志位和夫の発言 (本会議)
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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問します。(拍手)
野田内閣が、消費税大増税を初め国政のあらゆる問題で、民意に背き、公約を裏切ってきた責任は極めて重大であり、不信任に値します。参議院での問責決議可決という事態を重く受けとめるべきであります。
日本共産党は、国政の基本問題について、国民の前で議論し、争点を明確にした上で、速やかな解散・総選挙で国民の審判を仰ぐことを強く要求するものです。そうした立場から、以下、質問を行います。
まず、東日本大震災からの復興問題についてです。
震災復興を口実として、被災地と関係ない事業に復興予算が流用されていることが明らかとなり、国民の厳しい批判が広がっています。国内立地補助金の名目で、被災地とは関係のないトヨタ、キヤノン、三菱電機、京セラ、東芝など大企業が、二千三百五十六億円もの補助金を復興予算から受け取っています。
その一方で、被災地の中小企業の再建を支援するグループ補助金は、申請した事業者の六割がふるい落とされています。国が医療、介護の負担減免措置を九月末で打ち切ったことも、大問題になっています。
国民に、被災地復興のためと言って、二十五年間にわたる所得税、住民税の増税を求めておきながら、被災地と関係ない大企業に莫大な補助金をばらまき、被災地が切実に求めている施策を切り捨てる。総理、これは余りに理不尽だと考えませんか。
なぜこのような流用がまかり通るのか。
その大もとには、昨年六月に復興基本法が制定されたときに、民主、自民、公明三党の談合で法案が書きかえられ、被災地域の復興という当初案を東日本大震災からの復興と書きかえて、被災地域という限定を外した上で、当初案になかった活力ある日本の再生という文言を目的に追加したという問題があります。これを受けて、十一月に編成された第三次補正予算で、国内立地補助金を初め、被災地と関係ない予算が多数計上されたのであります。
復興予算の流用の第一の責任が政府にあることは明らかですが、一体になって進めた自民党、公明党などにも厳しい反省が求められます。
政府は、国民の強い批判を真摯に受けとめ、復興予算の流用を直ちにストップすべきです。そして、この流用の大もととなった復興基本法を改めるべきであります。
さらに、個人財産の形成になるなどといって住宅、商店、工場、医療機関などの復旧を支援しないという態度を根本から改め、住宅となりわいの再建に必要な公的支援を行うことを復興の基本原則に据えることを強く求めます。総理の答弁を求めます。
次に、消費税大増税と日本経済について質問します。
増税法案が強行されましたが、国民との矛盾はいよいよ深刻になっています。
九月、国税庁が発表した二〇一一年の民間平均給与は、ピークだった一九九七年と比較して、年間五十八万円、一二%も落ち込みました。国民の所得が減り、消費が落ち込み、内需が冷え込むデフレ不況の悪循環が進行しています。消費税は中小企業にとってもともと過酷な税制ですが、デフレ下で、価格への転嫁は一層困難になっています。
こんな大不況のもとで消費税大増税を強行したらどうなるか。
八月に発表された帝国データバンクの調査では、税率引き上げ後に国内消費が縮小すると考えている企業は、何と九割近くに上っています。
総理は、日本経済への甚大な打撃をどう認識しているのですか。大不況のさなかの大増税など論外であり、実施を中止すべきではありませんか。答弁を求めます。
電機情報産業の大企業、パナソニック、ソニー、NEC、IBMなどが十三万人もの首切り、リストラを強行しようとしていることは極めて重大です。
この大リストラは、繰り返しの面談による退職強要によって強行されています。
NECでは、一人の労働者に十一回も面談し、退職を強要したという訴えが寄せられました。会話が外に漏れないように通気口を鉄板で塞いだ面談室で、繰り返し繰り返し退職を迫りました。疲れ果てた男性は病気になりましたが、退職強要は続きました。十一回目の面談で、上役に、残れると思う、残れないよと追い詰められた男性は、思わず涙があふれ、病気にまでさせておいて、さらに追い打ちをかけるんですか、もう自殺するしかないと叫んだとのことであります。
労働者をここまで追い詰める退職強要が横行しているのであります。繰り返しの面談による退職強要は違法行為です。
総理、直ちに違法行為の実態をつかみ、それを根絶するために断固たる措置をとるべきではありませんか。
日本IBMでは、ある日突然、正当な理由なく解雇を通告し、そのまま労働者を職場から締め出すロックアウト解雇というやり方がとられています。
ある男性の労働者は、ある日、終業時刻のわずか十五分前に人事担当者からいきなり解雇通告が読み上げられ、きょうの終業時刻までに私物をまとめて帰れ、あすからは出社禁止だと告げられ、同僚がまだ仕事を続ける中、上司の監視を受けながら私物の整理をさせられ、それ以来、一歩も職場に入れない状態となりました。解雇通知書には業績不良が理由として書かれていましたが、その根拠を会社に求めても、何の説明もされていません。
労働者に考えるいとまさえ与えず、有無を言わさず解雇に追い込む。これは、明らかに解雇権の濫用であり、絶対に認められるものではありません。
総理は、このような非道な解雇が許されると考えますか。生きた人間を人間扱いせず、力ずくで解雇に追い込む。このような恐るべき無法の横行を放置していて、日本経済の再生などはあり得ないと考えますが、いかがですか。
電機情報産業の大企業の内部留保は二十六兆円にも及びます。
雇用や地域経済に責任を負わない身勝手なリストラに際しては、政府が乗り出して、リストラをやめさせ、企業に社会的責任を果たさせる。これは、ヨーロッパでは当たり前に行われていることです。政府は、そうした姿勢で臨むべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
日本共産党は、二月に経済提言を発表し、消費税増税に反対するとともに、消費税に頼らない別の道があることを提案しています。
一つは、無駄遣いの一掃と、応能負担の原則、負担能力に応じた負担の原則に立った税制改革を進めることです。
行き過ぎた富裕層減税のために、所得一億円を超えますと所得税の負担率が下がるという逆転現象が生じています。行き過ぎた大企業優遇税制のために、法人税の実質負担率が、中小企業が二六%に対して大企業が一九%という逆転現象が生じています。
これらの異常な不公平税制を正し、まず、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を行うべきだと考えますが、いかがですか。
二つは、国民の所得をふやす経済政策への転換です。
大企業にため込まれている二百六十兆円に及ぶ内部留保を、賃上げ、非正規社員の正社員化、中小企業への適正な単価の保障などによって、社会に還元するための社会的ルールをつくるべきです。それは、日本経済を内需主導の健全な成長の軌道に乗せ、税金の自然増収をもたらし、社会保障充実と財政危機打開の道を開くものともなるでしょう。
我が党の経済提言についての総理の見解を問うものであります。
次に、原発問題について質問します。
この間、原発ゼロの日本を願う世論と運動が広がり、政府も、過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいると認めざるを得なくなりました。
ところが、政府は、原発の再稼働を推進し、青森県大間原発の建設を再開し、使用済み核燃料の再処理を続けるとしています。二〇三〇年代に稼働原発ゼロを可能にするという極めて不十分な方針すら、日本経団連やアメリカに批判されると、閣議決定を見送りました。
結局、政府の姿勢は、口先では原発ゼロと言いながら、原発推進政策を続けるというものではありませんか。
日本共産党は、九月、「「即時原発ゼロ」の実現を」と題する提言を発表し、総理に届けました。
これは、福島原発事故の被害が拡大し続けていること、原発稼働を続ける限り、処理方法のない核のごみがふえ続けること、原発再稼働の条件も必要性も存在しないこと、政府が行ったパブリックコメントでも八割が即時原発ゼロを求めたことなどを踏まえ、全ての原発から直ちに撤退する政治決断を行い、即時原発ゼロの実現を図ることを提起したものであります。
さらに、提言では、政府が無責任な収束宣言を撤回し、福島の被災者支援と復興に総力を挙げて取り組むことを提起しています。
総理に、我が党の提言についての見解を問うものです。
即時原発ゼロは可能です。
政府は、電力不足になるというおどしで大飯原発の再稼働を強行しましたが、関西電力は、再稼働をしなくても猛暑の夏を乗り切れたことを認めたではありませんか。政府は、原発ゼロで電力料金が二倍になるなどとおどしていますが、政府が根拠とした試算でさえ、原発ゼロでも、全原発を稼働させても、電気料金はほとんど変わらないという結果が出ているではありませんか。
再生可能エネルギーの導入可能量は、全原発の発電能力の約四十倍であり、この大きな可能性を現実にする本格的取り組みを開始すべきです。そのためにも、原発への未練をきっぱり断ち切り、即時原発ゼロの政治決断を行うことを強く求めるものです。総理の見解を求めます。
尖閣諸島をめぐって、日中の緊張と対立が深刻になっています。
私は、九月、「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」と題する提言を発表し、日本政府及び中国政府に我が党の立場を提起しました。
日本共産党は、尖閣諸島について、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であるという突っ込んだ見解を明らかにしています。
第一に、日本は、一八九五年一月に尖閣諸島の領有を宣言しましたが、これは、無主の地の先占、持ち主のない土地を先に占有するという、国際法上全く正当な行為でありました。
第二に、中国側は尖閣諸島の領有権を主張していますが、その最大の問題点は、中国が、一八九五年から一九七〇年までの七十五年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議も行っていないということにあります。
第三に、尖閣諸島に関する中国側の主張の中心点は、日本が日清戦争に乗じてかすめ取ったというものです。
しかし、日清戦争によって日本が不当に奪取したのは台湾とその附属島嶼及び澎湖列島であり、尖閣諸島はその中に含まれておらず、中国側の主張は成り立ちません。日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による台湾、澎湖の割譲という侵略主義、領土拡張主義とは性格が全く異なる、正当な行為でありました。
まず、以上の諸点について、政府の見解を問うものです。
問題は、歴代日本政府が、中国政府に対して、日本の領有の正当性について、理を尽くして説いたことがただの一度もないということです。
一九七二年の日中国交正常化、七八年の日中平和友好条約締結の際に、日本政府は、尖閣諸島の領有問題について、事実上棚上げにするという立場をとりました。これは、だらしのない外交態度だったと言わなければなりません。
にもかかわらず、その後、日本政府は、領土問題は存在しないという立場だけをかたくなに繰り返してきました。そのことによって、日本は、中国に対して領有の正当性の主張もできず、中国の非難に対して、反論もできない、主張も反論もできないという自縄自縛に陥ってきました。そのことは、先日の党首会談で、総理も、これまで思考停止になっていたことは反省しなければならないと認めたとおりであります。
私は、領土問題は存在しないという立場を改め、領土にかかわる紛争問題が存在しているということを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決を図る立場に立つことを提起するものであります。この提案は、尖閣問題での、外交不在から外交攻勢に転じることを求めるものであります。
同時に、物理的対応の強化や軍事的対応論は、理性的な解決の道を閉ざす危険な道であり、日中双方が厳しく自制することが必要であります。冷静な外交交渉による解決に徹する必要があります。
さらに、尖閣問題で日本が領有の正当性を説得力を持って主張するためには、過去の侵略戦争に対する真剣な反省が不可欠です。
総理は、日清戦争に始まる五十年戦争が、領土拡張を目的とした侵略戦争であったことを認めますか。それを認めてこそ、台湾、澎湖のように侵略で不当に奪取した領域と、尖閣のように正当な手続で領有した領土とをはっきり区別し、日本の領有の正当性を堂々と主張することができるということを私は強調したいのであります。
以上の諸点について、総理の見解を求めます。
最後に、こんなアメリカ言いなりの政治でいいのかと多くの国民が感じている二つの問題について質問します。
一つは、TPP参加問題です。
この問題について、総理は、所信表明演説で、守るべきものは守りながら推進すると言われました。
そこで、伺います。
総理の言う、守るべきものとは何か、具体的に答弁されたい。
TPPは、例外なき関税撤廃を原則としており、これに参加すれば、日本農業は壊滅的打撃を受けます。また、非関税障壁の撤廃を原則としており、医療を壊し、雇用を壊し、食の安全を危険にさらし、日本の主権を丸ごとアメリカに売り渡すことになることは、既に明らかです。
日本共産党は、TPP交渉参加を断念することを強く求めるものであります。
いま一つは、米軍基地問題です。
米海兵隊のオスプレイ配備強行と、米兵による集団女性暴行事件に対して、激しい怒りの声が噴き出しています。
沖縄における米兵犯罪は、本土復帰以降、警察が発表しているだけでも五千七百九十件、このうち、性的暴行事件は百二十七件にも上ります。しかも、これらは氷山の一角であり、被害者が声を上げられず、泣き寝入りを強いられたケースも多数あります。
米軍基地がある限り悲惨な事件はなくならない、沖縄ではこうした声が高まっています。
沖縄県議会が全会一致で採択した抗議決議には、「県民の我慢の限界をはるかに越え、県民からは米軍基地の全面撤去を求める声も出始めている」と明記されました。全会一致の県議会決議に米軍基地の全面撤去という言葉が明記されたのは、これが初めてのことであります。総理は、沖縄のこの声をどう受けとめますか。
オスプレイ配備にかかわって、日米両政府が、飛行は人口密集地を避けることなどの安全対策なるものに合意したにもかかわらず、それすら無視した飛行が行われていることも極めて重大であります。
沖縄では、人口密集地、住宅地上空での飛行が常態化しています。伊江島では、重いコンクリートブロックをつり下げて集落上空を飛んでいたことが、目撃証言でわかっています。
総理は、日米合意さえ踏みにじられているという認識はありますか。米軍の横暴勝手を野放しにするつもりですか。しかとお答え願いたい。
事は沖縄だけの問題ではありません。七つの低空飛行訓練ルートなど、日本全土でオスプレイの低空訓練が計画されていることに対して、全国二十六都道府県の百三十九自治体で、配備や訓練に反対する意見書、決議が可決されています。
沖縄県民のみならず、日本国民の命を危険にさらす。総理は、全国の自治体のこうした声にどう応えますか。
日米両政府は、日米安保条約を盾に、オスプレイの配備を押しつけようとしています。しかし、そうすればするほど、それならば日米安保条約をなくせという声は高まらざるを得ないでありましょう。
日本共産党は、オスプレイ配備の撤回、普天間基地の無条件撤去を求めます。米軍基地の全面撤去を求めるとともに、アメリカ言いなりの根源にある日米安保条約を廃棄して、日米友好条約にかえることを強く要求します。
総理の見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕