野田佳彦の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(野田佳彦君) 日本共産党志位議員の御質問にお答えいたします。
まず、国内立地補助金、グループ補助金、医療、介護の負担減免措置についてのお尋ねがございました。
復興予算については、被災地の声をしっかり踏まえた上で、昨年、数度にわたり編成した補正予算等において必要な支援策を措置し、着実に成果も上げてきているところであります。
御指摘の被災地における企業向けの支援策としては、被災された中小企業を支援するグループ補助金や、福島県やその周辺地域に特化した立地補助金を合わせて五千億円程度措置することに加え、中小企業の資金繰り支援策等も措置し、活用していただいています。
特に、グループ補助金や福島立地補助金については、被災地の強い要望等を踏まえ、今般、予備費の使用を閣議決定し、約一千二百億円の追加措置を盛り込んだところであります。
こうした施策に加え、大震災を契機に、産業空洞化が復興の妨げになることに対する強い懸念が生じていたことから、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はないという復興基本方針の考え方に基づき、日本全体のサプライチェーンの維持強化を通じて被災地の復興を進めていくため、国内立地補助金を措置してきたところであります。
また、国民健康保険、介護保険等の保険料減免、窓口負担免除については、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う国による避難指示等が行われた区域以外の被災者は、本年、平成二十四年十月以降は被災後の所得に応じた窓口負担等を負担していただくこととし、これまでの国による全額の財政支援措置は延長しないことにしました。
しかしながら、保険者の判断により、引き続き窓口負担等の減免措置を行うことは可能であり、減免措置による財政負担が著しい場合には、減免額の十分の八以内の額を財政支援することにしています。
続いて、復興予算の使途を根本から改めるべきとの御質問をいただきました。
復興予算につきましては、種々の御指摘や御批判を受けていることも事実であり、被災地の復興に最優先で使ってほしいという声に真摯に耳を傾けなければなりません。被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外については厳しく絞り込んでまいります。
その上で、御指摘を受けている事業への対応については、多くの政党に御尽力をいただいて成立した復興基本法の改正というよりも、復興増税を含む財源の性格なども踏まえながら、これを使用することがふさわしい事業なのかなど、まずは各事業の内容や必要性を見て、個別に判断していくべきものと考えております。
また、復興に当たっては、暮らしや産業、雇用の再生が重要課題であり、引き続き、住宅再建のための合意形成の推進や中小企業グループ化補助金の拡充など、被災地のニーズにきめ細やかに対応してまいります。
続いて、デフレ不況下での消費税率引き上げについてのお尋ねがございました。
社会保障を持続可能なものとするためにも、社会保障・税一体改革を前に進めていかなければなりません。財政規律を守る国であることを行動で示すことが、財政に対する市場の信認を確保し、安定的な経済成長を実現する基礎になるものと考えています。
また、消費税の引き上げ分は全額社会保障財源として国民に還元することとしており、転嫁対策などの具体化も進めてまいります。
他方で、日本経済の再生に道筋をつけ、雇用と暮らしに安心感をもたらすことは、私の内閣の最重要課題であり、日本経済の失速を避けるため、切れ目ない経済対策を講じつつ、デフレからの早期脱却と日本経済の活性化に向けた取り組みを加速させてまいります。
次に、電機情報産業での退職勧奨等についての御質問をいただきました。
これまで、大規模な退職勧奨や解雇の動きに対しては、必要に応じて都道府県労働局が事実関係を確認した上で、企業に雇用の維持や再就職援助を要請し、関係法令や裁判例に基づく啓発指導などを実施しています。さらに、個別の労使紛争には、解決のためのあっせん等、紛争解決を援助しています。
もとより、企業は安易に雇用調整すべきではありませんが、政府としては、個別の事案に応じて離職者の受け皿確保に取り組むなど、地域経済、雇用への影響にも十分配慮し、雇用の維持や再就職援助に取り組んでまいります。
次に、無駄遣いの一掃及び富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革についてのお尋ねがございました。
政権交代以降、事業仕分けの活用などの取り組みを進めてきており、今後も、無駄遣いの根絶に不断に取り組んでまいります。
消費税率の引き上げによって国民全体に幅広く負担をお願いする中、格差是正の観点から、所得課税や資産課税において税率構造の見直し等を進めていかなければならないと考えており、税制抜本改革法附則の規定に基づき、平成二十五年度改正においてしっかりと検討してまいります。
また、御指摘の、所得一億円を超えると所得税の負担率が下がるという点については、証券優遇税制が原因の一つにあると考えています。これについても、税制抜本改革法の規定を踏まえ、平成二十六年一月から確実に二〇%の本則税率とする方針であります。
一方で、法人税の実質負担率が中小企業よりも大企業の方が低いとの御指摘については、二重課税回避のための措置などを大企業の税負担の減少のための措置と位置づけているのであれば、その論拠は妥当でないものと考えます。
なお、平成二十三年度改正における中小企業の軽減税率の引き下げなど、中小企業には特段の配慮をしているところであります。
次に、経済政策についての御質問をいただきました。
日本経済の再生に道筋をつけ、雇用と暮らしに安心感をもたらすことは、私の内閣が取り組むべき現下の最大の課題であります。
このため、フロンティアの開拓により力強い成長を導く日本再生戦略を、国家戦略会議において議論を重ねた上で、この七月に閣議決定をいたしました。
また、雇用を守り、格差をなくし、分厚い中間層に支えられた公正な社会を取り戻すことが重要であります。
賃金等の労働条件については、各企業の労使関係において、経営状況や経済情勢等を踏まえて決定されるべきものであり、関係労使間において真摯な話し合いが行われることを期待します。
非正規雇用の労働者については、労働契約法、労働者派遣法の改正や助成金の支給などにより、雇用の安定や処遇の改善に取り組んでいるところであります。
大企業による中小企業に対する違法な行為の排除については、引き続き、独占禁止法や下請法の厳正な執行に取り組んでいきます。
こうした取り組みによって力強い成長と財政健全化を両立することが、社会保障制度の持続可能性を高めることになると考えます。
続いて、原発政策についてのお尋ねがございました。
原発事故を経験し、国民の多くが、原発に依存しない社会の実現を望むようになりました。一方で、その実現に向けたスピード感については意見が分かれています。
こうした国民の声を踏まえ、原発の再稼働については、革新的エネルギー・環境戦略において、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入する、その過程において安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用することとしています。
また、再処理事業についても、国内外における取り決め等を踏まえ、従来の方針に従い取り組むこととしています。
大間原発については、既に原子炉の設置許可及び工事計画認可が行われており、それを前提に事業者が建設再開を判断したものであります。今後は、原子力規制委員会が独立の立場から安全性を確認していくことになります。
長年続けられてきた原発推進政策を変えることは、決して容易なことではありません。それでも、困難な課題から逃げずに、原発に依存しない社会の実現に向けて、大きく政策を転換し、果敢に挑戦をしてまいります。
こうした方針については、今後の政策の具体化のプロセスを含め、しっかりと閣議決定をされています。
次に、共産党の御提言についてのお尋ねがございました。
革新的エネルギー・環境戦略では、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、グリーンエネルギー拡大等に向けてあらゆる政策資源を投入することとしました。
この戦略は、一日も早く原発に依存しない社会を目指しながら、再生可能エネルギーの導入と省エネルギーの推進のために現実的に必要な時間を勘案し、また、その間の国民生活や産業への負担を可能な限り抑制するという観点を踏まえて示したものであります。
これに対して、御指摘の提言における即時原発ゼロについては、現実的には、十分な時間が必要ではないかと考えております。
東京電力福島第一原発においては、昨年十二月、専門家による緻密な検証作業を経て、原子力災害対策本部にて、事故対応における一つの区切りとして、冷温停止状態を達成し、ステップ2が完了したことを確認しています。
また、政府として、福島の復興再生に向けて、福島復興再生特別措置法や福島復興再生基本方針に基づき、政府を挙げて、各種の取り組みを幅広く実施しているところであります。
福島復興再生基本方針で掲げた、安全で安心して暮らすことのできる生活環境の実現、地域経済の再生、地域社会の再生に向けて、引き続き、責任を持って取り組んでまいります。
続いて、今夏の電力需給と電気料金の試算、即時原発ゼロへの見解について御質問をいただきました。
ことしの夏の電力需給については、需要面では、家庭や企業の皆様の思い切った節電努力等により、事前の想定よりも需要が抑制をされたほか、供給面では、大飯原発の再稼働があったことや火力発電所等のトラブルが少なかったことなどにより、事前の想定よりも供給力が確保されるなど、需給両面における最大限の努力により、今夏の厳しい電力需給を乗り切ることができました。
電気料金の試算については、本年六月に提示したエネルギー、環境に関する三つの選択肢について、原発依存度が低いシナリオになるほど電気料金が上昇する傾向が示されており、特定の試算結果のみを主張したものではありません。
一日も早く原発に依存しない社会を目指すという政策転換を実現するためにも、再生可能エネルギーの導入拡大を初めとするグリーン政策大綱を年末までに策定し、日本から世界へと広がるグリーンエネルギー革命を思い切って加速させてまいります。
再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進のためには、コストや安定性の確保など、乗り越えるべき課題が多くあります。
こうした政策転換を行うためには、現実的に必要な時間を確保するとともに、その間の国民生活や産業への負担を可能な限り抑制することが必要です。
したがって、即時原発ゼロの政治判断を行うべきとの御指摘でありますが、現実的には十分な時間が必要ではないかと考えております。
次に、我が国の尖閣諸島の領有権の歴史的、国際法上の正当性についての御質問をいただきました。
尖閣諸島は、日本政府が再三にわたり現地調査を行い、尖閣諸島が、無人島であるだけではなくて、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で、一八九五年一月に、閣議決定により、正式に日本の領土に編入をいたしました。この行為は、先占の法理に基づくもので、国際法にも合致しています。
また、中国政府が尖閣諸島に関する独自の主張を始めたのは、東シナ海に石油埋蔵の可能性があるとして尖閣諸島に注目が集まった一九七〇年代以降からであり、それ以前に、中国側は何ら異議を唱えていません。
加えて、尖閣諸島は、一八九五年四月に締結された下関条約第二条に基づいて日本が清国から割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれておらず、日清戦争に乗じて尖閣諸島をかすめ取ったとの中国側の主張は当たりません。
以上のとおり、我が国が国際法に合致した正当な方法で尖閣諸島を領有し、これを有効に支配しているという点は、御指摘のとおりであります。
続いて、尖閣諸島をめぐる状況への対応及び過去の戦争に対する認識についてお尋ねがございました。
尖閣諸島が日本固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いなく、現に、我が国はこれを有効に支配しており、尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題は存在しません。
御指摘のように、これを領土問題として捉えることは、領土の帰属が今後の交渉や第三者の判断により現状と変わる可能性があることを認めることであり、我が国の立場とは相入れません。
ただし、我が国としては、日中関係の大局を見失うことなく冷静に対応していく考えであり、さまざまな形で緊密な意思疎通を行ってまいります。
また、現在の日中関係の厳しい局面が平和的に処理されるべきということは、言うまでもありません。
御指摘の、過去の戦争も含め歴史的な事象に関する評価については、専門家等により議論されるべきものと考えますが、いずれにせよ、さきの大戦に関する政府の認識は、平成七年の内閣総理大臣談話等により示されてきているとおりであります。
続いて、TPP参加問題についてのお尋ねがございました。
FTAAPの実現は既に内外で共有された目標であり、政府としては、高いレベルの経済連携を引き続き推進し、貿易・投資に関する新たなルールづくりを主導する方針です。
このため、国益の確保を大前提として、守るべきものは守りながら、TPPと日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を同時並行的に推進します。
TPPについては、関係国との協議を通じ、情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上で、あくまで国益の視点に立って結論を得ていくことにしています。
私は、昨年十一月の記者会見において、世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜く旨述べました。
いずれにせよ、仮にTPP協定交渉に参加する場合には、守るべきものは守り抜き、そして、かち取るものはかち取るべく、国益を最大限に実現するために全力を尽くします。
次に、沖縄県議会の抗議決議についてのお尋ねがございました。
先般沖縄で発生した許しがたい事件は、決してあってはならない極めて遺憾なものであり、米側も夜間外出禁止等の措置を講じていますが、政府としては、引き続き、この種の事件を根絶すべく、綱紀粛正と再発防止について米側に強く申し入れてまいります。
また、国土面積の〇・六%しかない沖縄県内に全国の約七四%の在日米軍専用施設・区域が集中しており、沖縄の基地負担を少しでも軽減することが、政府として最優先で取り組むべき課題であると認識をしています。
政府としては、沖縄県議会の抗議決議を重く受けとめながら、今後とも、事件、事故の再発防止はもちろん、普天間飛行場の移設を初めとする沖縄の基地負担の軽減に向け、全力で取り組んでまいります。
オスプレイの運用に関する日米合意、及び地元の懸念にどう応えるかについてのお尋ねがございました。
オスプレイの運用に際しては、安全性はもとより、地域住民の皆様の生活への最大限の配慮が大前提であります。
そのために、米国は、オスプレイに関する合同委員会合意を遵守し、安全性等に最大限配慮していると認識していますが、政府としても、この合意が遵守されるようフォローしていく考えであり、今後も引き続き、米側との間で必要な協議を行ってまいります。
また、オスプレイの訓練等について、本土を含む地元自治体の皆様に御懸念、御不安があることは十分認識しております。
これまでも政府全体としてさまざまな努力をしてきたところですが、今後とも、地元の皆様の声に真摯に耳を傾けつつ、オスプレイの運用について御理解がいただけるよう、丁寧に御説明をしてまいります。
最後に、オスプレイ配備及び普天間飛行場を含む日米安保体制について御質問をいただきました。
我が国周辺地域の安全保障環境は厳しさを増しています。こうした中、日米安保条約のもと、米軍の前方展開を確保し、その抑止力をもって日本の安全を確保していくことが最も現実的かつ適切と考えています。
また、オスプレイは米海兵隊の能力の中核を担うすぐれた装備であり、その日本への配備は、我が国の安全保障にとって大変大きな意味があります。
同時に、先ほど申し上げたとおり、その運用に際しては、最大限の安全性を確保し、地元に与える影響を最小限にとどめる観点から、日米間の合意が遵守されるようフォローしてまいります。
普天間飛行場については、その固定化は絶対に避けなければならず、政府として、一日も早い移設、返還の実現に向け、全力で取り組んでまいる所存でございます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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