渡辺喜美の発言 (本会議)
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○渡辺喜美君 みんなの党代表渡辺喜美です。(拍手)
間もなく、三回目の三・一一がめぐってまいります。亡くなられた方々には心より御冥福を申し上げるとともに、被災された皆様には一日も早い復興の実現をお誓い申し上げます。
安倍内閣の高い支持率は、円安、株高に象徴されるように、長期デフレが終わり、日本が成長経済に戻っていくことへの期待感からくるものが大きいと思います。
長引くデフレは、国力をそぎ、後世代にツケを回し、若者からチャレンジ精神を奪い、格差を拡大させてきました。
みんなの党は、デフレ脱却の処方箋として物価安定目標を掲げ、そのための日本銀行法改正を、結党以来、訴えてまいりました。
物価と雇用の安定はワンセット。物価が上がれば失業率は下がる、物価が下がれば失業率は上がる。雇用の最大化は、どの先進国でも金融政策の重要な使命です。雇用がふえれば所得が上がる、この自明の理を再認識すべきであります。
安倍総理が政権を担ってイの一番に大胆な金融緩和を唱えたことは、国家経営として最良の策であったと高く評価をいたします。目のつけどころのよさに、長期政権の予感さえ感じました。
問題は、今後どのように覚悟を持って実行されていくかにかかっています。期待感先行だけに、期待が剥げ落ちたときには逆回転のリスクがあります。みんなの党の政策をぜひ御採用ください。
まず、デフレ脱却が確実にならないうちの消費増税は、絶対にやってはいけません。
ことし四月—六月の成長率を見て決めるとのことですが、一体、どのような判断基準で増税を決定するのでありましょう。年率換算三%以上の名目GDPならよろしいのでしょうか。
デフレ脱却のためには、日本銀行が今まで正当だと言ってきた理論を大転換しなければなりません。
いわく、発行銀行券の範囲内でしか国債は保有できないという日銀券ルール。金融調節は為替水準には無関係だ、外債購入は日銀法上不可能だ、量的緩和は効果がない。デフレは少子高齢化のせいという俗説まで白川総裁は肯定してきました。
総理がお選びになった三名の正副総裁候補には、このような発想の是非をお確かめになられたのでしょうか。
デフレ脱却の大胆な金融緩和、すなわちリフレーション政策のためには、覚悟を持ってその実施を任せられる、総理と信頼関係を構築できる人材が必要です。その上で、日銀正副総裁には、今までの発想にとらわれない、筋金入りのリフレ派民間人を登用することであります。
民間人には身分保障がありません。命がけで目標達成に邁進しなければ、政策決定会合で、総理の言う異次元の金融政策ができなくなるおそれがあるからです。
総理も、当初はそうお考えになられていたのではないでしょうか。財務省、日銀、学者という従来型バランス人事案で、なぜ妥協してしまったんでしょう。
日銀総裁に増税を最優先課題とする財務省次官級OBが就任すると、大胆な金融緩和が中途半端になるおそれがあります。実質二%、物価上昇二%で名目四%の成長が達成されてしまうと、税収がふえ、増税の必要が薄らいでしまうからです。
また、外国為替の権限を財務省に温存したいと考える人が総裁になると、為替の安定は財務省の権限であり、物価の安定には含まれないとして、日銀による外債購入についても否定をするでしょう。
外国為替特別会計の既得権益を温存しようとすると、金融政策はゆがんでくると言わざるを得ません。
外為特会は、円高是正のために介入した資金でありますが、その使命は全く果たされていません。含み損益分岐点は百十五円程度と言われていますが、黒田東彦元財務官の時代に介入した十数兆円は、百二十円台で、ほとんど効き目はありませんでした。今でも膨大な含み損を抱えています。
こうした点を、総理は、黒田氏本人ないしは推薦者にお確かめになられたのでしょうか。
我が国の外貨準備高は、自由な金融政策ができず為替統制を行っている中国を除けば、世界最高です。
なぜ、先進国でも例を見ないほど外貨準備高を維持する必要があるのでしょうか。それは、結局、外為特会の天下り利権温存のためではありませんか。総理大臣の御見解を伺います。
さらに、総理は、金融政策の実施の手段として、制度論として、外債を買うという手段も考えられると述べておられました。一方、財務大臣は、外債の購入には否定的であります。
財務大臣は、なぜ、そこまで否定されるのでしょう。閣内不一致ではありませんか。麻生財務大臣は、アベノミクスの最も重要な一本の矢である大胆な金融政策に否定的なのではありませんか。御見解を伺います。
いずれにしても、日銀正副総裁人事については、フルオープンの国会の委員会で所信を聞かせていただき、これらの疑念に応えてもらった上で、最終的な判断をしたいと思います。きのう、きょうの衆議院議院運営委員会での短時間のヒアリングでは極めて不十分であると申し添えます。
一月の政府、日銀の共同声明には、法的な根拠がありません。また、目標が達成できなかった場合の責任の問い方についても、経済財政諮問会議で検証するとされているほか、何も書かれていません。検証し、日銀総裁がとった手段が誤りで、目標が達成できなかったことが明らかとなった場合、どうするのでしょう。
きのうの黒田氏のヒアリングでも、目標達成ができなかった場合の責任については、黒田氏は答えませんでした。本日の中曽宏副総裁候補も同じでありました。
一方で、民間人である岩田規久男氏が、職を賭すと明言したのとは大違いです。
やはり、日銀法を改正して、政府と日銀との間の取り決めに法的な根拠を持たせるとともに、目標を達成できなかった場合に日銀総裁の責任を問うことができる仕組みを導入すべきであります。
現在の日銀法では、最高裁の裁判官にもないような過度の身分保障がついており、この仕組みを改めることは、大胆な金融政策の実効性の担保のために不可欠であります。総理の御所見をお聞かせください。
また、その共同声明に規定されている二%の物価安定目標について、安倍総理は、日銀の責任で達成すべきであるとお考えです。一方、麻生大臣は、日銀だけではなく、政府との共同責任であるとのお考えをお持ちのようであります。
総理、財務大臣、政府としてのお考えはどちらでしょうか。お教えください。
自民党は、選挙公約において、天下りの根絶を明記しています。
第一次安倍内閣のときは、参議院選の日程を延期してまで、各府省による天下りあっせんを全面禁止するという、霞が関にとっては驚天動地の法改正を行いました。
天下りとは、官が民をステルス的に支配するため、役所が独立行政法人等を植民地化し、人事の一環として役人を送り出すことです。官僚統制、中央集権の生態系の頂点に位置するシステムです。
第一次安倍内閣は、東京証券取引所自主規制法人理事長や成田空港株式会社の社長人事に天下りを行うことに猛反対いたしました。
天下り人事は、必ず、規制改革や民営化によって持続的成長をもたらす場合の障害となります。前政権時代に決まったことではありましたが、日本郵政社長、公取委員長などの人事を見ると、安倍政権のかつての決意が揺らいでいるように思えてなりません。
総理、選挙公約のとおり、天下り人事は今後一切行わないと考えてよろしいでしょうか。御決意を伺います。
平成二十五年度予算案においても、公共事業の大盤振る舞い。
既に被災地では入札不調が相次いでおり、その数は増加をしています。生コン等の資材価格は上昇の一途をたどり、型枠大工や鉄筋工など、人手不足、人件費の高騰が全国に波及し、予算が宙に浮き、天下り法人に滞留することになりかねません。
また、地方負担を伴う公共事業は、地方がついていけず、景気対策にならない事態が予想されます。
無駄な公共事業の急激な拡大による悪影響についての総理の御見解を伺います。
加えて、官民連携のもとに、官民ファンドがメジロ押しです。
例えば、PFI支援ファンド百億円。
PFIの案件形成が進まないのは、現在の仕組みが、地方公共団体にとっては使いにくい、民間事業者にとっては事業的、収益的な魅力が薄いことによるものです。つまり、必要なことは、お金ではなく、制度改革、規制改革なのであります。
また、クール・ジャパンを体現する日本企業の海外展開を支援するためにリスクマネーを供給するとして、五百億円。
日本企業の海外進出を支援するファンドやコンサルティングサービスは既に民間に存在し、国がリスクマネーを供給する必要はほとんどありません。
需要のない官民ファンドに多額の税金をつぎ込んでも、使用されずに、どこかの天下り法人の食い物にされてしまうとか、事業性も将来性もない事業に無理やり投資をして、毀損をさせてしまうかであります。
官民ファンドは即刻取りやめるべきと考えますが、いかがでしょう。
平成二十五年度予算においても、二・六兆円もの年金特例公債の発行が盛り込まれています。年金特例公債は、消費税増税の前提となるものであり、みんなの党は、絶対に認めません。
補正予算の審議において野党四党で修正案を提出しましたが、その歳入の一つの柱は、この年金特例公債の発行の中止と、代替財源としての国債整理基金特別会計の積立金の活用であります。
過去何度も取り崩されてきたこのへそくりを、中途半端に残しておく必要はありません。財務大臣の御決断で取り崩すおつもりはありませんか。
成長戦略の推進において、規制改革は、お金のかからない措置として、極めて重要です。
規制改革会議において、電力システム改革が最優先の課題の一つに挙げられていることは、高く評価をいたします。
これにより、同じ企業グループ内の会社間での見せかけの発送電分離ではなく、みんなの党が提案する、脱原発につながる発電と送電の所有及び資本関係の分離、電力小売の自由化が迅速かつ着実に進められると考えてよろしいですか。総理及び経済再生担当大臣の御見解をお伺いいたします。
一方で、規制改革の柱の一つであるべき農業改革の取り扱いが極めて小さいように見えます。
我が国の農業は、成長産業となる潜在的な能力があるにもかかわらず、これまで八兆円の規模にとどまってまいりました。その原因は、農協既得権益の温存と、農地法による過剰な規制です。
我が国の持続的な経済成長を考えるのであれば、株式会社の農地取得も含め、本来、成長産業であるべき農業分野の規制改革も、最優先案件の一つとして取り上げるべきではないでしょうか。総理及び経済再生担当大臣のお考えをお聞かせください。
先月のオバマ大統領との日米首脳会談を受けて、交渉参加に向けた地ならしができたことは、遅きに失した感はありますが、高く評価をいたします。
日本はできるだけ早く交渉参加すべきであり、安倍総理には、自民党内の反対勢力を抑え込んで、参加表明することを強く望みます。総理の御決意を伺います。
また、TPP交渉への参加表明を皮切りに、東アジア包括的経済連携を初めとする経済連携協定の締結も、TPPと有機的に連携しつつ、推進していく必要があります。総理及び外務大臣の御所見を伺います。
憲法九十六条の改正規定の要件緩和が議論をされています。みんなの党は、これに賛成です。
時代に即した憲法改正を行う前にやっておくべきことは、公務員制度改革です。そもそも、そうした改革もできずに、憲法改正ができるとは、とても思えません。
例えてみれば、電気とモーターで走る新車をつくろうとするとき、ボディーを先につくってみても、電池とモーターその他の部品が開発されていなければ、EV車は走りません。
政党や官僚機構というものは、まさに、国家という車を走らせる中枢を担う部分です。新しい規範や建前は、それを動かす実体ルール、本音のルールが確立されていなければうまくいかないのが、この世の常です。
第一次安倍内閣においては、国家公務員制度改革は最重要課題の一つに掲げられていました。野党時代の自民党は、みんなの党と共同で、国家公務員制度改革関連法案を国会に提出しました。
総理、世界一イノベーションに適した国をつくろうとするなら、国家公務員制度改革で国家経営のイノベーションを行うことが有効です。閣法で今国会に公務員制度改革法案を出すと考えてよろしいですか。総理の御決意を伺います。
みんなの党は、税と保険料の一体改革を訴えています。
歳入庁の設置による徴収漏れの防止と収入の増加、社会保険料支払い額の上限の撤廃、社会保険料率の統一によって、給付と負担の適正化を図ることであります。
歳入庁を設置して、推定十兆円からの保険料の徴収漏れをなくせば、消費税増税の必要はありません。また、七つも八つもある税や保険料の窓口を一本化でき、国民の利便性向上や行政改革につながります。
政府の提出するマイナンバー法によって税収の着実な確保を目指すのであれば、窓口を一本化して、それを実行するための組織としての歳入庁の設置を一体で考えるべきではないでしょうか。
みんなの党は、歳入庁設置法案を提出いたします。総理のお考えをお聞かせください。
みんなの党は、ネット選挙解禁法案を、三月一日に、民主党と共同で提出をいたしました。
選挙の主役は一般有権者であります。候補者のみならず、主役である一般有権者も、メールを含むインターネットを活用できるようにしようというのが、本法案の一番の肝です。与党の案と我々の案では、一般有権者のメール利用を認めるか否かが大きな相違点です。
選挙におけるインターネットの活用は、国民と政治との距離を縮め、国民の政治への関心や参加を高めます。より多くの国民が、その民意を反映できるようになります。総理もおっしゃったとおり、投票率の向上につながってまいります。
それなのに、なぜ、メールの送信を一般有権者にも認めないのでしょう。投票率が低い方が与党には有利ということなのでしょうか。総理の御見解を伺います。
施政方針演説の中で、総理は、安全が確認された原発は再稼働すると明言されました。
原発は、潜在的な危険性の高さにおいても、放射性廃棄物の処理においても、信頼性及び安全性が確保されたエネルギーではありません。
一旦事故が起きれば、多くの人々が、故郷を追われ、働く場を失い、家族を引き裂かれ、周辺地域や国民経済に甚大な被害をもたらし、人々に不安と恐怖を与えます。今でも、福島第一の四号機の核燃料プールが崩れることを世界じゅうの専門家が心配をしています。
原発は、むしろ、エネルギーとして極めて脆弱なものであったと考えるべきです。
原発事故は、将来世代の人々も危険にさらされます。また、いまだに使用済み核燃料の最終処分の道筋が確立されておらず、仮に確立できたとしても、十万年以上の長い管理が必要です。
原発の真のコストを考えたとき、原発が合理的な選択肢でないことは明らかです。我々は、原発の推進という国策を転換し、電力自由化によって経済合理性を基盤とした電力市場を構築することにより、脱原発を実現する責務があると考えます。
みんなの党の考える、決められる政治は、原発を再稼働させることではなく、原発から撤退していく決断をしていくことであります。脱原発についての総理の御見解を伺います。
省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及、発電方式等の効率化、エネルギーの地産地消の促進は、原発依存のエネルギー供給体制から脱却するためには不可欠です。
そのためには、発送電の分離を基礎に、電力小売への事業者の自由な参入を認め、電力小売価格を全面自由化する電力自由化を進める必要があります。総理のお考えをお聞かせください。
人類史上初の大震災に伴う原発事故で故郷を追われている福島の方々の悲痛な叫びをお聞きし、みんなの党は、これら被災者の生活再建を図る法案を提出してまいりました。
福島第一原発の周辺の立ち入りが制限される程度に著しい汚染が生じている地域の土地を買い取り、または借り上げ、自然エネルギー事業や汚染の除去または低減に資する事業を行うこと等を内容とする法案であります。
原発問題の早期の解決と被災地の復興につなげるために、総理にはぜひ御賛同をいただきたいのであります。御所見をお聞かせください。
指定廃棄物の処理や除染について、前回の総理答弁では、現行の基準等を見直すとおっしゃっておられました。
先月二十五日、指定廃棄物最終処分場候補地選定のこれまでの経緯を検証し、これを見直す方向であることが、環境省より発表されました。
しかし、残念ながら、今回の決定は、矢板市や高萩市に設置を決定したことの白紙撤回ではありません。加えて、各都道府県に処分場を設けるという、法律のどこにも書いていない基準を規定した基本方針はそのままであります。これで本当に見直しと言えるのでありましょうか。総理の御見解を伺います。
前回も伺いましたが、ハーグ条約については、安倍総理より、早期締結を目指す旨の答弁があり、これによって、国際的な子供の連れ去りは解決に向かうと期待されます。
一方、国内においては、子供の連れ去り問題に対処するため、既に民法第七百六十六条が改正されました。しかし、その運用においては、法改正の趣旨が徹底されておりません。
離婚相談を受けた弁護士の中には、まず子供を連れ去れ、もう一方の親から引き離せ、虚偽でもDVの主張をしろと指導し、金もうけをする者がいると言われています。
この背景には、既成事実を追認し、子供を連れ去った親に親権、監護権を与える裁判所の運用があります。拉致司法と国内外で批判される実態です。
条約批准を機に、裁判官等に対し、改めて、国内の民法七百六十六条の立法趣旨の徹底を図るべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
総理は、各党会派の皆さんと丁寧な議論を積み重ね、合意を得る努力を進めてまいりますとおっしゃっていました。みんなの党は、ただ単に批判をするのではなく、積極的に対案を提出し、なぜ、与党案がだめで、みんなの党がいいかを説明し、しっかりと議論をしてまいります。
ぶれない、曲げない、崩れない、それがみんなの党であります。
安倍内閣が闘う改革を進めていくのであれば、みんなの党は真摯に協力をいたします。
一方、改革マインドを失った安倍内閣に対しては徹底批判していくことを改めて宣言し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕