大垣眞一郎の発言 (国際・地球環境・食糧問題に関する調査会)
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○参考人(大垣眞一郎君) 大垣でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私の関連の机上の資料が三つございまして、私が使いますスライドそのもののコピーと、それからこれはJSTの、科学技術振興機構の広報用のパンフレットでございますが、私の、CRESTの中で説明しているんですが、の広報、特集が入っておりますので、後ほどでも御覧いただければと思います。
それからもう一つ、A4で三枚つづりのものがございますが、これは実はこの事前配付の青い表紙を事務局からいただきまして、この中に私の関連で入っている資料を今日スライドでちょっとお見せしますので、そこに引用しておりますので、それで事務局の方で御用意いただいたものであります。
それでは、主にスライドに従って御説明を申し上げます。(資料映写)
世界の水問題への取組の課題及び在り方ということ、課題をいただきましたので、私の専門の範囲内でできるだけこの課題におこたえできればと思います。
次の二枚目のスライドでございますが、実は二〇一一年二月八日、大震災の一か月前だったわけでございますが、この調査会の方々の御視察を私の独法である国立環境研究所に調査会としていただきまして、その機会に水資源・水供給と気候変動適応策ということに関して御説明を申し上げました。その内容は、水の価格、それから世界の水供給の様々な姿、それから水供給の脆弱性と気候変動適応策ということに関してお話をいたしました。それは、今のA4のプリントの中に事務局がきれいにまとめていただいておりますので、後ほど御覧いただければ有り難いかと思います。
本日は、そこと余りダブらないようにということで、私の趣旨は、四つここに掲げてございますが、社会インフラとして水インフラは大きな産業領域であることの確認と、二番目は、水は社会の全てにつながっているというお話をして、地域社会の総合的な設計戦略が必要であるということを申し上げたいと思います。それから三番目は、今パンフレットをお配りしておりますが、JSTの水領域CRESTの簡単な御紹介をして、それを受けて、四番目に次の時代の水システムの開発と世界への提供ということに関して意見を述べさせていただきたいと思います。
四枚目のスライドは水インフラの表題でございますが、五枚目のスライドを御覧ください。
これは東京都中野区の某世帯の水使用料の例でありますが、実は我が家でありまして、五年前は子供が二人いたものですから四名の家でございますが、要するに実際に幾らお金を人間が払うかということであります。
これを御覧いただきますと、二か月間ぐらいで上水道で一万一千円、下水道で九千円で、余り節水していない家庭でありますが、まあこのぐらいのお金。それで、お金に直しますと、下の二行でございますが、水道料金として一日一人当たり四十五・七円払っていることになります。それから、下水道料金を入れますと八十二・二円ということで、一人一日八十円ぐらいのもので近代的な水を使う生活ができるというのが現在の東京の姿でございます。
これを強引に世界総人口に掛け算しますとどうなるかというと、現在、六十九億人ぐらいおりますが、この赤い字のところを見ていただきますと、一人八十円一日としますと一年間に二百一兆円の料金が発生する産業であるということであります。もちろん、全世界が東京と同じサービスを受けてそれに対価を払うということは架空の話でありますが、産業の規模の概念として仮の計算をするとこんなことになるということであります。
一番下の小さい字で書いてございますが、東京都水道局の予算が大体三千七百億円ぐらい。それから、下水道局も、料金収入としては同じぐらいで、ざっと東京都の運営のために七千億円ぐらいの産業規模になっている、こういうことであります。これが世界に広がる可能性があるということでございます。
それで、実は世界全体の水ビジネスに関しまして、これは二〇〇八年に産業競争力懇談会が出したレポートで、この委員会の委員長は、普通は産業界の方がやるんですが、私が頼まれまして委員長をしておりました。そのときのカテゴリー区分で、ここにありますA、B、C、Dとなっておりますけれども、Aは、お金もあるし、水もそれなりにある地域、それからBは、水はあるんだけれども、やや経済的に弱い地域、Cは、財政的には豊かなんですが、水がない地域、Dは両方ない地域というような形に分類して、それぞれが対応すべき戦略をその中でまとめていたわけであります。
ここで私がちょっと一つ加えておりますのは、大都市域という領域がありまして、これはA、B、C、どの領域にもありまして、インフラ整備が不十分な大都市域というのが大変多く世界にあります。ここは大きな需要がある地域であり、日本が得意とする地域ではないかということであります。そういう意味で御紹介しています。
次の話題として、水が社会の全てとつながっているというお話をしたいと思います。
この調査会でもバンコクの洪水の議論をされたと中間報告等レポートでは伺っております。これは、右の絵はバンコクのアジア工科大学、私も大分前に、三十年ぐらい前にここで教えておりましたけれども、の教授が整理した地盤沈下の絵でありますが、バンコク周辺の、ここの左に書いてありますように、例えば工業化が進む、だけれども不完全な上水道、工業用水道しかないというところだと、例えば地下水の揚水規制をしようとしても、工場が安定した水供給がないならば地下水がどうしても必要だというような議論になって、地下水の揚水抑制が利きません。そのような中で地下水位が低下しますと地盤沈下が起きて洪水が悪化する、浸水範囲が広がり長期化するという問題が起き、社会インフラ、水道や道路が壊れますので、地盤沈下に伴って。で、衛生環境も悪化しますし、都市活動が低下し、経済力は劣化するというような問題につながります。したがって、例えば水道を供給するということ自体が地盤沈下を防ぐことにもなるとか、そういう意味で様々なつながりがあるということであります。
今、不完全な水道ということを申し上げましたが、これはインドの例でございますが、英語のままになって恐縮ですが、この左のここの漏水率という、無収率というかお金を取れない水供給で、五七%とか五〇%しかお金が取れていない。漏れてしまったり盗まれちゃったりとかいうことですね。さらに、日本では考えられないんですが、水の利用できる時間が限られている。電力なんかも時間的に供給するわけですが、水もそういう状態である。こういうものであると、工場がこの水道を使うということは実質できないという問題になるわけであります。ここに大きな需要があるということであります。
それから、もう少し、都市化が進む問題として、日本でも直面していますし、世界の方々で直面するであろう問題は、非意図的な再生水の利用という問題であります。
この絵はちょっと、少々小さくて恐縮ですが、淀川の絵でありまして、よく言われるように、京都の排水は淀川に出ますが、下水処理水、大阪はそこを取水して飲んでいるわけです。
この絵にありますように、上に六つの下水処理場があって、下に八つの浄水場があるというような構造で、これ日々稼働しているわけでありますが、人口が稠密になって川の上下に人が広がるようになると、これは世界中の問題であって、下水処理水を飲む飲まないという意図とは別に、水を取って浄水を造るということは非意図的に下水処理水を飲むということになります。こういう特に確実な技術が要るということになるわけであります。
そこで、全体として、経済学の用語で言いますと社会的共通資本という概念がありますが、十二枚目のスライドです。自然環境と、それから社会的な物理的システム、インフラと、それから制度としての資本がございます。水に関しますと、自然環境は当然水環境でありますし、社会システムは上下水道でありますし、三番目の制度としては水質監視制度とか様々な法律になります。
一番上の自然環境とわざわざ書いてありますのは、生態系の保全とか様々な自然保護あるいは環境自体を守る運動がありますけれども、社会のシステムを維持するためにはこの自然環境が重要で、この三つの要素をきちんと提案できないと、真ん中の水供給だけを提案してもこれからの世界に対するシステムとしては片手落ちということになるわけであります。
さて、JSTの紹介をいたしますと、十四枚目のスライドでございます。
このCRESTの略、元はコア・リサーチ・フォー・エボリューショナル・サイエンス・アンド・テクノロジーというもので、革新的な技術の研究ということでございますが、この表題は、「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」ということを研究しております。一番下の赤い字のところに書いてございますように、革新的な統合、異なる学術分野、空間・時間スケールの違い、それから要素技術とICT、産官学民、行政分掌などを統合するような水利用のシステムを科学技術の面から研究しようということであります。
十六枚目は、時間も限られているので、ちょっと飛ばしまして、十七枚目に、このアドバイザー、総括アドバイザーで、私自身が総括でございますが、副総括に日立製作所の依田氏を迎えて、産官学の体制で、アドバイザーの中にも産官学の方がおられます。十七の研究代表者の下で六百名を超える研究者がこの研究に参画しております。
次のスライドは水の流れの中でどんな分野をやっているかという絵でありますが、飛ばしますと、次のスライドは、ここにありますのは、こういうことによって革新的な科学技術、それから実社会への貢献、それから産業の育成、貢献という三つの目的を、世界規模の水問題から小さな水質メーター、水質のモニタリングのための道具まで含めて、十七のチームが行っているということであります。
これ、次は日本地図で、十七のチームの関連フィールド等が書いてあります。
それから、海外もございまして、次の、これは中国とベトナムで具体的な都市に関するプロジェクトを現在進めております。
さて、時間も限られておりますので、最後、結論的なことを申し上げますと、二十二枚目のスライドを御覧ください。
これは、横軸に技術、システムとしての水に関連するシステムの、左側がやや簡単な方で、右に行くほど複雑であるというふうに並べております。例えば、国際的な活動といいますか、援助あるいはビジネスとしてのいろんなキーワードを縦に並べてみました。ベース・オブ・ピラミッドという概念、それからODA、それからビジネス、ウオータービジネス、グローバルビジネス、それから、実はそこにニューターゲットと書いているのは、これから日本が特に有利な領域ではないかということで、こういう新しい対象があるのではないかということを挙げております。
ここで挙げておりますように、下水再生利用とか海水淡水化など、非常に高度な水利用システムが更に統合された形で最適化された水システム、地域総合された水システムというようなものが世界で求められていると私は思っておりまして、例えば、右下の方に書いてございますが、世界の水の国際学会であるインターナショナル・ウオーター・アソシエーション、私はそこの副会長をしたことがございますが、そこでシティー・オブ・ザ・フューチャーというような概念が提案されて、水だけれどもシティー、その地域全体を考えないといけないという概念が世界で生まれております。そこへ向かって具体的な技術やシステムが提案できることが必要ではないかということであります。
次の二十三枚目の絵は、その技術的な中身はどんなものかという、一部分表したものでありますが、これ、縦軸に水を処理して飲料水、海抜ゼロメーターの高さの飲料水にするのにどれだけのエネルギーが要るかということを書いたものでありまして、水質のエネルギー表示というふうに私は呼んでおります。横軸は水の利用の流れでありまして、一番上の方にあります海抜百メーターのきれいな山の水というのは、実は高いところにありますので、位置のエネルギーを持っておりますので、水質としては海抜ゼロメーターの飲料水よりいい、まあ表現としてはいいことになります。それに対してやや質の悪い河川水というのは、浄水場で処理して飲み水にすると。質の悪い河川水の場合、実測的には約〇・五二キロワットアワー・パー、一立米当たりですね、ぐらい掛かるというふうにデータで出ております。それに対して、相対的に、使いますと、下水のように、下の方によりたくさんのエネルギーが必要ですし、下水処理をしますと、そこに、右上にありますように、活性汚泥処理下水処理水というものになります。さらに、三次処理、再生処理すると飲料水に近づくという、こういう構造になっております。それから、海水は、そこの下の方にありますが、塩分が非常に多いので、飲み水にするにはエネルギーが要るんですが、水がないところは海水しかないわけですから、これを使う。
こういう全体のエネルギーの水質変換のシステムを使って新しい地域社会のシステムを提案しないといけないのではないか、これが国際的なマーケット、次のマーケットとして重要ではないかということであります。
以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。