江崎孝の発言 (国際・地球環境・食糧問題に関する調査会)
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○江崎孝君 民主党・新緑風会の江崎でございます。
本調査会のテーマでありました世界の水問題と日本の対外戦略についての意見を述べさせていただきます。
委員長の方からもありましたとおり、平成二十二年の十一月に調査会が発足をして、世界の水問題をテーマに約二年半、三年近くにわたって調査を行ってまいりました。この間も、地球レベルで水資源をめぐる状況は深刻の度を強めています。
こうした中で、参議院の調査会が世界の水問題を取り上げ、かつ、この分野では知見、経験、科学技術の面で比較優位を持つ日本が率先をしてこの問題に対処していく方向でいかに対外戦略を展開すべきか、特に国際協力や官民連携による海外ビジネスの課題や可能性を始めとして様々な視点から調査を行ったことは、私は画期的であり、極めて意義があるものだったというふうに認識しています。
さて、調査会でも明らかになりましたように、成長著しいアジアでは、人口の急増や都市化、工業化の中で、水不足や汚染問題が一層悪化しています。他方で、上下水道のインフラ整備が十分ではなく、今後相当規模のインフラ整備とそのための資金需要が必要とされています。これに我が国としてどう対処すべきかが大きな課題であります。
援助にしても水ビジネスにしても、その鍵は私は地方自治体の活用にあるのではないかと考えています。特に途上国では、河川等の水管理から配水システムの設計管理、料金体系の構築や徴収方法、さらには漏水対策等の保守管理など、まさに水源から蛇口、そして上下水道の一体のトータルマネジメントが要請される傾向にあります。こうした技術やノウハウを持つのは地方自治体であります。加えて、モンスーン・アジアという類似の気候風土の中でこれらの技術を蓄積してきた経験や、将来問題となる給水人口の減少や施設の老朽化など、課題先進国の日本の自治体が持つ知見などは欧米と異なる様々な優位点を保有しています。
既に技術協力といった分野で多くの国際貢献を重ねていますが、最近では上下水道の海外展開を進める自治体も出ており、その後押しをすることが重要だと考えています。そのために、前回の対政府質疑でも申し上げましたとおり、官民連携の前に関係省庁間の官官の連携の強化、司令塔の創設が必要です。特に水循環基本法を制定をしようという試みの中で、水循環政策本部というような中央の施設、組織も非常に重要だろうというふうに考えています。
そのことを前提にして、本日は、特に自治体による言わば国際貢献ビジネスを画期的にいかに拡大するか、リスク管理にいかに対処するかの二点について意見を述べたいと存じます。
まずは、自治体の持ち味を生かすためには、途上国の地域を面的にとらえ、町づくり全体の中で現地の実情に合った水循環を実現することが必要であります。そのためには、前回の調査会で経産省の方からも指摘がありましたが、例えばミャンマーとかインドネシアのように開発政策の段階から関与していくことが必要であります。このためには、個々のプロジェクトのみならず、政府レベルによる援助全体の中での水インフラに関する相手国政府との政策対話が必要であります。JICAの一層の活用、さらにはアジア地域では、政策のみならず、資金提供元である世界銀行やアジア開発銀行といった国際金融機関との連携も大きな課題であります。
次に、リスク管理の面でありますが、リスクを最小限にするために、当面、自治体は設備投資には手を出さず、まずは設計、運営などのコンサルタント業務や事業運営のマネジメントなどに関して契約を結び、安定的な収入を得る方法で海外展開を進め、実績を積み重ねていくことも一つの選択肢ではないかと考えています。その場合には、設備投資には日本のODAを活用するなど自治体とJICAが連携を深めること、かつ日本の水関連産業が参入しやすい案件形成を進めていくことも肝要ではないでしょうか。
そして、こうした地方自治体の海外展開を進めることが、高齢化が進む自治体職員の技術の継承や、国内で縮小傾向が進む上下水道事業の新規開拓、さらには、地元の水関連の中小企業の海外進出に扉を開けることによって地域経済の活性化につなげるなど、国内で抱える課題にも大きなメリットがあるということも付け加えておきたいと思います。
少々長くなりました。以上が私の意見です。
ありがとうございました。