野田佳彦の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 東祥三議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、所信表明で申し上げた、あしたの安心、あすへの責任についての御質問をいただきました。
 御指摘のように、私は、先日の所信表明において、今を生きる私たちにあしたの安心をもたらし、未来に生きる者たちに向けたあすへの責任を果たすことを訴えました。
 その具体的な内容として、被災地の復興と福島の再生、日本経済の再生、社会保障、外交などについて所信を申し上げ、また、臨時国会で処理するべき喫緊の課題解決への御協力をお願いいたしました。
 私の所信に対する東議員の御感想は謹んで承りましたが、きょうの責任を果たし、あしたの不安を解消するためにも、内閣はもちろんのこと、国会は、目の前の課題に向き合い、国民のために解決しなければなりません。
 ぜひとも、各党、各議員の皆様の御協力を得て、国民に対する責任を果たしていきたいと考えております。
 続いて、エネルギー・環境政策が合わせるべき現実についての質問がございました。
 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故は、これまでのエネルギー政策のあり方に大きな疑問を投げかけ、その抜本的な変革を求めるものでありました。
 まず何より、事故を経験し、国民の多くが原発に依存しない社会の実現を望むようになりました。一方で、その実現に向けたスピード感については意見が分かれています。
 また、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの導入拡大を図るグリーンエネルギー革命に対し、かつてなく期待が高まっております。しかしながら、当面、火力発電に頼らざるを得ない状況にあることから、化石燃料等の安定的かつ安価な供給確保が重要となっております。
 さらに、電力システムについては、分割された区域ごとに需給を調整したり、需要に応じて幾らでも供給するというこれまでの仕組みの限界が明らかになりました。全国規模で電力需給を最適化するとともに、需要抑制で需給を調整するといった新しい電力システムが求められております。
 このような現実を踏まえ、先般、革新的エネルギー・環境戦略を決定した次第であります。
 続いて、エネルギー政策見直しの基礎となる反省についての御質問をいただきました。
 エネルギー政策の見直しに当たって、政府は、戦略策定に向けた中間整理を取りまとめた際に、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、浮き彫りになった課題を挙げました。
 具体的には、我が国のエネルギー構造がリスクに対して脆弱であることや、大規模集中を旨とした電力システムの有効性等をこれまで所与の前提としてきたことなどを挙げています。
 また、国会事故調や政府事故調からも指摘されているとおり、複合災害という視点が欠如していたことや規制組織の独立性が十分でなかったことも、反省すべき点として挙げられます。
 これらの反省を踏まえ、本年九月には、革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめたほか、原子力規制委員会を新たに設置し、原子力安全規制の抜本的な見直しが進められているところであります。
 なお、原子力発電については、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する過程において、安全性が確認された原発はこれを重要電源として活用することとしており、原発の存在そのものを否定するものではありません。
 次に、エネルギー・環境戦略と閣議決定についてのお尋ねがございました。
 原発に依存しない社会を一日でも早く実現してほしいという多くの国民の声を踏まえ、エネルギー・環境会議において、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとの方針を示した革新的エネルギー・環境戦略を決定いたしました。これは、政府として決めた、ぶれない基本的な方針です。九月十九日には、今後の政策の具体化のプロセスを含め、こうした方針を政府として閣議決定いたしました。
 革新的エネルギー・環境戦略については、御指摘のような参考文書にとどまるものではなく、その方針がしっかりと閣議決定なされている、このように御理解をいただきたいというふうに思います。
 次に、エネルギー・環境戦略についてのお尋ねがありました。
 原発に依存しない社会の実現に向けた道筋は、必ずしも一本道ではなく、長い道のりでもあります。我が国のエネルギー構成に影響を与える内外の情勢を将来にわたって正確に見通すことは極めて困難であるとの現実を踏まえると、こうした道筋に関しても、国際的なエネルギー情勢や、国民生活、経済活動に与える影響などを常に注視しながら、検証を行い、不断に見直しをしていく必要があります。
 また、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするとは、一日も早く原発に依存しない社会を実現するため、あらゆる政策資源を投入するという考え方を示したものであり、御指摘の、稼働ゼロが可能になっても稼働させたままもあり得るという意味ではありません。
 続いて、高効率な発電や電力システム改革についてのお尋ねがございました。
 火力発電の中でもCO2排出量が少ないLNG火力は、ベース電源として引き続き重要な役割を果たす高効率な石炭火力とともに重要な電源であり、導入を促進してまいります。
 御指摘のあった電力系統の強化や安定化は、革新的エネルギー・環境戦略のグリーンエネルギー革命の実現のための具体的な取り組みとして例示をしたものであります。
 同時に、エネルギー需給の仕組みを抜本的に改める電力システム改革も不可欠であり、小売の全面自由化による地域独占の撤廃や発送電の分離により、国民に開かれた電力システムを実現するため、改革を断行してまいります。
 脱原発基本法案についてのお尋ねがございました。
 革新的エネルギー・環境戦略では、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、グリーンエネルギー拡大等に向けてあらゆる政策資源を投入することとしました。
 この戦略は、一日も早く原発に依存しない社会を目指しながら、再生可能エネルギーの導入と省エネルギーの推進のために現実的に必要な時間を勘案し、また、その間の国民生活や産業への負担を可能な限り抑制するという観点を踏まえて示したものであります。
 これに対して、脱原発基本法案では、基本理念として、遅くとも二〇二五年までのできる限り早い三月十一日までに脱原発を実現することが掲げられておりますが、現実的には、十分な時間が必要ではないのかと考えております。
 また、エネルギー情勢の変化を踏まえれば、政策の不断の検証と見直しを行うことが必要であり、いかなる変化が生じても柔軟に対応できるようにすることが、我が国のエネルギー政策を進めていく上で重要であると考えております。
 次に、日本経済の先行きと消費税率の引き上げについてのお尋ねがございました。
 日本経済の先行きについては、世界景気の減速等を背景として、当面は弱目の動きが続くと見込まれますが、その後、復興施策の着実な推進等が景気を下支えする中で、来年にかけて海外経済の状況が改善するにつれ、景気回復に向かうことが期待をされます。
 ただし、対外経済環境をめぐる不確実性は高いと考えられることから、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動等のリスクに注意しつつ、内外の経済動向を注意してまいります。
 その上で、消費税率引き上げの実施については、経済状況の好転について、種々の経済指標を確認し、諸要素を総合的に勘案した上で、最終的にはそのときの内閣が判断するものと考えております。
 社会保障と税の一体改革は待ったなしの課題であり、しっかりと前に進めてまいりますが、同時に、野田内閣の最重要課題である日本経済の再生に向け、日本再生戦略を具体的に実行に移すなど、全力で取り組んでまいります。
 次に、予備費の使用決定と経済対策についてのお尋ねがございました。
 十月二十六日に閣議決定した経済危機対応・地域活性化予備費等の使用については、現下の経済情勢を踏まえ、切れ目ない政策対応を行うため、経済対策の第一弾として、今後需要や雇用の伸びが期待される分野における先導的な事業を後押しするものや、早期に需要、雇用の創出が見込まれるものについて、緊要性の高い施策を予備費により措置したものであり、実質GDPを押し上げる効果は〇・一%強と見込んでおります。
 これに引き続き、デフレからの早期脱却と経済活性化に向け、さらに切れ目のない政策対応を講じるため、遅くとも来月中をめどに経済対策を決定し、速やかに実施に移すこととしております。
 なお、御指摘の領海警備を強化するための予算百七十億円については、本年夏以降の我が国の領海警備に関する情勢の変化に鑑み、領海侵入等の事案に適切に対応するため、予備費の使用により海上保安庁の船艇や航空機等を緊急に整備することとしたものであり、何もこれはこそくな手段ではありません。
 続いて、景気を下支えするための補正予算についてのお尋ねがございました。
 我が国の景気下押しリスクに対応し、デフレからの早期脱却と経済活性化に向けた取り組みを加速させることは喫緊の課題であると考えております。
 このため、日本再生戦略の施策の前倒し、東日本大震災からの早期の復旧復興及び大規模災害に備えた防災・減災対策、規制改革や民間の融資、出資の促進策などを柱立てとする経済対策を遅くとも来月中をめどとして決定し、速やかに実施に移すこととしております。
 その上で、補正予算の編成については、年金特例公債に係る当初予算の補正を含めて年度内にいずれにせよ行う必要がありますが、その時期や具体的内容、規模については、特例公債法案の審議状況や経済対策の内容を踏まえた上で、財源を含めて検討してまいります。
 続いて、経済再生のための税財政政策に関する御質問をいただきました。
 過去の例を踏まえれば、財政出動の効果に過度の期待を寄せることについては慎重であるべきであり、また、極めて厳しい我が国の財政状況のもとで、仮に、財政健全化目標を放棄し、公債発行への依存をさらに拡大すれば、市場や国際社会の信認維持が困難になりかねません。
 加えて、我が国の財政状況のもとでは、経済成長による増収等を期待するのみでは、財政の持続可能性を確保することは困難であります。
 このため、社会保障と税の一体改革を前に進めていかなければなりません。財政規律を守る国であることを行動で示すことが、財政に対する市場の信認を確保し、安定的な経済成長を実現する基礎となると考えております。
 あわせて、内閣の最重要課題である日本経済の再生に向け、日本再生戦略を具体的に実行に移すなど、全力で取り組んでまいります。
 次に、復興予算の流用問題についてのお尋ねがございました。
 復興事業は、全国防災事業等を含め、与野党協議を経て議員立法で制定された復興基本法及び復興構想会議の提言を踏まえ、与党プロセスを経て、全閣僚を構成員とする東日本大震災復興対策本部で決定された復興基本方針に沿って実施しているものであり、当時、防災の副大臣であられたので、事情はよく御存じではないかと思いますが、官僚任せとの御批判は当たらないものと考えております。
 ただし、個別の事業につきましては、種々の御指摘、御批判を受けていることも事実であり、被災地の復興に最優先で使ってほしいという声に真摯に耳を傾けなければなりません。
 被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外については厳しく絞り込んでいくという方針のもと、外部有識者も参加する新仕分けも活用しつつ、政治のリーダーシップのもとで平成二十五年度予算編成に当たってまいりたいと考えております。
 次に、特例公債法案における年金特例公債の規定に関する御質問をいただきました。
 社会保障のための安定財源である消費税率の引き上げを行うためにも経済の再生に全力を尽くしてまいりますが、年金財政の安定のためには、消費税率引き上げにより財源が確保されるまでの間も、基礎年金国庫負担割合を二分の一とする必要があります。
 一方で、その財源を赤字国債に依存し、将来世代に負担の先送りをすることはできません。
 このため、さきの通常国会における野党の御提案も踏まえ、消費税率引き上げ分を償還財源とする年金特例公債を発行することとし、特例公債法案に所要の規定を整備しているものであります。
 続いて、地域主権改革についてのお尋ねがありました。
 地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民みずからが責任を持って決められるようにするための重要な改革であり、これまで着実にその推進に取り組んでまいりました。
 これにより、国と地方の関係を、上下の関係から対等なパートナーシップの関係へ転換させてまいりました。
 具体的には、義務づけ、枠づけの見直しにより、道路の構造や公営住宅の入居基準等について、地域の特色を生かした基準を定める条例が全国各地で制定されてきています。また、地域自主戦略交付金の創設により、地方が、府省の枠を超えて、対象事業から自由に事業を選択できるようになりました。
 このように、住民がより地域の実情に応じた行政サービスを受けることが可能となるよう、今後とも、私が議長を務める地域主権戦略会議を中心に、改革を着実に推進してまいります。
 最後に、被災地主導で復興を進めるべきことに関する御質問がありました。
 復興庁の本庁は、各府省に対する総合調整を強力に行うため東京に置きましたが、他方、被災地に三復興局、六支所、二事務所を設置し、被災地のニーズにワンストップで対応するとともに、地域が主体となった復興を強力に支援するため、復興交付金や復興特区の制度を積極的に活用しております。
 また、各府省に対する総合調整機能を有し、復興事業予算を一括計上している復興庁が中心となって、各府省の縦割りを排し、被災地に寄り添いながら復興への取り組みを進めてきたところであります。
 一方で、政府の取り組みについてさまざまな指摘や批判が寄せられているのも事実であります。
 こうした声に真摯に耳を傾け、改善すべきは改善しながら、復興の加速に政府一丸となって取り組むとともに、先ほど申し上げたとおり、復興予算については、被災地が真に必要とする予算をしっかりと手当てしつつ、それ以外は厳しく絞り込んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣枝野幸男君登壇〕

発言情報

speech_id: 118105254X00220121031_020

発言者: 野田佳彦

speaker_id: 5804

日付: 2012-10-31

院: 衆議院

会議名: 本会議