栗原優の発言 (国際・地球環境・食糧問題に関する調査会)
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○参考人(栗原優君) 東レの栗原と申します。
手元には、私の今日のプレゼン資料と、もう一つは今日のテーマに匹敵するような私のプレゼン資料をもうちょっと言葉で書いた形のものが置いてあるかと思いますが、参考にしてください。(資料映写)
私は、今日発表する人の中でも一番ビジネスサイドに近い形だと思いますが、最初のページに、若干、御質問等で参考にしていただくために履歴を申し上げます。
私、会社へ入ってからずっと研究者とか研究管理者とかも務めてまいりましたが、その間に、今日、私の話はメンブレン、逆浸透膜、膜という言葉が出てくると思いますが、その世界的な歴史は五十年しかない中の四十三年、私、経験をしております。研究者の領域を超えて、今、大垣先生はIWAをしまして、私はIDAという方で理事をやったりして海水淡水化の分野での国際的な理事活動等もやっております。そういう中での国際的なネットワークをよく知っておりますので、私の話の軸足が今日は海外の話が中心になるかと思います。
それから、身近な私の担当は内閣府でできました最先端研究支援プログラムで、ここでも日本の海水淡水化ビジネスをどうやって生かすのかというための研究をしております。
この図で、一九七〇年、下の図ですけど、八五年までは、皆さん御存じの民主党の議員であった川端達夫さんも私と一緒に十五年間海水淡水化を一緒にやった過去がございます。
世界の水問題で、先ほど大垣先生と同じ図を出していますが、これは大垣先生がリーダーで私ども民間も一緒に作成した図ですが、水問題の議論になりますと、いろいろ発散しますので、どこのポイントを話すかという意味で、このA、B、Cゾーンをいつも私は出しています。
Aゾーンは水資源が豊富でしかも技術的には従来技術が応用できるようなところというふうに位置付けられますが、今日、私のお話はCゾーンで、ミドルイースト、そしてノースアフリカというような砂漠地帯の海水淡水化ということを最先端技術でやるというので、私の話はこのCゾーン中心になります。ほかの今日の参考人はBとかDが入ってくるんじゃないかと思いますが、いつもここのゾーンということで明確にしたいと思います。
まず、世界の水問題を語るときにいろんな統計がございますが、五ページの上の図ですけれども、この赤マークのところがもう本当に水で困っているという地域でございまして、今問題になっているアルジェリアのようなノースアフリカとかサウジアラビア近辺、これは本当に砂漠地帯で水で困っているという赤で、ビジネスも活発でございます。
それに対してアメリカは、水に困っているカリビアンシーまで、これからですね。オーストラリアもこれから、今活発です。特に話題になるインド、中国はこれからだと思います。下の図でグリーンのところを見ていただきますと、そういう国々は国家計画として水をこれだけ欲しい、造らないといかぬというのが非常に国の方針として決まっておりますので、イコール・ビジネスチャンスになるわけです。
いつもこの水とエネルギーと食料というのは話題になりますが、実はこの図の骨格は安倍前内閣の当時に諮問委員会で作ったときの図でございますが、今や世界レベルで水とエネルギーと食料を一体で考えるということは常識になっておりますが、その原点の図でございます。
最近は何が問題になっているかというと、シェールガスですね。これはエネルギーを取るために水も必要、水を必要とするからエネルギーも必要ということで、これからのシェールガス闘争の中に、オイルの方にあるいはガスの方に、話題になりますが、水がそれだけ付いて回っていますということです。
次ですね、膜という話は単純に高分子で穴を空けるわけですけれども、穴の小さいものと大きなものがありまして、普通のろ紙でございますね。それで、左側にあります逆浸透とかナノフィルトレーションというのは目が細かくてイオンを分離するし、右側にあるのは粗いものです。ですから、これをいろいろ組み合わせますと、今や膜と膜の組合せでいろんな水に対応できます。一番上は海水淡水化、二番目は我々の飲み水を川水から得る浄水分野、そして、今日、是非御記憶いただきたいんですけれども、下水も最高の水資源ですよと、それも膜を使うことで飲み水レベルになりますよと、これはもう現実化してどんどん使われ始めていますということです。
こういう資料で、右上の図ですけれども、今までは水をきれいにして家庭や工場や農業で使った水をリサイクルはほとんどできない場合が多かったんですが、この膜を使いますと、下水からでも飲料水レベルに使えますのでぐるぐる回せる、一方では取水を少なくしてでも回せるということで、膜を使いますとリサイクルの話が中心にできるようになっています。
この図は、五十年の歴史の中で、一九七〇年ごろから物は世の中に出てきたわけですが、特に九〇年からマーケットが大きくなっております。ここにいつもケネディさんが出るんですけど、故ケネディ大統領も、一九六一年ごろ、こういう海水淡水化の研究をプロモートした最大の貢献者の一人でございます。彼が言っていた夢が今、世の中で実現していると思っております。
これは一我が社、一会社のあれですけど、世界シェアの三〇%を持っていますが、この世界地図を見ていただきますと、点が付いていますね、赤い点、これだけ世界中に使われております。今、大体七十か国ですか。そして、二千六百万トンというのは、人口七十億人の中の一・五%の人が今や新しい膜を使った水で生活しているという時代。ですから、この三倍ぐらいが今の現状の事情ということで考えていただきたい。
課題はこういうことです。
ビジネスの上で、左側の図ですけれども、強みは、こういう膜とかそういう部品では世界レベルで七〇%近くシェアを持っております、現在は。ただ、これ、ほっておきますと韓国や中国にどんどんキャッチアップされるという状況にあります。一方で、これだけ部品が強いんですけど、右側の図ですけれども、プラント全体になりますと日本の弱さが目立ちまして、どんどんどんどん弱くなっております。部品で強くてプラントで弱いという、ほかの分野と共通している面がこの水にもございます。ですから、膜の強さも生かしながらプラントも強くしたいというのがこれからの課題です。
じゃ、どうやってやるかという事例ですけれども、各国の国レベルで方針を決めて強く出てきています。左側の図の二〇〇二—二〇〇六年については、よくメジャー、メジャーと言われているフランスが強いんですね。それにスペインとか、いろいろありました。三菱という日本の代表的な企業も残っていました。だけど、直近の五年を見ると、フェードアウトして消えてしまっています。新しい国々が世界レベルでトップ企業になっているんですね。これは全部、国家戦略、国家支援とリンクしたイスラエルとかシンガポールとか韓国とか。ですから、今日の話題はこの辺かと思いますが。
これをいろんな視点で私なりに、自国に市場があって、それをステップにしているかというのが一番左側です。それから、技術があるかないか、自前技術。その次に、国家支援が強力かどうか。いろいろ時間軸がございます、総合力と書いています。
日本は、国内に海水淡水化という市場も経験も余りないわけですけれども、じゃ、もうこういうところに出られないかというと、部品はもう世界の六、七割を持っている、プラントで出られないはずないわけですね。そういう事例では近くに韓国がございますが、きちっとした国家戦略で世界のトップ企業になっています。ということで、この辺は見習うべき教訓があります。
それから、対外戦略では、今日、まとめて申し上げますと、膜や機器の高シェアは維持したい、そのために研究開発も維持したい、それに対してプラントビジネスは再復活しないといけないねと。特に、EPCという装置を納めるビジネスからSPCということで経営に、世界の水の問題のビジネスを、経営に参加しないといかぬということを言っています。
政府で取るべき支援のことで書いていますが、いろいろこの二、三年で手を打たれて、御支援もいただきながらやってきているんですけれども、ここで強調したいのは、まだ不十分ですと。先ほど言ったイスラエルだ、韓国だ、シンガポールのその動き方と、日本が始めている動き方に大きなギャップがございます。表面上はいろいろ動いているんですけれども、そういうステップ2ということで、もう少し中身の議論をしながら深めていただきたいというのがここに書いてあります。
それで、過去にいろいろ提案しましたが、これは省略します。二〇一〇年にもこういう機会がありましていろいろ進言、提言いたしましたが、それなりの効果があって動き出していますが、いろいろまだ実現しておりません。例えば、水は上下水道を一緒にして一か所の官庁でやったらどうですかなんというのは、全く、日本ではまだ全然難しいなという感じです。
一方で、研究開発がまた見直されて、国家レベルでやられる時代が来ています。ということで、これが、表にしていますが、日本も、お金をもらって大垣先生のプロジェクト、私のプロジェクトというのですごくやっていますが、これが日本だけやっているわけじゃありませんということですね、海外で競争していますということです。
これを私はメガトンということで、こういう形でいろいろ日本の大学あるいは会社の研究で、海水淡水化に絞って、そして部品は強くすることを維持しながらプラントビジネスで機会を得たいということで、ここに書いてありますように、海水を取水から海水を捨てるところまで、いろんな世界レベルの技術を開発してやっております。
そういうことで、それを生かしながらなんですけれども、この二十一ページの表の中で、特に政府が進めるべき取組の中で、話題の一つに、技術で勝ってビジネスで負けていますと、これが言われるわけですね。これは別に水だけじゃなくて、半導体でもいろいろ過去に起こってきています。ですから、私にいろいろ政府関係の方、お偉い方が言われるのは、この水や膜も半導体の道を歩まないでくださいよねと言われているんですけれども、それなりに過去の教訓を得ながら進めないといかぬと思っております。
特に、最後に、日本というのは、いろんなことで言われていると思いますけれども、ガラパゴス化で、日本が独り善がりしていてグローバルレベルでは離れ過ぎているなというので、これを良き教訓に変えていかないといけないなと。
どうも御清聴ありがとうございました。