中川雅治の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。
新しい人権につきまして、自由民主党としての意見を申し述べます。
この問題につきましては、平成十七年四月に取りまとめられた憲法調査会の調査報告書で、全党が原則として憲法の保障を及ぼすべきであるという認識で一致しております。また、そのときの議論では、憲法上の規定を設けるべきであるとする意見が趨勢となっておりました。
今回の憲法審査会における調査におきましても、憲法上の規定を設けるかどうか、新しい人権を規定する場合においても、国民の権利として規定すべきか、国の責務として規定すべきか、また、人権の制限根拠である公共の福祉の概念についてなど、様々な論点について参考人から御意見を聞き、質疑を行いましたが、参考人や各委員の意見は分かれていたと認識いたしております。
自民党におきましては、昨年四月に憲法改正草案を発表いたしました。この草案は、前文に基本的人権を尊重することを規定するなど、基本的人権の普遍性、重要性に立脚したものとなっております。また、草案においては、人権規定について、我が国の歴史、文化、伝統を踏まえたものであることが重要だと考え、現行憲法の「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」という規定を、基本的人権は、侵すことのできない永久の権利であると改めることとしております。
さらに、現行憲法の公共の福祉の概念は、その意味が曖昧で分かりにくいものなので、草案では、公共の福祉を、公益及び公の秩序に変えることとしております。そうすることで、憲法によって保障される基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことが明確となります。
審査会における議論の中で、公の秩序に変えることによって人権が大きく制約されることになるのではないかとの指摘がなされておりますが、あくまで概念を明確化するものでありまして、そうした疑念は生じないと考えております。
草案においては、基本的人権を尊重する考えに基づいて、時代の変化に的確に対応し、国民の権利の保障を充実していくため、新しい人権を憲法上規定することとしております。具体的には、いわゆるプライバシー権の保障に資するための個人情報の不当取得の禁止等、知る権利に資するための国政上の行為に関する国民への説明の責務、環境保全の責務、犯罪被害者等への配慮、知的財産権がそれでございます。
なお、国政上の行為に関する国民への説明の責務、それから環境保全の責務、それから犯罪被害者等への配慮につきましては、個人が法律上の権利として主張するところまでは内容が熟していないと考え、国側の責務として規定することとしております。
特に、環境権につきましては、環境を保全するのは国民の権利として環境権を規定するだけで達成できるものではなく、国家と国民が対立関係に立つわけではありません。国家と国民が共に協力し環境保全を実現していくべきものという考えに立ちまして、環境保全について国民に協力を求める規定も定めております。
ここで一点申し上げておきますが、新しい人権を憲法に規定しなくても法律で保障すればよいという意見に対して、我々は、憲法に規定を設けることで、法律改正だけでは国民の権利を廃止することができなくなり国民の権利保障はより強固となる、国民の権利が確実なものになると考えて、憲法に規定すべきとしております。
以上のような新たに規定を設けるべきとした新しい人権以外にも、草案においては、国民の権利義務に関して、国等による宗教的活動の禁止規定の明確化、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動等の規制、在外国民の保護についての規定も設けております。
現行の憲法が施行されて六十六年がたち、その間一度も憲法改正がなされずに来ました。この間の時代の変化を踏まえて国民の権利保障を充実させていくためにも、新しい人権は憲法上規定を設けるべきであるということを申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。