品と放射能に関するコミュニケーションの強化と高齢者の消費者トラブル防止のための消費者安心アクションプランを策定いたしました。特に、食品の安全と放射性物質に関して消費者の皆様に御理解を深めていただくことによって、全国民が消費者として福島を応援していくことが可能となります。
今後は、誰でも、どこに住んでいても、トラブルに遭った際に十分相談を受けられる体制の整備が重要であり、引き続き、地方自治体の取り組みをしっかりと支援してまいります。
続いて、民主党政権が推進してきた新しい公共の取り組みと成果についてのお尋ねがございました。
政権交代以降、全ての人に居場所と出番のある社会をつくるため、新しい公共の推進に逐次取り組んでおります。
具体的には、認定NPO法人の要件を緩和するとともに、認定事務の迅速化を図りました。
とりわけ、認定NPO法人等への寄附については、平成二十三年分所得から、所得税の税額控除を導入し、住民税の税額控除の適用下限額を引き下げるといった優遇税制を抜本的に拡充しました。これにより、新しい公共の担い手を支援するだけではなく、我が国における草の根での寄附文化の発展を促していきます。
この結果、二十一年度以降三年間で、認定NPO法人数は、百七から二百七十六法人に約二・五倍に増加をしておりますが、引き続き、拡充された寄附税制の活用促進などに取り組み、新しい公共の広がりを後押ししてまいります。
続いて、いじめや児童虐待の問題への取り組みについてのお尋ねがございました。
御指摘のように、いじめや児童虐待は、子供の心や体に大きな傷を残すばかりか、その生命をも脅かす深刻な問題であります。
このため、いじめについては、早期発見、早期対応を基本に、学校や教育委員会、家庭、地域も含めた社会全体が一体となって取り組む必要があり、政府としても、学校における指導の充実、相談体制の整備などに努めているところであります。
また、児童虐待については、発生予防から早期発見、早期対応、子供の適切な保護と自立支援、保護者の指導といった切れ目ない対策を進めるため、子育て支援事業の推進、児童相談所、市町村の体制強化や社会的養護体制の整備などを進めています。
なお、十一月は、児童虐待防止推進月間であります。さまざまな機会を活用して、虐待の防止に向けた広報啓発にも努めてまいります。
政府としては、次代を担う大切な子供一人一人の身体、生命の安全を守るため、今後とも、関係機関の連携を強めて、いじめや児童虐待の対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
続いて、首脳レベルでの信頼関係の構築を初めとする外交方針についてのお尋ねがございました。
我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中で、周辺諸国と安定した関係を取り結ぶことは、我が国の平和と繁栄を守り、国益を増進する外交を進めていく上でも極めて重要であります。各国首脳との個人的な信頼関係を構築し、忌憚のない意見交換を重ねていくことは、そうした取り組みを下支えする重要な要素の一つと考えます。
このような考え方に立って、私は、総理大臣に就任以来、十四回の外国訪問の機会などを通じ、中国、韓国も含め、積極的な首脳外交を進めてまいりました。
同時に、外交は、幅広い国民の参加があってこそ、具体的な成果を上げることができるものと考えます。政府間の協議や交渉に加えて、議員交流や民間の有識者の力を活用したセカンドトラックによる相互理解の促進や信頼醸成も重要な役割を果たしています。
今後とも、こうした重層的な取り組みを続けていく中で、私自身も最大限努力してまいります。特に、御指摘のあった中国や韓国との間でも、大局観を持って、さまざまなレベルでの信頼関係の構築に努めてまいります。
続いて、国を守る覚悟と具体的な施策についてのお尋ねがございました。
我が国をめぐる安全保障環境はかつてなく厳しさを増す中、政府としては、今私が財務大臣当時という御指摘ございましたが、仙谷官房長官当時でもございましたけれども、防衛大綱に基づき、動的防衛力の考え方のもと、南西地域も含め、周辺海空域の安全確保や島嶼部における対応能力の充実などを図る防衛力の整備を進めております。
さらに、本年夏以降の我が国の領海警備に関する情勢変化に鑑み、領海侵入等の事案に適切に対応するため、平成二十五年度概算要求に盛り込んでいた海上保安庁の巡視船艇七隻を平成二十四年度予備費によって緊急に整備するなど、周辺海域の警備体制の強化に努めております。
このような施策を通じ、政府としては、我が国の平和と安全を守り、領土、領海を守るという国家としての当然の責務を不退転の決意で果たす所存であります。
また、現在、政権交代前と比べて約十四倍の要員を国連PKOに派遣するなど、国際平和協力活動にも積極的に取り組んできており、外交面の努力とあわせて、国際的な安全保障環境の改善にも力を注いでおります。
続いて、行政改革の取り組みに関する御質問をいただきました。
行政改革は、政権の重要課題であり、これまで不退転の覚悟で取り組んでまいりました。
特別会計改革については、区分経理の必要性が乏しくなった特会について、一般会計化や業務そのものの廃止などにより、会計の大幅な減少と勘定数の半減などの改革を行うこととしており、関連法案を前国会に提出しております。
独立行政法人改革については、現行の制度、組織の抜本的な見直しを閣議決定し、前国会に関連法案を提出したほか、大胆な統廃合により、法人数を四割弱削減することとしております。また、御指摘のとおり、行政改革を推進する上でも情報公開は重要であり、昨年の通常国会に提出された情報公開制度の充実を図る改正法案について、引き続き、審議をお願いしているところであります。
政府としては、これら改革関連法案の早期成立を期するとともに、引き続き、不断に行政改革を推進してまいります。
次に、野田内閣、民主党の立ち位置と進む道についてお尋ねがございました。
仙谷議員が御指摘のとおり、確かに、民主党は、結党以来、民主中道を掲げ、改革路線に邁進してきたと認識をしています。そして、今日において立ち位置が、改革志向の民主中道にあるべきとの議員の御主張にも共鳴をいたします。それは、私なりの言葉で言えば、所信において表明した、中庸の姿勢であすへの責任を果たすということであると考えます。
議員が述べられた経済、社会保障、外交の基本姿勢は、その一つ一つを申し上げませんが、まさに野田内閣が目指し、これからも追求する政策理念と同路線であると考えております。
今を生きる人にあしたの安心をもたらし、未来を生きる人に向けてあすへの責任を果たす。それは、極論を排し、現実と課題を冷静かつ客観的に見据え、明確な目標に向かって改革を一歩一歩着実に進めることであります。
立ち位置と進むべき道との御質問ですが、まさに、行き過ぎず、偏らず、改革のど真ん中の道を着実に進むことであると考えております。そのために、今と未来に誠実でありたい、そう決意をしているところであります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣城島光力君登壇〕